実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第308回】DVD発売決定おめでとうの巻:北川景子『LADY』強化期間(最終回)

 

ただいま絶不調。仕事も休みました。私ってば子供のインフルエンザをもらっちゃったのかなぁ。なんとか週明けには復帰して、『LADY』強化期間完結編(最終回レビュー、総括および反省会)にしたいと思うので、数日お待ちください。

 

  
大好きな美優ちゃんと一緒にステージに立つのは7年ぶり



********(数日後)*********



というわけで、要らぬご心配かけてすみませんでした。完全復活、というほどでもないが、ともかく復活だ。
それにしてもアレだよ、私も寝込んでいたが、ほぼ同じ期間、関東地方に住んでいる老いた両親も、風邪で熱を出して寝込んでいたとのこと。そりゃ灯油は売っていないわ、夕方から深夜まで毎晩のように計画停電されるわでは、身体の弱っている年寄りは、たちどころに風邪ひくよ。これで夏にも計画停電が行なわれるようなら、私の実家ではどちらかが確実に死ぬ。いやウチだけじゃなくて、後期高齢者の住む家庭の死亡率はとっても上がるに違いない。
でも若い人は、夕方そうそう電気が消えたりするので、いろいろやったりしちゃった結果、来年あたりから赤ちゃんの出生率がいきなり上がって、戦後第三次ベビーブームが到来するかも知れない。あっ、そうすると現在の少子高齢社会が是正されて、国民がぐっと若返ることになるわけか。おまけに、今後も放射性物質が漏れ続ければ全国的に平均寿命がどんどん縮まって、私たち世代あたりからは、ほとんど定年を待たずして死んでしまうから、これで年金問題もきれいさっぱり解消してしまうじゃないか。
そうか、ひょっとして無策、無策と言われながら、政府はひそかに、この機に乗じてかなり周到な日本リセット計画を立てているのかも知れない。これはショッカーなんて目じゃないくらいの頭の良さである。
でもそうすると、このブログの寿命も、あと10年もないってことになる(そんなに続ける気だったの?)。ここのところDVDレビューのペースが落ちて、ほとんど1年1エピソードになりつつあるけど、なんとか第1クール終了まではやり終えたい。鴨川初デートで「オーバーレインボー☆ツアー」聴きながら力尽きる、ぐらいの感じがいいかもな。嗚呼でもまだ私、子どもたち独立と家のローンが……。
あごめん、湿っぽい話題になっちゃったね。本題に入ろう。『LADY』最終回である。

 

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注意
以下、完全ネタバレモードです
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まずは恒例、『中日新聞』3月25日のテレビ欄。結局オンエアされなかった3月11日の分は先日のブログでご紹介したとおりだ。あのときは写真が使われていなかったが、リターンマッチの今回は待遇が良くなった。カラー写真入りで紹介記事も前より長い。しかし残念ながらあかひげ薬局は撤退。肛門科の病院の宣伝に替わってしまった。

 

「終幕…もう一人の真犯人」
無事に救出された舞子(岡本杏里)だが、彼女は深刻な精神的ダメージを負っていた。翔子(北川景子)は、犯人に対して強い憤りを覚える。そんな中、翔子たちは、鳴海(風間俊介)が殺害された事件と10年前に起きた未解決の「女子高校生連続殺人事件」の手口が同じであることに注目。結城(木村多江)は翔子たちに、女子高校生連続殺人事件の捜査中に、翔子の父親・香月(鶴見辰吾)に協力を求めたことを打ち明ける。


今回は私も病み上がりなので、脚本家の組み立てた物語展開を追いながらレビューをまとめるだけの余裕もございません。いきなり犯人から割ってしまうと、真犯人はこの人だった。

今泉クリニックの精神分析医、今泉先生。北川さんの「父の研究室時代の同僚」として、いささか唐突に第5話に登場した、その出方からして「怪しい」と思われた方もいるだろうけど、そのまんまの展開であった。

 

