実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第460回】DVD第3巻:Act.12の巻(2)


*来週の週末は更新を休みます。出張で台湾まで行ってきます。


1. 見たい映画やドラマがたくさん。でもぜんぜん。



みなさんご案内の、北川さんとももクロのコラボ。まあ、事務所内企画なので好きなようにやってもらって良いと思うが、中にはちょっと首をかしげるような内容の記事もある。


本格的な歌とダンスは初挑戦となる北川は、ダンスも歌もももクロと同じ先生についてみっちりレッスンを受けた。先生からも、「高城れに(20)よりもうまい」との太鼓判を押されたといい、これには高城も「本当に私より踊りがうまい。リズムが取れないんですけど、北川さんは合わせた1発目からダンスもフォーメーションもカンペキだった」と舌を巻いた。(スポニチSponichi Annex芸能 2014年3月5日


確かに『キラリ!スーパーライブ』は「本格的な歌とダンス」ではなかったのかも知れない。それは仕方がないが、今回は本当に完璧だったのだろうか。思わず『Dear Friends』のディスコのシーンも思い出してしまったぞ。ううむ。
いやいやしかし、たとえ実際がどうであるにせよ(←失礼だろ)、北川さんの歌と踊りに「太鼓判」を押すにあたって紫の人を引き合いに出すあたり、ももクロの演出の上手さを感じますね。グループ内のオチ要員というかボケ担当メンバーに「本当に私より踊りがうまい」と言わせることで、北川さんを傷つけないまま全部ジョークにしちゃっているというか。


それからこれ。



NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」のふ久役で注目を集める女優の松浦雅さんが、10日発売の「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)15号の表紙と巻頭グラビアを飾り、水着姿を披露することが分かった。松浦さんが青年マンガ誌の表紙を飾るのは初めてで、大胆なビキニ姿を披露しているほか、インタビューで「ごちそうさん」の裏話を語っている。(『毎日新聞』2014年3月8日)


『ごちそうさん』のふ久も無事出産したそうだ。いや無事どころじゃなくて、大阪大空襲の、まさにその夜のご出産であったという。
こっちよ!さんが以前コメント欄に、『ごちそうさん』の杏は大晦日に赤ん坊を産んで、正月にはおせち料理を作っていたからスゴイ、という話をされていたが、その娘の松浦雅なんてアンタそれどころじゃない、空襲の夜に出産して、そのまま赤ん坊を抱えて、燃え盛る大阪の町を大八車に乗って逃げ回ったらしいですよ。もっとも私、妻と娘の話を聞いただけで、自分じゃ観てないんだけど。
第一回大阪大空襲のとき(1945年3月13日〜3月14日)シャッターが閉まっていたはずの鉄道駅構内に逃げ込み、しかも地下鉄に乗って難を逃れた人がいた、という話はみなさんご存知ですか? 私は最近になって聞いて、一種の都市伝説かと思っていたら、どうも実際にあった話だそうだ。公式な記録にはいっさい残っていないが、少なからぬ体験者の証言によれば、夜にもかかわらず、市内の各駅で地下鉄への降り口の封鎖が解かれ、多くの人が構内に避難したうえ、午前3時頃には、電車もちゃんと走ったという。現場の職員の判断であろう。いい話ですね。
そのあたりの隠れた歴史の真実が、今回のドラマにも反映されていたそうで、これはちょっと観てみたかったな。まあしかし、地下鉄を利用したにせよ、しつこいようだが出産直後に赤ん坊を抱いて逃げるなんて、さすが妖怪人間の娘は、母にも増してタフだね。



あと昨日から公開になった山戸結希監督の映画『5つ数えれば君の夢』についても、個人的にはとても語りたいのだが、これはセーラームーンにはぜんぜん関係ないか。



でもこの映画もホントに観たいなあ。というところで、そろそろ本題に行くね。

2. 何のための追いかけっこ?


