実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第477回】セーラーゾンビ大総集編の巻

 

 

 マスターのヒゲに困惑を隠せない小松彩夏。金曜プレステージ『西村京太郎サスペンス 十津川捜査班9 十津川警部「故郷」』(2014年7月25日放送)のレビュー予定は、未定。
 このシリーズ、第9作目だが、第7作目まで「チームの紅一点」(ただし山村紅葉を除く)だった高梨静代刑事(高橋真弓)が、今年1月に放送された第8作目で降板して江端沙織刑事(小松彩夏)に代わった(うちのレビューはこちら)。このまま小松彩夏のレギュラー入りなるかどうか、ということで注目された9作目だが、ごらんのとおり、無事に江端刑事役で出演。まずは安心。
 とはいえ、どんどんノルマがたまって、どうしていいか分からない私。予定のレビューをこなすためには、M14さんのように、平日にも毎日、録画をキャプチャしたりレビューを書いたりしなければならないわけだが、私がするわけない。よくまああんなことを、と真剣に感心する。
 というわけでウチでも一枚だけ、プリンセスご活躍の画像を。『ラストドクター』第3話。

 

 

 それから、コメント欄で、松浦雅のあられもない姿が見られるとのご指摘があった『GTO』。うっかり録画もしていなかったので、ネット上を捜しましたよ。

 

 

 この『GTO』というドラマも、残念ながらもう観ないと思う。もともと私、教師が主役の学園ものを苦手としておりまして、例外は『悪夢ちゃん』とか『鈴木先生』とか、そんなに多くない。それに最近の学園ドラマに生徒役で出てくる子たちって、いかにも各事務所が推してきた十代のタレントって感じで、未知の新しい才能を発掘して育てて、魅力的なクラス作りをしよう、というスタッフの熱意が見えてこない。この『GTO』も、男子はSexy Zoneにキョウリュウジャーにジュノンボーイ、女子はAKB48に元さくら学院に元エビ中に元bump.yに元おはガールという具合である。それに松浦雅なんて、今シーズンはTBSの『家族狩り』とのかけ持ちらしい。売り出し中だからって、そんなに押し込まなくても良いだろうに。この子はもう少し大切に育てて欲しい。

 

 

 まあいいや。さて『みをつくし料理帖』レビューの先を続けるべきところではございますが、ここまできちゃうと、もう急がなくてもいいや、という気になってくる(開き直り)。そこで今回は、ドラマ内で小池里奈が死んじゃってから放置していた『セーラーゾンビ』をやります。ケジメです。というより、個人的には面白くて毎週楽しみに観ていた。今週もあまり時間がないのでサクサク進みます。
 

 

 ゾンビたちが踊り出す曲「ムンムンラル」のテープを手に入れたはいいが、寺川先生がそのテープを持ち去り、しかもゾンビたちに藤美女子高を開放してしまったために、もはや学校内に住めなくなって脱出した舞子(大和田南那)たち、というところまでは紹介した(ここ)。

第8話「永訣」(2014年6月14日、監督:今泉力哉)


 なんとか学校を逃げ出したものの、あてもなくさまよい、力尽きる寸前だった舞子たちは、以前、抗ウィルス剤を分けてもらった病院の看護師見習い、ミドリと再会する。病院がゾンビに襲われて、患者さんたちも、看護師友達のアオイもゾンビの餌食になった。命からがら逃げ出したミドリ(秋月三佳:ボックスコーポレーション所属)は、自衛隊員の生き残りアイカ(吉田亜子)と出会い、アイカの運転する車で行動を共にしていた。

 


アイカ「あぁゾンビ野郎。ジャマジャマ!ひいちゃおうかね」

ミドリ「あれ、もしかして?」
アイカ「知り合い?」


ミドリ「やっぱり!睦美ちゃん!舞子ちゃん!」

 


 もちろん舞子たちは、そのまま仲間に加わる。
 元自衛隊員のアイカのサバイバル技術もあって、キャンピングカーでの旅は、なんだか本当のキャンプみたいで楽しそうでもある。



