実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第276回】本日またまたギブアップの巻(『夏の恋は虹色に輝く』篇)


小松彩夏さまご出演、月9ドラマ『夏の恋は虹色に輝く』は無事終了。お疲れ様でした。

これまでずっと、家族が寝静まってから「小松さん、どうだったかな」と(時間もないので)録画を飛ばし飛ばし観ていた。ドラマの鑑賞の仕方としてたいへん邪道である。私だってそんなことはしたくなかったんだけど、妻も娘も松本君にあまり興味がないんだよ。
でも最終回は、うちの妻も大好きなニノミヤくんがゲスト出演するというので、かなり気合いを入れてスタンバっていた。おかげで、最終回だけオンエアをリアルタイムで鑑賞できた。晩ご飯のあとかたづけをしながらだったけど。ありがとうニノミヤくん。私の家内はいつもあなたのことを応援しています。私も『黄色い涙』と『硫黄島からの手紙』のDVDを持っています。

さてそんなわけで、私、実はこのドラマの内容を十分に把握してないが、ともかく主人公の楠大雅(松本潤)っていうのは、大スターだった亡き父と同じ道を歩もうとする俳優のタマゴである。でも二世俳優のプレッシャーとか、性格が真面目すぎるとか、いろいろ問題があって、役者としてはなかなか大成しない。
それがようやく有名演出家(石橋蓮司)の目にとまり、彼が手がける『ハムレット』にチョイ役で抜擢された。で最終回は、その劇中劇の『ハムレット』の初日で、マツジュンが登場するほんのわずかなシーンがクライマックスだったのである。
彼の出番は4幕5場。『ハムレット』のあらすじは省略させていただくが、オフィーリアが発狂して、レアティーズが帰国するくだりで、そのレアティーズの帰国を告げる御者の役がマツジュンです。この場面は小田島雄志の訳をベースに使っていたようだが、松本君の台詞はちょっと変わったものであった。

  
御者「申し上げます、国王。すぐにもこの場をお立ちのきください。レアティーズが暴徒を率い押し寄せてきます。暴徒は彼を王と呼び、手を打ち声をあげて、レアティーズを国王にとわめき立てております。まるで彼らの空に突然、七色の虹が架かり、新しい世界が始まるかのように」

全体的にセリフをカットしたうえ「まるで新しい世界がはじまるかのように」(And, as the world were now but to begin)という台詞に「七色の虹」なんてキーワードが書き加えられていた。ちなみにもとのセリフはこう。

すぐにもこの場をお立ちのきください。
岸壁を越えて大地をひと飲みにしようという
荒波にもまさる勢いで、レアティーズが
暴徒を率い、護衛のものを蹴ちらして押し寄せてきます。
暴徒は彼を王と呼び
まるで新しい世界がはじまるかのように
あらゆるもののささえであり基盤である
古い制度、しきたりをかえりみず、口々に
「われわれの手でレアティーズを国王に」と叫び、
帽子を投げ、手をうち、声をあげ、天にもとどけと
「レアティーズを国王に」とわめいております。
      (小田島雄志訳『ハムレット』白水社)

これは、シェークスピアのセリフに勝手に手を入れた、というよりも「このドラマの世界の『ハムレット』はこういうセリフになっている」と受け取らなくちゃいけないんだろうね、きっと。
そのほか、この最終回の『ハムレット』の舞台は、なんか全体的に小ネタみたいな楽屋落ちがあちこちに仕掛けられていて、観ていて楽しかったです。
たとえば、この舞台の演出家である有栖川というキャラクターは、たぶん世界のニナガワとかのイメージで描かれているんだろうけど、それを演じているのは、かつては蜷川幸雄の、いわば「悪役仲間」で、1970年前後に現代人劇場→桜社と行動を共にした石橋蓮司。(だったらオフィーリアは緑魔子だろうと思ったあなた、私もそう思ったが、その考えは甘かった。)

