実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第383回】DVD第3巻:Act.10の巻(2)



ヒロインが作ってるばかりではなく、食べてるシーンもしっかり入れてよね。
さて、今日は話題も余裕もないのでいきなり本編に突入だ。


1. 父親の問題


売り言葉に買い言葉。朝っぱらからママとケンカして、リビングを飛び出すうさぎ。進悟の一言。


  


進 悟「あれは家出パターンかな」


という弟の読みどおり、部屋に戻ってせっせと荷造りするうさぎ。


  


うさぎ「ママったらぁ」


  


うさぎ「入んない!」


  

うさぎ「なんだ、ママなんかもうママじゃないよ」
ル ナ「いったいケンカの原因は何?」


  


うさぎ「今日のオムレツにチーズ入れるかどうか」


  


ル ナ「……ああ、そう……それで、どこか行くアテあるの?」


  


うさぎ「そう言われると……どうしよう…z」


しかしアレだよね、この頃になると、もう月野家にパパがいない不自然さも、あまり意識に上らなくなってきた。
たとえば今放送中の「特命戦隊ゴーバスターズ」の主人公には姉が一人いる。グラビアアイドルの吉木りさが演じているのだが、まず第1話に出て来て、それから第10話に登場、というふうに、レギュラーというよりはゲストもしくは特別出演的なアピアランスである。



うさぎの父親だってそういうかたちで出演させることができたはずだ。うさぎママが森若香織、レイパパが升毅、亜美ママが筒井真理子、美奈子の事務所の社長が池田成志というラインナップを見れば、それなりのきちんとした役者をパパ役に起用できてたよね。んーと、勝村政信とか。
Act.1のゲストスターが、なるママの渡辺典子だったので、それ以上ゲストで役者を呼べなかった、というのなら、別にAct.2にしたって不都合はない。実際アニメ版のパパは第2話で初お目見えしていたし。



でも出て来なかった。最初から、うさぎのパパは画面に出さないという方針が固まっていたんだろう。むしろSpecial Act.での田崎竜太のキャスティングの方に即興性が感じられてしまう。
どうしてなのだろう? もちろん、森若香織が演じたママの強烈なキャラクターのおかげで、月野家に事実上パパがいないことの不自然さは巧妙に隠されている。それは前にも書いた。でも実写版って、全体的に親の存在が希薄すぎる。それはこのAct.10みたいに「月のプリンセスとしての前世」と「平凡な家庭に生まれ育った月野うさぎ」のコントラストをモチーフとする回においては、やっぱりちょっと気になるよね。私としては「原作原理主義」を標榜し、実際シリーズ後半けっこうシリアスな恋愛モードに入った実写版で、こんなシーンも観たかったのである。



でもまあ、まだパパが「また出張」だとか、電話に出たりとか、それなりに描かれているだけ、うさぎはマシと言える方だ。実写版は、それ以外の戦士たちの両親に関してもやたらと謎が多い。例えば「まことはどうして両親ともいないのか」とか「亜美のママはパパと離婚したのか、死別したのか、あるいはもともとシングルマザーだったのか」とか。「美奈子の両親ってそもそもいるのか?」とか。美奈子なんてアンタ、Act.15の台本を読んでも、本当に両親がいるんだかいないんだかもわからない。




これは親戚の家だろうね。それもアイドル美奈子の金目当てで引き取ったような薄情な親戚。そう考えないと、あれほど繰り返し病院に入院して、しかも重い病気で手術までするのに、付き添いがアルテミスだけという意味がわからない。
ただ美奈子に関しては、アニメや原作で両親がどういうふうだったのかも、すぐには思い出せない。どうでしたっけ。ちなみにまことの両親は、原作では飛行機事故で死んだことになっているし、亜美のパパは日本画家で、現在も亜美と多少の交流がある。原作の亜美は、水泳とチェスが大の得意なんだけど、このどちらも父から手ほどきを受けて身につけたという。言うまでもなく水泳が「水」、チェスが「知性」を象徴している。つまり「水と知性の戦士」をはぐくんだのは父親なのだ。そして現在も、亜美はときどき、パパが会員になっている高級スイミングクラブに泳ぎに行く。



いや別に私は実写版でこういうシーンが観たかったから言っているんじゃないんだ。いやちょっとは観たかったかもしれない(葛藤)。何の話をしたかったのか。
そうだ、そういう意味では、ママもパパもしっかり描かれていて、つまりドラマ的な意味で両親ともども明確に「存在」しているのは、実は火野レイだけだ、という話を……したかったのかな私は(弱気)。


2. 亜美ちゃんの手提げカバン


すまん、もうちょい話を先に進めよう。家を飛び出したうさぎは、とりあえずクラウンに飛び込もうとする。レイも亜美も、家を出たらまずここだもんな。
でも、不意にばったり地場衛と再会してしまう。うさぎはまだタキシード仮面の正体を知らないから、衛と会うのはAct.7、後楽園デート事件以来である。


  


うさぎ「えっ!?」


  


うさぎ「なんでこんなとこに」


       ╳    ╳    ╳


  


うさぎ「何すんのよ」


  