近くで見つけた鶏小屋から卵を調達してゆで卵を食べたり。でも調味料がないので味気ない。



 そこで田淵(風見梨佳)が「調味料とってきます。近くに別荘みたいなのあったんで、ついでにおもしろそうなものあったら調達してきます」と、マオ(前田聖来)とイオリ(飯田祐真)を連れて近くの民家へ入り込む。



 台所を物色して、調味料をゲット。



 だが田淵とイオリは、実はひそかにこの家で暮らしていた足の悪い男(蛍雪太郎)に、ゾンビと間違われて猟銃で射殺されてしまう。




 射殺した蛍雪太郎も、ゾンビではない人を射ってしまったショックで「わしかて生きたいんじゃ」と叫びながら同じ猟銃で自殺してしまう。
 田淵、イオリ、そして自殺した男を弔って旅を続ける五人。



 だが愛するイオリを失ったマオの心の傷は深かった。



茫然自失のマオは、ふと窓の外の光景に見覚えがあることに気づく。





 

第9話「追憶」(2014年6月21日、監督:古川豪)


 車は偶然、離婚してから会っていない、マオの父親の家を通りかかっていた。アイカに頼んで車を止めてもらい、家の様子をうかがうマオ(前田聖来)と舞子たち。



マオの父親(吉永秀平)はゾンビになっていたが、生前と同じように、家の中をうろうろしたり、大切なバイクの手入れをしたり。そしてその合間にしょっちゅう携帯を開いてのぞき込んでいる。

 


睦 美「さっきからケータイ、見すぎじゃない? もう何度目? 離婚して独り身だし、寂しくて出会い系してんだ。“ゾンビなう”とか、つぶやいてんのかも」

舞 子「ちょっと悪口やめなよ」


マ オ「私だ。私からのメール、待ってるんだ。お父さんケータイの使いかた憶えて、よく私にメールくれるようになって。……でも私は一度も返信しなかった……」


 その晩、みんなは、まだゾンビが出現する前のころの、いちばん楽しかった想い出をそれぞれ語り合う。マオは両親が離婚する前の、いちばん幸せだったころのことを想い出す。



 翌朝、出発の準備をする舞子たち、ところが……。

 


マ オ「私、残る」

舞 子「え?」
マ オ「もうみんなとは行かない。ここでお別れ」

舞 子「これからどうする気?」


マ オ「お父さん家に帰ろうかなぁって。メール無視り続けた娘が急に来て、怒られるかもしれないけど。でも、お父さんに謝りたい気持もあるし」
舞 子「いや、マオのお父さんゾンビだよ?」


アイカ「言ってる意味わかってる?」


マ オ「もちろんちゃんと考えて決めた。昨日の夜さ、幸せだったときの話したでしょ?みんなの話、どれもすごくおもしろくて。聞いてるだけで幸せな気分だった。でもその分、悲しくもなった。過去の話は楽しいけど、未来の話はする気になんない。もう希望が持てないんだ。……イオリもいなくなって、生きていく楽しみはもうないの」

舞 子「ダメだよ……生きないとダメだよ」

マ オ「そう思う人だけが生きればいい。私はもう、決めたから」

睦 美「決めたんならしかたないんじゃない?私たちに止める権利、ないと思うけど。この世界で生きるのって、めんどいし」

舞 子「なんでそんなこと言うの?」
アイカ「舞子の意見は正論だけど、正論すぎるかも。この世界はもう普通じゃないからさ」

マ オ「ちょっと、暗くなんないでよ。私の気分は晴れやかなんだよ?じゃあ……いってきます」


舞 子「待って!もう一度よく考えて。イオリの最後の言葉、聞いたでしょ。“もっと生きたかった”ってイオリは言ったんだよ。それを言葉にしてマオに伝えたんだよ。なのにいいの?イオリの生きたかった今日を、明日を、この先の未来を、生きられるんだよ。イオリに聞いてみて。なんて言ってる?イオリは……」

マ オ「私の好きなように、だって」

舞 子「マオ!」


マ オ「ただいま」


マ オ「お父さん」



 

第10話「無慈悲」(2014年6月14日、監督:今泉力哉)