このAct.12で、うさぎとまことが追いかけっこをする。台本にはまったくそういう指示がないので、高丸監督の演出である。楽しいっていえば楽しいんだが、まことがそんなふうに(タキシード仮面の話で)うさぎをからかうというのが、いまいち納得できない気もするので、前後のエピソードを確認してみたい。まずAct.9。怪盗タキシード仮面が、自分の狙いは「幻の銀水晶」であるとマスコミに公表して、世間では銀水晶フィーバーが起こる。ガセネタも多く出回り、本物を捜索中の戦士たちも、いささか翻弄されぎみである。



レ イ「セーラーVがタキシード仮面を敵って言ったのはこういうことね。確かにとんでもない奴だわ」



まこと「だいたい泥棒だしな」



うさぎ「でもさぁ、何度も助けてくれたよ」



レ イ「そうね。うさぎを騙すためかも」



うさぎ「ひどいよ!そんなことないって」
レ イ「どうして分かるの?」



うさぎ「だって……わかるもん」



まこと「うさぎ……あんたまさか、タキシード仮面のこと」



うさぎ「えっ!」



レ イ「えっ?」



亜 美「えっ?」

以上です。レイもまことも、タキシード仮面を疑っているのは一緒なんだけど、レイは、タキシード仮面がセーラームーンたちに加勢するのは何か深慮遠謀があってのことだろうと考えている。これに対して、まことは深くは考えず「だいたい泥棒だしな」というざっくりした理解。そのかわりまことは、うさぎがタキシード仮面に心惹かれている事実を直感で見抜いてしまっている。
そしてAct.20、Act.21で、まことはタキシード仮面の正体を知ってしまう。泥棒である。しかも(まことから見れば)意図的にうさぎに接近し、うさぎの心を盗んだハート泥棒。この時の行動もめちゃくちゃ直情的。




まこと「あんただったんだ、地場衛」



まこと「私たちの正体を知っていてうさぎに近づいたのか?」



タキシード仮面「ああ」
まこと「どうして?」
タキシード仮面「幻の銀水晶とプリンセスのことを知りたかった」
まこと「あんた何者なんだ?」
タキシード仮面「おれは…それを知るために…」




まこと「待ちなよ!」



まこと「あんたそのためにうさぎを利用しようとしたのか?」



タキシード仮面「だったら?」




まこと「あんた最低だよ」



まこと「うさぎには黙っておくけど、二度とあの子に近づくな」



「うさぎには黙っておくけど」のひとことが泣けます。
長々と引用したけど、現在レビュー中のAct.12は、このAct.9の「あんたまさか、タキシード仮面のこと」とAct.20「二度とあの子に近づくな」の中継地点にあたる。「泥棒=悪い奴」っていう考えは決して譲らないから、タキシード仮面を擁護するうさぎには容赦ないけれど、一方ではうさぎといっそう親しくなっている。


レイや亜美が、性格的になかなか複雑で、簡単に心を開かないのに対して、まことは初登場回こそハードボイルドだが(そしてセリフはいつまでも硬いが)どんんどん性格がオープンになり、柔らかくなっていく。うさぎと一緒に美奈子に会いに行ったり、うさぎの恋を応援したり、熱を出した亜美を介抱したり。でも、これらの行動に一貫しているのは真面目さだ。あんまりふざけたところはないんだよね。
そういうふうに考えると、さっき書いたように、まことが以下のシーンで、うさぎと鬼ごっこするのは、ちょっとどうかなという気もする。「泥棒の事はどうでもいいよ」と言っているのは、彼女が、タキシード仮面のことを真剣に悪い奴だと思っているからで、それはAct.21でタキシード仮面を殴り倒すまでブレない。そんなタキシード仮面をかばううさぎを、たしなめることがあっても、おちょくる、というのは違うんじゃないかな。細かいことだが。



まこと「まいったね。敵がセーラーVを狙って来るなんて。向こうもプリンセスだって思ってたわけだ」
うさぎ「タキシード仮面もプリンセスの事知ってそうだったよね」



まこと「泥棒の事はどうでもいいよ」



うさぎ「ひどーい」



ル ナ「私達でセーラーVを守らなきゃ」



レ イ「でも、セーラーVがちゃんと名乗って正体明かしてくれなきゃやりにくいわ」



レ イ「どうして言ってくれないのかしらね」







亜 美「私達にも知られたくない何かがある……とか」





うさぎ「あ〜っ!」



亜 美「どうしたの?」



うさぎ「昨日もらった愛野美奈子のサインがない!」



うさぎ「多分美奈子の所だよ。ちょっと取ってくる!」





レ イ「ホントに緊張感ないんだから」



まこと「ま、ある意味大物かもよ」
ル ナ「かもね」



亜 美「そうだね」


でもちょっと、この高丸監督ならではのユルさも楽しいんだけどね。

3. お待ちかね触手です(いや蜘蛛の糸だ)



