実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第432回】ついにジュピターも9係に登場の巻(安座間美優)


  


みなさん、お盆を舐めてはいけない。
私はこれまでお盆なんて休みだと思っていた。でも身内が亡くなったあとの新盆って、仕事以上に忙しいぞ。いや、これだけ故人を偲んでくださる方がいるということなのだから、感謝しなければいけない。それはわかっているのだが、とにかく大変である。みなさん宇野千代のお線香なんて知らないだろう。私も知らなかったが、あまたある線香のブランドのなかでも、現在のお盆の贈答品のトレンドは「宇野千代のお線香 特撰淡墨の桜」みたいだ。

1. いつもありがとう丸山P


というぐらいで、言い訳はよろしいかな(言い訳だったんかい)。暑くて考える余裕もなく、台本紹介を2週連続で企画していたが、その気力もなくなった。仕方ないので今回のお題は「警視庁捜査一課9係」シリーズの最新作、安座間美優のゲスト回だ。
御存知のようにこのシリーズは、「警視庁捜査一課9係」(2006年)という題名で始まり、スペシャルも挟みつつ好評のうちにシーズン3まで制作された後、第4シリーズからタイトルを「新・警視庁捜査一課9係」と改めてさらに3シーズン、それから再び「警視庁捜査一課9係」に戻って昨年『警視庁捜査一課9係 season7』を放送、そして今年はシーズン8という、けっこうな長寿番組で、『相棒』と並ぶテレビ朝日/東映の刑事ドラマのツートップである。そして、東映側のプロデューサーとしてクレジットに名前を連ねる丸山真哉さんのはからいで(推定)東映特撮出身俳優、わけても実写版セーラームーン出演者が、やたらと登場することでも有名だ。今回の安座間さんのご出演を機に、ここで過去の実写版関係者の出演歴を、安座間さんのデータも含めてまとめてみるが、私もきちんと把握できているか心許ない。見落としがあったらコメント欄でご指摘ください。

<戦 士>
 沢井美優
  第5シリーズ『新・警視庁捜査一課9係 season2』第5話「殺人DJ」2010年7月
 泉 里香
  第5シリーズ『新・警視庁捜査一課9係 season2』第11話「殺人ネイル」2010年9月
 安座間美優
  第8シリーズ『警視庁捜査一課9係 season8』第6話「127の殺意」2013年8月
 小松彩夏
  第6シリーズ『新・警視庁捜査一課9係 season3』第3話「赤い破片の秘密」2011年7月
 小池里奈
  第3シリーズ『警視庁捜査一課9係 season3』第1話「堕天使」2008年4月


<男性陣>
 渋江譲二
  第6シリーズ『新・警視庁捜査一課9係 season3』第2話「殺人バースデイ」2011年7月
 窪寺 昭
  第1シリーズ『警視庁捜査一課9係』第6話「動く指紋の謎」2006年5月
 窪寺 昭
  第5シリーズ『新・警視庁捜査一課9係 season2』第11話「殺人ネイル」2010年9月
 松本博之
  第1シリーズ『警視庁捜査一課9係』第6話「動く指紋の謎」2006年5月
 遠藤嘉人
  第3シリーズ『警視庁捜査一課9係 season3』第6話「殺しのピアノ」2008年5月
 黄川田将也
  第4シリーズ『新・警視庁捜査一課9係』第5話「殺人ダイヤモンド」2009年8月


<家族&関係者>
 升 毅
  第3シリーズ『警視庁捜査一課9係 season3』第10話「殺人研究室」2008年6月
 筒井真理子
  第2シリーズ『警視庁捜査一課9係 season2』第3話「殺人美容整形」2007年5月
 池田成志
  第5シリーズ『新・警視庁捜査一課9係 season2』第2話「殺人酵母」2010年7月
 長谷川恵美
  第2シリーズ『警視庁捜査一課9係 season2』第5話「殺しの花嫁衣裳」2007年5月


なんか違う人も混ざっていたかな。まあいいや。
戦士は北川景子以外はみんな出ているというのもすごい。北川さんは、現在の状況では、ちょっとこの手のドラマへのゲスト出演は無理だろう。シーズン15あたりを待ちたい。
以前も取り上げたように、丸山Pのすごいところは、ただ出すというだけではなく、ファン向けに楽屋落ち的趣向を用意してくるところだ。窪寺昭は2回も出演しているが、1回目の出演時はネフライト松本博之も出てきたというし(未見)、2回目は泉里香の登場する回で、しかも泉里香との絡みもあった。絡みって別にベッドシーンではない。



