実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第371回】DVD第3巻:Act.9の巻(7)

1. 何かと話題つめあわせ


ソラリネ。第3回公演『ニンギョヒメ』作・演出:福地慎太郎
<出演>いしだ壱成(西の魔女)・小松彩夏(ニンギョヒメ)・辻本祐樹(リンネ)他
2012年5月16日(水)〜20日(日)/CBGKシブゲキ!!


『鍵のかかった部屋』第5話(2012年5月14日、フジテレビ系)。今回の小松彩夏は、キャバ嬢でもグラドルでも高飛車な芸能人でもない。白骨死体になったりもしなかった。レギュラーの戸田恵梨香の友人で、もうすぐ結婚で幸せいっぱいという、小松彩夏的には珍しい役どころ。



主役の大野智くんとの絡みもあったし、戸田恵梨香には事件解決のヒントを与えていたし、まずまずではないだろうか。ひいき目かも知れないが、あの独特のセリフ回しと芝居も、個性というか持ち味といえるまでこなれてきた。やはり舞台女優としてのキャリアは伊達ではない。



話も面白かった。タイトルからして「密室ものの連作」である。密室ものであれば「実現可能かどうかはともかく物理的に間違っていないトリックなら何でもOK」という暗黙のルールがある。と私は思うんだけど違うか?そして好みからいうと、あからさまに「理論的には可能だけど絶対あり得ない」ような馬鹿馬鹿しいトリックの方が面白くて好きだ。今回の話なんかまさにそれ。
しかもそういうのって原作より映画やドラマ版の方が面白い、というのも私の偏見なんだけど、みなさんどうですか? 恥ずかしながらわたくし、横溝正史の『本陣殺人事件』なんて、原作を読んだだけでは何が何だか、トリックの仕組みがさっぱり分からなかった。
この『鍵のかかった部屋』の原作は貴志祐介だそうだが、まだ読んでいません。今度読んで較べてみよう。

てなわけで、ただいま『ニンギョヒメ』絶賛公演中。がんばれ小松彩夏。



あ、それと(唐突ですが)セラミュネタも恒例となりつつあるのでついでに書いておく。『仮面ライダーフォーゼ』で、だいぶ前、第13話(2011年12月4日OA)から、主人公たちの通う学校の校長先生役で天野浩成が出ていた。
学校に怪物がでるというウワサをきいて押しかける保護者たち。でもお母さん方は、超イケメン校長の「どうか、お子さんたちと私を信じて下さいませんか?」という爽やかな笑顔でイチコロである。その実、この学園を隠れ蓑に暗躍する悪の組織(ボスは学園理事長)の幹部だったりする。



レギュラーだからそのうちどなたか大々的にフィーチャーして下さるかな、と思っていたら、いつまで経っても仮面ライダーに勝てないので、先週のオンエアで幹部をお払い箱になってしまった。と思ったら土壇場で復活したみたいだけど、火星発動機さんのところでもまだ出ていないみたいなので、この機会に紹介しておく。天野くん、今までスルーしていて済まなかった。


それから(やはり唐突ですが)先週に続いて『非公認戦隊アキバレンジャー』ネタ。第6話はレッドの職場に「東映東京撮影所」あての荷物が来た、という発端。レッドのふだんの仕事は宅配便の配達バイト君なんです。大喜びで、戦隊としての本拠地である「戦隊カフェひみつ基地」に自慢をしに行くレッド。



宛名が大写しになり、プライバシー保護の観点からテキトーな修正が入っているが、心の目で見れば「東映東京撮影所所長 白倉伸一郎様」と書かれていることが丸わかり(笑)。



この荷物を撮影所に届けて、それで終わるわけがない。一緒に来たイエローブルーを連れて自主的に撮影所見学を始めてしまうレッド。特撮オタクの彼にとってはパラダイスである。

  



レッド「おおー、これはギリシャ柱。戦隊で何度も使われたファンタジーの大道具だよ!」


そうなのか。いやこれが業界用語で「ギリシア柱」なんて呼ばれていたなんてまったく知らなかったよ。



あと、この倉庫の奥には、巨大ロボの戦闘シーン用のビルディングも収納されている。それなんとなく、Act.27の美奈子とレイの巨大女シーンを連想させませんか?