ハムレット役には北村有起哉(このドラマの松本潤と同じく、父親が名優でしかも故人)を起用。小田島雄志が「to be or not to be」を「このままでいいのか、いけないのか」と訳したことは有名だが、ここでは普通に「生きるべきか、死ぬべきか」と言っている。だから全編通して小田島訳に基づいているわけでもないんだな。

そしてクローディアスには市村正親。何でまた、と思うが、よく考えたら『バンビ〜ノ!』で松本君と共演していたんだよね。

背後にはなぜか深田恭子と相島一之の『富豪刑事』コンビがいるが、別にこの場で、小道具のはずの剣が本物で市村さんが刺殺されるとか、そういう不可解な事件が起こるわけではない。深田恭子がプロデューサーか何かで、相島さんが演出助手か何かという設定らしいです。あやふやですみません。(深田さんがここで友情出演している事情については、下記コメント欄のStreamKatoさんの書き込みをご参照ください。)
実際には、市村正親は2001年、蜷川幸雄演出の『ハムレット』で主役を演じた。この時オフィーリアを演じたのは、それが市村正親との出会いとなった篠原涼子で、ハムレットの母ガートルード役は夏木マリだった。この夏木マリも今回のドラマの客席にいた。ちょっと怖かった。

そしてカーテンコールで、大雅(松本潤)が万感胸に迫る思いで客席を見渡すと、なんと死んだ父(伊東四朗)も拍手をしてくれていた。それを見てようやく、名優の息子というコンプレックスに苦しんでいた彼は、「父の亡霊」から解放され、自分なりの俳優としての第一歩を踏み出せたことを確信する。

演目がハムレットだけに父の亡霊が出てくる、という落語のサゲみたいな終わり方であった。

 

いや、これじゃ終わらないんだ。基本は松本潤と竹内結子のラブストーリーだもんな。初日がはねた後の客席で、マツジュンはシングルマザーの竹内結子とお互いの気持ちを確かめ合うんだけど、それを遠くから見守るのがお兄さんの沢村一樹とお母さんの松坂慶子。

これまで竹内結子の行動を遠くから監視する沢村一樹のストーカー行為が、オペラグラスから双眼鏡、双眼鏡から望遠鏡とエスカレートしていった様子については、このブログで報告してきたが、まさか最後に、こんなふうにオペラグラスを使うための伏線だったとは、お見それしました。
沢村一樹は、父と同じ道を歩んだ弟(松本潤)とは対照的に、硬い職業を選ぼうと学校の先生になった。有名芸能人の家庭に育ち、華やかな虚飾の裏側のあれこれを見て育ってしまったがために、芸能界には近づこうとしない人である。でもそのわりにナンパ。そんな彼が、真面目で可愛くてセクシーでボブで「将来の夢は可愛いお嫁さん」なんていう小松彩夏を、それまでと違う目で見るようになったのが前回、そして今回は、早くも「結婚を前提に」(なんて台詞はないが)的な感じで、小松さんを『ハムレット』観劇に誘う。
小松さんを紹介されて「息子にこんな可愛い彼女が」と喜ぶ松坂慶子。人気の絶頂期に結婚して引退した往年の名女優という役どころにふさわしく、美しく艶やかですね。

そんなわけで、市村正親や松本潤と同じ舞台には立てなかったもの、客席にはしっかり居た『バンビ〜ノ!』組の小松彩夏、なんだかんだとけっこういいポジションで、『ブザー・ビート』に続く2度目の月9、お疲れ様でした。

 

一方、私のほうは(特に知りたい方もおられませんでしょうけど)確か少し前に、9月も下旬になれば仕事が楽になるとか書いたように思うが、はっきり言ってぜんぜん楽にならない。今回も本編(念のために言っておきますが、実写版セーラームーンDVDレビューのことです)に入る前に力尽きた。
なんか一回おきに同じ言い訳を書いているみたいで済まないが、そんなこんなでまた次回。

 

