実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第450回】新年早々修羅場ですの巻(『天国の恋』セミファイナル)


2014年謹賀新年


                                                                     
10年前の画像ですが


例年だったらここで、新年随想とか、今年の抱負とかを述べるところでありますが、なにせあの『天国の恋』最終週の紹介が、年越しの宿題として残っている。「ああいうものを正月早々レビューするかな」という疑問の声が聞こえそうだが、しかしみなさん、何にせよM14氏の大予言「2013年沢井美優ブレイク説」は土壇場で実現されたわけである。これを取り上げずに、何の2014年謹賀新年か。
というわけでさっそく本題です。

1. カピバラのタコ殴り


今回ご紹介するのは全45話のうちの最後一週間、月曜から金曜までの5話。実写版でいえば、ゾイサイトが死んで、美奈子の体は、もうヴィーナスに変身できないくらい衰弱して、それでもレイとの意地の張り合いが続いている……というあたり。



いやセーラームーンじゃなくて『天国の恋』の話だったね。はいやり直し。



自分の夫が息子の嫁(沢井美優)を孕ませたという衝撃の事実を知らされ、もはや嫁の暴力にも無抵抗になっちゃったコモタセレモニー社長夫人、範子(山下容莉枝)。そしてついにそれを目の当たりにすることになった。仕事の件で事務所に問い合わせの電話が掛かってきて、旦那を探したけれど見つからない。斎場にもいなくて、駐車場まで探しに行くと、会社の自動車がひそかにギシギシ軋んでいる。まさか。


 梢 「お義父さまぁ」
範 子ぎゃぁあああああああ


一時的に錯乱状態になった範子は、なぜか斎場に並べられた椅子をぶんまわして大暴れ。



そこへ、もう開き直った表情で入ってくる義理の親子あらため愛人同士。



範 子「ひとでなし。獣じゃ。ケモノじゃ」



そうしたら、今度は旦那にぶん殴られてしまう。クリーンヒットでふっとぶ範子。



しかもそのままマウントポジションに移行してボコボコに。何なんだこの旦那。



こうして、もはや完全に、梢に主婦の座を奪い取られてしまった範子が、その窮状を訴えに転がり込んだ先が、つい先日苦情電話をかけた梢の母親、海老原多鶴子だというのだから、やっぱりこのドラマに出てくる登場人物のみなさんは何をどう考えているのか、よく分からない。多鶴子(山口いづみ)と朔子(川上麻衣子)母娘は、範子の怒りの矛先を、梢から斎の方に振り向けさせる。しかしいくらカピバラとは言え、このキズだらけの顔はかわいそうすぎる。


多鶴子「さようでございますか。それはご災難でございましたわねえ」
範 子「主人はもうすっかり居直ってるんですよ。私がちょっとでも非難の目を向けるとすぐに手が飛んでくるんだから」
多鶴子「まあなんてひどい」
範 子「ばれてしまえばもう隠す必要はないとばかりに、目の前で夫婦気取りで梢さんといちゃいちゃして、二人して私を女中あつかいして」
多鶴子「でもね、申し上げておきますけど、梢にしたって被害者なんですのよ」
朔 子「そうなのよ、こちらに怨みを向けられても、ねえ」
範 子「ええ、ええ、それは重々承知しておりますけども、私もう耐えられない。誰かにこの胸のうちを聞いてもらわないとどうにもこうにも……」



範 子「奥様しかいないんですぅぅぅ」
多鶴子「ええ、そうでしょうとも、さぞやお辛いでしょうねぇ。よくぞ話してくださいましたわ。心からご同情申し上げます」
範 子「煮えくり返るようなこの胸の怨み、地の底から火の吹き出しそうなこのくやしさ。どうしたらどうしたら、この怨み……」



朔 子「怨むなら斎しかいないわね」



範 子「斎?」
朔 子「すべての元凶は彼女なんだから。ね。そうお思いになりません?」
範 子「あのクモ女!」
朔 子「あなたがこんな生き地獄にのたうち回んなきゃいけないのも、あの吸血女が、もののけのように潮さんに憑いて、夫婦の営みをさまたげるからじゃない?」



