実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第401回】DVD第3巻:Act.10の巻(6)

1. それでもナマが好き


正月だというのでぼけっとしていたら、もう初七日だ。いやそうじゃなくて七草だ。昨年末にお休みしたせいで、ブログのなまけ癖がついちゃったのかな、土・日の更新を忘れていたじゃないか。すみませんでした。



ところでみなさん今年の、じゃなくて昨年暮れの第63回紅白歌合戦、ご覧になりましたか?私は呑んだり食ったり風呂に入ったり居眠りしたりしながら、そうですね4割ほど観たかな。
今回の紅白の最大のポイントは「ナマ演奏完全廃止」だった。まあ正確に言えば、1990年代に入ってすぐ、紅白のステージ下からはオーケストラピットが消えている。この時点で厳密な意味での「生演奏」は無くなったというべきだろう。ただ一応リアルタイムの伴奏はついていた。
「?」という方のために説明しておくと、楽団は指揮者ともども別室の録音スタジオ(大河ドラマのサントラなんかを収録する部屋らしい)にいて、ナマ中継でNHKホールのライブを見ながら伴奏をつけ、その音が回線を通してリアルタイムでNHKホールに響くという不思議な形態がとられていたのである。
何でそんなややこしいことをするようになったのか、理由は知らないが、ともかく紅白はこの20年来「別スタジオで生伴奏」という独特の方式を採用してきた。しかし先日の第63回で、とうとうこのやり方も廃止された。三原綱木とニューブリードはリストラされちゃった、わけではないが、事前に演奏の録音をすませてしまっていて、当日はそこにいないのである。
もちろんバンドで出演された皆さんは生演奏を披露したわけだが、基本はカラオケ。演歌の人も含めてカラオケ。初のカラオケベースの紅白。そのことを視聴者に説明するかのような演出が、初出場のゴールデン・ボンバーのパフォーマンスに仕込まれていて、私はここが一番印象的だった。


「今回の紅白はぜんぶエアバンドです。客席も納得ずみです」

すごいなNHK。私はあれを思い出した。泉里香が昨年の2月、アブリル・ラヴィーン「The Black Star Tour2012」のさいたまスーパーアリーナ公演に行ったんだけれども、そのことをブログに「全曲が生歌、生演奏で。会場全体盛り上がってとっても楽しかったよー♪」と書いていた(泉里香「はぴぷりか」2012年2月7日)。それを読んでおじさんは、「ああ今の日本の若い子のにとっては、生歌、生演奏のコンサートはそれだけで特筆するほど珍しいことなのだ」と感心しちゃったよ。



まあ時代の趨勢というものなのだろう。昨今のアイドルの、楽曲と振り付けと映像がかっちりシンクロしているライブパフォーマンスや、テクノとかフィルターハウスとかの要素が普通に入ったサウンドは、むしろ生演奏より録音素材をベースにした方がやりやすいのかも知れない。人件費もかからないし。それに、そういう日本的貧乏性を逆手にとってアグレッシブに進化したPerfumeみたいな人たちもいる。イベントやCD店のインストアライブをこなしていたマイナー時代と同じ「ステージに立つのは常にメンバーだけ。演奏もバックダンサーも一切なし」という経済的なスタイルを頑なに守り、ひたすらパフォーマンスのハードルを上げ続けて十余年、武道館も代々木体育館も東京ドームもたった3人で湧かせるまでに至ったのだから凄い根性である。



それでもやっぱり、キャンディーズの後楽園ファイナルカーニバルなんかを知る世代としては「生演奏をバックに大舞台で歌うアイドル」に郷愁を懐いてしまうわけだね。だから私は東京女子流を応援します。
……って、何の話だかわからなくなってきたところで本題だ。
当名古屋支部の活動は実写版セーラームーンのレビューを中心としているが、昨年の後半は、北川さんはじめ戦士のみなさんの女優活動が盛んで、そちらをウォッチしているうちに、実写版の方はしばらくお留守になってしまった。どのくらいしばらくかというと、9月22日の【第388回】以来、ほぼ100日、12回もの空白期間であります。いやあ待たせてごめん。って誰に言っているのか私もわからないが、そろそろ再開しよう。

