実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第196回】DVD第2巻:Act. 5の巻(その13)


沢井美優さんは先日のブログで、自分の身体で気になる部分はどこか、という話題を挙げ、基本的にマイナス思考はしないようにしているんだけど、あえて言うなら「目の下のクマ」だと書いていた。そうだったのか。ドラマで不幸な役を演じたり暗い表情をつくるときに、必要以上に陰惨な感じになってしまうのは、その辺にも原因があるのかなあ。
しかし、だとすれば、やはりこの方の自己認識は相当なものだ。世間じゃ歯グキがどうとか、太ももがどうとか、プルプルとか言っている人もいて、普通の女の子だったらコンプレックスを感じるだろうが、彼女は違う。どうしてかっていうと、これらは「沢井美優」のイメージ(明るく健康的なスポーツ美少女)を損ねるものではないからだ。でも「目の下のクマ」は、そういうのとはちょっと違うマイナス要素だ。だから、人に見られる仕事をしている以上はどうしても気になる。だいたいそういうことだと思う。誰かみたいに「賃金が発生する労働をする上で」なんて小理屈をこねずに、ほとんど本能で、自分の商品価値を客観的に把握できているのだ。
さて、名古屋支部では以前から、NHK教育の「ニャンちゅうワールド放送局」のアシスタント役に沢井さんを推奨していた。ネズミ猫のキャラクター、ニャンちゅうの相方はほぼ2年おきに入れ替わるので、この春の改変期がチャンスだった。でも結局、そのポジションは柊瑠美さんに持って行かれてしまった。それから、これはローカルな話題だが、FM愛知はこの3月いっぱいで、FM東京制作・三井住友ビザ提供の「Amitie du weekend」を放送するのを止めてしまった。まあ大半の回が、東京のお店を紹介する情報番組で、名古屋ではちっとも役に立たない。だから打ち切り、という判断は客観的に正しい。しかし寂しい。
そんな寂しい話題が重なるなか、沢井美優は海外へと飛び立ってしまった。何だろう。彼女の身に何か大きな転機が訪れようとしてるのか。それとも新らしいDVDか写真集のための撮影か。
さて本題だ。とぎれとぎれのAct.5レビュー、どこまで行ったかな。

1. 「戦う」と「中学生日記」の成分比はおよそ1:7


「PGS文化スクール」の陶芸教室の展覧会が行われている会場に行け。そこの講師が持っているペンダントが、ひょっとして「幻の銀水晶」かも知れない。
そうルナから指令を受けたレイとうさぎは、さっそく会場に潜入し、二手に別れて調査を始める。でもそれらしき人の姿も見えないまま、ぐるりと一周して、再び顔を合わせる。「どうだった?」とうさぎが尋ねようとしたその時、何かの気配を察知したレイの表情に緊張が走った。「妖魔よ!」いきなり走り出すレイと、後を追ううさぎ。
 陶芸展会場からさほど遠くない雑木林。セーラーマーズとセーラームーンに変身し、駆けつけた二人の目に飛び込んだのは、木の枝に足を挟まれて身動きがとれないまま、ポヨン妖魔の餌食になりかかっているマーキュリーの姿だった!
……って以上ここまでは例によって、特に台本を参照にしているわけでもなんでもなく、勝手な想像で場面を補った「前回までのあらすじ」である。さあいよいよ終盤だ。
なかば観念しかけて目をつむるマーキュリーに、ステッキのようなものを振りかざして、必殺の一撃を加えようとするポヨン。が、飛んできたムーン・ティアラ・ブーメランがその顔面を直撃する。ハッとして目を開けるマーキュリー。駆けつけたセーラームーンとマーズは、マーキュリーをかばうように立ってポヨンをにらみつける。

