実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第170回】実写版エピソード別使用楽曲リスト:Act.3の巻

黒木マリナさんは1988年9月26日生まれなんだそうだ。弱冠12歳で故・神戸みゆきさんの後を継いで4代目セーラームーンになった彼女も、昨日20歳になられた。そうか、もうハタチかあ。おめでとうございます。セラミュ終了後も、舞台とサンリオをベースに着実に仕事をこなされて立派です。これからのお仕事ぶりにも期待しています。

1. それぞれの秋


話はぜんぜん変わるが、昨日9月26日には『逃亡者おりんSP』の後編「烈火の巻」も放送された。2006年から2007年にかけて放送され、話題を呼んだレオタード時代劇の、2回に渡る特別編である。後編の今回はデカイエロー(木下あゆ美)がゲスト出演した。いやデカイエローはレオタードにはならないよ。凛とした男装の剣士姿が魅力的でした。
その木下あゆ美の前年の戦隊ヒロイン、アバレイエロー(いとうあいこ)は、間もなく始まる東海テレビの昼ドラマ『愛讐のロメラ』で主役をつとめる。この番組には我らがマスター(渋江譲二)もレギュラー登場する。さらにその前年の戦隊ヒロインにしてスペイン語のお姉さんハリケンブルー(長澤奈央)は、今度は映画『春琴抄』の春琴である。
などなど、秋は色々と注目の番組や映画が目白押しだが、やはり我々にとっていちばん気になるのは金曜ナイトドラマ『サラリーマン金太郎』である。主演は小林靖子作『タイムレンジャー』のタイムレッド(永井大)、そしてさっき触れた逃亡者おりん(青山倫子)も出演するうえ、何よりも、みなさんご存じのように、安座間さんが久しぶりに女優として出演するという、話題満載の作品だ。みんな当然観るよね。
で、かつて『モップガール』がオンエアされていたころ、M14さんは、テレビ朝日「金曜ナイトドラマ」で『モップガール』を観て、次にテレビ東京の「ドラマ24」の『死化粧師 エンバーマー』を鑑賞する、という、かなり不毛な金曜夜の過ごし方を提唱されていた。いや提唱ではなく、ただひとりで実践されていただけか。ともかく、それにならって私は今回、この秋の金曜夜は、「金曜ナイトドラマ」で『サラリーマン金太郎』、次に「ドラマ24」で『メン☆ドル 〜イケメンアイドル〜』を観て過ごそう、っていう提案をしたい。

2. 深夜の期待たかまる


この『メン☆ドル』というドラマの内容については、実は私、よく知らない。知っているのは、AKB48のメンバーが三人くらい出て、堀北真希の『花ざかりの君たちへ』みたいな男装ものの要素も加わったサスペンスで、多岐川華子さんも出演する、ってことぐらいだ。ではM14さんのような華子様ウォッチャーでもない私が、なぜこの番組に注目するのか。どうやら高丸雅隆が監督として参加するらしいのだ。
高丸監督、今年は、金曜ナイトドラマ『キミ犯人じゃないよね』のプロデューサー、そして今回の『メン☆ドル』と、最近、仕事が深夜枠の方にシフトしてきたようである。
もともと高丸監督は、1990年代にはフジで『成田離婚』(1997年)とか『ニュースの女』(1998年)とか、ゴールデンタイムのドラマを担当していた人だ。それがテレビ朝日の『サトラレ』(2002年)を経て実写版セーラームーン(2003年〜2004年)や『仮面ライダー響鬼』(2005年)に参加し、特撮ドラマもレパートリーとするようになる。そしてテレビ東京『美少女戦麗舞パンシャーヌ』(2007年)のメイン監督として全13話中6話を担当し、シリーズの屋台骨を支えた。どのように支えたかというと、パンシャーヌ(最高視聴率2.7%、最低視聴率0.8%)を監督した3人のなかで、唯一視聴率が1%を割らなかったのも高丸監督なら、唯一2%を越えたのも高丸監督である。ぷぷっ。いや笑っちゃいかんよ。
一方で、つい先日も秋分の日(2008年9月23日)にフジテレビ『世にも奇妙な物語 2008年秋の特別編』の一篇「死後婚」を担当しているから(主演:深田恭子/脚本:中村樹基/演出:高丸雅隆)ゴールデンタイムのドラマとも別に縁が切れたというわけではなさそうだ。かなり守備範囲の広い人なのである。
今日のブログはAct.3のBGMを考察するので、高丸監督について、ちょっとだけ詳しい解説を試みた。とにかく10月から金曜の夜は『サラリーマン金太郎』を観て、それから『メン☆ドル 〜イケメンアイドル〜』だ。名古屋は放送時間帯が違ってくるから、そううまく行くか分からないが、関東の方はぜひ。繰り返すが、『メン☆ドル』には多岐川華子さんが出演される。高丸雅隆めが、華子様のお出になるドラマの監督をするみたいですよ、どうですか。ふふふ。