最終回で明らかにされた事実をもとに整理してみよう。10年前、今泉の娘・詩織は、父親がかつて同僚だったよしみで、翔子や舞子とは時々一緒に遊んだりもする友達だったようだ。でも学校ではいじめに遭い、そのたびに通う学校を転々と替えていった。
何度目かの転校先で、幼なじみだった坂下志保からもいじめを受けた詩織は、ショックのあまり志保を殺してしまう。なぜか。生まれ変わらせるためだ。だから殺した志保をビニールテープでグルグル巻きにして、公園のネットにかけた。それは子供のころ大切にしていた繭玉を意味していた。この繭玉のなかでもう一度、いじめっ子から、親友だった頃の志保に生まれ変わって欲しい、という願望がこめられていたのである。

どうもこのドラマ、生き血を集めれば死者も復活するとか、背中を四角く切り裂いてスイッチを見つければ死んだ人が生き返るとか、繭にくるめば生まれ変わるとか、生命に対する考え方がワンパターンで安直で幼稚すぎるような気がするね。でもそれが犯罪者の「ファンタジー」なのだ、と言われれば仕方がない。
でもパパの哀川翔さんは、これを再生の儀式とは思わなかった。もっとストレートに、これはいじめっ子たちに対する娘の復讐だ、と理解したのである。
結局、心優しい詩織は、幼なじみの親友を手がけてしまった良心の呵責に耐えかね、父に真相を告げて、教会で自ら命を絶つ。それで父(哀川翔ですよ)は、心優しい娘が途中で断念したいじめっ子たちへの復讐を、自分が成し遂げようと決意する。そうすれば自害した娘への供養にもなる、とか思ったんだろうけど。
というわけで、10年前に起こった女子高校生連続殺人事件は、実は一件目が女子高生の今泉詩織、二件目以降がその父の犯行であった。グルグル巻の梱包に意味があったのは一件目のみで、二件目以降はその模倣でしかなかった。動機も厳密な意味では違うから、すべてを一連の殺人事件として扱おうとした捜査本部は、どうしても真相にたどり着けなかったのだろう。

そこで、当時プロファイラーの立場で捜査に加わっていた結城(木村多江)は、捜査資料を持ち出し、犯罪心理学の権威、香月教授(鶴見辰吾)に助言を求める。部外秘の資料を持ち出したのだから処分ものだが、そこは結城さんも若いだけあって、犯人憎しの情熱のあまり、やってしまった。
香月教授はおそらく、一件目と二件目の死体の違いに気づき、そこから問題を再検討して、しだいに真相にたどり着いていった。その結論が示すところによれば、犯人は自分の大学の同僚だった今泉、そしてその娘であるという。これは驚くよね。
なにしろ本人が近くにいるような感じもするので「レディ・キラー」という隠語を使って、真犯人を結城に伝えようとした香月教授だったが、感づいた今泉の返り討ちに遭う。そして研究室に火をつけられ、焼死ということにされてしまう。
以上が10年前の真相。

 

そして10年後の現在。「レディ・キラー」の計画が再び動き出す。
今泉がかつて香月教授を殺したのは、自分の犯罪を見抜かれたから消したということなのだろう。でもたぶんもう一つ理由があったと思う。それは一種のイデオロギー闘争みたいなものだ。
今泉はクリニックをやりながらさまざまな、社会の歪みに巻き込まれて心を病んだ人々を見てきた。その結果どのような考え方をもつに至ったか。最終回の彼のセリフを聞いてみよう。

「この社会は間違っているよ。詩織だけじゃない。私のもとには、多くのこの社会の犠牲者が訪れた。彼らの苦しみを和らげてあげたかったんだ。だから許した。“人を殺したいという衝動は間違っていない” と。彼らはこの社会が生み出した。この社会には彼らを受け止める責任がある」


まあそういうことだ。社会の犠牲者になった人には、復讐や殺人による愛情表現も許されるべきではないか。かれらをそこまで追い込んだのは社会なのだから、というわけですね。
でも香月教授は正統派なので、最後までそんな考え方を認めなかった。どれだけ社会が悪くても、どれだけその人が社会から不当な目に遭わされてきたとしても、殺人は許されるべきではない。それは、そうですよね。
今泉としては、香月教授が結局、自らのまっとうな思想にみじんの疑いも持たずに死んでいったのが気にいらない。それで娘である。娘の香月翔子は、父親も一目置くほどの特別な素質に恵まれていた。