セーラームーン 「よくも亜美ちゃんを」
セーラーマーズ 「おしおきよ!」

ここでのポイントはふたつ。まず、倒れたマーキュリーのもとにセーラームーンとマーズが走って駆け寄る動き。素早さを強調するためか、ちょっとコマ落とし風のスピード再生になっている。こういう趣向は、シリーズ後半にはあまり見られなくなっていったと思う。もう一点は、ちょっと変な見方だが「待ちなさい!」がないこと。これは以前「実写版の待ちなさいリスト」という訳の分からない表を作成したとき(第124回)ふと思った。必要ないならともかく、ここでの「マーキュリーのピンチに駆けつける戦士二人」なんて、状況的には「待ちなさい」にうってつけである。なのに、セリフはなしで、とりあえずムーン・ティアラ・ブーメランを投げつけるのだ。なぜか、といろいろ考えてみたが、たいした解釈は浮かばなかったので、まあいいか。代わりにマーズの「お仕置きよ」が決まっています。北川さんの発声はちょっと力みすぎですが。
で、登場するやいなや、「ムーン・トワイライト・フラ〜ッシュ!」と「妖魔ぁ、退散!」の同時攻撃で、一瞬にしてポヨンを撃破。バトルはこれで終わり。短いね。【第135回】で確認したとおり、放送当時のビデオだと、亜美の変身が午前7時48分、妖魔をやっつけるのが7時54分と、ざっと6分の間の出来事だが、これはBパートとCパートの間に流れたCMも含めた時間である。DVDでもう一回チェックしてみようか。

16分42秒 クラウンでへこむうさぎの元にルナから電話がかかる
16分50秒 PGS文化スクールの展覧会場前に立つうさぎとレイ
18分40秒 遅れてやってきた亜美が妖魔を発見、変身バンク開始
19分13秒 Bパートが終わりCパートが始まる(実質的なバトル開始)
21分15秒 駆けつけたセーラームーンとマーズがポヨン妖魔を秒殺

亜美が変身してから妖魔が倒されるまでの正味の戦闘シーン時間は2分半。マーキュリーが極意をつかんだり危機一髪になったりするのでそれなりの長さにも感じるが、そんなものである。また、うさぎのテレティアが鳴ってから、ポヨンが破裂するまでの、事件全体の正味の時間だって、およそ4分半しかないのだ。実写版は毎回およそ25分で、うち主題歌(1分半)と予告編(1分弱)を引くと、本編22分半になる。22分半のうち、戦士としての活動を描いたのが4分半で、残りの18分が学園ドラマである。そしてバトルそれ自体は2分半しかない、ってことだ。
すごいね。M14さんを始め、このエピソードを「戦う中学生日記」と呼ぶ人は結構いる。小林靖子自身がインタビューで「ときには『中学生日記』っぽい話も出てきたりして」と言っているのも、たぶんこの話と考えても良いと思う(【第143回】の「4. チーム!」参照)。その「戦う中学生日記」の成分比を考えると、「戦う」の部分はたった2分半で、「中学生日記」の方が実に18分を占めているのだ。
脚本家小林靖子の、各キャラクターの掘り下げに対する情熱は、現在放送中の『侍戦隊シンケンジャー』でもいかんなく発揮されている。それでもスーパー戦隊にはスーパー戦隊のフォーマットというものがしっかり存在するし、バトル→勝利→敵の巨大化→合体ロボット発動というおなじみのパターンを毎回消化するだけでも、まあざっと4〜5分は取られるのではないか。そう考えると、妖魔ともダーク・キングダムともまるで関係ない学園ドラマに18分を費やす実写版というのは、やっぱり脚本家と演出家の情熱がメルトダウンして起こった異形のドラマだったという気がする。そこが、いつまで経っても我々の心をとらえる最大の要因だ。

2. いきなり腰砕けのエンディング


と、ここまで書いているだけでほとんど徹夜してしまったので、すいません後サックリ行きます。ポヨンが破裂して、その後タキシード仮面が、まあ一応お約束だから、という程度の消極的な登場をした後、今回のお話で最も重要なシーンがやって来る。

