実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第392回】始まりました北川景子 in『悪夢ちゃん』第1話の巻

1. りなっっ!


麻 美「親父の無実を証明して欲しいの」


麻 美「私あんたとやってもいいよ」


探 偵「はぁ?」


麻 美「別に処女じゃないし、こんな身体、いくらでも抱かせてあげる」


Leo16「里奈ちゃん!!」


というわけで、『匿名探偵』第3話は10月26日(金)深夜に放送予定だそうです。
さ、本題だ。

2. ヅカと悪夢



『謎解きはディナーのあとで』は、たぶん櫻井翔の主演なので、北川景子主演ドラマとしては、『LADY 〜最後の犯罪プロファイル〜』以来、およそ1年半ぶり。今回、北川さんが演じる主人公、武戸井彩未は学校の先生で、しかも裏表のある腹黒女だそうである。それを聞いて、これはまずい、と私は思った。だってその手のヒロインは蒔田光治の作品によく出てくる。
代表作『トリック』の山田奈緒子(仲間由紀恵)も多少その傾向があったし、どんぴしゃりなのは『パズル』(2008年)の鮎川美沙子(石原さとみ)だ。清楚でおしとやかで同僚男性教員からもちやほやされる美人の先生だが、実は傲慢でがめつい金の亡者で、いざとなったら生徒を欺くことも厭わない腹黒女であった。



『謎解きはディナーのあとで』の時も、私は北川さんのお嬢様ぶりを見るたび、どうしても『富豪刑事』の神戸美和子(深田恭子)と比較してしまって、そうすると深田恭子さんの方が遥かにお嬢様に見えるものだから、内心「不利だ」とつぶやいていたものである。




今回も、同じタイプの「実は腹黒い美人」を演じさせたら、残念ながら石原さとみには勝てないんじゃないかなぁと、その点が心配だった。



しかしそれは杞憂であった。確かに、北川さんが演じる武戸井彩未先生は、いつも学校にいるときの「美人でおしとやかで優しくて教育熱心で、児童からも同僚教師からも慕われる理想の先生」というオモテの顔とは違うウラの顔を持っている。めんどうなことが嫌いで、子供たちとは仕事以上の関わりを持ちたがらず、部屋は散らかりっぱなしで、寝るときは腹巻きを欠かさない。



ただそれは「腹黒」というのとはちょっと違う。違うというかちょっと変。これは何か。
彼女は先生を演じているのだ。まあ実際、世の教員と呼ばれる人のなかには「教壇は舞台、生徒は観客、そして主演は私」みたいなスタンスで教室に臨む人が確かにいるけど、北川景子はそこに、何か本当に変な趣向を凝らした。第1話のオープニング、彼女は児童たちの机の間を歩きながら「みなさんは夢を見ていますか?どんな夢を見ますか?」と問いかけて回る。その時の仕草とセリフ回し、独特のテンション。これは……。


  
  


彩 未「みなさんは夢を見ていますか?どんな夢を見ますか?」


  


上原「はい。俺、日本代表サッカー選手」


  


彩 未「見事な勘違いありがとう。先生が言っているのは、眠っているときに見る夢でした。だけど先生はその勘違いこそ望んでいましたよ。見事なパスでした。上原君」


  


上 原「よっしゃ」


おそらくタカラヅカである。シロウトが宝塚歌劇の雰囲気を安易に真似るとこういうことになる、という再現。「主人公は職場で、常にもう一人の自分を演じている」という設定を分かりやすく強調するため、北川さんが導入した方法論がこれだ。最近プライベートでも宝塚にハマっているというけど、しかしこの奇天烈さって、北川景子にしか出来ない特殊演技である。
いや昔だったら「またこんな変な芝居したら世間から何を言われるか」と、これまた心配したことだろう。でももう、あまりそういうふうにも思わない。たぶん世間は受け入れてくれる。もちろん生理的に駄目な人はまたバッシングするだろうが、まあ勝手にやっておいてくれ。何よりもM14さん言うところの「美人で変人、変美人」という北川景子の個性は、すでに広く国民のみなさまに浸透したと私は思う。つまりかつては、「北川景子って美人のくせにこんなことをする」だったのが、最近は「北川景子はこんなことしても美人だ」に変わった。これは大きな前進である。

3. 小学校の名前は明恵小学校(意味は各自「明恵 夢記」で検索するように)


さて冒頭シーンの続き。


  


彩 未「そう。実は、眠るときに見る夢も、みなさんが将来に思い描く夢も、それほど違いはありません。なぜならどちらの夢も、現実をこの眼で見ているのではなく、脳の中で見ているに過ぎないからです。その脳の中で、みなさんは自分がなりたいと思う将来の姿を空想しているのですね。眠っているときに見る夢も、それとまったく同じことが脳の中で起きているに過ぎないのです。夢を見ないという人はこの世にはいません。見ないという人は覚えていないだけなのです。夢には、みなさんが純粋に思い描く自分の姿、本当の未来が映っているかも知れないのですよ。そんな夢の中へ行ってみたいと思いませんか?」


「行ってみたいと思いませんか」ってお前は井上陽水か、という話だが、ここで、このドラマの最初のカードが切られる。彩未は「眠るときに見る夢も、みなさんが将来に思い描く夢も、それほど違いはありません」と言う。彼女は「夢をかなえる」なんて言葉は信じない。夢は夢、現実は現実。どんな場合にも両者はお互いに浸食しない。これが武戸井彩未の信条だ。そして彼女の特殊性は、そういう考え方のもとに、本来の自分をすべて「夢」に預けてしまっている点にある。彼女はある意味、現実を断念していて、学校では100%虚構の自分を演じる。そして家に戻って寝ているときだけ、夢の中で自分を解放する。なぜなら現実世界と違って、夢の中であれば「純粋に思い描く自分の姿、本当の未来」が実現できるから。でも「純粋に思い描く自分の姿」って何だ?



