実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第443回】がんばれプリンセス@『天国の恋』の巻


1. 「奥さん、俺とラブしてください」


レビューどうしようかなぁ、『天国の恋』……と思いつつ、ずるずる一週間が過ぎた。敵は月曜から金曜までの帯ドラマなので、録画はたまる一方。一部抜け落ちている回もあるし。まあしかし、このブログをご利用いただいている方でこれをちゃんとご覧になっておられる方も、そう多くはないと思う。ちょっと観たけど、胃にもたれそうなので、ダイジェスト版があればいいな、という方もきっといるだろう。でも、そういう期待に応えようというヒマな人が、私以外にたくさんいるとも思えない。12月までの3ヶ月、出来る範囲で、なんとか頑張ってレビューしてみよう。
とりあえず、私が出張している間に進んだ10話ぶんについては、飛ばし飛ばし観ながら適当にパス。でも初めの方の回には、過去の回想シーンが多く挿入されていて、小宮有紗がヒロインの高校生時代を演じているのだ。だから本当は少し丁寧に振り返りたいのだが、今回は涙を飲んでスキップ。十分に鑑賞できなかった。ごめん。沢井美優は言うにおよばず、逢沢りなだって、素材の良さに較べれば現在の状況はまだまだと思う。そういう意味では小宮有紗さんの未来もけっこう大変だとは思うが、ボックスコーポレーション期待の若手、おじさん応援してますので頑張って下さい。



可愛らしいですね。でもドラマの現在時制では、このヒロイン、埴生斎(はにゅう・いつき)はすでにアラフォーだ。演じているのは床嶋佳子。昨年放送された三浦友和の人気シリーズ『土曜ワイド劇場 はみだし弁護士・巽志郎』の第12作目「瀕死の息子に殺人容疑? 母なる瞬間、究極の母性がわが子を守る! 完全犯罪に潜む驚愕の真実!!」(2012年10月20日、朝日放送)でゲストヒロインを演じておられて、これに沢井美優がちょこっと出ていた。



床嶋佳子さんは、この手の2時間サスペンスでよく見る方なので、ひょっとすると他にも沢井さんと同じ作品に出ている例があるかも知れない。
今回のドラマでは、早稲田の古本屋の女房である。



あっ違うこれは鎌倉のビブリア古書堂だった。ってわざとらしいですね。本物はこっちです。



この奥さん、もともと夢見る演劇少女で、同じく熱い演劇青年だったダンナ(ダンカン)とは熱愛のすえ、家を飛び出して結ばれたらしい。だが今ではそのダンナも、演劇への情熱などとうに失い、グチばかりのつまんない親父になっちゃって、なんの魅力も感じられない。それでもご飯だけは作ってやらなくちゃならない。結局、古本屋の店番にも、家事にも身が入らなくて、ダンナの母親(丘みつ子)からも疎まれ、唯一の希望は一人娘の美亜(大出菜々子)だけ。
その日もぼんやり古本屋の店番しながら在庫の整理をしていたら、入ってきた若い男が大量の官能小説をごっそりカバンに入れる様子が防犯ミラー越しにばっちり見えてしまった。すかさず捕まえようとしたが、若者は力まかせに逃げようとする。しがみつき、床に倒し、もみ合いになるうちに、奥さんはうっかり、若い男の股間を思い切りつかんでしまうのであった。



元 春「放して。痛いっす!」


ぎゅっと握った掌のなかの、若い男の股間の熱く脈打つ感触に狼狽する奥さん(何を書いているのか私は)。そのスキに男は「すみません」と言いながら店を飛び出していってしまった。でも慌てて逃げ出したせいで、免許証の入ったカバンやら何やら、個人情報バレまくりの持ち物をすべて置き去りにしてしまう。
男の熱い股間が忘れられない奥さんは(だから何を書いているのか)夫や姑には内緒で、この万引き犯の職場を突き止め、忘れ物を届けることを思いつく。出かけるとき、もう何年もしたことのなかった薄化粧をして、鏡を覗いちゃったりなんかする。



で、会ってみたらこの若者(高田翔)いま流行りの「熟女好き」のようで、いきなり迫られてしまう。



元 春「俺このまえ万引きしたとき、奥さんにぎゅっとつかまれたもんで、あれから思い出すと切ないっす。胸が締め付けられたり、モヤモヤしてきて……奥さん、俺とラブしてくれませんか」


