実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第441回】これで完結ミュージカル2013レビューの巻


はじめにお詫びしておきます】今週から再来週にかけて、バンコク、カトマンズ、シンガポール、バンドンといったあたりを単身バタバタ回ってきます。途中いったん日本にも帰りますし、旅先でもインターネット環境はそれなりにあるとは思いますが、記事を書いている余裕もなさそうなので、11月の2週目までこのブログはお休みにさせていただきます。すみませんがよろしく。

1. 何がマリアに起こったのか?


前にコメント欄で湯澤幸一郎の手がけたセーラームーンが見たい、ということを書いた。そんなことを考えたのは、8月4日に日産スタジアムで行なわれたももクロのライブに、湯澤幸一郎が行ったという話を、彼自身のブログで読んでからだった。ご存じのとおり、ももクロはこのステージで、ニューアレンジの「ムーンライト伝説」を歌い、そのライブ映像が、ニコファーレのミュージカルの制作発表会場に中継された。だから何かのかたちで湯澤幸一郎が今回のセラミュに絡んでいるのだろうと思ったんですね。ミュージカルの制作会社はネルケプランニングだし。
その時は、唯一の男性キャストとしてクイン・ベリルの役で登場して欲しいなあ、なんてバカなことを(半分本気で)考えたりしたわけだ。
でも結局とくに関係なかったみたいで、ミュージカルの舞台のどこにも湯澤さんは出てこなかった。沢井美優や佐野瑞樹が出演した舞台『KEEP OUT 勝手にアジトにしないでください』の名古屋公演にはスペシャルゲストで出たくせに(関係ない)。
と思って、その後ミュージカルのパンフレットを見て、驚いた。最後の方のクレジットのなかに「恋愛ゲームアプリ映像:湯澤幸一郎」と、しっかりお名前が記載されているではないか。うさぎが亜美の携帯に勝手にダウンロードしちゃう恋愛ゲームアプリ。立ち上げると、画面の中にももクロメンバーの誰かが出て来て、亜美に、役に立たない恋愛指南をしてくれる。あの映像パートを担当したのが湯澤幸一郎だったのか。



亜 美「そうか、こういう時のこれか。ええと何だっけ、蚊取り線香のお化けみたいなの、お願いします」



ももかとり線香「お化けじゃなーい。ももかとり線香でありやーす」
亜 美「そうだった。あの相談したいことが」
ももかとり線香「お?なになに?」



亜 美「あの、いま男の人と二人きりなんだけど、どうしていいのか分からなくて、胸がドキドキして」
ももかとり線香「はいはいはいはい。そういうときは、相手に言っちゃうのが一番でありやす」



亜 美「相手に言っちゃう?」
ももかとり線香「まず、上目遣いで、ちょっと不安そうな顔で……」



ももかとり線香「二人っきりって初めてだね」
亜 美「あ芝居入った」



ももかとり線香「やだ、なんか恥ずかしい。もう恥ずかしくて顔から火が出ちゃった。ぷぷぷぷ」




亜 美「そうか、こういう時のこれか。ええと何だっけ、バカずきんちゃん、お願いします」



夏菜ずきん「バカずきんじゃないよ、カナずきんちゃん」
亜 美「そうだった。あの相談したいことが」
夏菜ずきん「お?お?なになに?何でも言って」



亜 美「いま男の人と二人きりなんだけど、どうしていいのか分からなくて、胸がドキドキして」



夏菜ずきん「ほうほう、なるほど、それは本人に聞いてみるのが一番だよね。どうしてそんなにお耳が大きいの?どうしてそんなにお口が大きいの?どうしてそんなにお目目が大きいの?」
亜 美「…やっぱりバカずきん…」




亜 美「そうか、こういう時のこれか。ええと何だっけ、ピンクの頭のおかしいロボット、お願いします」



亜 美「まだ怒ってるの?あの時はバカにしてごめんなさい」
あーりんロボ「いいよ」
亜 美「よかった。あの、いま男の人と二人きりなんだけど、どうしていいのか分からなくて、胸がドキドキして、ピンチなんです」
あーりんロボ「ピンク?」
亜 美「ピンチ」



