実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第201回】最近の北川景子さんをめぐる傾向と対策の巻



小松彩夏さんの作品。題はたぶん「大好きな焼き肉」

 

えーと本日は白倉伸一郎著『ヒーローと正義』書評の後半を書くつもりでいたが、その本題に入る前のマクラにしようと思って書き始めた話題がいつまでたっても終わらなくなったので、書評は中止。次回に回すことにした。ある種の現実逃避である。

1. 「肉食女子」とは、焼き肉が好きな女子のことではない


焼き肉のごときオヤジ系ぎらぎら下ネタ話が満載のこのブログとは縁の遠い話だが、いま若い女の子たちの間では「草食男子」なんて言葉が流行っているそうですね。Wikepediaなどによると、この言葉のルーツは、深澤真紀さんが日経新聞社のHPに連載しているオンラインコラムだそうです。

かつて、男性にとって、恋愛とセックスは「積極的」(ガンガンいく)か、「縁がない」(もてない)かの、大きく2つに分かれていました。
現在U35男子の中には、この2つのパターン以外に新しい人種が誕生しています。
それは恋愛やセックスに「縁がない」わけではないのに「積極的」ではない、「肉」欲に淡々とした「草食男子」です。
   (深澤真紀「U35男子マーケティング図鑑 第5回「草食男子」2006年10月)

なるほど。もっとも、私としては「U35」という概念があることの方が驚きだったな。
このコラムは翌年に単行本として出版され(『平成男子図鑑』日経BP社、2007年6月)さらにその翌年には『non-no』(2008年4月5日号)が「男子の「草食化」でモテ基準が変わった!出会い「4月革命」に勝利せよ!」という特集(すげぇタイトルだな)を組んで、「草食男子」という言葉と、対をなす「肉食女子」という言葉は徐々に浸透していった。「肉食女子」なんて言われると、つい、ブログに焼き肉の写真ばかりアップしている小松彩夏を連想してしまうが、もちろんそういう意味ではなくて、こっちから男を狩りに行くような積極的な女性のことだ。
さらにそれから一年経った現在、『non-no』はすでに「草食男子はもう古い! イマドキBOYSは雑食メンズ 」なんて特集を組んで(4月17日号)新しいトレンドを作り出そうとしているが、「雑食メンズ」はさすがに流行りそうもないね。世間じゃまだまだ「草食男子」「肉食女子」が健在だ。先日はこんな記事が話題を呼んだ。

昨今、耳にするようになった言葉「草食男子」。異性に縁がないわけではないのに、自分から積極的に求めるわけでもなく淡々としている男性をあらわす言葉で、最近20代〜30代に増えているという。一方で、恋愛や結婚相手を積極的に「狩り」に行く「肉食女子」という言葉も脚光を浴びており、現代における新たな「男女のあり方」が見えてきそうだ。
そこで、結婚相手紹介サービスを展開する株式会社パートナーエージェント(新宿区・代表取締役 佐藤 茂)では、30代の未婚男女400名に向けて「草食男子と肉食女子に関する意識調査」を実施した。
「草食男子」「肉食女子」でイメージするタレント、そして「草食男子&肉食女子」でイメージする有名人カップルを挙げてもらったところ、草食男子タレント第1位は男女ともに(堅実で恋愛しなくても平気そう・中性的・自我がなさそう)などの理由で「草彅剛」を選んだが、男性が2位以下を大きく引き離した圧倒的多数で選んだのに対し、女性は僅差で2位に(優しそう・植物っぽい・役柄がそうだから)という理由で「瑛太」を選んでいる。これは「草食男子」という言葉の知名度が高い女性の方が、そこからイメージするバリエーションも多いからとも考えられる。
また、肉食女子タレント第1位は男女で意見が分かれ、男性は(恋愛報道が常にある・積極的)として「山本モナ」を、女性は(女豹という言葉がよく似合う・色気がある)として「杉本彩」を選ぶ結果となった。「肉食女子」を、男性はスキャンダラスなイメージで捉え、女性はセクシーなイメージで捉えているとも言えそうだ。
(パートナーエージェント社ホームページ内「PAリサーチVol.4」2009年3月)

3月初旬の記事なので、今だったらクサナギさんのポジションが少々代わってくるかも知れないが、そんなことより、さすがは我らがベリル様である。確かに「杉本彩」さえ挙げてくれれば、「肉食女子」という言葉の意味は、もう余計な説明ぬきでズバリとわかるな。しかもアンケートで同性の支持を得ているところも深い。
いや話がずれた。えーと何だっけ。ポイントは、現時点で「肉食女子」という表現にはポジティブな印象の方が強いようだ、ということだ。ほめ言葉なのである。

