しかし、30周年とか50周年とかならともかく、「第35作目記念」というのは、やや中途半端ですね。結局、10周年記念で制作された『仮面ライダーディケイド』が、同じ趣向で世間の好評を博したのと、スーパー戦隊同士が戦うカードアーケードゲーム「ダイスオー」が大ヒットしているのと、そういう大人の事情があるのだろう。まあともかく、予告編によれば、次週は木下あゆ美さんが久しぶりにジャスミン役で登場されるようなので、それはそれで嬉しい企画である。ちょっと目つきが「怨み屋」になっているような気もするが。
すでに第3話でマジレンジャーの人が出ていたし、どうもこの一年、ぽつりぽつりと過去の戦隊の人たちをゲストに招く趣向らしい。それがちょっと楽しみである。金子昇は出てくれるかも知れないが玉山鉄二は出ないかも知れない、とか、照英は自分から出たいと言ってくるんじゃないか、とか、永井大は本人のところにオファーが届く前に事務所にシャットアウトされるかな、とか、長澤奈緒は絶対出るだろうけど山本梓は、う〜ん声がかかっても出るかな、とか、中村知世にはそもそも声がかかるかな、とか、大穴でさとう珠緒が出ちゃうかも知れない、とか、福井未菜どこへいっちゃったんだよう(涙)とかね。完全に馬鹿である。
と、今回いきなり戦隊ものの話から始めた理由を、賢明な方々はお気づきであろう。4話までの『海賊戦隊ゴーカイジャー』の視聴率。
第1話「海賊戦隊登場!」(02月13日放送) 6.6%
第2話「この星の価値」(02月20日放送) 5.1%
第3話「勇気を魔法に変えて」(02月27日放送) 6.0%
第4話「何のための仲間」(03月06日放送) 5.6%
か、勝ってる!『LADY 〜最後の犯罪プロファイル』なんか、いままでの最低が第4話の6.8%である。あとは軒並み7%は確実に越えている。それに較べて『海賊戦隊ゴーカイジャー』どうよ。1度も7%を超えていない。最高視聴率だった第1話の6.6%でさえ『LADY』の最低視聴率に及ばない。圧勝だぜ。やったー!!!(仮面ライダーの視聴率については、都合が悪いので決して尋ねないで下さい。でも平均視聴率では勝っている。)
と景気よくなったところで本題です。出動!
1. スクラップ・ブックで振り返るEpisode. 6
(2月11日放送 関東地区視聴率7.5%)
第6話。『中日新聞』のいつもの番組紹介欄は「ものまね紅白歌合戦」に取られて、記事はとうとうどこにも載りませんでした。私はこのあたりで危機感を感じ始めたわけです。仕方がないので紹介記事風に書いてみますね。
「脱走犯を追え…最後の告白」
通り魔殺人犯(忍足修吾)が、護送中に警官の拳銃を奪って脱走した。翔子(北川景子)たちは事件の犯行現場で犯人のプロファイリングを行うが、新堀だけは同行せず犯罪行動分析室(CPS)にこもり、データのみによって犯人の潜伏区域を割り出し、捜査本部に報告する。だが犯人は新堀(平岡祐太)の予想とは異なる場所に姿を見せ、あらたな事件を起こす。
プロットはけっこう面白いと思う。ただの通り魔のつもりで捕まえた犯人に逃走されて、どこに潜伏しているか知るために事件をプロファイリングしたら、意外な犯人像が見えてきてしまったという。
それから今回は、冒頭に香月翔子(北川さん)の書いた論文が出てくる。タイトルは「FBI方式プロファイリングにおける心理分析の推論結果と行動数量化との関連」(『CPS研究紀要』第11号、2011年に掲載されているらしい)。
FBI方式の翔子のプロファイリングは、事例分析から得られた幾つかのパターンを基に、プロファイラーの個人的技量によって分析を試みます。一方、新堀のプロファイリングは大量の犯罪データと合理的な仮説を基に、統計ソフトや地図情報システムによって分析を試みます。異なるアプローチの2つのプロファイリングを、1つにまとめようと意図したのが翔子の論文でした。
2つの博士号を持つ新堀は、学会から優秀と認められた翔子の研究にジェラシーを感じます。そして、当初、自信を持って算出した行動予測が失敗し、その原因が分からぬまま、ふと手にしてめくった翔子の論文から、あることに気づきます。
「すべての謎は数字に隠されている。でも、そこから事実を見出すのは人間だけである」ということを。
つまり香月は帰納法推理、残りのメンバー、特に平岡祐太は演繹的推理の支持者で、この違いが、第2話冒頭「露出狂が2人組なんて95%あり得ない」に始まる2人の対立を生んできた、でもいまの香月はその両者の長所を活かした方法を論文にまとめるようになり、平岡も今回、それをあらためてじっくり読んで、その意義を理解して、次の回からは、マメに現場検証に出向くようになる。いよいよチームワークが固まったという、なんかいい話じゃないですか。問題は、ドラマを観ていてもそのへんの事情がさっぱり分からないところなんだが。