あーりんロボ「ピンク?」
亜 美「ピ・ン・チ」
あーりんロボ「ピ・ン・ク?」
亜 美「じゃあピンクでいいです」
あーりんロボん「男の人と二人きりで、どうしたらいいのか分からないのね」
亜 美「はい」



あーりんロボ「そんなありがちな悩み、お茶の子あーりん!」
亜 美「お茶の子あーりん?」



あーりんロボ「二人きりが困るなら一人きりになっちゃえばいいじゃない」
亜 美「ああなるほど!二人きりじゃなくなればいいのか」
あーりんロボ「うん!」
亜 美「もういい!」



あと二人の分はないです。きっとDVDの特典映像でついて来るって。すみません。


湯澤幸一郎が夏ごろ、大ヒットした自作『マグダラなマリア』シリーズのキャスティングのことで、だいぶフラストレーションを溜めていて、ツイッターでぼやいているとかいう話はネットのどこかで読んだ。自分の意向は関係なく、テニミュのキャストを制作スケジュール無視でねじ込まれたとか、そんな話だったと思う。舞台の世界でも、ヒットし過ぎると、たとえ自分の作品であってもコントロールすることが難しくなってしまうのだろう。なんだか切ない話である。
でも次の公演に向かって稽古も始まったみたいだし……と思っていたらこのニュースだ。

 11月に公演を予定していた舞台『マリア・マグダレーナ来日公演「マグダラなマリア」 〜郵便配達は二度か三度くらいベルを鳴らす〜』が中止されたことが18日、明らかになった。同公演を主催するネルケプランニングの公式サイトで発表された。
 中止の理由について「原作・脚本・演出・音楽、そしてマリア・マグダレーナ役として出演を予定しておりました湯澤幸一郎氏の、公演には関わりのない個人的な事情により急遽、演出及び出演できなくなりました」と説明。さらに、ファンや関係者に向け「大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます」と謝罪している。
 同作は、俳優でカウンターテナー歌手の湯澤幸一郎が原作・脚本・演出・音楽を務める人気シリーズの新作公演第6弾。湯澤が歌手で女優、高級娼婦でもある華麗な美女マリア・マグダレーナを演じ、芝居・歌・トークなどエロティシズムと耽美にあふれたステージを展開していた。(「オリコンスタイル」2013年10月18日


うーむ。何がなんだかサッパリ分かんない記事である。しかも本人のブログを読みに行ったら、過去ログがきれいに消去されている。何があったんだろう。まあ何があったにせよ、こういう場合にはいちおう、プロデューサー側よりクリエイター側の方を支持するのが名古屋支部の流儀である(でも今回の案件が、プロデューサー側とクリエイター側の軋轢なのかどうかは、これまた分からないが)。ともかくがんばれ湯澤幸一郎。もう私はだんぜん湯澤を支持する。いい歳して何の権力もコネもない、ただのセーラームーンオタクのくたびれたおっさんがあんたの味方だ!(嬉しくない支援)


  • 補記】その後「個人的な事情」とは、湯澤氏が児童福祉法違反(未成年女子との淫行)で逮捕されたためと判明。結果的に懲役二年の実刑判決を受けた。まあ犯罪は犯罪であるが、関連記事を読むと、私は湯澤氏より、被害者のタレント志望の未成年女子の保護者、および彼女の所属事務所に対して思うところが多い。が、そういうことを語っても仕方がない。ともかく舞台の制作サイドは関係なかった。誤解を招くような書き方をしたことをお詫びします。

