実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第438回】奇跡の復活 ミュージカル2013の巻


観に行けなかったはずの私の手もとになぜかパンフレットが。うれしい。ありがとう、私の紫のバラの人。

1. みんな集まれ


もう『あまちゃん』も『半沢直樹』もどうでもいいよ。今週の芸能ニュースのトップは佐野瑞樹だ!



   ジャニーズJr.(ジュニア)の最年長である佐野瑞樹が9月26日(2013年)に40歳の誕生日を迎えた。佐野は1991年にジャニーズ事務所に入って以来、光GENJIやSMAP、V6、KinKi Kidsなどのバックダンサーを務めてきた。
   (『J-CASTニュース』2013年9月26日


初代タキシード仮面もいよいよ不惑……って、そうじゃないって。そんなこと言い出したら望月祐多はもう46歳だ。
最初からつまんないボケをやっちまって済まない。今週のトップはやっぱりセラミュの復活だ。いや私、結局ナマで鑑賞できそうにもないので、すねてしまって見て見ぬ振りをするつもりだったが、だんだん居ても立ってもいられなくなって、某配信でしっかり鑑賞してしまいました。
まあ私個人のアレはどうでもいいが、今回は過去のセーラームーン関係者のなかにも、そういう感じで、客席を訪れた方々が少なからずおられたというのだから、嬉しいじゃないですか。前々回のコメント欄によると、赤嶺寿乃(3代目亜美)、朝見優香(6代目みちる)、井波知子(7代目みちる)、郡司あやの(6代目ちびうさ)、栗山絵美(7代目まこと)、そして小野妃香里といった方々の目撃報告ないしはブログやなんかでの報告があるそうだ。そして実写版からも沢井美優と小松彩夏が連れ立って鑑賞したことは、みなさんすでにご案内のとおり。さらに楽日にはこちらのご夫妻も。



復活すると聞いてから
とってもとっても楽しみにしていた
セーラームーンミュージカル。

昨日、千秋楽の日に
主人と一緒に観に行く事が出来ました(*^^*)

もう最高、最高、最高!!



セーラームーン・うさぎちゃんをはじめ
亜美ちゃんもレイちゃんも美奈子ちゃんもまこちゃんも
声の出し方や喋り方、仕草、何もかもが
まるで原作アニメから飛び出してきたみたいに本当にそのままで。

しかも皆さんとても美しくて
びっくりするくらいスタイル抜群で!

最初の登場から衝撃を受けて
ひとりセーラーテレポートするかと思いました。汗


  (『越智千恵子オフィシャルブログ』2013年9月24日


みんな居ても立ってもいられなかったのだろうか。きっと神戸みゆきさんもどこかで見守っていたと私は信じる。
そういうわけで、今回は無事に全公演を終えた舞台『ミュージカル美少女戦士セーラームーン La Reconquista』を振り返ってみたい。っていったってこっちは、会場に行っていないどころか、大画面テレビでライブビューイングしたわけでもない。某ニコニコなサイトの配信動画をノートパソコンで観ただけなので、レビューにもならない。ただもう、何か書かずにはいられないだけだ。
ちゃんと観た人のレビューが読みたい方はひろみんみんむしさんの、初めの方ちょっと辛口なブログへどうぞ(ここ)。

2. 因果は巡る


まずは歴史のお勉強。1993年から2005年まで続いたセラミュは、バンダイミュージカルとして上演されていた。バンダイが『森は生きている』でミュージカル事業に乗り出したのは1989年。その後バンダイ(ビジュアル)ミュージカルオフィスが設立され、1991年にはSMAP主演『バンダイスーパーミュージカル 聖闘士星矢』が発表される。この成功が1993年からのセーラームーンミュージカルへと展開していったわけです。あるいは『聖闘士星矢』でジャニーズ事務所とのつながりができたので、初代タキシード仮面に佐野瑞樹を起用したのではないかと私は憶測している。違うかも知れないけど。