「娘がね、このまえ言ったんですよ。“なぜ人は人を殺してしまうの?”って。……恥ずかしながら、私も答えられなかった。でも、あの子ならいつか答えを見つけられるでしょう。あの子は人の心に寄り添える。あの子なら、いつか犯罪をなくす手助けができるんじゃないかと期待しているんです」


この娘が美しく成長し、犯罪プロファイラーになった。その間、神経症の妹の主治医として姉妹の様子をうかがっていた今泉は、ようやく機が熟したことを知り、自らの計画を最終段階に進める。それは翔子の妹を誘拐事件に巻き込んだり、父の死の真相をばらしたりして「レディ・キラー」に対する翔子の憎しみを煽ることだ。優秀なプロファイラーである翔子は、いずれ真相にたどり着くだろう。その時に香月翔子は、犯罪者にならずにいられるだろうか。

「君は犯罪者の心に共感できる」
「共感なんてしてない。ただ行動を理解しているだけ」
「覚えているよ、殺したときのことを…」
「お父さんは君と舞子ちゃんの写真を握りしめて、一緒にメラメラと燃えていった」
「……そう、その目、その目だよ。その犯罪者の目……」
「いまの君なら私を殺せる。私の命は君の手の中にある」


今泉は逃げおおせるつもりなどない。自分の患者でもある爆弾魔の作った時限爆弾で吹っ飛ぶつもりである。爆弾はすでに、今泉自身の傍らにセット済みで、残り時間はもはや十数分しかない。しかし解除パスワードは、簡単なヒントと共に翔子に預けてある。だから翔子には時限装置を止めることができる。
しかしおそらく、彼女はパスワードを誰にも告げないだろう。今泉はそう予想している。もちろんそうなれば自分は爆死する。しかしその時こそ、自分の主張の正しさが証明される時だ。
今泉は娘を愛するがゆえに復讐の連続殺人を犯した。香月教授はそれを「きみのやっていることは愛情じゃない。ただの殺人だ」と否定した。しかし、翔子がいま、愛する父親の復讐のために今泉を見殺しにするならば、香月教授の言葉はほかならぬ愛娘に否定されたことになる。翔子は今泉の行為を反復し、最後の「レディ・キラー」となるだろう。「レディ・キラー」とは深い愛情ゆえに殺人を犯す者に冠せられる称号である。それが今泉の仕掛けたゲームの正体だった。
これってデヴィッド・フィンチャーの『セブン』(1995年)なんかと同系統の趣向だね。さあ北川景子はブラッド・ピットのように、自分を抑えることができないのでありましょうか。って、結果はみんな知っているわけですが。

「人は人を殺したって誰も幸せにはなれません。これまで殺人現場を見てきてそう思いました。私も、先生を殺したからといって、きっと幸せにはなれない。そう思います」


『LADY』というドラマは、配役も北川景子至上主義みたいな布陣になっているが、ドラマの中身もそれに劣らず、徹底して主人公ありきの構造になっている。父の香月教授は、翔子のことを「人の心に寄り添える子」「犯罪をなくす手助けができる子」と、ほとんど手放しで誉めたたえる。それに較べりゃ妹なんかただの添え物である。上司の結城は、翔子の繊細だがたぐいまれな才能を大事にするあまり、彼女自身が当事者である犯罪の捜査に巻き込んで傷つけてはならないと、父の事件をひた隠しにしてしまう。そして精神科医の今泉は、なんとか翔子をプロファイラーから殺人者の側へ転落させようと、自分の命をエサにしてまで策略を尽くす。誰も彼もが、翔子の才能を世界でいちばん美しい宝石のようにあがめて、それを守ろうとしたり汚そうとしたりする。そういう特殊な世界観が理解できないと、登場人物の行動がさっぱり理解できないという、なかなかやっかいな物語である。が、まあ北川ファンならこれに乗るのはそうむずかしいことではないだろう。
それでもなおかつ様々な疑問が残る。普段の私ならひとつひとつしらみつぶしに検討するところだけど、まあ、今回は病み上がりってこともあるので、こんなとこで勘弁してください。

