実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第166回】実写版エピソード別使用楽曲リスト:Act.1&Act.2の巻

えーと、前回は、これまでAct.5について書いてきたことをまとめて、DVD第2巻レビューの準備運動みたいなことをやりましたが、そっちへ行く前に、やっぱり面倒な作業を片付けておこうと思う。BGMの整理です。
そもそも、なぜこんなことを始めたかというと、詳しくは【第114回】に書いたとおりである。要するに、DVD第1巻のレビューを書きながら、Act.1とAct.2の田崎監督と、Act.3とAct.4の高丸監督では、BGMの使い方もだいぶ違うなあと、あらためて思ったわけですね、で、そういう違いを監督ごとにチェックしようと、Act.1を手始めに、ドラマ内で使われるBGMリストの作成に取りかかったんだが、そこでハタと困ったのが曲名だ。大島ミチルが実写版セーラームーンのために書いた120曲あまりのスコアの、それぞれの曲のタイトルが分からない。「この曲をこんな場面で使うのは高丸監督だけだよね」なんて言いたいときの「この曲」の呼びようがないのである。
実写版のサントラは『DJMoon』シリーズとして発売された。でもこのアルバムでは、似たような雰囲気のBGM2〜3曲が、まとめて1曲あつかいにされている。そもそもテレビの劇伴って、1曲の演奏時間が何十秒とか、短いのが多いからね。そういうわけで、1曲ずつ個別にタイトルがつけられていない。だからたとえば「『DJMoon1』のトラック2の2番目の曲」とか、そういう書き方をしなくちゃいけないわけで、けっこうまどろっこしい。
それで、『DJMoon1』『DJMoon2』『DJMoon3』の3枚、そしてこれらに収録しきれなかったBGM音源を集成した『Rare Track Collection』(放送終了間際に発売されたメモリアルCDボックス『MOONLIGHT REAL GIRL』のディスク1)を加えた、計4枚のアルバムの伴奏音楽全曲に、通し番号をつけちゃおうと考えた。そうすればこれから先、BGMのことを書くにあたって、「どのアルバムのトラックいくつの何番目の曲」とか、そういうことをごちゃごちゃ書かずに済む。そんなわけで私は(仕方なく)リストを作成した。それが【第119回】、【第120回】、【第127回】の表である。
が、しかし、これにもちょっと不都合な点があった。たとえば、このリストには主題歌とキャラクターソングが入っていない。ついでだからこれにも通し番号をつけちゃいたい。「キラリ☆セーラードリーム」が「Songの1番」ということで「S001」、「C'est la vie」が「S002」とかね。そういう手直しを入れたうえで全体を補修・統合して、もういちど新たなリストを作り直すことにした。というか、そのリストはもうほとんど出来あがっている。
今回の記事ではまずそれを紹介しようと思っていたが、ここでまたハタと気がついた。ディスコグラフィーだ。ドラマのなかの美奈子の作品については、【第86回】の「2. 愛野美奈子ディスコグラフィー」で詳しい全曲解説をやったつもりだが、実写版に関連してリリースされたCD(主題歌シングルCD、キャラクターソング5種類、オリジナルソングアルバム2種類、DJMoon3種類、コロちゃんパック3種類、そしてメモリアルCDボックスの計15種類)のリストとデータおよび解説を、このブログではまだやっていなかった。こっちを先に公表してからBGMリストという順番だよなあと思って、この週末はその作業にかかりっきりでした。とにかく実写版の音楽研究に関しては、ドロナワに作業を進めているので、一貫性がない。
そんなこんなで結局、順不同になってしまうのですが、今回は田崎監督の最初の2話、Act.1とAct.2に使われたBGMの一覧を公表します。Act.1については、すでに【第114回】に載せたものと内容は同一です。その時書いたとおり、この一覧表では、大島ミチルのサウンドトラックのみならず、うさぎのラジカセから流れる美奈子の歌、ジュエリーショーで流れるテクノ系BGMなど、とりあえず「実写版に流れる音楽」はぜんぶ拾っていく方針です。
で、今週中に、実写版CDディスコグラフィーとBGM全曲リスト改訂版もアップする。なんかグダグダですが、ひとつよろしくお願いします。