さらには大森坂で絶叫。そうなのか。ここが「大森坂」という地名であることも知らなかったよ。レッドにとっては、小林靖子脚本『未来戦隊タイムレンジャー』第39話「雨に濡れた嘘」(監督:小中肇)でアヤセが倒れた場所である。



もちろん我々にとっては、Act.5エンディング、ジュピター初お目見えの場としての印象が強い。どっちみち聖地だ。
そして今回ますます物語の謎をにぎるキーパーソン的な役回りになってきた、悪の組織ステマ乙(「Z」ではなく「乙」)の幹部マルシーナ。



演じている穂花の自伝のことが前回のコメント欄でも話題になったけど、あの自伝が出た半年くらいあとに、NHKが深夜枠とはいえ、彼女のドキュメンタリーを放送したのには、けっこう驚いた。NHKの若手ディレクターによるモノローグ的取材番組だった。


  


津 田「元AV女優、穂花。アダルトビデオの世界で頂点を極め、2008年に引退した。現在は女優やラジオのパーソナリティとして活動している。去年、自身の半生を綴った著書を出版。施設での生活、誘拐、性的虐待、AVデビュー、28年間の過去をさらけ出した」


  


津 田「私(津田温子)は入局3年目のディレクター。彼女と同世代の私は、本を読んで、どうしてここまで自分のことをさらけ出せるのか、引っかかった。私は穂花に取材を申し込んだ。実際に会ってみると、彼女は明るく、よく笑う女性だった」
(『ドキュメント20min. 裸になれない心』2011年6月20日、NHK鹿児島)


昼飯を食べながら訥々と震災の体験を語る北川景子のドキュメンタリーも印象的だったが、穂花が鹿児島に里帰りしながら、少女時代の赤裸々な体験を淡々と語るこの番組もインパクトがあった。最近のNHKに関していえば、私は『みいつけた』が何の断りもなくスイちゃんを違う子に替えてしまったことに激しい憤りを感じているのだが、それはそれとしてドキュメンタリー系は快調である(何が言いたいの?)。
なんて、また溜まった小ネタを出していたらキリがなくなってきた。いいかげんDVDレビューを再開しよう。

2. リセット


というわけで、【第365回】以来のAct.9DVDレビューになりますが、その時、成田物産の社長の名刺に見える、家紋らしき会社のシンボルマークの由来が分からない、と書いた。三日月と、それから枡のようなかたちの直方体らしきかたちを組み合わせたようなマークだ。

そうしたら、コメント欄に「なりたりな」さんという方からレスをいただいた。枡に見える部分は、「成田で採掘されるコランダムは、六方晶系で、方解石のごとく結晶の形が枡に見える」ので、それをあらわしているのかも知れない、とのことである。情報ありがとうございました。
私は、宝石とか鉱物関係はまるっきり無知なので、成田からそういうものが発掘されるということも知りませんでしたし、「六方晶系」といわれても頭にぱっとイメージできず、本当はよく分からないんだけど、なんかすごく、それで正解っぽい気がする。コランダム(酸化アルミニウム)は「鋼玉」とも呼ばれ、ダイヤモンドに次いで硬い結晶で、レーザーなど精密機械の部品になったり、粉砕すると研磨剤や耐火物原料に使用されるという。成田物産はそういう面に関わる物産業をやっているのかな。
しかも、ルビーとサファイアは共にコランダムの変種だという。純粋ならば透明な結晶体であるコランダムに、微量のクロムが混入すると赤いルビーになって、鉄やチタンが混ざると青いサファイヤになるんだって。驚いたね。赤の宝石と青の宝石は本来、同じ結晶体なのだ。
ご存じのようにこの実写版Act.9にも、赤の戦士と青の戦士との奇妙な共鳴と同調という裏テーマがひそんでいる。優しくて控え目な青と、クールで思ったことは口にする赤。対称的に見える二人は同じ素材で出来ている。
前置きが長くなりました。本編に入りましょう。その成田物産社長なる人物と依頼内容について検討するクラウンの戦士たち。一名だけ、頭の中がタキシード仮面でいっぱいで話を聞いていない人がいる。


  


まこと「聞いたことある会社だな」
亜 美「日本でもトップクラスの企業だから」
ル ナ「その社長の家に、幻の銀水晶があるっていうのね」


  


レ イ「絶対ホンモノだ、って……鑑定はこれかららしいんだけど、いつタキシード仮面に狙われるか心配らしいわ」
まこと「それでレイに来てほしいってわけか」
レ イ「どうせ私の変なウワサを聞いたんでしょ。犯罪の予知なんてできるわけないのに、こんな時だけ私の力を当てにしないで欲しいわ」


  
  
  