ただ『聖闘士星矢』をプロデュースした片岡義朗(現在はドワンゴ所属)や、そのアシスタントを努めた松田誠(現ネルケプランニング社長)、あるいは音楽を担当した佐橋俊彦(今回のセラミュの音楽担当)は、それ以降のバンダイ=セラミュの流れには加わらず、博品館劇場を中心に『姫ちゃんのリボン』(1993年、佐野瑞樹はこれにも参加、あとSMAPのクサナギ君やTOKIOのナガセ君も)や『赤ずきんチャチャ』(1994年)と、独自に「アニメ・漫画をベースにしたミュージカル」の実績を重ねてゆく。ちなみにアメリカのウォルト・ディズニー・プロが自作『美女と野獣』や『ライオン・キング』を舞台化して演劇ビジネスに乗り出すのは1994年、劇団四季がこれを日本で最初に上演したのは1995年なので、ディズニー・劇団四季の方がはっきりと後追いである。ここセンター入試にひっかけ問題として出ることが多いので憶えておくように。


(右から片岡義朗・平光琢也)


話を戻して、片岡義朗と松田誠は、次に少年マンガの本格的な舞台化への試みとして冨樫義博原作『HUNTER×HUNTER』(2000年)を手がける。冨樫義博が武内直子と結婚した翌年のことである。演出には第一期セラミュをもってセラミュの演出を離れた平光琢也が加わっている。もちろん音楽は佐橋俊彦。ここで今回の新セラミュのメインスタッフがひとまず顔を揃えていることにも注意しておきたい。歴史ってすごい。



そして2003年からマーベラスエンターティメント(片岡義朗)・ネルケプランニング(松田誠)主催、ミュージカル『テニスの王子様』、いわゆるテニミュが始まる。音楽はやはり佐橋俊彦。少年マンガを男性キャストだけでミュージカル化するという、ある意味かなり大胆な実験で、最初は試行錯誤も大きかったらしいが、次第に人気に火が点いて、今では悔しいけれどセラミュもサクラ大戦歌謡ショウもかなわないほどの成功を収め、第二シーズン継続中です。
このように振り返れば、バンダイビジュアルのミュージカル事業部がなくなっちゃった今(なくなったとしか思えないんだけど、ひょっとしてまだあるのか?)アニバーサリー・イヤーにセラミュを復活させることができるのは、この人たちくらいしかいないことは明らかといえよう。これはあなた、観ないと損ですよ(私は観てないんですが)。

3. 逡巡する思い


私がひろみんみんむしさんからのメールでセラミュ復活を知ったのは6月2日。驚いたんだけど、全貌が明らかになっていくに連れて、つまり、松田誠のネルケと片岡嘉朗のドワンゴが主催で、逆にバンダイビジュアルも東映も絡んでいなくて、演出は平光琢也というかたちで制作されるセラミュってものに、徐々に関心がわいてきたのは事実だ。
ところが、8月4日にニコファーレで行われ、ニコニコで配信された制作発表で、ちょっと冷静になっちゃったんですよ。あのももクロの日産スタジアムライブと中継したやつ。別にももクロに他意はないですが、っていうか私、ももクロって好きですけど、しかし今回のセーラームーンへの絡み方はちょっと違うよね。たぶんモノノフの皆さんも、同様の感想をお持ちなのではないだろうか。