2.「お茶漬け男子」と「サバもぐ女子」



で、私が「草食男子」「肉食女子」と聞いてまずイメージしたのは「谷原章介」と「北川景子」である。続いてイメージしたのは「黄川田将也」と「北川景子」である。
いや実際のところ『モップガール』の長谷川桃子も『ハンサム★スーツ』の星野寛子も、キャラクターとしては特に肉食系ではない。が、谷原章介の隣にレイアウトするとアラ不思議、肉食感が出るのである。『Dear Friends』の場合、もともとリナもDJ洋介も肉食っぽいキャラクターだが、黄川田くん本人のイメージが爽やかすぎて、こっちは「草食」に配置される。そもそも元基だし。

そういえば2008年10月に、『ハンサム☆スーツ』の舞台挨拶のイベントで、北川さんが確信犯的に塚地くんにキスしたという事件があったが(笑)、ここにも受け身な相手を「食っちゃう」的な肉食性を感じる。あと最近ではハンカチ王子というのもあった。これも草食系で、だから相対的に北川さんの肉食女子的イメージもアップする。

また、しばらく前には『ヒートアイランド』の共演者、城田優くんとどうのこうのというウワサが週刊誌に載った。証拠写真として各方面で取りあげられた物件が、実は北川さん自身が旧ブログに掲載した写メだったのには笑ってしまったが、ともかくこれもぎりぎり「草食男子」「肉食女子」関係が成立する、と思う。
いや城田優は「草食」じゃないだろう、と思われる方がいるかも知れないが、彼は黒木マリナ時代のセーラームーンミュージカルでタキシード仮面を演じている。私の見解では、地場衛をこなせる男は基本的に全員、草食属性をもっているはずである。そういう意味で、トレンド的には渋江譲二にも現在かなり運気が向いていると思うのだが、だからといって「この期に乗じて一気にブレイクしよう」と積極的になったりしないのが草食男子の草食男子たるゆえんなので、痛し痒しである(近況については、ひろみんみんむしさんの5月1日付「渋江譲二くん出演情報」を参照のこと)。
さて、テレビで『真夏のオリオン』のCMが始まった。私が観たバージョンでは北川景子は声しか出てこないんだけど、相手役は玉木宏である。永谷園のお茶漬けだ。これはばっちり「お茶漬け男子」と「サバもぐ女子」、いやいや「草食男子」と「肉食女子」の組み合わせだ。
ことここに至って、私は、ようやく「なるほど」と思った。ご存じのように北川さんに関してはこれまで、ジャニーズ系の子とか、あるいは今ここに挙げたハンカチ王子や共演俳優など、様々なイケメンを「食った」という話が定期的に流出している。そしてそれは、芸能レポーターや写真週刊誌がスクープしたというよりも、むしろ事務所が意図的に流したように見える場合が多い。
話題作りや知名度アップということを優先的に考えるならば、それはそれでひとつの戦略であろう。しかし、そんな話題でメディアへの露出が増えて有名になっても、そのぶん背負うマイナスイメージとか、同性からの反感とかのリスクもあるのではないか。それに本人があのキャラクターだ。万が一「エリカ様の二の舞」という展開になったときの、事務所の危機管理体制はしっかりできているのだろうか。私はそんなふうに危惧していた。
しかし最近は、いい男の草食化に対応して、女子の肉食化はポジティブな評価を得ているのであった。何しろ女性の間でのランキング1位が杉本彩というのだからすごい。こういう状況においては、北川さんが人気男性タレントの誰それを食ったという話題も、場合によっては、むしろ人気アップにつながる可能性がある。時代が肉食系の女を求めている今、北川景子には追い風が吹いているのだ。何だかすごい状況になってきたね。
おそらく事務所の話題づくり戦略も(って、一連のゴシップの出所が事務所だと決めつけているが、どうもそうとしか考えられない)そういうトレンドを見切っての深慮遠謀に基づいているのであろう。実際、これだけいろんな人との浮き名を流されつつ、北川さんのイメージは、特に「スキャンダル女優」みたいにならないままで、今も普通に人気上昇中なのだ。こうなると、要らぬ心配をしていた私の方が浅薄であった。すまん。
こうなってくると唯一の問題は本人である。【第194回】の冒頭に書いたように、ゴシップ記事が話題になるたび、本人はけっこう本気で傷つき怒っているように見える。私も、大学を卒業して社会に出たばかりの女の子(というのとはちょっと違うかも知れないが)をつかまえて、恋愛とかその辺の微妙な問題に関してプライバシーをあれこれつつくのは、原則として非常に良くないと思う。たとえ相手が芸能人であろうと、そして、スキャンダルをむしろネタにできるくらいの芯の強さをもった人であろうと、そしてサバもぐであろうとね。もちろんプライバシー以外の部分で露出を増やすのは(ビキニで写真を撮影するとか)本人が嫌がらない限りどんどんやっていただきたいが。