多鶴子「そうですわよあなた。そのためにご主人と梢が、口にするさえおぞましい畜生道に堕ちてしまい、純粋愛だか崇高愛だか知らないけれども、潮さんは斎に良いように洗脳されているんですわ!」



範 子「ええそのとおりです。あの子に二度と手を出したら承知しないって言ったのに、ちょっかい出したらただじゃすまないってあれほど忠告したのに!」


海老原家の女二人にまんまと乗せられてしまう範子。そもそも多鶴子と朔子がどういうつもりで範子をけしかけたのかは分からないが、少なくとも予想以上の効果はあって、範子は一気に斎の殺害を決意する。極端である。


範 子「苦しんで苦しんで、のたうち回るようなやりかたで、亡き者にしてやらねばこの胸の怨みは収まらない」



範 子「殺してやる……殺します!」


いやちょっと先週の沢井さんの仕打ちがあまりにあんまりだったので、カピバラに感情移入しすぎた。
しかしこんなふうに、いちいちセリフまで紹介していたのでは話が進まない。もっとテキパキ行くよ。

2. 早すぎた火葬


範子の思いついた計画というのは、葬儀社という利点を活かして、薬で眠らせた斎を棺に放りこんで火葬場へ連れて行き、焼いてしまうというもの。何しろ死体が出てこないんだから完全犯罪である。テレビドラマでは『刑事コロンボ 復讐を抱いて眠れ』(1998年)っていうのが似たような遺体入れ換えの話だったな。あと関係ないけど筒井康隆の連作短編集『家族八景』の最後に早すぎた火葬の話があった。ってどうでもいいよね。
そしてなんと斎は、自分が葬儀の司会を担当した直後、まさにその葬儀から出棺した棺の中に眠らされているという、コロンボもびっくりの不可能犯罪の犠牲になりかけるのである。いったいどんなトリックが使われているのでありましょうか。
と思うと、これがけっこう雑である。まず範子は夜の街に出ていって、適当に男をみつくろって「お金になるいい仕事あるんだけどやらない」と声をかけまくる。でもみんな「なんだこのオバサン」と気味悪がって逃げるばかり。まあ当然だ。
それでも結局、二人のごろつきを雇うことに成功。二人は黒いスーツ姿で弔問客のふりをして薦田セレモニー斎場に紛れ込み、司会を終えて手洗いに入ろうとしている斎に何か薬を嗅がせる。



そして意識不明になった斎を、そのまま霊柩車のなかに運び込む。
そして出棺。霊柩車の棺のなかには斎の入った棺が。



その後の話では、この時、本来この棺に納まっているはずだった遺体は、黒いビニール袋に入れられて霊柩車の隅っこに押し込まれていたんだそうです(おいおい)。しかし上の画像をみる限り、霊柩車の中には棺のほかに、そんなに大きな荷物が有るようにも思えない。
そして棺のなかの斎は、なんと微笑んでいるのだ。



ちょっと怖い。どうして微笑んでいるかというと、夢の中ですでに死んでしまった愛する人々と再会していたのである。



斎は懐かしい人々との再会を喜びながら焼かれてしまうのか!……熱いことを除けば、それはそれでいいかも、という気もするが、潮がいた。不思議なテレパシー能力で斎と結ばれている潮は何かを察知し、霊柩車の後を追って火葬場へ。
そしていままさに棺が焼却炉に入ろうとするとき「待ってください!」



いきなり関係ない人が現れて棺桶のフタをとろうとするので、親族一同大騒ぎ。坊主(杉山正弘)も潮を一喝。


「いいかげんにしなさい」


それでも潮の愛のパワーはめげず、力ずくで棺の蓋を外してしまう。すると故人ではなく、なぜか葬儀の司会の女の人が……。あぜんとした表情の遺族を尻目に、斎を抱きしめる潮。