 この回は、まあ一種の番外編で、全体の3分の2くらいは、ヒロイン舞子がうたた寝している間に見た夢のなかでのお話である。夢オチはいけないと言われるけど、これはありだな、と私は思う。
 夢の中だから、リアル世界ではすでに死んでしまった中島(相葉香凜)もアリナ(小池里奈)も田淵(風見利佳)も出てくる。でも、みんなすでにゾンビ化している。そしてヒロインの舞子も睦美も百花もゾンビとして登場する。要するに全員がゾンビとなった世界で、登校シーンから始まる「ゾンビ女学園の一日」みたいな内容である。







 この段階では多くの視聴者が理解していたと思うが、『セーラーゾンビ』の世界には「結局、AKB48のメンバーしか生き残れない」という厳然たるルールがある。私は、一命をとりとめてゾンビから人間に戻ったアリナ先輩(小池里奈)が、翌日あっさり死んじゃったのを見て「こりゃ最後は大和田南那と高橋朱里と川栄李奈だけ、残るってことだな」と気づいた。考えてみりゃ当たり前だけど。
 はじめは、同じテレ東「ドラマ24」枠の『マジすか学園』ほどではないにせよ、藤美女学園の生徒役として、もうちょっと若手のAKBメンバーを投入すればいいのに、と思っていた。でも、このドラマの裏メッセージ(のひとつ)は「AKB以外のアイドルや少女タレントはみんなゾンビに食われて芸能界から消えろ」というところにあるので(←勝手な妄想)、そういうテーマを明確化するためには、あんまりメンバーをまぜるわけにはいかなかったのだ。どうせ大部分はゾンビになっちゃうんだから。
 これは逆にAKBメンバーにとっての試練でもあった(←勝手な妄想)。なにせ話が進めば進むほど、相葉香凜とか小池里奈とか風見利佳とか前田聖来とか演技力のあるメンバーが抜けていく。そしてヒロインは、大物の予感はあっても現段階ではほぼド素人の大和田南那である。いや私も観ながら、最後この子だけになったら、どうなっちゃうのかと背筋が凍ったよ。
 そこんところを高橋朱里と川栄李奈はよく頑張った。『セーラーゾンビ』を観るまで二人のことをまったく知らなかった私ですらファンになるくらい、大和田南那をひっぱって良い仕事をした。もっとも、川栄李奈は、実写版セーラームーンでいえば愛野美奈子の立ち位置で特別枠だったので、やはり目立ったのは高橋朱里の大健闘ぶりであった。
 と言いつつそれでも、芝居の上手い人たちから順に消えてゆくドラマって、やっぱりそれドラマとして根本的に何か問題ないか?という我々の(いや「私の」か)疑問に対する「そんなにごちゃごちゃ言うなら、ほれ死んだ役者もぜんぶ再登場させてやるよ」というアンサーがこの第10話だ。
 夢の中のお話という設定での全員再登場。しかも「うーん、やはり改めて観ると、死んじゃった子たちの方が、芝居うまいよね」という感想がでるのを封じるため、全員、身もフタもないゾンビ芝居だ。ゾンビの女子高生がゾンビの学校に通ってゾンビのポーズで写メをとる。





 まだ生きているイケメン男子が近所にいると聞けば、授業をさぼって様子をうかがいにいって舌なめずりをする。これが本当の肉食女子だ。




 バカバカしいが、もうハッピーエンドが期待できない状況になっているので、これはこれで楽しい。

第11話「青春時代」(2014年7月12日、監督:渡部亮平)


 この回のメインイベントは「未来の自分へのメッセージ」。



 車がエンストを起こして、修理を試みていたアイカも、ついに断念。いよいよキャンピングカーでの移動生活も捨てざるを得なくなって、状況はますます絶望的に。




 それでも、あてもなく歩いているうちに海岸に出て、久しぶりに見る海に歓声を上げる少女たち。夜はみんなで花火大会。なんか切ない。







 その翌朝。舞子はみんなに、わずかに残ったケータイの録画機能を使って、未来の自分へのメッセージを残そうと提案する。自分たちの未来を信じて、ということだけど、一方では遺言というか、今のうちに自分が生きた証を遺しておこうという無意識の想いも見え隠れする。希望と絶望が入り交じって、切ない。

 