 

【補注】その後、BGM全曲リストを全面改定したことに伴い、楽曲No.も、CDに用いられている録音番号をそのまま使用する方針にしましたので、以下のリストおよび記事も、全面的に書き換えました。くわしくは次の次の回の日記をご参照ください(こちら)。というわけで、過去のBGMリストの試み(【第119回】【第120回】【第127回】)は、なかったことにします。ぜんぶ忘れてください


【凡例】

  • 「No.」は整理番号。最初の2桁は話数(Act)を意味する。たとえば[01001]ならば「Act.01で001番目に流れた曲」という意味。
  • 「M番号」は、BGM収録時につけられた録音番号。BGM全曲リストは【第168回】の表をご参照ください。
  • 「DJM1」はアルバム『DJMoon1』(2004年2月18日発売)[CD12]の略。なお『DJMoon』シリーズは、しばしば短いBGMを、何曲かまとめて1曲扱いする。そのような場合、トラックタイトルの後に(1)(2)(3)をつけて区別する。たとえば[01003]の曲は、<DJM1-15「おしゃべりルナ(2)」>である。これは『DJMoon1』のトラック1「おしゃべりルナ」の2番目の曲という意味。
  • 同じく「RTC」は3枚組メモリアルCDボックス『MOONLIGHT REAL GIRL』のDisc 1.『Rare Track Collection』[CD15]を指す。『DJMoon』シリーズに未収録のBGMを集成したアルバムである。
  • 『DJMoon2』『DJMoon3』に収められたBGMは、それぞれ2004年1月、2004年5月に追加録音されたものなので、基本的に第1クールのエピソードでは使われておらず、今回は出てこない。

 Act.1 劇伴リスト

No. シチュエーション M番号・イメージ CD番号・トラック名
01001 【アヴァン】タキシード仮面とセーラーVの対決 M24「セーラーV」 DJM1-27「セーラーV」
01002 【Aパート】うさぎの部屋、ラジカセから美奈子の曲   「C’est la vie 〜私のなかの恋する部分」
01003 空からルナが降ってきてうさぎは遅刻 M28「アルテミス」 DJM1-15「おしゃべりルナ(2)」
01004 クラウンでカラオケ   「C’est la vie」(カラオケ)
01005 ジュエリーショー、リハーサルのBGM    
01006 地場衛との出会い M37「驚き」 DJM1-33「地場衛ことタキシード仮面(1)」
01007 展示された宝石を見つめる地場衛 M38「危機」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(1)」
01008 なるママ、ドゴラ妖魔に襲われる M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
01009 深夜、うさぎに語りかけるルナ M28「アルテミス」 DJM1-15「おしゃべりルナ(2)」
01010 変身アイテムを置いてうさぎの部屋を出て行くルナ M19「セーラームーン」 DJM1-16 「不思議な魔法のアイテム(1)」
01011 【Bパート】なる、ママへの疑惑がふくらむ M46「潜入」 RTC-10「抜き足差し足忍び足、ソロリソロリ」
01012 「違う、ママじゃない」「ママよ」「いやあっ!」 M43「絶望」 DJM1-12 「悲劇の主人公(1)」
01013 ジェダイト登場、なるちゃん気を失う M30「ダーク・キングダム」 DJM1-30「クイン・ベリル様」
01014 「うさぎちゃん、一緒になるちゃんを助けましょう!」 M19「セーラームーン」 DJM1-16 「不思議な魔法のアイテム(1)」
01015 テレティアSでヘンシーン M2「明るい家庭」 DJM1-2「うさぎのたのしい一日(2)」
01016 ジュエリーショー終了間際の会場BGM    
01017 なるママ、妖魔の本性をあらわす M32「妖魔の出現」 RTC-5「お化けだゾー」
01018 なるママからドゴラ妖魔出現 M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
01019 「ムーンプリズムパワー・メイクアップ!」 M13「セーラームーンのメイクアップ」 DJM1-18「セーラームーンにメイクアップ」
01020 【Cパート】セーラームーン誕生! M19「セーラームーン」 DJM1-16 「不思議な魔法のアイテム(1)」
01021 ドゴラ妖魔せまる「セーラームーン、来るわよ!」 M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
01022 セーラームーンVS妖魔 M3「セーラー戦士の戦い」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(1)」
01023 タキシード仮面登場 M17「いとしのタキシード仮面」 DJM1-23「憧れのタキシード仮面(2)」
01024 クイン・ベリル「誰だ?我が行く手を邪魔する者は」 M35「力」 DJM1-29「ダーク・キングダム」
01025 エンディング M23「セーラーヴィーナス」 DJM1-34「さて、次回は(1)」