沢井美優は被害者役だった。深夜のラジオ番組に投書する常連で、ペンネームは「ラビット」だった。



小松彩夏は高飛車なアイドルの役だった。



より詳しくはこちらをご参照くださいませ。
で、今回である(『警視庁捜査一課9係』season8』第6話「127の殺意」2013年8月14日放送、テレビ朝日・東映/脚本:岡崎由紀子/撮影:上林秀樹/監督:杉村六郎)。はたして安座間さんにどういうネタを組ませるかと思ったら、いきなり「うさぎ」のアップだ。




高級賃貸マンションのフラットに飾られた古風なちりめん人形。ここから話が始まり、ここで話が終わる、というところがミソなんだけど、そのことをお話しするためには、今回はネタバレになってしまいます。お読みくださる方は、そのへんご注意を。

2. セレブな十和子さんは元キャンパスクイーン


安座間さんが演じるのはセレブ妻の百武十和子。旦那は、若くして百億の資産を築き、伝説と化しているファンドマネージャー(ってどういう仕事だよ)の百武充(湯江健幸)。なんかよく分からないが、バブリーな感じの大金持ちだ。彼は近年、海底資源開発会社への投資話をあちこちで展開していたのだが、その本社ビル建設予定地で、他殺死体として発見された。
捜査一課9係、巡査部長の小宮山志保(羽田美智子)と警部補の村瀬健吾(津田寛治)は、未亡人への事情聴取のため、高級賃貸マンションのワンフロアをまるごと借り切った百武の自宅を訪問する。で、お手伝いさん(重田千穂子)に客間に通されたところで、二人の刑事はちりめん人形のうさぎを見つけるわけですね。羽田美智子が近くで見ようと手を伸ばしたところ、それをさっと取り上げてニッコリ微笑む被害者の未亡人、百武十和子(安座間美優)。



志 保「可愛いですね」



十和子「ありがとう。私が作ったのよ」


あからじめ今回の安座間さんの役どころをまとめてみると、(1)美人で、(2)資産家の夫と結婚したセレブ妻で、(3)世の中のすべてを自分中心にしか見ていないイヤな女だ。夫は自分に優雅な生活を与えてくれるだけの存在で、その職業に興味もないし、死んじゃったんだけど悲しい様子すら見せない。
こういうキャラを安座間さんがどこまで演じているかというと、(1)もともとすっごい美人だし、(2)現役Cancamモデルならではのゴージャスなセレブ感もすでにそなわっていて、(3)自己チューなところも、感情の読み取りにくいハードボイルド演技で、周囲に対する無関心=自分にしか関心のない感じをうまく表現できている。もし「いくらなんでも、自分の夫が惨殺されたというのに、ここまで感情のこもらないセリフ回しって、ただの棒読みじゃん」などと思った人は、あとで職員室に来るように。



十和子「充くんは本当に優しくて、人のうらみを買うような人じゃありませんでした」
志 保「トラブルなどの心当たりは?」



十和子「ぜんぜん。それに私、仕事のことは何も知らないんです」
村 瀬「ご結婚されたのはいつ頃ですか?」
十和子「十年前、清廉大のミス・キャンパスになった時に知り合いました。『君は一生働かなくて良い。いつまでも奇麗でいてくれたら、それだけで僕はしあわせだ』って」
志 保「奥さんは、夕べはどちらに?」
十和子「都内のスパに行っていました」
村 瀬「お一人で行かれたんですか?」



十和子「いえ、ネイリストの白鳥弓恵ちゃんと一緒に。白金にサロンがあるんです。こんどご紹介しますわ」
志 保「いえ、私は仕事が忙しいので」



十和子「あら、刑事さんだってお手入れすれば奇麗になるわ」



志 保「…(怒)…あ、ありがとうございます……」
村 瀬「…(汗)…あ、あのそれで、あれはあれですか、えー……ご帰宅されたのは何時頃でした?」
十和子「11時過ぎでした」
志 保「(お茶を運んできた家政婦に)それは確かですか?」



家政婦「私、日曜日はお休みを頂いておりますので……」



十和子「帰ったとき充くんはいなかったけど、どこかに出掛けてるんだろうと思ってそのまま寝てしまったんです。でも朝になってもまだ帰ってなくて、それで心配になって携帯に……」



主人が死んだ時刻の確固としたアリバイはない。でも、工事現場で旦那の頭をスコップで一撃できるような人には見えないし、そもそも動機がない。もっとも、何かを隠して平然を装っているから、こんなにも感情の読み取れない不自然なしゃべり方なのかな、と思えなくもない。実行犯の男が別にいて、その男との浮気がバレそうになったとか。

3. ここから先がネタバレ区域です!