しかも、アニメの主題歌を歌うももクロがこれだけセラミュに絡んで来るってことは、やっぱり本当に東映は、今回のアニメ化に関わらないんだろうって意味でもあり、とすると声優のキャスティングもネルケがやるから、三石琴乃さん以下オリジナル・キャストが今回の新作に出演する可能性もヒジョーに低いってことですよね。いや、どれもアニメの問題であってセラミュ関係ないんだけど、そんなことを考えるとちょっと気持ちがへこんじゃってね。
が、しかし、8月23日のプレビューイベント、さいたまスーパーアリーナのけやき広場で行われた「Animelo Summer Live 2013」のプレビューステージ、あれで初めて「We are the Pretty Guardians」を歌って踊る五人の戦士を観まして、また気分が盛り上がってしまった。
 コレオグラファーはU☆Gこと尾上祐二。長らく倖田來未のステージでダンサー兼振付師をやっておられた方らしい。ハニーフラッシュの功績を買われてセーラームーンへ、ってことでもないだろうが、とにかく踊りもアクションも、全体的に垢抜けていておしゃれ。イマのアイドルっぽい。
 そのぶん、昔のセラミュにあった、役者同士がガンガンぶつかりあうような勢いは削がれた。マッスルミュージカル専属劇場だったマッスルシアターをリニューアルした劇場だというので、ひょっとして一輪車ぐらいは出てくるかと思ったが、それもなし。当然か。
歌の合間に入る必殺技や殺陣に関しては、今回、アクション指導として渥美博が参加している。特撮番組なんかにも出て来るスタントマンの方だが、宝塚歌劇によく「ファイティング・コーディネーター」とクレジットされていて、近年では、宝塚の舞台のアクションや殺陣はこの方が一手に引き受けているらしい。



そのせいか、バトルの場面も優雅。これは良かったことだと思う。もし昔のセラミュのような、迫力もあるけれどちょっと泥臭いアクションだったら、大和悠河のタキシード仮面の優雅な動きも、これほど映えていなかったのではないかな。それが、どっちが主役だか分からないくらいキマっていたのは、殺陣との相性が大きかったと思う。どっちが主役だか分からなっちゃって良いのか、という問題はあるかも知れないけど。
それに、今回のセーラー戦士さんは、みなさん足がすらりと長くてスタイルが良い。そういう子たちが、アイドルブームに乗ってユニット組んでデビューしました風の歌と踊りを披露するのは、おじさん的にはこれはこれで大アリだ。しかもこの五人、本当にうさぎ、亜美、レイ、美奈子、まことになりきっているのだ。8月4日の制作発表にはセーラームーン、マーズ、ヴィーナスの三人が登場したけれど、鈍感な私はその時はまだ、そこまでハマり役だとは思わなかった。それが3週間後にはすっかり、漫画の中から飛び出したかのような収まり具合で、けっこう感動した。というような要素も手伝って、以前のセラミュのスタイルとは違う踊りやアクションに、最初とまどったことは事実でありますが、私はさほど労せずして順応できました。

4. 青の戦士に白旗です


8月23日のアニメロサマーライブのイベントでは、戦士たちはミュージカルナンバーを2曲ほど(「揃い踏み!!白月5人女」「We are the Pretty Guardians」)披露する合間に、美奈子の仕切りでトークをしている。宣伝を兼ねて楽屋話をみんなの前でやるという感じの他愛もない雑談なんだけど、さっきも書いたとおり、まあ実にみなさん、トータルでのイメージで言うと、歴代トップクラスのハマり具合と言ってもいいほど似合っている。なんか本当にセーラー戦士同士の会話を聞いているみたいな気にもさせられて、内心ちょっと迷いがあって中途半端な感じでくすぶっていた新セラミュへの火が、私の中で「やばいなあ」という感じで熱くなってきた。



美奈子「オーディションの思い出話、ありますねこれはいっぱい」



亜 美「すごい緊張した。武内先生が最終審査にいらっしゃって」
うさぎ「泣いてたね」
亜 美「うんちょっと号泣しちゃって私」



うさぎ「『感動してしまって〜』とか」



美奈子「でも他にもあるじゃんその、とっておきのエピソード。レイちゃん話してよ、その、まこちゃんの」



レ イ「そうそう。まこちゃんの(高橋)ユウちゃんをオーディション前の控え室で見たときから『まこちゃんがいる!』って」



まこと「ホント!」
レ イ「ホントに思った」


まこと役の高橋ユウ(高橋優)といえば、小池里奈が出ていた『仮面ライダーキバ』で、仮面ライダーにも変身してしまうシャープで情熱的な女戦士を演じていた。



そっちをよく観ていた私は、最初は逆にまことのイメージがピンとこなかったのだが、そう言われれば確かに、ルックスもその侠気みたいなところもナチュラルにまことだ。不良魂の入り方から言うと歴代最強のまことかも知れない。