3. Act.3使用BGM一覧


前置きが長くなってすまない。以下はその高丸雅隆が初登場したAct.3のBGMリストである。Act.3ってどんなお話だったっけ?と言う方は、ひろみんみんむしさんが最近ブログであらすじをまとめてくださったのでご参照ください(ここ)。最後の方に書いてある制服についての考察は、今までありそうでなかった視点なんじゃないかと思う。まあともかく、放送が4年も前に終わった今でも、新しいレビューを書く人がいるというのだから、やはり実写版はすごいドラマだったんだよ。


【凡例】

  • 「No.」の最初の2桁は話数(Act)、後半3桁は整理番号を示す。たとえば[03001]ならば「Act.03で001番目に流れた曲」という意味です。
  • 「M番号」は、BGM収録時につけられた録音番号。BGM全曲リストは【第168回】の表をご参照ください。
  • 「DJM1」はアルバム『DJMoon1』(2004年2月18日発売)[CD12]の略(CD略号、収録曲目の詳細はこちら)。なお『DJMoon』シリーズは、しばしば短いBGMを、何曲かまとめて1曲扱いする。そのような場合の混乱を防ぐために、このリストではトラックタイトルの後に(1)(2)(3)をつけておく。たとえば[03002]の曲は、<DJM1-6「のんびりうさぎの一日(1)」>である。これは『DJMoon1』のトラック6「のんびりうさぎの一日」の1番目の曲という意味。
  • 「RTC」は3枚組メモリアルCDボックス『MOONLIGHT REAL GIRL』のDisc 1.『Rare Track Collection』[CD15]を指す。『DJMoon』シリーズに未収録のBGMを集成したアルバムである。

 