 

でも前回殺された真鍋管理官の事件だけは謎すぎるので書いておきたい。この人をメッタ刺しにしたのはやはり哀川翔か?この管理官、息子がイジメにあったことがきっかけで今泉と知り合いになったことは分かったけど、それで結局、どういう役目を果たしたのだろうか?
第9話のラストで、柘植(ユースケ・サンタマリア)と藤堂(小澤征悦)は屋上でこんな会話を交わしていた。

藤堂「真鍋理事官を調べました。通話記録やパソコンデータなどの一部が意図的に消去されていました。何か他人には知られたくないやりとりがあった証拠です」
柘植「結城の情報漏洩に関しては?」
藤堂「一切、上には何の報告もしていませんでした。理事官の目的は、結城さんを処分することではなかったようです」
柘植「レディ・キラーだ」
藤堂「レディ・キラー?」
柘植「覚悟しとけ。大きな事件になるぞ」


警察を告発する妹宛の手紙も出てきて、なんかこの時の会話では「警察内部の腐敗が絡んだでかいヤマ」って感じだったんだけど、でも手紙の「犯人は警察の人」という言葉は、香月教授を事件にひっぱりこんだ結城さんを指していただけみたいだし、そうすると、結局さまざまな情報を哀川翔に横流ししていたのは真鍋理事官ってことになる。警察組織の内部では偉い人ってことになっているけど、ただの哀川翔のパシリだったのか久世星佳。いぶし銀のアランがこのような扱いで良いものか。

 

でもそういうことを言い出したらキリがないので、やっぱりこのへんで。
最後に、哀川翔が執拗に北川景子に絡む、もうひとつの理由ではないかと名古屋支部が考える物件を挙げておこう。これ。

この特徴あるメガネフレーム、お分かりになりますか?こちらをご参照いただければわかるように、このフレームは、哀川翔プロデュースの、その名も「SAMURAI SHO」というブランドなのである。しかしもちろん番組がプッシュしているのは北川景子プロデュースの「Vivid Moon」。

もちろんこっちは女物であっちは男物だから、まあ一つの番組のなかでも共存していられるのだろうけど、それにしても、タレントデザインのメガネフレームなんて狭い業界で競合しちゃっているのだから、それなりのライバル意識というものはあるだろう。このあたりがラストの緊迫感にも大いに影響を与えていると思うのだが、どうか。

 

いやいや、長くなっちゃったね。では最後に視聴率のおさらい。せっかくだから対照用のデータとして、小松彩夏さんがレギュラー出演していた日テレ水曜10時『美咲ナンバーワン!!』、そして私が今シーズン個人的に最も面白いと思った、日テレ土曜9時『デカワンコ』(土曜9時)』と並べて出しておこう。

  『デカワンコ』 『美咲No.1 !!』 『LADY』
第1話 13.0% 13.2% 13.8%
第2話 12.8% 12.5% 9.3%
第3話 12.1% 11.8% 8.5%
第4話 12.5% 10.4% 6.8%
第5話 12.7% 9.9% 10.5%
第6話 13.3% 9.9% 7.5%
第7話 13.1% 8.5% 8.3%
第8話 14.5% 10.0% 7.2%
第9話 12.7% 9.5% 7.0%
第10話 15.8% 9.4% 8.5%
平 均 13.31% 10.58% 9.36%

やったなあ、第1話の視聴率はダントツじゃないか!
じゃそういういことで。


本日のおまけ

ビニール紐で人形をグルグル巻きにしてレディ・キラーの気持ちに同化しようとする北川さん。第1話で、犯人の気持ちになりきるために自分で紙をむしゃむしゃ食っていたころと較べると、平岡祐太をその場にしゃがませてグルグル巻きにしたりしなくなったのは、やはり成長と呼ぶべきなんだろう。