あと、平岡祐太が大学時代に振られた元彼女っていうのが北川さんにそっくりだった(二役)とか、それで平岡君も、北川さんに対してはちょっといろんな想いを抱いているようだとか、いろいろあるけど、先を急ごう。このエピソードでは久々に北川さんの説教が出る。
「データより、もっと大事なものがあるんじゃないですか。プロファイラーなのに、そんなことも分からないんですね。私なら自分のミスは自分で取り返す」
第1話でラストで思い切り北川さんの頬をはる木村多江を観て「さすがボス、やるなあ」と思っていたが、第6話ともなると、もう北川さんをコントロールできなくなってきている。
このドラマの木村多江さんはセーラーヴィーナスとまったく同じように、重い病気を隠しながらマーズと張り合っているようなんだけど、美奈子が設定上どれだけ衰弱しても小松彩夏がピチピチだったのとは対照的に、多江さんは見るからに病弱そうなので、これじゃ北川さんのようなじゃじゃ馬の手綱を取るのは無理だよ、と感じてしまう。このあたりからだんだんボスの地位が失墜して、第9話でとうとうみんなから背を向けられて、ますます可哀想な多江さんである。2. スクラップ・ブックで振り返るEpisode. 7
(2月18日放送 関東地区視聴率8.3%)
カラー紹介記事復活である。
「空白の23秒…殺人犯は刑事」
5年前の誘拐殺人事件の犯人の1人・三井(佐々木卓馬)が射殺された。使われた拳銃は当時の捜査の際、柘植(ユースケサンタマリア)が紛失したものだった。藤堂(小沢征悦)は翔子(北川景子)たち犯罪行動分析室(CPS)に残る誘拐殺人事件の犯人2人に加え、柘植も視野に入れて捜査をすると話し、CPSに柘植のプロファイリングを依頼する。
第2話の紹介記事で「ユースケサンタマリア」、第5話のときも「ユースケサンタマリア」、そしてこの記事と、これで三度目である。校正ミスではなくて『中日新聞』では「ユースケ・サンタマリア」の「・」を取って「ユースケサンタマリア」と呼ぶことになっているんだろうか。
日本人が芸名をカタカナ表記するときの一般的な常識として、普通の日本語表記と同じ「姓名」ならば「・」が入らず(例:イモトアヤコ、オダギリジョー、スガシカオ)、欧米風にひっくり返して名前が先に来る場合「・」が入るのが通例であると思う(例:アンジェラ・アキ、ディック・ミネ、マツコ・デラックス)。まれに「姓・名」でも「・」が入る場合もある(例:キダ・タロー)。何がなんだかよく分からない例もある(例:ガダルカナル・タカ)。キリがないのでこの辺にしておくが「ユースケ・サンタマリア」の場合、やはり「ユースケ」が名前だから「・」を入れるのが普通ではないかなあ。
ユースケは少年時代、自分の不注意で妹を誘拐され、死なせたという辛い過去をもっている。だから5年前に少女誘拐事件を担当したときには、尋常ではない熱意で事件を追った。だが、3人組の犯人たちを追い詰めたところまでは憶えているが、そこから先の記憶がない。殴られるか何かで気絶して、気がつけば犯人の1人はユースケの銃で射殺され、銃は奪い去られていた。
そのとき、ユースケの空白の記憶を探る命をうけたのが木村多江だった。で、今回は、その5年前の事件に密接に絡む連続殺人なので、キーパーソンはユースケである。CPSにはユースケのプロファイリングをして欲しい、という要望が来る。
……でもそれってプロファイルじゃなくて精神分析ではないのかな。またまたご登場願うが、この番組の「プロファイリング監修」をしていらしゃる桐生正幸先生も、こう言っておられるぞ。
犯罪者プロファイリングとは、犯罪現場に残された情報を分析することで、犯人特定につながる情報を提供し、捜査を支援するものです。警察庁の科学警察研究所では、「犯罪現場から得られた資料および被害者に関する情報等から、犯人の性別、年齢層、生活スタイル、心理学的特徴、犯罪前歴の有無、居住地域等、犯罪捜査に役立つ情報を提供すること」と定義しています。
ま、そういう問題もあるが、あとチェックポイントとしては「あくび」かな。
ユースケのプロファイリングを依頼しに、ふだんはCPSに冷たい捜査一課の藤堂壮一郎(小澤征悦)が、わざわざ出向いてくる。エレベーターで豪快にあくびをしていた翔子が、隣に乗り込んできた世界のオザワJr.に気づいてハッとするシーンが、まあ見所でしょうか。なんとか北川景子をかっこよく撮りたいと願っているスタッフの隙をついて、さばモグな変顔をこっそり見せてくれるところが偉い。
【おまけ】第7話オンエアの2月18日の『中日新聞』夕刊に載った記事。スキャンはStreamKatoさんご提供