実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第172回】実写版エピソード別使用楽曲リスト:Act.4の巻


その建設会社の会長はスーパージャイアンツで、社長はシルバー仮面。二人は派閥あらそいの真っ最中。スーパージャイアンツは空を飛べるが、シルバー仮面だって、いざとなったら円谷プロのお家芸で巨大化できる、という、余談を許さない状況。会長を守りたいが、等身大の変身さえできない専務の名探偵金田一耕助は、自らの限界を感じて辞表を提出。その動向を影でスパイする美脚の女秘書は、手鎖人の逃れ者おりんではないか。何を狙っているのか。
おりしも入社した新入社員は、これまた何か思案ありげな天下りエリートに身をやつした仮面ライダー響鬼と、暴走族あがりバリバリ体育会系のタイムレッド。タイムレッドが配属された部署では「脚本:小林靖子」つながりで、すっごくスタイルの良いセーラージュピターがOLをやっている。ゴタゴタしているわりにはなんか楽しそうな会社で、私も勤めてみたいなあ。安座間さん、初回はちょうど良い感じで、ちゃんとお芝居だってできているじゃない。実写版の一年で得たものはちゃんと活きている。スタッフのみなさん、これからも毎回、夜の飲み会のシーンを入れて私服姿を披露してください。私、土曜の朝はなかなか観られなくて……。はっ、こんなヨタ話をしていると、またそれだけで日記が終わってしまいそうだ。
さて、これまでこのブログでは、戦士のみなさんのお誕生日には何か特別企画をやることにしていたんだが、10月生まれの二人については、現在ちょっとネタ切れである。どうしたもんかなあ。とりあえず泉里香さん、もう20歳ですか。おめでとうございます。モデルもいいけど、女優ももね。
と、これだけでまことに申し訳ないのだが、予定を一週間おくれてAct.4のBGMリストです。Act.4のあらすじをうろおぼえの方はひろみんみんむしさんのこちらで。

 

【いつもの凡例】

  • 「No.」の最初の2桁は話数(Act)、後半3桁は整理番号を示す。たとえば[04001]ならば「Act.04で001番目に流れた曲」という意味です。
  • 「M番号」は、BGM収録時につけられた録音番号。BGM全曲リストは【第168回】の表をご参照ください。
  • 「DJM1」はアルバム『DJMoon1』(2004年2月18日発売)[CD12]の略(CD略号、収録曲目の詳細はこちら)。なお『DJMoon』シリーズは、しばしば短いBGMを、何曲かまとめて1曲扱いする。そのような場合の混乱を防ぐために、このリストではトラックタイトルの後に(1)(2)(3)をつけておく。たとえば[04002]の曲は、<DJM1-15「おしゃべりルナ(1)」>である。これは『DJMoon1』のトラック6「おしゃべりルナ」の1番目の曲という意味。
  • 「RTC」は3枚組メモリアルCDボックス『MOONLIGHT REAL GIRL』のDisc 1.『Rare Track Collection』[CD15]を指す。『DJMoon』シリーズに未収録のBGMを集成したアルバムである。