 Act.2 劇伴リスト  

No. シチュエーション M番号・イメージ CD番号・トラック名
02001 【アヴァン】「私は月野うさぎ……」 M23「セーラーヴィーナス」 DJM1-34「さて、次回は(1)」
02002 【Aパート】ダーク・キングダムのベリル様 M35「力」 DJM1-29「ダークキングダム」
02003 クラウンで年間パスを見せるうさぎ M8「ボケ」 DJM1-6「のんびりうさぎの一日(1)」
02004 クラウンの廊下で流れていたBGM    
02005 網タイツのうさぎがカラオケ   「C’est la vie」(カラオケ)
02006 模試の結果発表。「水野さん」登場 M6「夢」 DJM1-9「私はお姫様(1)」
02007 ルナを拾う亜美。うさぎと亜美、初めての会話 M27「ルナ」 DJM1-15「おしゃべりルナ(1)」
02008 「水野さんて面白いね」 M40「明日」 DJM1-34「さて、次回は(2)」
02009 美奈子が流れるCD店の前で二人の会話   「C’est la vie 〜私のなかの恋する部分」
02010 塾のエスカレーターでMDを手にする亜美 M42「希望」 DJM1-34「さて、次回は(3)」
02011 深夜のアルトゼミナール、ハニワ妖魔誕生 M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」
02012 【Bパート】屋上でプリン2個「慣れてるし」 M4B「恋心(B)」 DJM1-8(1)の別バージョン(CD未収録)
02013 ママが塾の地図をもって登場 M44「期待」 RTC-8「楽しい一日でした」
02014 うさぎに借りたMDを塾でこっそり聴く亜美 「C’est la vie 〜私のなかの恋する部分」  
02015 地場衛とばったり「またお前か、モデルもどき」 M37「驚き」 DJM1-33「地場衛ことタキシード仮面(1)」
02016 衛「そっちじゃない、あっちだ」うさぎ「え?」 M7「コミック」 DJM1-7「お買い物に大忙し(2)」
02017 塾の先生が妖魔に! M34「妖魔の行動」 DJM1-31「ダークキングダム四天王(2)」
02018 セーラームーンに変身! M13「セーラームーンのメイクアップ」 DJM1-18「セーラームーンにメイクアップ」
02019 【Cパート】犬の光線でハニワ妖魔復活!ピンチ! M47 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(2)」
02020 「亜美ちゃん、受け取って」  (不 明)  
02021 セーラーマーキュリーにメイクアップ! M15「セーラーマーキュリーのメイクアップ」 DJM1-19「セーラーマーキュリーにメイクアップ」
02022 「亜美ちゃん二人でやろう」「うん!」 M3「セーラー戦士の戦い」 DJM1-32「セーラー戦士の戦い(1)」
02023 「マーキュリー・アクア・ビーム!」  (不 明)  
02024 「一緒に戦いたいって、そう思ったから」 M20「セーラーマーキュリー」 DJM1-9「私はお姫様(2)」
02025 レイちゃん顔見せ「来る。何か不吉なものが」 M39「これから」 DJM1-24「ウワー妖魔だー(3)」

 