「太陽はどっちだ?」「雨上がりなのか?」「どうしてこういうふうに虹が出る?」とか考えないように。フィクションですからね。



【作品データ】『夏の恋は虹色に輝く』第10話(最終回)/2010年9月20日OA/制作著作:フジテレビ
<スタッフ>プロデュース:三竿玲子/脚本:大森美香/演出:澤田鎌作/協力プロデューサー:保坂賢一郎/プロデュース補:西田久美子/協力プロデューサー:保原賢一郎/演出担当:小原一隆、星野和成/制作担当:中山裕隆、尾崎友康/制作主任:菅村実雪、石鍋京子/スケジュール:田中孝幸/編成:松崎容子、大川友也/演出補:関野宗紀/記録:沖宏美、荒澤志津子/音楽:延近輝之/主題歌:嵐「Love Rainbow」(ジェイ・ストーム)/挿入歌:YUI「Please Stay With Me」(ソニー・ミュージックレコーズ)/選曲:藤村義孝/音響効果:猪俣泰史/MA:高橋昌之/撮影:小松忠信、長谷川論/TD:高津芳英/映像:阿部友幸/照明:清水智/音声:渡辺満裕/編集:松尾浩/ライン編集:大方泉/技術プロデューサー:佐々木宣明、長谷川三和/美術プロデューサー:安藤典和/デザイン:アベ[木+青]木陽次/美術進行:杉山貴直/大道具:西田裕一/操作:黒川兼一/建具:阿久津正巳/装飾:福田健太郎/視覚効果:菅谷守/衣裳:佐藤七/スタイリスト:野村昌司、吉田由紀、松田綾子/メイク:宮崎香、在間亜希子/持道具:倉田めぐみ/電飾:白鳥雄一/アクリル装飾:白勢篤史/植木装飾:原利安/生花装飾:牧島美恵/フードコーディネーター:住川啓子/VFX:富士川祐輔/方言指導:小林節子/タイトルバック:高野善政/タイトルロゴ:海老沢正敏/編成:大川友也/広報:加藤麻衣子/スチール:新開雅哉/ホームページ:丸谷利一/広告宣伝:高木伸介

 

<キャスト>楠大雅:松本潤/北村詩織:竹内結子/青木久雄:松重豊/楠真知子:松坂慶子/北村海:小林星蘭/楠大貴:沢村一樹/宮瀬桜:桐谷美玲/植野慶太:笠原秀幸/伊良部譲:永山絢斗/鳩間新市:小倉一郎/志賀光治:大下源一郎/山本とし子(家政婦):猫田直/野崎佳奈:小松彩夏/三池蒼空:井上瑞稀(ジャニーズJr.)/北村春樹:塚本高史/北村君江:市毛良枝/有栖川正志:石橋蓮司/中川:相島一之/劇団員:河内喜一朗/夏木マリの若いツバメ:白石隼也/奈々(学童のママ):新妻さと子/中村(劇団員):川名陽介/落合(劇団員):大沼遼平/陽菜(海の同級生):春日香音/太郎(海の同級生):中西龍雅/森下恵一:市村正親(友情出演)/持永アリサ:深田恭子(友情出演)/赤木俊平:北村有起哉(ハムレット役者)/メアリー植野(有名な歌手):夏木マリ/照明係:二宮和也(友情出演)/楠航太郎:伊東四朗(特別出演)/CASTY/テアトルアカデミー/劇団東俳/劇団ひまわり/セントラル子供タレント/キャロット/スマイルモンキー/ジョビィキッズ/フジテレビクラブのみなさん

 

<協力>撮影協力:結城市フィルム・コミッション、結城市民文化センターアクロス、(株)結城市文化・スポーツ振興事業団、晴海客船ターミナル、Dining Darts Bar Bee、高萩市フィルムコミッション、晴海ふ頭公園/協力:ファン、バスク、スポット、ハーフトーンミュージック、エルエーカンパニー、青年座映画放送株式会社、成ロケーションサポート