ともかく夢は夢、現実は現実で厳然と区別する。これが彩未の世界の原則であった。
ところがそんな彩未に揺さぶりをかける存在があらわれた。彼女が担任をつとめる5年2組に転校してきた古藤結衣子(木村真那月)。結衣子は予知夢を見ることができる。つまり現実世界の出来事を先取りして、夢が警告を与える。現実に夢が干渉してくるのだ。結衣子の黒髪には、まとまった量の白髪が混じっていて、現実世界に夢が浸食している様子を象徴的に表現している。



結衣子は、自分の無意識が他人の無意識と勝手にシンクロしてしまう特異体質の持ち主で、そのため、知らない他人の未来の行動や、その結果おこる不幸が、夢の中の象徴表現として見えてしまう。当然それはあまり楽しい夢ではない。というか悪夢ばかり。それで精神的に不安定になり、学校も休みがちだった。
ところがある夜、結衣子の夢の中に武戸井彩未が現われた。そして結衣子はなぜか、彩未こそ自分を悪夢から救ってくれる「救世主」だと信じる。それで、理解ある二人暮らしの祖父のはからいで、転校して彩未のクラスに入ったのである。
そんなわけで、結衣子は転校早々、彩未に迫ってくる。彩未が後日、彼女のことを「悪夢ちゃん」と名づけたゆえんだ。


  

 
彩 未「どうしたの古藤さん」


  


結衣子「先生、おばあさんを助けて」


  


彩 未「えっ、おばあさん?お祖母様がいるの?」
結衣子「違う。学校に来る途中にある甲さんちのおばあさん。燃えちゃうの!」
彩 未「なぜそんなことを言うの?」


  


結衣子「夢、見たの」


  


彩 未「夢?大丈夫、ここは現実よ」


  


結衣子「先生おねがい、おばあさんを助けて!」



それにしてもなぜ他の誰でもなく彩未が救世主として選ばれたのだろう。そして彩未はなぜ、自分の本来の自我を夢の中に封印して、現実世界ではすべて演技でごまかしながら、これまで生きてきて、かつこれからも生きていこうとしているのか。
と、ドラマ的にはここまでがアバン・タイトル。そして『サザエさん』の波平の声(永井一郎)でタイトルのナレーションが入る。いや別に『宇宙戦艦ヤマト』の佐渡酒造先生の声と言っても良いが。


  


 N 「人間の意識は氷山の一角。その魂には無限の無意識が広がっている」


  


 N 「そこにはすべての感情、すべての行動、すべての時間さえも眠っている」


  


 N 「その少女の無意識は、他人の無意識とつながることができた」


  


 N 「そして少女が眠るとき、その魂がめざめ、他人の不吉な未来が悪夢となって現われるのである」


  


ということで、いよいよ第1話の始まりだが、実はここまで書いたところで第2話の放送時間になってしまった。どうもアレだ、『悪夢ちゃん』は毎週土曜夜のオンエアで、このブログは週末に書いてアップするのが恒例で、困ったね。現状ではウイークデーにブログを書くのも、ちと難しいですし。
それに、初回を鑑賞し終えて、実は「もうこれ、くわしくレビューしなくてもいいかな」という気にすらなってきた。もうごちゃごちゃリクツを言うより観て楽しむのがいちばんだ(そんなことをこのブログで言ったら身も蓋もないんだけど)。
ともかく、これぞ北川景子という感じで、先ほど言及した冒頭の「いかにも良い先生を演じてます」演技といい、むかつきモードといい、夢の中の脳天気加減といい、随所に妙な力こぶの入ったさばモグ芝居も健在である。それでいて臭みがないのは、天敵とも言える子役を中心に、GACKTとか優香とか(小日向文世以外は)ほとんど初めて組む人ばかりのレギュラー陣で塩締めしているせいだろう。北川さんという素材の持ち味をここまで引き出してくれれば、もう言うことないです。『みをつくし料理帖』のような、新境地を開拓したドラマの後に、こういう、いかにも「らしい」ウェルメイドな連ドラをもってきたタイミングも良いです。
てことで、話の内容をほとんど紹介していないんだけど、今回はこれまで。
そうだ、ひとつ分からないことがある。ヒロインの「武戸井彩未」(むといあやみ)という名前、何かのアナグラムとしか思えないんだが、考えてもよく分からない。誰か何か気づいた人いる?原作に書いてあるのかな。原作読んでみよう。

  むとい あやみ
  MUTOI AYAMI
  AI TO MUYAMI
  YAMI TO AIMU


う〜ん。では。




おまけ


映画『花と蛇』(2004)より ベリル様と蛇
『悪夢ちゃん』第2話より マーズ様と蛇