 Act.4 劇伴リスト

No. シチュエーション M番号・イメージ CD番号・トラック名
04001 【アヴァン】前回のおはなし M18「セーラーマーズのメイクアップ」 DJM1-21「セーラーマーズにメイクアップ」
04002 【Aパート】クラウンで話すうさぎたち M27「ルナ」 DJM1-15「おしゃべりルナ(1)」
04003 ダーク・キングダムのベリル様 M35「力」 DJM1-29「ダーク・キングダム」
04004 ネフライト初登場 M30「ダーク・キングダム」 DJM1-30「クイン・ベリル様」
04005 神社で炎を見つめ、不吉を感じるレイ M43「絶望」 DJM1-12「悲劇の主人公(1)」
04006 池袋西口「パーティーに潜入捜査だね」 M2「明るい家庭」 DJM1-2「うさぎのたのしい1日(2)」
04007 うさぎは話に夢中で地場衛にぶつかる M37「驚き」 DJM1-33「地場衛ことタキシード仮面(1)」
04008 普通の人間に扮するネフライト M30B「ダーク・キングダム(B)」  (CD未収録)
04009 レイに出会うが、相変わらず冷たい M23B「セーラーヴィーナス(B)」  (CD未収録)
04010 仮装パーティーの衣裳を思案するうさぎ M22「セーラージュピター」 DJM1-9「私はお姫様(3)」
04011 仮装パーティー会場 ドヴォルザーク『新世界より』第4楽章  
04012 火野レイの赤影参上 M37「驚き」 DJM1-33「地場衛ことタキシード仮面(1)」
04013 桜木財閥ユカお嬢様ご挨拶のBGM    
04014 パーティー会場で露木DJが活躍中    
04015 ネフライトがサボテン妖魔を放つ M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
04016 タキシード仮面に抱きつくクマうさぎ M17「いとしのタキシード仮面」 DJM1-23「憧れのタキシード仮面(2)」
04017 パーティー会場の建物を偵察中の亜美 M46「潜入」 RTC-10「抜き足差し足忍び足、ソロリソロリ」
04018 亜美とレイの初めての対話 M23B「セーラーヴィーナス(B)」  (CD未収録)
04019 タキシード仮面に邪険にされるうさぎ M4「恋心」 DJM1-8「心細い一人のお留守番(1)」
04020 悲鳴が聞こえ、駆け出す亜美とレイ M47「アクション」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(2)」
04021 お嬢様の身体からサボテン妖魔出現 M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
04022 亜美、マーキュリーに変身 M15「セーラーマーキュリーのメイクアップ」 DJM1-19「セーラーマーキュリーにメイクアップ」
04022 レイ、マーズに変身 M18「セーラーマーズのメイクアップ」 DJM1-21「セーラーマーズにメイクアップ」
04023 マーズの妖魔退散「待ちなさい!」 M31「四天王の行動」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(2)」
04024 ルナから妖魔出現の連絡でうさぎ出動 M49「危機」 DJM1-12「悲劇の主人公(3)」
04025 【Bパート】ツタの絡まるセーラーマーズ M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
04026 うさぎは熊の着ぐるみで変身できない 「キラリ☆セーラードリーム」  
04027 うさぎまで触手に絡まる M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
04028 着ぐるみを脱いで「仲間っていいなあ」 M23B「セーラーヴィーナス(B)」  (CD未収録)
04029 レイ「そうだ!水野さん」場面は屋上に M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
04030 うさぎもようやく変身 M13「セーラームーンのメイクアップ」 DJM1-18「セーラームーンにメイクアップ」
04031 戦士とサボテン妖魔、3対3の戦い M34「妖魔の行動」 DJM1-31「ダークキングダム四天王(2)」
04032 「マーキュリー・アクア・ビーム!」 M15「セーラーマーキュリーのメイクアップ」 DJM1-19「セーラーマーキュリーにメイクアップ」
04033 サボテン妖魔は倒されてもすぐに復活 M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
04034 同時攻撃を試みる三人 M3「セーラー戦士の戦い」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(1)」
04035 またしても復活するサボテン M31「四天王の行動」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(2)」
04036 再び同時攻撃「せーの」 M3「セーラー戦士の戦い」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(1)」
04037 三たび復活するサボテン「またぁ?」 M31「四天王の行動」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(2)」
04038 美奈子の曲にあわせて作戦開始 「C'est la vie 〜私のなかの恋する部分」  
04039 今度こそ同時攻撃 M3「セーラー戦士の戦い」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(1)」
04040 レイ「やった!」 M42「希望」 DJM1-34「さて、次回は(3)」
04041 ネフライトVSタキシード仮面 M34「妖魔の行動」 DJM1-31「ダークキングダム四天王(2)」
04042 ビルから落ちそうになるセーラームーン M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
04043 【Cパート】スティックから不思議な光が M22「セーラージュピター」 DJM1-9「私はお姫様(3)」
04044 「C'est la vie」を歌うセーラームーン M19「セーラームーン」 DJM1-16 「不思議な魔法のアイテム(1)」
04045 去って行くタキシード仮面は敵か味方か M43「絶望」 DJM1-12「悲劇の主人公(1)」
04046 三人並んでエンディング M23「セーラーヴィーナス」 DJM1-34「さて、次回は(1)」

 

疲れた。曲数が多いよ。実は仮装パーティー会場で、くまの着ぐるみのうさぎがタキシード仮面に抱きつくあたりは、妖魔を探す亜美とレイの二人の場面と小刻みに切り替わって、そのたびバックにはダンス・ミュージックが流れているのだが、悪いけどそれは省略させてもらった。それでもBGM使用回数は、これまでで圧倒的に最多の46回を数えている。
高丸監督の音楽の使い方については、【第170回】でAct.3を分析した結果以上に、特に言うことはない。ただだいぶ前の回で引用した、実写版選曲担当の金成謙二さんの「高丸監督はコメディが得意なので、曲数的には多くなる。音楽が出て止まって、出て止まって、という繰り返しを好んで使うんですよ」という指摘は、前回Act.3よりも、このAct.4に顕著に見ることができる。特にサボテン妖魔出現から戦闘シーンにかけて、その傾向は露骨にあらわれる。妖魔が優勢になればM38「危機」あるいはM31「四天王の行動」が、セーラー戦士が反撃する際には各戦士の変身テーマおよびM3「セーラー戦士の戦い」なんかが、カットが変わるたび、ほとんど効果音のように頻繁に入れ替わる。ちょっとやりすぎかもね。