これを聞いて、久しく眠っていた「女」が目覚めちゃうわけね。まいったなぁ。ここまでで第1話。中島丈博テイスト絶好調という感じ。お分かりいただけましたでしょうか。

2. いよいよプリンセス登場


こんな調子で話していたら、いつまで経っても沢井さんが出てこないので、ちょっと飛ばすね。それで何話か後に二人は結ばれる。奥さんはこの若者の、無精ヒゲとか生やしっぱなしの粗野なところに惹かれた……ということを表現したいのだろうが、演じるジャニーズJr.の高田翔の胸毛が不自然すぎて、まるでコントみたいだと話題になった。



なんかホント、我々勤め人が仕事に出ている真っ昼間に、一部の主婦がこういう帯ドラを観ているかと思うと、いろんな意味で「がんばんなきゃな」と思う。
さあそしてこれで何かが吹っ切れたのか、アラフォーの齊(いつき)は、徐々に自らの欲望のままに動き出す。まずダンナや姑を捨てて家を出る。本当は正式に離婚して、一人娘を引き取って行きたかったのだが、妻の浮気を察したダンナは、意地で離婚届に捺印しないと言い張るし、多感な娘は姑から「あんたの母親は悪魔よ」と吹き込まれ、疑心暗鬼になってついてこようとしない。娘はまたいずれ説得することにして、ダンナに古本を投げつけられながら、一人で嫁ぎ先の古本屋を後にする。


そして結婚してから連絡の絶えていた実家に、15年ぶりに帰還する。
その出戻り先というのがけっこうな邸宅。海老原総合病院の院長、海老原邦英(石田純一)の家だというのだからビックリだ。



といっても斎は嫡出子ではない。院長と、愛人の看護婦長(毬谷友子)との間に産まれた私生児である。しかも彼女ともう一人、弟も産んだというのだから、さすが石田純一、婦長ともけっこう長い関係だったようだ。
二人は始め、海老原の友人の医師の家に養子として預けられ、子供に恵まれなかった夫妻に可愛がられ、幸せに暮らしていた。だが、その両親が高校生のころ不慮の死を遂げる。



身寄りを失った二人を見て、海老原は自分の家に引き取って育てる決心をするが、でも家には正妻と三人の子供がいたわけで、当然ながら心中おだやかではない。なにかと居心地の悪い関係が続く。



しかも院長のもとに引き取られてからは、実の母親である総婦長がしきりに姿を見せて、二人の子供にあれこれちょっかいを出す。特に弟の方は、この不気味な生みの母親の溺愛がひどいので、だんだんノイローゼ気味になり、あげくに車に轢かれて死んでしまった。



まあそういう複雑な事情もあって後にした実家なので、久々に還ってきた斎を迎え入れる海老原家の反応も微妙だ。邦英(石田純一)はともかく、その妻で義母の多鶴子(山口いずみ)、義兄の瑞彦(松田賢二)、義妹の朔子(川上麻衣子)ともども、うわべの歓迎ムードとは裏腹に、その胸中にはさまざまな想いが去来している。



ただひとり、斎がこの家に引き取られた時分にはまだ幼女だった、歳の離れた三女の梢(こずえ)だけは、小さいころ斎に遊んでもらっていた楽しい記憶しかないので、無邪気に斎の帰りを喜んでいる。



 斎 「まあ梢ちゃん!」



 梢 「斎おねえさま!帰ってきたんだ!よかった」



 斎 「しばらくね」
 梢 「心配だったのよ。苦労なさっているって聞いて」
 斎 「大丈夫よ、このとおり」



 梢 「元気そうよね」
 斎 「ここに帰ってきた途端に、いっぺんでエネルギーが湧いてきたみたい」



 梢 「わあ、また一緒に暮らせるのね。嬉しい!」
 斎 「私もよ、で梢ちゃん、お勤めはどう?」
 梢 「今はフリーよ」



 斎 「あら、外資系の製薬会社じゃなかった?」
 梢 「四月に辞めちゃったの。先月からバイトで外国人ツアーの観光ガイドをしているの」
 斎 「大変じゃない?」



 梢 「オフィスで上役の顔色うかがっているよりはずっとましよ。楽しいわ」
 斎 「梢ちゃんはアリゾナのカレッジを出ているから、外国人相手でも怖いものなしね」
 梢 「あ、私も着替えなくっちゃ。後でね」