一方、コモタセレモニーの駐車場では、範子が、斎の拉致を依頼した男たちともめていた。だいたい、こんなヤバイ仕事を頼んだら、さっさと報酬を渡してさよならするのが普通である(経験ないけど)。でもこの奥さんは、きちっと現金を用意してこなかったみたいである。それで結局いま持ち合わせがないからと小切手で払おうとしたりして、男たちはカンカンだ。「話が違うじゃねぇか!」



ちなみにこの二人のゴロツキを演じている役者は内田譲とお宮の松。内田譲(画面中央)は偽タキシード仮面こと弓削智久の親友、お宮の松(右)はダンカンの後輩、たけし軍団所属の芸人だ。
そこに、斎の実の母親の浅妻婦長(毬谷友子)が乱入して、範子に向かって「あんた斎を殺すつもりだろう」とくってかかる。



騒ぎが大きくなることを怖れた男たちに突き飛ばされて、コンクリートブロックに頭を打って大量出血。男たちは慌てて、範子の鞄をひったくって逃げだす。



さあ、もうホントになんだか分かんなくなってきちゃったぞ。これどう収拾つけるのか。

3. 哀れカピバラ(ここからが本題)


結論からいうと収拾はつかない。このあと、斎は無事に目をさまし、婦長はしばらく生死の境をさまよってから死ぬ。逃亡した男たちは間もなく逮捕される。範子はその場を逃げ出して、かといって行くあてもなくなり、海老原家に電話をかける。が、完全にビビりきった多鶴子からシカトされて呆然。まあしょうがないよな。



範 子「奥さま……奥さまですか……成功しました……蜘蛛女……焼き殺しました……奥さま……喜んでください……今ごろ火葬場で灰になっているんですよ……この世から……いなくなっちゃったんですよ……あは、あは、あははははははは」



多鶴子「何のことでしょう、蜘蛛女とか火葬場とか。そういうお電話はお寄越しにならないでください。失礼いたします」


結局、あちこちふらふらしたあげく帰宅して、ほかならぬ息子が「蜘蛛女」の命を救ったことをしってガクゼン。当然ながら夫と息子に責め立てられる修羅場に。しかしここでも時夫の身勝手さが光るなぁ。



 潮 「あれはやっぱり母さんが……母さんがやらせたのか。金でやとった男らにやらせたのか。婦長をやったのも母さんなのか。殴りつけたのか」
範 子「……そんなことまでしないわよ……あたしはただあの蜘蛛女を焼き殺したかった。周りに毒をまき散らす害虫を、いぶり殺しにしてやりたかった!」
 潮 「そうか、じゃあやっぱり母さんが!」



時 夫「どうせそんなことだろうと思ったよ。よくやってくれたよなぁ。おれが一代で築き上げた葬儀社をよくもぶっ潰してくれたよな。おい、おいこのバカ女」
範 子「いい気になってるんじゃないわよ。息子の嫁にデレデレして、あげくの果てに孕ませて、嫁は嫁で一家の主婦気取り」



範 子「でかいツラしやがって、ゴキブリみたいにこき使いやがって」


いやーようやく沢井さんが出てきた。そもそも梢(沢井美優)の目的は、薦田家をまるごと地獄に道連れにすることだったから、これでミッションを達成したわけである。
が、しかし、私のほうは年越しの酒が回ってしまって、これ以上ブログを書き続けるのが困難になってきた。ていうかさっき、書いている途中で寝ちゃったし。
年内に一気にエンディングまで書いちゃって、肩の荷を下ろして元日を過ごそうと思っていたのだが、残念である。今回はセミファイナルということにして、今週末にもう一度ファイナルを更新。これで『天国の恋』はお開きということにしたい。
新年早々こんな内容でいいか悩むよなあ、と言いつつ、次回最終回、沢井さんの観賞ポイントはセリフとかではなくビジュアルにあります。



 梢 「あーあ、お義母さま、立派な殺人未遂じゃない。それじゃあ警察のご厄介になるしかないわね」



 梢 「この家もこれで一巻の終わりだわ」


ではみなさん、改めまして2014年もよろしくお願いします.