前回のコメント欄にも指摘があったけど、世間の人々は霊能者も占い師もいっしょくた。何かわけのわからない力だと気味悪がるくせに、欲のからんだ話になるとすり寄ってくる。神社の巫女をやっているレイは、すでに今までもそういう大人に傷つけられていたのだろう。
亜美もまた周囲たちからチヤホヤされる機会は多いが、それは亜美に対する賞賛ではなく、優秀な成績と天才少女の評判に対するものでしかないことを自覚している。「こんな時だけ私の力を当てにしないで欲しいわ」と言葉に込められた、大人たちに対するレイの瞋りとか悲しみをストレートに汲むことができるのは、ここでは亜美だけである。


  


亜 美「あっ、じゃあ私が」


  


まこと「亜美ちゃんが?」


  


亜 美「かたちだけで良いんだし、レイちゃんの弟子ってことなら……ちょっとやってみたいかな」


  
  


もちろん、レイのぎゅっと握りしめた拳の意味を痛切に分かっていたからこそ名乗りを上げたんだろうが、でもそれだけでもないんですね。自分が巫女の格好をしたいという変身願望も、ちゃんとある。ふだんの引っ込み思案の亜美だったら自分からはとてもいえない「やってみたい」を、「レイちゃんのため」という大義名分の力を借りて言えたのである。だから交わす視線もちょっとだけ浮き浮きしている。こういうときの浜千咲は最高ですし、ペット系女子の泉里香になった今も変わっていない(と思う)。とにかく泉里香の女優の仕事をもっと見たい。
えーと、じゃあここで亜美とレイの関係をざっとおさらいしてみよう。



まずAct.4の「レイさん、もしかして仲間が怖い?」で、亜美がレイの閉ざされた心を軽くノックする。



次にAct.5「私はおかしいと思ってた」で、今度はレイが亜美の、うさぎに言い出せない感情を汲んでやる。で今回、Act.9のエピソードで、亜美が、内心深く傷つけられているレイの想いにそっと寄りそう。次はAct.14からAct.16までの一連の「なる・亜美騒動」に飛ぶかな。


「いいじゃない、嫉妬くらい。亜美ちゃんは満点を狙い過ぎよ」


「だから、自分を嫌いにだけはなっちゃだめ」



あっ、ちょっと思わず力こぶが入ってしまった。
ともかくこんなふうに、過度の干渉は避けながらも、ここぞというところで助け合い、ときに厳しく叱咤する二人。そのような二人の関係性が、Act.34でのクラウンの夜のパーティーで完結する。



と、そんなところでいいかな。取りこぼしたエピソードがあったらコメント欄でご指摘ください。


3. 我に返るうさぎ


さあ話はまとまった、と言わんばかりに立ち上がるまこと。カメラはその動作を追いかけるように軽くジャンプして、うさぎがフレーム・イン。でも、うさぎは頭の中がタキシード仮面でいっぱいで話を聞いていない。


  


まこと「じゃあそうしよう。私も行くよ。タキシード仮面が狙ってくるかも知れないし」


  


うさぎ「……(「タキシード仮面」という単語に)えっ……」


  

うさぎ「私も行く!」


  


ル ナ「いいけど……」


  


ル ナ「タキシード仮面が敵ってことを忘れちゃダメよ!」


しばらく間が空いたので忘れられている方も多いと思うが、このAct.9は鈴村展弘監督が最初に手がけた回である。ここでのカメラワークの凝り方や、ルナの怒った様子の漫画っぽい表現も、いろいろ試して、どんな手法がこの作品のフェーズにうまくはまるか、確認するための作業なのでしょうね。
あとちょっとでAパートが終わるので、もう少し行っちゃおう。

4. ようやく一区切り


  

 翌日。レイの弟子になりすました亜美は、警戒厳重な成田物産社長の邸宅に姿を見せる。


  


成 田「どうもどうも。火野レイ先生の一番弟子とは心強いです!ありがとうございます。さぁさぁ、こちらへどうぞ。もうすぐ鑑定の青井先生がいらっしゃいますから」


  



亜 美(無言でメガネをきゅっきゅっ)


一方、うさぎとまことは変装して正面突破。


  


まこと「行こう!」


  


       ╳    ╳    ╳


  


まこと「ごくろうさまです!」


       ╳    ╳    ╳


  


うさぎ(おまわりさんばっかり。こんなところにタキシード仮面が来たら、捕まっちゃうよ。お願い、来ないで)


がしかし、そんなうさぎの心配をよそに、タキシード仮面らしき姿がよぎる。
ということでAパート終了。続きを待て!