 

このAct.4後半のアクションシーンについて、私は、なんか実写版のなかではいちばんアニメ版っぽいよな、と思って、以前のレビューにそう書いた。妖魔のツタ、クマの着ぐるみを使ったうさぎのボケ、そして美奈子ソングにあわせての同時攻撃といったコミカルな仕掛けが次々に出てくるせいだ。
でもその後「失はれた週末」の分析を読んで、なるほどと思った。登場人物たちの行動原理は、しっかり筋が通っている。自分だけに妖魔を察知する能力があることを自覚しているレイ。目先に妖魔が現れようと、その先にある任務を忘れない冷静な亜美。持ち前の天真爛漫さで、かたくなな仲間の心を解いてひとつに結びつけてしまう、不思議な魅力をもったうさぎ。この三人のキャラクター設定から、レイが不吉な予兆をおぼえ、一足先に行動開始して妖魔の機先を制し、出鼻をくじいたその隙に、亜美が最も重要な「幻の銀水晶」(かも知れない青い水晶)を確保し、そして遅れてきたうさぎが、美奈子の歌を手がかりに仲間同士の結束を固めてチームを勝利に導く、というアンサンブルがおのずと出てくる。脚本的には、きちんと理にかなった構成になっているのだ。このことも、もう書いたか。
なのに、画面を追っていると、まるで「今回はコミカルなアクションにする」という前提のもと、個々のアイデア先行で話の展開が組み立てられているかのように感じられてしまう。その理由は何より演出にあるが、BGM選曲も演出の一部である。今回、音楽という観点からAct.4をおさらいして気づいたのは、数々のBGMが「このキャラクターが出てきたらこの曲」「こんな場面はこの曲」みたいなシンプルかつ機械的な法則性に基づいて使われている点だ。それが楽曲数の多さの原因であると共に、画面にことさらアニメ的な印象を与えているんじゃないだろうか。アニメの音楽って、だいたいそういう紋切り型の使われ方が多いよね。もちろん、「キラリ☆セーラードリーム」のBメロから入ってすぐに回転落とし、なんて荒技が、そういうコミカルな雰囲気に拍車をかけていることは言うまでもない。
まあしかしあれだね、最初に放送を観たときには、どう受け止めていいか困惑したアクションシーンも、今となっては不思議に魅力的だ。かつて『M14の追憶』は、最初期にあたるAct.1からAct.4までの実写版アクションを「氷河期」と名づけた(2004年12月20日「進化する戦闘シーン(前編)」参照)。確かにあのバレエ風アクションは、今も観ていてときどき心がひんやりしてくる。しかしその一方で、あのクルクルひらひらや「ヴィジュアルコレオグラファー」という耳慣れないネーミングに、何かこう、新たなものを創造しようとする熱意がみなぎっているのも事実だ。ライダーや戦隊と違い、変身後も顔出し状態で、したがってスタントにも限界があるなかで、美少女戦士らしい新しいタイプのアクションをどう作っていくか、ジャパンアクションのみなさんや彩木映利さんやG-Rocketsのメンバーは、みんな思案を重ねたことだろう。そんなスタッフの意気込みが通じたからこそ、戦士たちもみんな真剣に取り組んで、その結果、浜千咲は負傷し、常にさばモグスピリッツを忘れない北川景子は勢いあまって肩を脱臼したんだろうね。今回改めて全編を見ていたら、そういうクリエイティブな現場のエネルギーが、以前よりくっきりと画面から伝わって来たような気がする。
あとオマケ。今回の「拾いもの」(未発表曲)は[04008]。四天王の登場シーンによく使われるBGM(M30「ダーク・キングダム」)だが、メロディがなくドラムだけ、というパターンだ。CD未収録バージョンのM30Bである。
それから[04038]。仮装パーティー会場から、うさぎのリクエストした「C'est la vie 」が流れてきて、それにあわせて三人の戦士がサボテンを同時攻撃する場面だが、ここでは美奈子の歌声にあわせて、うさぎ・亜美・レイ三人の歌がオーバーダビングされている。このバージョンはここでしか聴けない音源だろう。

 

ということで、もういちど、浜千咲あらため梨華あらため泉里果あらため泉里香さん。20歳の誕生日おめでとうございます。我々の前に復帰してくださったこと自体がすでにひとつの奇蹟ですが、奇蹟ついでにこの際もうひとつ、ドラマでも映画でもいい、女優としてのカムバックにも期待しております。お祝いにはいささか遅すぎますが、次週から新しいAct.5のレビューを、DVDを観ながらやってみますね。