3. ヒロインは「むしろ醜女に近い」と文庫本の解説にも書いてあったと思う


さて北川景子さんが主演する時代劇『花のあと』についても、また少し書いてみたい。べつだん新しい情報はない。M14さんのブログのコメント欄に散らばっている情報を、備忘録代わりにひとつにまとめておきたかっただけです。

『花のあと』 2010年春公開予定
 原作:藤沢周平 
 脚本:長谷川康夫 飯田健三郎
 監督:中西健二
 プロデューサー:小滝祥平
 出演:北川景子 甲本雅裕 佐藤めぐみ
 製作:『花のあと』製作委員会 東宝・テレビ朝日・ディスティニー



こんなところかな。脚本家については憶測だが、『山桜』も『真夏のオリオン』もこの二人なので、たぶん同じだと思う。東宝とテレビ朝日についても憶測だが、たぶんそうなんじゃないかなと思う。なんて結局あやふや。撮影監督はだれだろう。山本英夫だと嬉しいんだが。
キャスティングは、この三人が出ることが、ロケに参加された方のブログにうっかり書いてあったが(笑)、配役はどうか。北川景子がヒロインの以登(いと)であることは間違いないだろう。甲本雅裕がちょっと分からない。以登が想いをよせる剣豪の江口孫四郎の可能性もあるが、失礼ながら、ここにはもうちょい看板となるイケメンが配されるようにも思う。おそらく、以登の許婚(いいなづけ)である才助あたりではなかろうか。
以登にはこの結婚相手がいるのだが、ひそかに江口孫四郎に恋をしていて、だから孫四郎から手合わせ(剣の、ですよ。念のため)を申し込まれたときは、けっこう胸がどきどき。結局、試合には負けるんだけど、いい思い出に残る。ところが、このあこがれの孫四郎が結婚して、しかも嫁の加代は別の男と不倫していることが分かる。しかも不倫相手の奸計にはまった孫四郎は……って、映画を楽しみにしている人もいるのに、あんまり筋をばらしてもいけないか。この、北川さんがあこがれている男の嫁、実は不倫女を演ずるのが佐藤めぐみさんかなあ。
まあいいや。ともかく、この映画の北川景子さんに関して、私がいまのところ気にしているポイントは以下の2点である。


(1)ヒロインの造形:実は原作が手元にないので(書店で見つからなくて、先日図書館で借りて読んで返した)間違っていたら済まないが、ともかく原作のヒロインの以登のルックスは水準以下で、はっきり言えば「不美人」に近い。まあ好意的に「個性的な顔立ち」と言い換えてもいいが。しかしいずれにせよ、どういう観点からも「美人」とは一言も書かれていない。にもかかわらず、その凛としたキャラクターと一途な想いにつられて頁をめくるうち、読者はヒロインの魅力に引き込まれている、というあたりが、さすがは藤沢周平の醍醐味なんだけれど、問題はその映像化である。
そもそも今回、北川景子という「美女である」ことでは非常に分かりやすい美女が、なぜこの原作のヒロインに選ばれたのか。(a)「確かに美人なんだけど、なんか昨今のできあいのアイドルにはない、妙なクセがある」(b)「時代劇に似合う古風さがあり、しかも<色白で細面><やや目が釣りあがって><口が大きい>なんていう原作の描写をクリアしている」、(c)「モップガールで見せた変顔とかサバもぐとかのテクニックを駆使すれば<美人なのにヘンな顔>を表現できる」だいたいこのくらいの理由がぱっと思い浮かぶが、危険なのは最後のひとつだ。確かにモップガールの北川さんは、相変わらずとびきりの美人なのに、ヘン顔とボケを連発することによって、会社の誰からも口説かれず、相手にもされず、まして谷原章介からは忌み嫌われてすらいる、というシチュエーションに一定の説得力をもたせていた。
しかしその手は、モップガールだからこそ使えたのだ。藤沢周平のファンはおおむね、時に激しいチャンバラがあっても、作品の根底には、常に一種の静謐さが流れ続けていることを理解しているし、愛している。そこへ変なドタバタ劇を持ち込めば、多くの敵を作ってしまうことになる。監督さん、まさかとは思いますが、前半でヘン顔など、モップガールのコメディエンヌ芝居を北川さんにやらせるつもりでいるのなら、そんなことは極力やめておいたほうがいいですよ(ほとんど余計なお世話)。