舞 子「よかった。まだ充電残ってる」

アイカ「どうした?」
舞 子「今の私たち保存しとく……って、動画撮るだけだけど、ねえ、せっかくだからさ、未来の自分にメッセージってのは?」
ミドリ「ああタイムカプセル的な?すてき」

╳    ╳    ╳



ミドリ「ミドリ、何やってますか? ゾンビ世界は落ち着いた? 看護師にはなれた? どんな未来になっても……諦めないでください。ちゃんと幸せになれよ。バイバイ」

╳    ╳    ╳


アイカ「親愛なる未来のアイカ様。私はあなたが心配です。彼氏はできましたか? 相変わらず、男っ気なく生きてる気がする。独りで生きていくタイプだと思うけど、独りは寂しいでしょ。もっと人に頼ればいいのに。甘えん坊になってもいいんだぜ、アイカさん。応援してます」

╳    ╳    ╳


睦 美「えっと…こんにちは。今の私は、特にやりたいことはないんだけど、何か見つかったかな? やりたいことやれてるのが理想だけど。まあ無理だとしても、イヤなことやらされてる人生だけは送らないでね。自分の人生を生きればいいから、無理のない感じで。17歳の睦美より」

╳    ╳    ╳


睦 美「未来の舞子へ。夢をかなえた舞子へ。アイドルになった舞子へ。……17歳の私は、あなただけを夢に見てます。本気です。あなたは私をバカにしないですよね? 応援してくれるよね? ありがとう。頑張りますから」

 


 照れたりはしゃいだりしながら、それぞれのメッセージを残して、なんとなく和んだ気持ちの四人。でもミドリが砂浜に腰を下ろした瞬間から悲劇が始まる。

 




ミドリ「キャーっ! 助けて、助けて!」


舞 子「ミドリさん!」



 


 ゾンビに引きずり込まれてしまうミドリ。どういう習性か、このあたりの砂浜の中にはゾンビがたくさん棲息していたらしい。そして、砂に足をとられた拍子に拳銃を手放したアイカも、あせって拳銃に手を伸ばしたところを、わらわらと姿を現したゾンビたちの餌食になってしまう。






 こうして、とうとう舞子と睦美の二人だけが残った。
 ゾンビトラップの海岸を命からがら逃げ出し、再び雑木林のなかをとぼとぼ歩いていた二人は、ふと「舞子! 睦美!」と自分たちの名を呼ぶ、聴き覚えのある声に気づく。





 学校から脱出したとき、離れ離れになってしまった百花(川栄李奈)だ。生きていたんだ!



 奇跡の再会を喜びあう三人。
 ふと見上げるとそこには観覧車がまわっていた。遊園地の廃虚である。三人が近づくと、例の「ムンムンラル」がスピーカーからエンドレスでかかっていて、だからゾンビは踊っていて、襲われる心配もない。中の様子をうかがう三人。

 


舞 子「行ってみようか?」
百 花「本気で言ってる?」
睦 美「なんかいやな予感、危険な感じするし」

 


 と、「ニューワールドへようこそ!」と現れた怪しいおっさん。彼こそゾンビが踊り出す謎の歌「ムンムンラル」を全国放送で流していた謎の人物、DJマーロン(ブラザートム)であった。




「マーロン想像と全然違う」「ってか、じじいだし」「もっとイケメンだと思ってた」と言いたい放題の舞子たちだが、はたしてこの「ニューワールド」とは何か?次回、最終回に続く。

第12話(最終話)「新世界」(2014年7月19日、監督:渡部亮平・古川豪)


 DJマーロンの「新世界」とは、群馬県桐生市の「桐生が岡遊園地」と隣接の動物園のことだった。園内の放送設備を利用して『ムンムンラル』を24時間流しっぱなしにしているから、ゾンビたちは踊り続けていて、襲ってくる心配はない。そして食料や物資も豊富にある。DJマーロンはラジオ放送で、この場所を暗示するヒントを与えていた。その謎を解いた人々だけがここに辿り着き、安息を得ることができるのだ。まあたいした謎かけではないんだが。

 