というわけで、うさぎがクラウンを飛び出し、美奈子の元へ急いでいるころ、当の美奈子は、自分が命を賭けて守ろうとしているセーラームーンが、あまりにあんまりなバカなので、すっかりたそがれちゃってる.
そんなスキを狙って、敵は齋藤社長の身体を乗っ取って美奈子に忍び寄る。「病室に近づいていく齋藤の影は妖魔の形」このあたりは台本のト書きそのままです。



前回確認したように、Act.11のエンディングはちょっと夕暮れ時な感じで、今回Act.12はその翌日の話になっている。でも前回、夕陽が差す病院の廊下で妖魔に憑依された齋藤社長は、それから丸一日、どこをほっつき歩いていたのか(笑)、翌日になって、前日の衣裳のまま病室に姿を現す。真面目な表情の社長には、『仮面ライダーウィザード』の白い魔法使いの面影がありますね。やっぱり10年分若い。




美奈子「あ、社長――」




台本には「齋藤の手から放たれる蜘蛛の糸状の物。腕を絡め取られる美奈子」とある。前年の2002年にサム・ライミ監督の『スパイダーマン』第1作目が公開されているから、そのイメージなのかも知れない。
ご存知の方も多いと思うけど、スパイダーマンの糸は、原作以来、手首に装着した腕時計型の発射装置(ウェブシューター)から出ることになっていた。映画の最新版『アメージング・スパイダーマン』でもそうなっている。ボタンが中指のところにあって、そこを押すとシュッとクモの糸状の何かが出てくるわけね。



ところがサム・ライミ版では、主人公が放射能グモに噛まれた副作用で、自分の手首から糸を出せるようになっちゃう。まあそもそもスパイダーマンって、クモに噛まれて、異様な体力や壁をするする登る力を身に付ける話なんだから、原作だって自分の身体からじかに糸を出せた方が、合理的っていえば合理的だよね。
で、主人公は面白いもんだから自分の部屋にこもって、何かドリンクで栄養補給をしながら、ぴゅっぴゅぴゅっぴゅと白い粘液を出しまくる。



最近なにか様子がおかしいと思った家族が様子を見にきても「いや別に運動しているだけだから」とか言葉を濁して閉めてしまう。家族の対応も、まあ思春期なんだから色々あるよねって感じ。



で、部屋のなかは、自分が吐き出し続けたネバネバの白い粘液が糸を引きまくっている……って、なんかすみません、このブログには、女性の読者もけっこういてくれるのに、下品なことばかり書いて。



要するに、高校生のスパイダーマンと違って、オトナの齋藤社長が出すものはやっぱりしっかり太いなあと。その太くて白いクモの糸が、っていうより、やっぱり触手だなこれ。触手が小松彩夏に……。



すみません私の性根が下品でつい変なことばかり書いてしまって。話を先に進めましょう。



齋 藤「セーラーV、いや、プリンセス……」




美奈子「! まさか、妖魔……!?」



齋 藤「幻の銀水晶はどこにある」
美奈子「!……知らない」
齋 藤「お前が持っているんじゃないのか」



齋 藤「お前がプリンセスなんだろう!」



「お前がプリンセスなんだろう」と問われた美奈子のリアクションに、特に演出はつけられていないように観えるが、台本ではここのところに「一瞬答えようとして、口を閉じた美奈子が視線を落とす」というト書きがある。「そうよ、私がプリンセスよ」と言い切って、敵の注意を引きつけるのが自分の使命なのに、「あんな子の影武者に」という迷いが生じて即答できなかった、という意味である。アクションシーンの最中にそういう微妙な感情表現を織り込む脚本も、ハードルが高いが、ただもともと薄倖体質の小松彩夏なので、ここで一瞬せつない表情で視線を落とす芝居とか、演出家の指導次第で出来たんではないかと思うけど、どうかな。
と、だいぶ高丸監督にケチをつけるようなことを書いたけど、ここから後の、小松彩夏本人によるリアル「セーラーVキック」はカッコいいと思う。









齋 藤「貴様!」













きれいにキックは決まったが、なかなかどうして齋藤社長もダイ・ハードである。ちなみに台本では、蹴られた社長が窓から吹っ飛びそうになって、窓枠をつかんではい上がってくる、ということになっている。
しかし、蹴られた勢いで壁がへこむというのは、変身前の美奈子にも、それだけのパワーがあるんだろう。レイの霊感、亜美の天才、まことの力持ち、戦士はみんな戦争前から何らかのポテンシャルを持っているってことだな。
てところで、今回はこのへんで。