(2)回想シーン:原作は、すでに68歳になった以登が、孫を相手に、18歳の自分の淡い恋物語を、孫に聞かせる回想形式になっている。特に美人でちやほやされていたわけでもない一人の女性が、おばあさんになってから、自分の一世一代の恋というか、自分がいちばん美しく輝き、熱く燃えていた頃のことを回想し、語って聞かせるわけですね。その、回想のなかの数え年18歳のヒロインを演ずるのが北川さんなわけだが、とすると、68歳の祖母(ばば)は、誰がやるのか?
実はまもなく公開される『真夏のオリオン』も似たような構成になっていて、まず現代から話が始まり、それから戦時中に時間を遡っていくらしい。北川さんは、双方の時代をつなぐ語り部として、プロローグとエピローグの現代編と、戦時中を舞台にした本編のどちらにも出演しているようだ。でもこの映画の場合は、代役ないし特殊メイクは必要ない。現代の孫娘の北川景子が、おばあさんの若い頃と瓜二つにそっくり、というだけだ。
一方『花のあと』の場合、本編のヒロイン以登は数え年18才の若い娘だが、プロローグとエピローグでそれを回想する現在の(語り部の)以登おばあさんは数え年68である。ここんところをどうするのか。(a)「プロローグとエピローグの過去を回想するシーンはいっさい省いて、物語全体を現在形で語る」(b)「北川景子を特殊メイクでお婆さんにする」(c)「お婆さんの以登役には別の女優を起用する」。
(a)は、少なくとも原作のテイストを少しでも伝えたいと思うなら、取るべきではないと思う。まずはおばあさんになったヒロインの回想から入っていかないと。(b)については、『Dear Friends』の特殊メイク以来の北川景子の化けっぷりに期待する向きもあろう。私も、これはこれで、NHK大河ドラマの最終回に匹敵する「ヒロインのばばあぶり」に期待したいとは思う。だがいちばん気になるのは、やはり(c)だ。「年老いた北川景子」を、どうせだったら大物に演じてもらって、北川さんにハクをつけたいわけですね。こちらとしては。
野際陽子クラスがを演じてくれれば、それはそれで十分すごいことではあるが、ここは夢はおおきく「ケイコ」つながりで岸惠子とか、あるいは草笛光子とか、いっそ吉永小百合とか、あのへんどうか。中村玉緒でもいい。まだ私自身考えがまとまっていないので、これはと思う方がいたら、みなさんコメント欄に書いてくださいね。


この物語、原作では、四季折々の情景描写を挟みながらゆっくり時間が進んでいく。私の勝手な憶測だが、ドラマ部分はすでに撮り終えたのに、公開が来年の春なのは、撮影スタッフがこれから年明けまで、夏、秋、冬の自然の推移をカメラに収めていって、本編に差し挟むためなのではないだろうか。
ラストシーンは春、もう散り始めようとする満開の桜を見上げ、青春の終わりをかみしめるヒロイン。ひらりと舞った一片が北川さんの顔にかぶるあたりでストップモーション。ってことになると、アニメ『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』のラストシーンにソックリだ。ていうか、この秋に、クレヨンしんちゃんを実写でリメイクした『BALLAD 名もなき恋のうた』が公開される(監督:山崎貴、出演:草彅剛、新垣結衣、武井証ら、2009年9月5日公開予定)。クサナギ君の事件は公開時期に影響しないようだから、下手すると『BALLAD 名もなき恋のうた』の新垣結衣と、この映画の北川景子が比較される、という事態になるかも知れない。そうするとどうなるか、とか考えているんだが、もう夜を徹してしまって、『シンケンジャー』は終わって『ディケイド』も始まっているので、何かまったくまとまりがありませんけど、今回はこれくらいで。


次回こそはブックレビューの後編をお届けします。たぶん。