 Act.3 劇伴リスト
No. シチュエーション M番号・イメージ CD番号・トラック名
03001 【アヴァン】前回のあらすじ(マーキュリー誕生) M15「セーラーマーキュリーのメイクアップ」 DJM1-19「セーラーマーキュリーにメイクアップ」
03002 【Aパート】クラウンのカウンターで古幡と亀吉 M8「ボケ」 DJM1-6「のんびりうさぎの一日(1)」
03003 クラウンで第1回セーラー戦士クイズのBGM    
03004 ルナが「幻の銀水晶」やセーラーVについて語る M27「ルナ」 DJM1-15「おしゃべりルナ(1)」
03005 火川神社境内を歩く女子生徒に妖魔の手が迫る M43「絶望」 DJM1-12「悲劇の主人公(1)」
03006 妖魔の気配を察知して一点を凝視するレイ M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
03007 お昼休みに事件の噂をするうさぎたち M9「ダイエット」 DJM1-6「のんびりうさぎの一日(2)」
03008 「一緒にお弁当食べよ」と誘われても遠慮してしまう亜美 M42「希望」 DJM1-34「さて、次回は(3)」
03009 帰り道「ルナがいない間に、私たちだけでぱっぱーっと妖魔をやっつけちゃおうか」 M5「遊び」 DJM1-7「お買い物に大忙し(1)」
03010 異空間に拉致された少女たちとプロペラ妖魔 M9「ダイエット」 DJM1-6「のんびりうさぎの一日(2)」
03011 ダーク・キングダムのベリル「わらわもそう寛大ではない」 M30「ダーク・キングダム」 DJM1-30「クイン・ベリル様」
03012 うさぎはレイの落とし物を届けに恐る恐る火川神社にやって来る M46「潜入」 RTC-10「抜き足差し足忍び足、ソロリソロリ」
03013 夜の月野家でママのうさぎの騒ぎに亜美はドン引き M5「遊び」 DJM1-7「お買い物に大忙し(1)」
03014 夜の街を疾走するセーラーVと後を追うルナ M24「セーラーV」 DJM1-27「セーラーV」
03015 火川神社で同級生たちにいじめられるレイ M11「涙」 DJM1-13「女の子は、時々淋しいの(1)」
03016 突き飛ばされたレイを見かねて仲裁に入るうさぎ M6「夢」 DJM1-9「私はお姫様(1)」
03017 火川神社で護摩を焚くレイ M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
03018 【Bパート】結婚式場「万寿閣」のうさぎと亜美「巫女さんにチェーンジ!」 M2「明るい家庭」 DJM1-2「うさぎのたのしい1日(2)」
03019 万寿閣でBGMに流れる邦楽    
03020 うさぎと亜美は巫女姿のレイを見かける M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
03021 どこかで女性の悲鳴が聞こえた! M47「アクション」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(2)」
03022 お札を投げるレイ「悪霊退散!」 M37「驚き」 DJM1-33「地場衛ことタキシード仮面(1)」
03023 空中から妖魔の腕が伸びてレイとうさぎを拉致する M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
03024 うさぎの変身 M13「セーラームーンのメイクアップ」 DJM1-18「セーラームーンにメイクアップ」
03025 セーラームーンと妖魔の戦い M31「四天王の行動」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(2)」
03026 レイのブレスレットが光り出す M19「セーラームーン」 DJM1-16「不思議な魔法のアイテム(1)」
03027 【Cパート】亜美も変身 M15「セーラーマーキュリーのメイクアップ」 DJM1-19「セーラーマーキュリーにメイクアップ」
03028 レイのブレスレットが光り出す(続き) M19「セーラームーン」 DJM1-16「不思議な魔法のアイテム(1)」
03029 レイの初変身 M18「セーラーマーズのメイクアップ」 DJM1-21「セーラーマーズにメイクアップ」
03030 セーラーマーズの戦い M3「セーラー戦士の戦い」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(1)」
03031 倒したはずの妖魔の触手がセーラームーンの足に M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
03032 タキシード仮面がセーラームーンを助ける M26「タキシード仮面のアクション」 DJM1-33「地場衛ことタキシード仮面(2)」
03033 無言で去っていくタキシード仮面の後ろ姿 M17「いとしのタキシード仮面」 DJM1-23「憧れのタキシード仮面(2)」
03034 「やっと分かった。私に力が合った理由」 M23B「セーラーヴィーナス(B)」  (CD未収録)
03035 ダーク・キングダムでベリル様はお怒り M35「力」 DJM1-29「ダーク・キングダム」
03036 「レイちゃんが仲間になったことだし、パーティーしようか」 M2「明るい家庭」 DJM1-2「うさぎのたのしい1日(2)」
03037 「私あなたたちの仲間になったつもりはないんだけど」 M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」

ちょっと前にCD楽曲リストを作成したとき、コメント欄で万丈さんが「変身携帯テレティアSの音が入っているCDがない」と書かれていた。そう言われてみれば、ここまでの初期のエピソードでは、うさぎや亜美がテレティアで「ヘンシーン」するとき、短いジングルのようなメロディが流れる。単なる効果音とはちょっと性格が違うので、これもBGMの一種としてリストに入れた方が良いかなあ、と少し迷ったが、すでに作成したAct.1とAct.2では取りあげなかったので、今回も止めにした。消極的な理由ですが、すみません。