しかしこのトークで、ダイレクトに大きなお友達(男性)のハートを射抜いたのは亜美役の松浦雅ではなかろうか。武内先生がオーディションにいらっしゃったことに感激して、泣いちゃったんだって。セーラームーンのキャストに選ばれて「小さい頃から憧れてました」なんていう人はよくいるけど(むしろ「原作読んでないからよく知らない」なんて公言した小松彩夏の方が珍しい)原作者に会って感動のあまり泣くというのはちょっと業が深い。ていうか、オーディションでそんなことされたら、私が原作者ならその場で合格にする。まったく大した小悪魔である。さらに追い打ちをかけるのが次のような会話。



うさぎ「なんか、敵の人たちの歌を聞いた時(亜美ちゃんが)チョー感動して『セラミュだぁっ』って」
亜 美「そうなんですよ。私もともとセラミュを幼稚園のときに見ていて、もともとすごく好きなので、セラミュが復活すること自体も本当に嬉しくて」



亜 美「でも(稽古中に)客観視できるのって敵だけが出てるシーンしかないんですけど、そのときにもう涙が本当に出てきて、『セラミュが復活した』っていう気持ちになったので……」


いやこれは、この人本物かな。セラヲタか。可愛くてセラヲタでしかも亜美ちゃん役をやるなんて反則である。おぢさん死んじゃう。と思ったら案の定、公演を観て私やられてしまいました。
今回のお話は、クイン・ベリルが四天王に、セーラー戦士たちを誘惑してエナジーを奪い、変身できないようにしてやれ、と命ずるところから始まる。そこでジェダイトはレイ、クンツァイトは美奈子、ネフライトはまことをナンパするんだけど、戦士たちはそれぞれデートに応じながら、実は冷静に相手の正体を見破っている。と思ったら、ウブな亜美が意外なことにゾイサイトにハマってしまうのである。ゾイサイトも亜美があまりに純情なので、次第に使命を忘れて心惹かれていく。初めての恋心にどうしていいのか分からなくなった亜美は、無料でもらった携帯の恋愛相談アプリのキャラ(ももクロが日替わりで演じていて、私が観た日は有安杏果)に相談しちゃったりもする。




と、前半は亜美ちゃんの見せ場がやたらとある展開で、私は完全にやられちゃったね。10年も河辺千恵子原理主義を通してきたのに、「メモリー・デュオ」のところで、おぢさんもう他愛なく陥没してしまいました。新世代の水野亜美、松浦雅17歳。
 御存知のように、武内直子の原作では、四天王と内部太陽系戦士それぞれの恋愛物語がほのめかされていた。前世の回想シーンで、クンツァイトを意識するヴィーナス(それぞれのグループのリーダー同士の恋)みたいな描写が出てきたはずだ。



結局、月刊誌でそこまで描く余裕もなかったのか、話はそれ以上発展しないまま終わる。ただダーク・キングダム編の最終回の扉絵に、おそらく当初の構想にあった四天王と戦士のカップルの図が描かれていた。今回の冒頭の組み合わせはそれを踏襲している。



アニメの三条院(ネフライト)と大阪なる、実写版のゾイサイトとヴィーナス、あるいはネフ吉と亜美のように、四天王との恋愛というモティーフがこれまでまったく顧みられなかったわけではないが、しかしここまできっちり原作のイメージどおりの組み合わせって、今までなかったような気がするが、どうか。



この「原作どおり」というのが今回の舞台の最大のポイントなんだけど、もうだいぶ更新が遅れてしまったのでこの辺にして、続きは次回にします(次回に続くのか)。





おまけ】コメント欄を踏まえ「マーズの子」画像追加。