沢井美優も最近は、ちょいワル娘だとか水商売だとか被害者だとか、テレビの芝居では、屈託のない笑顔をあまり見せたことがないように思う。それがこのドラマ(の現段階)では、もつれ合う人間関係の外側にいてヒロインに明るく寄り添って、無邪気な可愛さが全開だ。そういう点では、うさぎちゃんとか『素浪人月影兵庫』第2話以来という気もする。ステキな笑顔です。いやあ、このドラマ頑張ってここまで鑑賞した甲斐がありました。


3. 愛憎劇への序章


というわけで、その晩は斎(しつこいようだが「いつき」と読む)の歓迎の晩餐となったんだが、途中で斎の生みの母親で嫉妬深い元総婦長の徳美が乱入して、わけのわかんない大騒ぎになってしまった。毬谷友子、大熱演である。



一方(一方でもないか)専業主婦から自立しなくちゃならない斎は、父の病院に出入りしている「コモタ・セレモニー」を紹介される。弟の事故死の時にも世話になった葬儀社である。
葬儀の様子を見学していて、司会者の語りに激しく感じ入る齊。もともと演劇好きで、若いころはセリフ読みの練習なんかもした経験をもつ彼女は、葬儀のMC業こそ自分の天職ではないかと直感し、その場で就職を志願する。なにしろお得意さまの大病院のお嬢様なので、社長も二つ返事で引き受け、しばらくは見習いとしてコモタ・セレモニーで働くことになる。



しかし病院の院長の娘なのに、葬儀社に勤務する……って、なんか聞いたような設定だな。てことはこのヒロイン、亡くなった方の遺品に触れた途端にタイムトラベルする特殊能力を身につけているのだな、と普通は思うよね(そうか?)



齊はその日の夕食の席で、就職先が決まったことを家族に報告する。葬儀屋と聞いて義母の多鶴子(山口いづみ)や義妹の朔子(川上麻衣子)は眉をひそめるが、梢(沢井美優)は無邪気に質問を投げかける。沢井さんの背景に甲冑が見える。「お金持ちの洋館なので西洋風の甲冑が置かれている」という書き割りのようなアナクロニズムと、でもまあ、なかなかお洒落な甲冑じゃない(笑)という妙なセンスの良さがくすぐったい。



朔 子「葬式の司会ですって?」
多鶴子「まあ、なにもそんなお仕事を」
朔 子「パパ、もっと斎ちゃんに良い仕事を探してあげればいいのに」
多鶴子「そうですわよあなた」
邦 英「斎が興味があるって言うんだから仕方ないだろう。いやになったら辞めればいい」



 梢 「お葬式の司会って、直接死体に触ったりすることってないの?」
多鶴子「おやめなさい梢、お食事の最中ですよ」
邦 英「司会だから直接ということはないだろう」
多鶴子「でもお葬式があるたびにそのままこの家に帰って来られたんじゃ…」



 斎 「その時はちゃんとお塩で清めますから」
 梢 「ねえ斎お姉さま、そのお仕事いくらぐらいいただけるの?」
 斎 「研修中はたいしたことないけど、ひとりで司会を務めるようになると、そのつど三万八千円ですって」



 斎 「まあ、私のバイト料より割がいいわ。うらやましい」
多鶴子「何を言っているの?お金の額じゃありませんよ」



邦 英「職業に貴賎はなしだ。考えてみれば病院だって、結果的に死者を扱うことになるんだからな。底辺では葬儀社ともつながっているんだ」
多鶴子「でも医術は人を病気から救うためじゃありませんか」
邦 英「残念ながら救えないこともあるんだよ」



 梢 「つまり病院と葬儀社は持ちつ持たれつの関係ってことね」
邦 英「そういうことだな」


ようやく話も終わりかけたところに、遅れてやって来た長男の嫁の日菜子(小野真弓)が新たに席に加わり、また齊の就職話が蒸し返される。ここで齊は、明らかに嫌がっている義母や義妹を尻目に、自分がこの仕事に惹かれている理由について一席ぶつ。