いやいや、もちろん、安座間さんは殺人事件そのものには関わっていなかった。いや間接的には関わっていたのかな。で、ここからネタバレになってしまいますが、実は安座間さんの旦那は、見かけほどの資産家じゃなかった。浪費癖のある妻をつなぎ止めるために、100億あった資産を10年の結婚生活で使い尽くして、その補填のために再開した投資運用の事業も軌道に乗らず、実は個人の預金通帳には、引き出せる現金が100万もないような状況だったんです。それで暴力団とつるんで、詐欺まがいの(というかはっきり詐欺の)信託話で一発勝負を企んでいたんですけど、いろいろあって殺されちゃったと。
事件の真相と真犯人が明らかになった後(そこはバラしません)謎がひとつ残る。百武は個人資産は食いつぶしたわけだが、今回の投資信託話で、すでにそれなりの資金を集めていたはず。しかしそれが出てこない。出てこないと出資をした詐欺被害者への返済にも支障が出て来る。いったい数億の金はどこへ消えてしまったのか。
と、ひらめいたのが羽田美智子演じる小宮山巡査部長。再び百武のフラットを訪問する。
元セレブ妻の安座間さんはお手伝いさんを使って荷造りの真っ最中。金は使い尽くしたので未練はない。夫の遺した負債を相続するなんてまっぴらなので、財産権を放棄して、当座は「パリに住むお友達」のところに身を寄せるのだという。
あいかわらず亭主が死んだばかりとはとても思えない余裕の態度だが、羽田美智子が、荷造り中のスーツケースの中から、冒頭で登場したちりめん人形のうさぎを取り上げるや「それは!」と表情が一変。カッターナイフを出してうさぎの腹を裂く羽田美智子。


村 瀬「これは百武氏の遺産として、被害者の返済にあてることになります」



十和子「いやよ。これは私のダイヤよ!充くんが私のために遺してくれた……私の……私の!」


まことなら、うさぎを大切にするのは当たり前だろう、と思わせておいて、実はそのなかのPムーンが狙いだったという、実写版セーラームーンファン向けのオチでした(そうなのか?)

4. 美優といえば美優


そういうわけで、確かにラストなんか、これまで安座間さんが演じたことのなかったタイプの芝居で、新境地である。であるがしかし、全体を通して見ると、たぶん台本が想定したほど「美人だけどいやーな女」にはなっていない。最後に散らばった隠し財産のダイヤモンドを掻き集める場面も、ほんとうはもっと強欲な浅ましい感じがでてなければいけないんだろう。
そういう意味で、ドラマとしては問題なくもないんだが、だけど私はホッとしたね。確かに格好は派手で、着ているものもアクセサリーも高価そうだが、上手に着こなしているのでちっともイヤミにならない。身もふたもない言い方だが、セレブ妻よりも人気モデルに見える。加えて、何をしても、もって生まれた自然体な感じがにじみ出てしまい、安座間さんはどうしてもイヤな女になれないのである。安座間美優原理主義者としては、これでいいのだ。
でもそれはそれとして、もしこの役を沢井美優さんがやっていたら、もう役柄どおりのむちゃくちゃイヤなセレブ妻を演じていたと思うね。ということで、せっかくなので前回もちらっと紹介したプリンセスご出演『仮面ライダーウィザード』第47話「ワイズマンの真実」(2013年8月11日放送、テレビ朝日・東映/脚本:香村純子/撮影:いのくままさお/監督:舞原賢三)をご紹介しよう。安座間さんのドラマは旦那との結婚写真が小道具として出てきたが、こっちはマイホームで妊婦さんの写真である。あれから10年、みんなそういう役をやるような齢になったのだ。




こっちの方は1年間続いたドラマの大詰め第47話なので、そう簡単にあらすじをご紹介できない。さしあたって、沢井さんの旦那さんの山本昌宏(川口真五)がシリーズ最後のキーパーソンで、彼が何よりも大切にしているのが、妻の亜矢(沢井美優)とお腹の子。敵の狙いは、その大切なものを奪って、彼を絶望の淵に追いつめることにあり、仮面ライダーは当然、沢井さんを守ろうとしている。だが、山本がいくら電話をかけても連絡が取れない。沢井さんは、そんな緊迫した状況とはつゆしらず、いつものスーパーに買い物に行っていたのでした、という状況。



亜 矢「はぁ」



亜 矢「妊娠すると、ホント酸っぱいもの好きになるのよね」



亜 矢「あれ、どうしたんだろ昌宏」



アラクネ「へっへっへっへっへっへっ、ようやく見つけたぞ」



亜 矢「!」



悪夢ちゃん「!」



昌 宏「亜矢!」



亜 矢「助けて……昌宏!」



亜 矢「きゃあ!」



Pムーン「無礼なのは、お前よ」





ちょっとよけいな画像も混ざってしまったけど、ともかく、古巣に戻り、舞原監督のもとで安定の沢井美優でありました。しつこいようだが『仮面ライダー鎧武』にも出てくれないかなぁ。
それじゃ。みなさま残暑にお気をつけください。