Act.1のジュエリーショー会場で流れていた音楽、Act.2のクラウンの廊下で流れていた音楽なども含めて、どちらのエピソードも、奇しくも25曲ずつのリストとなった。これが田崎監督が1話についてBGMを入れる平均値と考えていいのではないかと思う。もっと追求すれば、ライダーの時に較べて多めであるとか少なめであるとか、そういうことも明らかになるとは思うが、とてもそこまでは。
その他、いくつか気づいたことを列挙しておく。

  1. [01008]なるママが妖魔に襲われるシーンのBGM(M39)。イメージタイトル通り、もともと大島ミチルはこの曲を「これから」という不安な心象表現をイメージして作ったようである。その意味ではAct.2の最後の同曲の使い方(護摩を焚いているレイが「来る、何か不吉なものが」とつぶやくときのバックに流れる)の方が、作曲者の本来の意図にかなっていると言える。しかし田崎監督はAct.1とAct.2を通して、この曲を頻繁に妖魔の出現シーンに使っている([01008][01018][01021][02011])。そのせいで、以降この曲は「妖魔出現のテーマ」として定着する。一方、大島ミチルが「妖魔の出現」をイメージして作った曲は[01017]、つまりAct.1のジュエリーショーの終了後、なるママが観客たちのエナジーを吸い取る場面にしか使われていない。
  2. [01013]なるちゃんの前で増尾君がジェダイトになるシーンのBGM。この曲(M30)はCDタイトルも大島ミチルの作曲イメージも「クイン・ベリル」となっているから、もともとベリル様の登場シーンのために作られた曲だ。しかしこの場面で使用されて以降、実写版では「四天王のテーマ」となりました。
  3. [02003]Act.2、古幡元基登場。CDのトラックタイトルは「のんびりうさぎの一日」だが、私はこの曲を聞くと、どちらかというと元基を思い出す。大島ミチルの作曲イメージには「ボケ」とだけある(笑)。
  4. [02024]戦いを終えたマーキュリーが、セーラームーンに「戦士だからとか、そういうのじゃなくて、なにか分からないけど、ただ、一緒に戦いたいって、そう思ったから」と笑顔で答えるシーン。明るい曲調のワルツで、CDでは「私はお姫様」というタイトルがつけられているが、もともと大島ミチルは、これをセーラーマーキュリーのイメージで作曲しているから、作曲家の意図にかなったBGMの使い方といえる。
  5. [02012]一緒に戦おうといううさぎの申し出を断って、屋上でひとりぼっちの亜美。プリンがふたつ。この場面のBGMはCD未収録。『DJMoon1』トラック8「心細い一人のお留守番」の1曲目から、フルートの音を抜いたバージョン。
  6. [02019]犬の光線でハニワ妖魔復が復活したけど、セーラームーンは亜美の手を握り、手すりにぶら下がったまま。以降も、セーラー戦士の戦いで緊迫感が走る場面によく使われる曲だが、ここは演奏が終わったところで、意を決した亜美の「私、月野さんと一緒に戦いたい」のセリフが入るタイミングが見事。いやそれだけです。
  7. [02020][02023]Act.2のハイライトであり、今回、個人的に最も驚いたシーン。ビデオやDVDをお持ちの方、ルナが「亜美ちゃん、受け取って」と変身ブレスレットを渡す場面、そしてマーキュリーが「マーキュリー・アクア・ビーム!」で妖魔を倒す場面のBGMを確認してください。この曲、私は他に聞いた覚えがない。亜美の記念すべき初変身初バトルに使われていた曲を、自分がちっともおぼえていなかったということがショックでしたよ。メモリアルCDボックスのライナーに載っている大島ミチルの作曲リストによると、「セーラーマーキュリーのメイクアップ」だけは、別バージョンの曲が録音されたということだ。他の戦士たちのメイクアップには別バージョンはない。ひょっとしてこのどちらかがそれかとも思うが、詳しくは不明。とにかくセーラーマーキュリーだけは、メイクアップのBGMにも別バージョンがあったり、ダークマーキュリー用の曲も何曲か作曲されてたり、BGM的には別格の扱いのような感じ。


以上です。ということで、次回は実写版関係CDの一覧表を作成したいと思います。