2. 前世が繰り返す


さてそろそろ2013年の最新作ミュージカル『美少女戦士セーラームーン La Reconquista』のレビューも終わりにしよう。第二幕の冒頭、前回紹介した前世のシーンが終ると、話はもうこの後、テンポよく一気にクライマックスまで突っ走るので、いくつか場面を紹介するだけにしておきたい。
まずは前世の悲劇を繰り返させないために、うさぎを置いてダーク・キングダムの本拠地に乗り込もうとするレイ、美奈子、まこと。




レ イ「沈みゆく夕陽に不吉な翳りが見える」
美奈子「レイちゃん」
レ イ「うさぎは?気づかれてない?」



美奈子「大丈夫。そーっと部屋をのぞいたけど、薄暗い部屋で机に向かってじっとしてたわ」
レ イ「机に? まあバレてないならOKね」
美奈子「どこまで想い出した?」
レ イ「最後まではっきりと。うさぎが……プリンセスが自害したあと、私たちは一瞬の光に包まれて……あの悲劇を繰り返さないためにも、作戦どおりにするしかないわね」
美奈子「うん。うさぎちゃんがいなければ、ぜったい昔と同じ状況にはならない。うさぎちゃんは置いて行こう」
レ イ「幻の銀水晶はうさぎが持っている。だとしたら余計、危険な目には遭わせられない」



まこと「遅くなってごめん」
レ イ「まこちゃん」
まこと「両親のお墓参り行ってきた。もう顔を見せられないかもしれないからな」
レ イ「月齢15、雲ひとつ無い空。未来への戦いは満月がいい。今夜決行よ!」



なんか実写版のAct.48とか想い出すよなぁ。



でも実は、うさぎはうさぎで、みんなを傷つけまいと、こっそり単独行動をとっていて、結局、適地で合流してしまう。一方、ゾイサイトはこっそり牢獄に忍び込み、囚われの身だった亜美を逃してやる。走り去る亜美の姿を見送っていると、そこにクンツァイトたちが現れ、ゾイサイトは前世とまったく同様、仲間の手によって命を落とす。そうとは知らず、仲間の戦士たちのもとに急ぎ戻っていく亜美。こうして五人の戦士がようやく揃い、いよいよ最終決戦である。



ヴィーナス「愛と正義のセーラー戦士、セーラーヴィーナス」
マーズ「セーラーマーズ」
ジュピター「セーラージュピター」
三人「ただいま参上!」



セーラームーン「そしてセーラームーンもただいま参上!」
三人「え〜っ!」
ヴィーナス「って何で来たのよセーラームーン!」
セーラームーン「そっちこそ、どうしてみんないるのよ」
マーズ「アンタを守るためでしょ」
セーラームーン「私だってみんなを守りたかったから一人で来たのに!」



ヴィーナス「だって部屋にいたんじゃないの
セーラームーン「あれは手作りの人形よ」
ジュピター「まあいいじゃないか。計画変更ってことで」
マーキュリー「ちょっと待って、私を忘れないで!」



マーキュリー「水と知性の戦士セーラーマーキュリー、ただいま参上!」
四 人「マーキュリー!」
セーラームーン「亜美ちゃん、よかった。無事だったのね」
マーキュリー「うさぎちゃん!」



だが結集した五人の前に立ちはだかるのは、ダーク・キングダム最強の戦士エンディミオン!それを倒すことができるのは、幻の銀水晶の真の持ち主セーラームーンしかいない。だが、やれんのか!?
というあたりで、DVDの発売も予定されていることだし、これ以上の紹介は控えたい。みんなDVD買おうね。原作のあの場面が、実写版以上に忠実にドラマ化されたよ。