マーズ「大丈夫?」
セーラームーン「亜美ちゃん、痛い?どうして助け呼ばなかったの?もっと早く来れたのに」
マーキュリー「うさぎちゃん、私……」
セーラームーン「あ、その呼び方の方が亜美ちゃんらしくて好きかも」
マーキュリー「うさぎちゃん、レイちゃん」



アニメ無印は、第8話「天才少女は妖魔なの? 恐怖の洗脳塾」で亜美、第10話「呪われたバス! 炎の戦士マーズ登場」でレイが登場してから、第25話の「恋する怪力少女 ジュピターちゃん」でまことが登場するまで、第2クールを中心とする15話を三人体制で通した。何度か書いたように私は、実写版のスタッフも、もうちょい余裕があれば、ジュピターとセーラーヴィーナスの登場を第2クールまで引っ張って、前半は三人戦士で通す、という、戦隊ものでいえばハリケンジャーやゲキレンジャーのパターンをやりたい気持ちがあったんじゃないかと思う。でも諸般の事情でそうも言ってられず、すぐ次のAct.6でまことが転校してくることになっていた。そういうわけで三戦士のエピソードはAct.4とAct.5に絞られたんだけど、Act.4は、セーラーマーズが「仲間」になるまでの話だったから、レイが「仲間入り」を認めてからの三人のお話、ということになると、このAct.5が唯一となる。そういった問題と、このエピソードへのスタッフの気合いの入り方とは、あんがい関係があるのかな、とも思っている。


すっすまん、夜中の12時回った頃から書き始めて、とうとうプリキュアが始まる時間になってしまった。あと幾つか、アニメ版との比較などの話題があるんだが、もう1回、機会を改めてレビューするほどの内容でもないし、後は考察用に用意した画像をザザーッと紹介して、Act.5レビューは終わりってことにしておきます。

実写版Act.5のラストと、アニメ無印第8話「天才少女は妖魔なの? 恐怖の洗脳塾」のラスト。セーラー戦士となった亜美は、屋上で「うさぎちゃん、改めてよろしくね。悪い奴らを倒すために、一緒に力を合わせて戦いましょうね」と握手を求めて、うさぎをタジタジさせる「なんか、とってもしっかりしている。負けそう……」。同じ十番中学の屋上という場所で、亜美のイメージがアニメ版と実写版で対照的なのは、実写版スタッフの狙いか?

ついでに屋上からの景色。実写版では、ルナが「来るわ、ハードボイルドなセリフ回しの、4人目の戦士が」とつぶやいている。アニメ版は東京タワーまで見えていて、つねにスモッグで(?)紫がかっている。私なら、都会は都会だけれども、アニメ版ほどゴミゴミしていない感じの、実写版の十番中学に通いたいなあ。

次回予告に出てくる、Act.6本編で未使用に終わったショット。まことに試供品のリップを塗ってあげようとするうさぎのシーンはカットされたんだろうけど、照れて逃げ出すまことがカワイイので本編で観たかったよ。あと、東京のどっかの街並みで振り返るまこと。新宿とか池袋とかそんな感じがするけど、間違っていたらすみません。早朝の撮影だったんだろう、アスファルトの路面をカラスがうろうろしている。こっちは最初から予告編専用に撮影した素材だと思う。リアリズムを追求する佐藤健光監督だったら、ゴミ袋をつつくカラスのショットまで撮って本編に使用していたかも知れないので、この撮影が舞原監督でよかったよかった。
舞原監督といえば浜千咲の奴隷ということになっているが、安座間さんにも最初からけっこう入れ込んでいたんじゃないか、というのが当ブログの見解だ。この未使用シーンの多さは、それを裏付ける資料に、ならないかな。
まあ予告編はまた、Act.6本編のレビューで機会があれば触れることとして、Act.5レビューはこれでおしまい。なんか最後は端折った感じになってすみません。次回はAct.5音楽リストだ。たぶん。