さて、まだほんの1話分のリストを作成したに過ぎないが、とりあえずここから高丸監督のBGMの使い方の特徴らしき点をいくつか挙げておこう。

  • まず、とにかく楽曲使用量が多い。田崎監督のAct.1およびAct.2では、それぞれ25例のBGM使用シーンを数えたが、今回は37例である。ではどうしてこれだけの差が出たか。たとえばAct.2とAct.3の冒頭を比較してみよう。Act.2、うさぎは、初めて入ったクラウンの秘密の部屋で、さっそくルナから戦士の使命についてのレクチャーを受ける。でも部屋の内装やカラオケシステムに気を取られて聞いちゃいない。そこでAct.3冒頭の「第1回セーラー戦士クイズ」の場面で、うさぎは再度、ルナからプリンセスや「幻の銀水晶」のことを説明される。同じような状況の繰り返しであり、ただの基本設定の解説シーンで、まあ、特にBGMで雰囲気をつける必然性はない。実際、Act.2では、うさぎがカラオケで『C'est la vie』を選曲するまで、音楽は一切流れない。しかしAct.3では、ルナが説明を始めるとBGMがかかって、それはルナが語っている間ずっと続く(03004)。流れているのはルナのテーマ(M27)。ルナがしゃべっているから、場面の色づけに使った、というところだろう。こういう用例があるので、いきおいBGMの量が増える。
  • また、複数のBGMを短く切ってつなげる、というケースもやや目立つ。Act.1やAct.2でも、ドラマのテンポが速まる後半の妖魔との対決場面などでは、いくつかのBGMが矢継ぎばやに使われているが、Act.3では、そうではない場面でも、複数のBGMを、合間を置かずに続けて使用している。たとえば、異空間の森で、拉致した「聖なる七人の少女達」を並べて何だか嬉しそうに踊るプロペラ妖魔の姿に重ねてM9。そこにジェダイトの声がかぶり、場面がダーク・キングダムに移ると、音楽はすぐにM30「ダーク・キングダムのテーマ」に切り替わる、とかね(03010〜03011)。あるいは万寿閣(結婚式場)のシーン(03020〜03022)。巫女さんにチェンジしたうさぎと亜美が式場内を歩いて、レイの話をしていると、当のレイが目の前を横切る。そこで、ふだんは妖魔登場のBGMに使われることの多いM38がジャーンと流れる。うさぎが「どうしてここに…」とつぶやくと、どこかから「きゃーっと」女性の悲鳴が聞こえる。そのタイミングでBGMはテンポの速いM47「アクション」に替わり、うさぎと亜美は悲鳴のした方向に走り出す。式場の外では倒れた巫女を前にたたずむレイ。駆けつけた二人は「レイちゃん、何してるの」「もしかして、妖魔!?」しかしレイはそれに答えず、二人の背後に向かって「悪霊退散」とお札を投げつける。すると渦巻きかけていた木の葉が散らばる。と同時に、M37「驚き」の、最後のフレーズだけが流れる、という具合だ。この一連のシーンでは、女性の悲鳴をはさんだ前後のBGMが、合間を置かずにつなげて使われているところや、最後のM37を、曲の頭から流して途中で切るのではなく、お終いの部分だけを使ったりしているところが印象的だ。
  • でも、そんなふうにいろんな音源を小刻みにつなげる一方で、逆に場面が転換して話が進んでいくところで、ずっと同じBGMを流す場合もある。たとえば十番中学のお昼休み。うさぎが亜美に「一緒にお弁当食べよ」と誘うが、亜美はなるちゃんたちの怪訝な視線が気になって、遠慮していつものように屋上に逃げてしまう。ここで流れ出すM42「希望」は、続く下校のシーン、うさぎが橋のところでなると別れ、ひそかに待っていた亜美と合流し「どうして一緒にお弁当食べないの?」「急に仲良くなったら、やっぱり変だよ」というやりとりがあるまで、ずっと続く(03008)。この曲は『DJMoon1』のトラック34「さて、次回は(3)」だが、CDでは30秒程度なのに、この場面ではイントロを2回繰り返すなどして、1分近くに引き延ばして流れる(こっちがオリジナルで、CDでは短く編集されているのかもしれないが)。それから、その少し後、初めてレイとすれ違ったうさぎが、ぶつかった拍子にレイの落としたブレスレットを返そうと、火川神社にやって来る場面もそうだ(03012)。M46「潜入」が流れる中、うっそうと木の生い茂る参道を、うさぎはおっかなびっくりで歩いていく。このBGMは、次に、護摩檀の炎を前にしたレイが、何かの気配を察知し、境内にたどり着いたうさぎがカラスの鳴き声に怯え、「誰!」と出てきたレイに、思わず「キャーッ」と逃げ出すところまで、ずっと続く。

だらだらと羅列的な指摘になってしまったが、とにかくこのように、高丸監督回はBGMの使い方がバラエティに富んでおり、時間的な総量もかなり長い、ということが、Act.3だけでもある程度わかるのだ。そしてその傾向はAct.4でさらに拍車がかかるように思う。まあ今回はこの程度にしておいて、次回はAct.4について同じ分析をやってみます。