ところで、沢井美優さんがこの舞台を観ることになった直接のきっかけは、小松彩夏さんがどうしても観たいと言って誘ったからだという。小松さんといえば、一時期はインタビューなどで「グラビアの仕事がいちばん楽しい」と強調して、暗にドラマやバラエティはちょっと苦手だということをアピールしていたけど、でもけっこう女優としても地力をつけてきていて、ここへ来て映画女優としての活動にかなり力を入れている。まあ、グラビアアイドルっていうには年齢的にそろそろアレだし、っていうような事情もあるのだろうが、非常に嬉しい。マラソンの方はほどほどに、これからは女優業に頑張ってください。
言うまでもなく実写版のヴィーナスは、ダーク・キングダムとの最終決戦を待たずに命尽きてしまった。今回、小松彩夏は、自分がヴィーナスとして死んでしまったあと、何が起こったのかを舞台で目の当たりにしたわけである。どんなふうに感じたか聴いてみたいですね。まあでも「観ていたら撮影当時を思い出し、涙が止まらなくなりました」ってブログに書いていたか。


じゃまた。繰り返しますがしばらくお休みいただきます。すみません。


作品データ】ミュージカル「美少女戦士セーラームーン−La Reconquista−」2013年9月13日〜9月23日、AiiA Theater Tokyo
<スタッフ>原作:武内直子『美少女戦士セーラームーン』講談社/脚本・演出:平光琢也/音楽:佐橋俊彦/テーマソング:ももいろクローバーZ「ムーンライト伝説」キングレコード/作詞:平光琢也、井関佳子/振付:U★G/美術:YANG仁榮/音響:松山典弘/照明:小林英典/映像:荒川ヒロキ/アクション指導:渥美博/衣装:屋島裕樹/ヘアメイク:馮啓孝/演出補:井関佳子/歌唱指導:泉忠道/音楽助手:倖山リオ/演出助手:スギザキサトミ/振付助手:品田沙織/アクション指導助手:亀山ゆうみ/稽古ピアノ:戸部百合亜/キャスティング:野上祥子/舞台監督:今野健一/演出部:木村早見、七瀬孝、澤麗奈、田近裕美、倉科史典、大野友起子/照明オペレーター:本間千鶴、伝法谷真希、北原健二/ムービングオペレーター:芥川久美子/映像制作:野々村季彩/衣裳進行:名村多美子、佐藤明子/ヘアメイクスタッフ:井村祥子、中村紘菜、根元志保子/美術助手:吉田健二/大道具:伊藤清次(C-COM)/大道具(フライング):村上栄一(村上舞台機構)/小道具:中村エリト(高津映画装飾株式会社)/特殊小道具:土屋武史(土屋工房)/特効:糸田正志(株式会社特効)、中村岳(テレビランド)/電飾:眞鍋明(コマデン)/運搬:マイド/恋愛ゲームアプリ映像:湯澤幸一郎/制作:ネルケプランニング/制作進行:谷口美智子、須賀杏子、高橋由美、金田美幸/企画協力:中里郁子、安達崇、齋籐昌典(講談社なかよし編集部)/協力:宮本純乃介(キングレコード)/プロデューサー:松田誠(ネルケプランニング)、片岡義朗(ドワンゴ)、鈴木伸育(講談社)/制作委員会:上羅尚治(ネルケプランニング)、太田豊紀・中辻幸人・飯塚芙由奈・渡辺梢、大島樹堂(ドワンゴ)、小佐野文雄・土屋潤一郎・大西景子(講談社)/主催:ネルケプランニング、ドワンゴ、講談社
<キャスト>月野うさぎ・セーラームーン:大久保聡美/水野亜美・セーラーマーキュリー:松浦雅/火野レイ・セーラーマーズ:七木奏音/木野まこと・セーラージュピター/高橋ユウ/愛野美奈子・セーラーヴィーナス:坂田しおり/ゾイサイト:彩夏涼/ジェダイト:ルウト/ネフライト:コロ/クンツァイト:伊石真由(予定されていた小松美咲は体調不良により降板)/クイン・ベリル:初風緑/レムレスバーバー:新谷真弓/レムレスたち:下園愛弓、吉留 明日香、齋藤久美子、塚越志保、小玉百夏、白井美貴/クイーンセレニティー:ジェイミー夏樹/タキシード仮面:大和悠河