2. 孤独のグルメ



と思ったんだけど、その前にもうひとつ、何となく紹介しそびれていた、小松彩夏さんご出演『孤独のグルメ season2』第6話(テレビ東京系、2012年11月21日放送)である。
『孤独のグルメ』はテレビ東京系の30分の深夜ドラマで、2012年の1月から3月にかけて放送された第1シーズンが評判が良かったらしく、10月から12月まで第2シーズンも制作された。評判が良かったといっても、なにせ水曜深夜12時台なので1%とか2%とかいう話だが、第2シーズンの最終回(2012年12月26日)は視聴率3.8%というのだから、ちょっとしたものである。
ドラマといっても、主人公の輸入雑貨商(松重豊)が、商談に赴いた土地で、仕事の合間に店に立ち寄って、一人で食事をしながらモノローグするだけ、という地味でミニマルな内容だ。原作は久住昌之と谷口ジローの漫画。久住昌之といえば、1980年代に作画の泉晴紀と組んで「幕の内弁当のおかずは、どういう順番で食うのが正しいか」(「夜行」)とか「みんなですき焼きをつつく時には、どの程度のローテーションで肉に箸を伸ばすのが紳士的か」(「最後の晩餐」)とか、そういう些細なテーマを深く追求した短編漫画で評判になった人だ。この『孤独のグルメ』も基本的にはまさに同じ世界。
主人公が訪れる店は実在のモデルがあるんだけど、この実写ドラマ版はこのへんにこだわりがあって、すべて原作とは違うお店になっている。当然ロケもその店を使う。スタッフも苦労したと思う。



第6話は主人公の五郎が江戸川区の京成小岩に商談に行く話で、早く着きすぎたので駅の近くの「ラトリエ・ドゥ・シュクル」(実際のお店のサイトはこちら)でケーキを食べて、仕事を終えた後「四川家庭料理 珍珍(ぜんぜん)」で晩飯を食うという、それだけの話。そして最初に出てくるケーキ屋の店員を演じたのが小松彩夏。
ご覧になっていない方に雰囲気を紹介するのが難しいので放っておいたが、とりあえず小松さんの出てくるシークエンスをまるっと採録してみますね、ちょっと長くなるけど。


  
  


五 郎(バニラフランボワーズにデリスショコラ。スフレフロマージュもまた……)


  


五 郎「あ、すみません」


  


店 員「いえいえ、ゆっくりお選びください」


  


五 郎「あ、ガトーフレーズをください」
店 員「お持ち帰りですか?」
五 郎「いや、ここで」


  


店 員「かしこまりました。お飲み物は?」
五 郎「珈琲お願いします」


  


店 員「ではご用意できましたら席までお持ちいたします」


  
  


五 郎(女の子って、あのくらいの齢でもう母性本能、発揮させちゃうんだよなぁ)


  


五 郎(そして20年後ぐらいには、ちゃんとああなるんだろうなぁ)


  
  


店 員「お待たせしました」


  
  


五 郎「いただきます」


  


五 郎(倒れないように……)


  


五 郎(うん。美味しい。フルーツも出し惜しみなしの大盤振る舞いだ)


  


五 郎(苦い珈琲に合う。甘みと苦み)


  


五 郎(大人のお楽しみ)



これといった事件も起こらず、ただ松重豊が心の中でつぶやきながら店で食べるだけという普通すぎるシチュエーションが、逆にドラマとしては非常識であり、また思いつきで飛び込んだケーキ屋の店員がお人形さんみたいにキレイな小松彩夏なのに、松重豊がただ一心にケーキのことしか考えていないのが妙にシュールであったりとか、そういう要素が渾然一体となったこのドラマの面白さが少しは伝わりましたでしょうか。
もっとも深夜ドラマの場合、視聴率が2%だとか3%だとか言っても、録画して観る人がほとんどだろうから、正味の人気が分からない。実はみなさんよく観ている番組だったりして。
ともかく、この『孤独のグルメ』、第2シーズンに入って、中山エミリ(第3話)、小松彩夏(第6話)と、なにかじわじわと近づいてきているような気がする。第3シーズンがあれば、まちがいなく沢井美優が出てくるのではないだろうか、とも思うので、少し丁寧に紹介させていただいた。