 斎 「最近は若い人に納棺師を志望する人が多いんですよ」
日菜子「納棺師って、死体をきれいにして棺の中に納めるんでしょ。怖いわ私」



 斎 「普通は誰でもそんな感覚なんでしょうね。死というものを恐ろしいものとして遠ざけるのよ。でも死ぬっていうことはなにも特別なことじゃないわ。死はいつでも私たちのそば近くに存在しているんだわ。日常の中にあって誰も避けることができないものなの」



邦 英「その通りだ」



 斎 「死者をねんごろに弔うことは、生き残った人の心のなぐさめにもなるんですもの」


と、ひとしきり死を語ったところへ電話のベルが。かけてきたのはあの胸毛の若者。奥さんのことが忘れられなくて、どうしても今から会いたいという。家族の好奇の目を背中に感じ、困るわ……なんて言いながら、結局は胸毛の誘惑に負け、会いに出て行ってしまう齊。そしてそのまま胸毛に抱かれ、朝まで帰って来ないのであった。死とエロス。このドラマのメイン・モチーフですね。


そして翌朝の朝食風景。



 梢 「おはよう」



 梢 「どうしたの?」



朔 子「斎ちゃん、外泊です」



 梢 「あら、どこに?」
多鶴子「どうせ例のお相手のところでしょ」
朔 子「たぶん……ね」



邦 英「えっ、斎は付き合っている男でもいるのか?」
朔 子「若いヤツ。ひと廻りくらい年下の。
邦 英「年下?」
多鶴子「非正規労働者なんですって。出戻ったばかりで大人しくしているのかと思ったら、やあねえ犬猫じゃあるまいし」
邦 英「そうか……まあそういうこともあるだろう。さっそく、花の四十代を謳歌してるってわけか」


そこへやって来たのが長男の瑞彦(松田賢二)。今は父の病院を継ぐために医師となり、嫁(小野真弓)もいるという、よく出来た海老原家の後継ぎだが、実は少年時代には、小宮理紗だったころのヒロインに恋をしていて、この異母妹と駆け落ちを考えたこともあったという過去がある。松田賢二の高校時代を演じているのは忍たま南羽翔平。ボックスコーポレーションの事務所内恋愛っぽい。



ああっ!ヨーコちゃ〜ん(←バカ)。
実はこの瑞彦、平静を装っているが、本当は今も、かつて思いを寄せた齊が帰ってきたことで、心ひそかにときめいちゃっているのだ。奥さん(小野真弓)がいるくせに。
でもそんな過去のいきさつなどこれっぽっちも知らない梢は、無邪気に齊の外泊を告げ口する。ザンキさんとうさぎちゃんの対話シーンというのも、これまでなかったんじゃないかな。


瑞 彦「先に出ますよ院長」
邦 英「おう」



 梢 「お兄ちゃま。斎お姉さま、男のところに泊まったまま帰って来ないんですって!」
瑞 彦「まあいいじゃないかそれも」



 梢 「いま流行りの年下ですって」



瑞 彦「あんまりそういうこと詮索するんじゃないぞ」



ちょっと小さいけど、上の画像、ガラス越しの沢井美優のぷんぷん顔、分かりますか。こういう沢井さんの表情、ドラマでは久しぶりに観たなぁ。


というわけで、いまのところ沢井さんの主な出番は、海老原家の食事シーンばっかりだが、ここまでは実写版セーラームーンの第1クールみたいなもんである。Act.16で衛とうさぎの間に陽菜が登場したように、このドラマでもこのあと、沢井さんはヒロインの床嶋佳子に恋人を奪われる展開になっているらしい。沢井さんの恋人が、回想シーンの小宮有紗の初恋の人である高校時代の先生にそっくりで(内博貴の二役)、だから床島さんは、いつしか胸毛の高田翔から、沢井さんの恋人の内博貴に鞍替えしてしまうのだという。言うまでもないが、どっちもジャニーズ事務所である。
となると沢井さんも「齊お姉さま」なんて無邪気に言っていられなくなって、修羅場が始まるわけだな。そういうのが観たいかと言われれば……ちょっとなんだが、沢井美優がその女優としての力量を周囲に見せつけるには好ましい展開である。この枠で評価を得れば、次はヒロインも夢ではない。目指せ小沢真珠。
いやちょっと、かなりの分量を一気に走りすぎて疲れた。今回はこの辺で。


今年いっぱい、名古屋支部は『天国の恋』の沢井美優を全力で応援します。