「……この丘にある空飛ぶ船で……」
「……観覧車のほうがいいな……」
「……僕はペットに、キリンやライオンを飼っています……」


百 花「まわりくど。“どこどこに集合”って言えばいいのに」

マーロン「それじゃあまりにイージーだ。これから世界は、生きるべき人間を選ぶ」

睦 美「何かここにいる人たち、みんな目が死んでる……」


そして、最終回なので一応、世界はなぜこのようにゾンビだらけになったのか、という説明がある。もっとも主人公たちが大して関心を示さないので、話は尻切れトンボで終わってしまう。

 


マーロン「ある貧乏大学の教授が、バカバカしい研究を実現させてしまってね。死んだ人間を労働力として再利用する、という研究。教授はすぐ論文を発表しようとした。でもさせてもらえなかった。困るんだよね。貧乏大学の教授が、カネ儲けできること発表するのは。世界っていうのは、儲けるべき所でない所が儲けることを、ぜったい許さない。だから教授も研究員も処分された」


マーロン「一人だけ消されなかった研究員がいてね、彼は研究が実現する半年前に、体を壊して大学を辞めてた。で、教授たちの情報がすべて消えてることに気づいて、あらゆる手を使って調査した。何があったんだ?どうしたんだ?……で、知っちゃったんだね。教授の研究を奪い、死人を軍事利用する計画が進んでいること。彼は絶望してさ、まだ不完全だったそのウイルスを、自分に接種して自殺する。彼がゾンビ第1号になった」

睦 美「あの……話が長くてよくわかりません。あと、お腹が空いてて、まったく集中できないんですよ」

マーロン「いやいや、こっからがおもしろいのよ、こっから」
睦 美「聞きたい?」
舞 子「いやどっちでも」
百 花「私も別に」
睦 美「だよね興味ないよね。あ……もうけっこうです私たち」
(『ムンムンラル』がエンドレスで流れ続ける)


睦 美「てか、ずっとこの曲聴いているとウザくなってきた」
舞 子「うん。ヘンテコで好きな曲だったけど、さすがに限界。よく我慢できますね」

 


 わりとB級映画で使い古したような設定なので、確かにこれ以上話を聞かなくても、だいたいのところは想像できる。もともと労働力用に開発されたゾンビなので、特定の周波数で出された命令には全面的に従うよう、遺伝子操作が加えられている。その技術を応用して、ゾンビが踊り出すコマンドを仕込んだ曲が「ムンムンラル」だった。
 ミドリたちが持っていた抗ウィルス剤も、万が一、ゾンビに噛まれた時でも、24時間以内に注射すればちゃんと元に戻れるよう、あらかじめ開発されていたものだった。そもそもゾンビ化がこんなに激しい勢いで浸透するなんて、開発者も予想していなかったんだけど、第一世代の人に噛まれてゾンビになった第二世代、さらに第三世代と、世代が進むにつれ、人間としての貪欲さが本来のプログラムを上書きして、より凶暴なゾンビが誕生して収集がつかなくなってしまった、とか。そしてDJマーロンは、何らかの形でこのゾンビ計画に関わっていて、始めから、ことの次第を知っていた人物なのだろう。ひょっとすると、彼もゾンビウイルスをばらまいて感染者を増やしたのかも知れない。



 で、これから後もいろいろあるんだけど、できるだけサクサク進みますね。まず寺川先生(石橋けい)との再会。生徒たちを見捨ててこのニューワールドにやってきた寺川先生、今はDJマーロンの愛人みたいになっちゃってる。




百花は怒り出すが、出されたケーキが超おいしいので機嫌をなおす。
 それでみんなで、「私はもう一度モデルをやりたい」とか「私の夢はアイドルになること。できればセンターがいいな」なんて将来の夢を語りあっていたら、マーロンが言う。

 



マーロン「その夢、ぜんぶ捨てろ」

 

 ここに住んで平和に暮らしたければ、将来の夢はすべて捨てて、何もかもDJマーロンに従え、というのだ。ニューワールドでは絶対服従が規則。このDJマーロンって人、いわゆる「新世界の神」になりたかったわけだね。



 アイドルになりたい舞子と、自由に生きたい睦美の返事はもちろんNOで、怒ったマーロンの命令で、囚われの身となる。一方、百花はあっさり「分かりました。私は捨てます夢なんて」とマーロンのひざに乗っかる。