 衛 「これ以上はぐれたらたまんないからな、行くぞ」
うさぎ「うん……」


       ╳    ╳    ╳


古 幡「うさぎちゃん!俺これからちょっと用事あってさ、衛に留守番、頼んでんだ」


  


うさぎ「あっ、そうなんだ」


  


 衛 「何時間ですか?」
古 幡「あぁ、いいのいいの。うさぎちゃんは年間パスだから、ね」


  


うさぎ「ううん。やっぱ止めとく。じゃあ」


  


うさぎのM(なんだろう、なんかダメ……)


あの時の鏡の部屋でのドキドキを思い出して、つい気後れしてクラウンを出てしまう。
と言っても行くあてがない。まずはなるちゃんの家へ行くが、ピンポンを押しても返事はない。「なるちゃん留守か」とへこむうさぎ。なるちゃん邸のセキュリティを請け負っている警備会社の名前もヘコム(HECOM)である。



ということで次に亜美のもとへ向かううさぎ。以下、順々に仲間を訪問していくんだけど、この「なるの家から亜美の家へ」「亜美の家からまことの家へ」「まことの家からレイの家へ」という場面転換の仕方は、まあこれも一種のワイプなのかな、しゅっとカメラが速いスピードで横にパンすると次のお友達の家の前、というつなぎ方になっています。まずは亜美の家。家というかマンション。訪ねたら、ちょうど亜美が出て来たところだった。


あ〜っ思いだした!だいぶ前に「亜美の手提げバッグのコレクションはどんだけあるか」みたいな話題でコメント欄がもりあがったことがあるけど(こことか)、まだ手つかずのままでした。このテーマもそのうちやらなくちゃね。


Act.2


Act.5


Act.20


Act.34


まあともかく今は本編に戻ろう。


  


うさぎ「亜美ちゃん! これから塾?」


  


亜 美「ううん、図書館。ママが久しぶりに休みだから、ゆっくり寝かせてあげようと思って。セーラーVのことも調べたいし」
うさぎ「あ、そうなんだ」


  


亜 美「うさぎちゃん、どこか行くの?」
うさぎ「うん……別に」


亜美の背後に「BV」というエンブレムと、「Bella Vista No.6」というマンションの名前が読み取れるでしょうか。これは撮影用のフェイクではなく、ロケ現場の実物である。東京都渋谷区渋谷4丁目、銀座線表参道駅から徒歩8分、渋谷駅から徒歩18分のところにある高級マンション「ベラヴィスタNo.6」。扱っているのはケン・コーポレーション。Wikipediaに出ていたよ。


株式会社ケン・コーポレーションは、東京都に本社を置く不動産会社。1972年設立。賃貸であれば月額30万円、販売であれば1億円を超えるような高額物件を主に取り扱っている。特に、外国人向け高級物件の賃貸仲介業務においては日本でも草分け的な存在である。


興味のある向きは「ベラヴィスタNo.6」で検索してみればすぐ出てくると思うけど、基本的には外国人向けのようだ。なにしろ物件案内のサイトが全部英語だもんな(ここ)。鉄筋コンクリート5階建、1989年7月築というから、撮影された2003年現在で築14年。各部屋は45坪〜60坪で、基本3LDK。賃貸料は月60万円〜80万円。それでも空きが出るとすぐにふさがるのだから、お金はあるところにはあるんだろうね。
まあ、これはロケ地情報に過ぎないわけだが、でも亜美とママがそういう、ガイジンさんたちが住む、ハイソなヴィンテージ賃貸マンションで暮らしているということについては、そのままドラマの設定として考えても差し支えないと思う。
ただあれだ、数年前に『Special Act』のレビューを書いたとき、画面にチラッと映る亜美の免許証について考察したことがあった。



『Special Act』は本編終了後4年後、つまり西暦2008年の話で、亜美は「高校の途中からアメリカの大学に留学」していたが、妖魔復活の知らせを聞いて緊急帰国したんだけど、空港から乗ったタクシーが妖魔に襲われ、タクシーの運転手はパニック状態で逃げ出してしまう。仕方なく、免許証をダッシュボードに提示して、自分でハンドルを握る亜美。この免許証を拡大……は出来ないから、フェイクを作ってみて、それを詳しく分析したのである。



とにかく色々と謎の多い免許証だったんだけど、詳細はそのときの記事にゆずるとして(ここ)いまは、2008年時点での亜美の現住所が「東京都港区十番町6-3-17」であることにのみ、注意しておきたい。かつてStreamKatoさんからご指摘いただいたが、これはつまり、この免許が交付された時点で(2008年3月10日)亜美の現住所がマンションじゃなくて一戸建てである、という事実を意味する。つまりママと亜美は、2005年から2008年までの間に、このAct.10のマンションを引き払って、十番町の一戸建てに引っ越しているわけです。
このあたりに、亜美のママに対して離婚したパパから何らかの援助があったとか、遺産が転がり込んだとか、そういう事情を考えたくなるんですが、やはりお盆が近づくとなにかと忙しいね。もう日曜の午後なので、これ以上考えるのは止めて、このくらいでアップします。ではまた。(最近このパターンばっかりだ)。





今週の付録画像】アニメ無印 第20話「夏よ海よ青春よ! おまけに幽霊もよ」より。