3. 時間のかかる再起動



さて、えーと改めまして、実写版セーラームーン研究所の異名をもつ当サイトでありますが、その研究の歩みが、DVD第3巻、Act.10のレビューの途中まで進んだあたりでしばらく休止状態となっておりました。
改めて振り返ると、Act.10は、うさぎが些細なことでママとケンカをして、家出してレイの神社に転がり込む話だ。でも母親のいないレイ、そして境遇が同じなせいもあってレイと仲良しの少女エリカちゃんの話を聞き、うさぎは自分の恵まれた立場に気づいて反省する。一方ゾイサイトは強力な音符妖魔を創造して街に混乱を起こし、立ち向かうセーラー戦士たちをも追い込む。しかし最後にはセーラームーンの強力なヒーリングの力が発動し、事なきを得る。まあだいたいそういう流れだ。最後にベリル様が君臨、セーラー戦士と始めて対面する。
第388回のレビューは、その後半の、妖魔VSセーラー戦士の話に入って行くちょっと手前で終わっちゃった。なので今回は、前半ホームドラマ部分の最後の取りこぼし部分だけ紹介して、キレのいいところで終わりにしよう。いや実際、いったんシャットダウンしちゃうと、再起動に時間がかかるんだよ私も。
どこまでいったか、かぐや姫の紙芝居に色塗りしている二人の戦士、亡き母への思いを吐露するレイと見守るうさぎ、そこへエリカちゃんが涙眼で登場、ってあたりだな。どうしたエリカ。


  
  


エリカ「レイちゃん……」


  


レ イ「エリカ、どうしたの?」
エリカ「失敗しちゃった」


  


レ イ「はぁん。はみだしちゃったのね」
エリカ「どうしよう……」


  


レ イ「大丈夫」


  


レ イ「こうやって塗れば」


  


エリカ「わー、レイちゃんすごーい」


  


レ イ「このかぐや姫、エリカに似てる。お母さんに会いに行くところなんでしょ」
エリカ「うん」


  


レ イ「私のママも月にいるのよ」
エリカ「へえ、じゃあ友達になってるかもね」
レ イ「そうね」


  


うさぎ(そっか、レイちゃんのママも……)
レ イ「月ではね、うさぎさんがお餅をついているの」
エリカ「へぇ」
レ イ「じゃあ、塗ろうか」
エリカ「うん」
  (うさぎ、身の置き所がなくなって立ち上がる)


  


  (エリカがいるのに平気で動くルナ)


  


ル ナ「うさぎちゃん?」


       ╳    ╳    ╳


  
  


うさぎ「ばかばかばか、レイちゃんママいないのに、あんなに自分のママの話しちゃって、もう」


  


ル ナ「しょうがないわよ。知らなかったんだから」


  


うさぎ「はぁ、レイちゃんって、なんか尊敬」


一気にいっちゃった。
ついこの間まで『悪夢ちゃん』を観ていたせいか、いろいろと相違点が気になる。とりわけ、ここでの「かぐや姫」をめぐるレイの記憶が、彩未の記憶と同様、まったくの嘘八百ではないだろうが、肝心なところで捏造されたものである件については、これまで何度も書いたとおりである。そして、これもすでに触れたが、火野レイの失われた少女時代の記憶が、父親の影に支配されているのに対して、武戸井彩未には父親の影がまったく観られない。そういったポイントを比較すると、これまた面白そうな気もするんだが、月曜も終わりかけになってきたので、今回はこのへんでひとまず終了。1月も色々あるんですが、徐々に更新ペースを本来どおりに戻したいとは思って居ます。んじゃまた。



おまけ

あれから10年、エリカちゃんも2012年は『週刊プレイボーイ』進出。

もう小松さんやルナのライバルですね。