 でも本当は、寝返ったとみせかけて、三人でここから逃げ出すチャンスを狙っていただけだった。
 ニューワールド内で百花は、前に藤美女学園で避難生活をしていた父子家庭のやんちゃ兄弟、勇気と元気に再会する。




 残念ながら二人のお父さんは「巨乳と再婚する」という夢が捨てられずにDJマーロンの怒りを買い、ゾンビの餌食となったらしい。



 百花は二人にパンツを見せてやる代わりに協力してもらって、中央管理室への侵入をはかる。



 
 ニューワールド中央管理室。弟の元気が迷い込んだフリをして「オシッコ漏れる」と騒ぎ、警備員を油断させたところを急所攻撃。






 百花は拳銃をふたつとも奪い取ってドヤ顔でポーズ。

 


百 花「大人なんてちょろいぜ」


勇気・元気「大人なんてちょろいぜ」

 


 そのまま中央管理室に忍び込み、問答無用で二丁拳銃をぶっ放す。火を噴く機材。









ニューワールドの園内放送システムは破壊され、『ムンムンラル』が止まってしまったせいで、ゾンビはそのへんの生きている人間に襲いかかる。何かもう、むちゃくちゃである。



 愛人みたいな寺川先生と食事中のDJマーロンもゾンビの餌食に。






 意外とそれを冷静に見つめながら「天罰ね」とつぶやく寺川先生の喉元にもゾンビが食らいつく。






 このどさくさに紛れて、百花は囚われの身だった舞子と睦美を救出に参上。束縛を解かれた舞子と睦美、百花、そして元気少年と勇気少年の四人は、ゾンビたちが暴れる遊園地に飛び出していく。






 しかしまあ、なんと言ってもゾンビたちの数にはキリがない。多勢に無勢。いよいよ追いつめられていく舞子たち。



 そのとき、睦美がいきなりステージへの階段を駆け上がり、ゾンビと戦っていた武器を、なぜかそこにあったギターに持ち変える。

 




睦 美「どうせ死ぬんならさ、最期に好きなことやって死ぬ?」


睦 美「せっかく舞子のデビュー曲作ったんだからさ、みんなで演奏しようよ」

 


 よし、という感じで気持ちをひとつにする少女たち。舞台に上がった百花は、眼下のゾンビたちを見渡して思わずつぶやく。

 



百 花「ライブに人が集まってきてるみたい」


舞 子「じゃあ最期に……はっちゃけようぜ!」


 そしてラスト、4分30秒ほどのエンディングがあるわけだが、このラストシーンはぜひ動画でご覧いただきたいと思う。



ちょっと画質が悪いので、高画質をご希望の方はこちらからどうぞ。
私はこの4分30秒で「AKB48とは何なのか」が理解できたような気がする(たぶん錯覚だけど)。
 演奏しながら少女たちは「夢かなって良かったね」「お客さんゾンビだけど」「関係ない、みんなノリノリじゃん」と語り合う。
 人前で歌い踊ることが主な仕事だったかつてのアイドルとは異なり、彼女たちに最も求められている仕事は、握手会を中心とするファンとの直接接触であり、あるいは総選挙のようなサバイバルレースの実況である。歌っている間は、お客さんたちもサイリウム振って声援を送ってくれるが、歌い終わればみんな、握手やツーショットチェキを求めてわらわらと寄ってくる。下手をすればノコギリを振りかざして襲いかかってくる人もいるのだから、それはもうゾンビに見えたって仕方がない。そうやって消費し尽くされ、飽きられれば捨てられる。アイドルの平均寿命はそう長くはない。
 そんな時代でも、アイドルになることを一途に夢見る少女たちがいる。夢を叶えていく過程で大人の汚い世界に触れて、ゾンビになっちゃうかも知れないけど、それでも彼女たちの夢は純粋だと思う。私は不覚にも胸を打たれてしまいました。



いやすまない、めちゃくちゃ長くなってしまって、精も根も尽き果てた。以上、今回は小池里奈もたいして出てこないセーラーゾンビ大総集編でありました。ではまた。