実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第143回】桜の春の小ネタ集の巻


 

カシオペアさんの日記を読んでいらっしゃる方々にはご存じのとおり「景子といえば竹下景子」の名古屋に、いよいよアナザー景子が本格的に殴り込みをかけてきた。カシオペアさんのが「夜バージョン」だったので「昼バージョン」をお届けしてみます。さあ景子決戦が始まる。竹下さんも好きだが、がんばれアニキ〜。

 

さて私事で恐縮ではございますが、ここんとこ職場では連日の新人研修の仕切り、自宅ではインターネット環境の再構築(まだちょっと無線がおかしい)と、慣れない作業にけっこうへばっている。というわけで『Special Act』レビューは1回休みで、小ネタ集。お許しください。

1. un café au lait s'il vous plaît


沢井美優さんが生徒役を務めるNHK教育の語学番組『テレビでフランス語』が始まった。思った以上に沢井さんの出番が多いのが嬉しい。NHK教育特有の、オチているのか何なのか分からないミニコントの微妙なオチを救う器量があることを、沢井さんが全国に証明できたのは、良いことではないかと思う。あれって場合によっては、観ている方がいたたまれない空気になることもあるもんね。とにかくこの調子でがんばってください。ただし静岡支部長sakuraさんの「前髪おろしてくれないかなぁ〜」という感想には激しく同意する。
ところで、この『テレビでフランス語』の後には、『アジア語楽紀行』という「旅行で使うアジアの言葉あれこれ」みたいな語学番組が放送される。で『テレビでフランス語』第1回目の後の『アジア語楽紀行』はタイ語。タイ旅行といえば屋台で軽食である。違うかな。ともかく私はタイ料理が好きだし、屋台で注文するぐらいのタイ語だったら何とかしゃべれる。なので懐かしい気持で引き続きだらだら見ていたら、いきなり出てくる例文が「パクチーは入れないで下さい」ではないか(笑)。NHKのスタッフも、なかなかしゃれたオチをつけてくれるね。
番組をまたがってこんな『Amitié』ネタを出すくらいなら、いっそ5月の連休あたり『テレビでフランス語』と、中山エミリさんが可愛い『科学大好き土よう塾』をコラボして『テレビで科学もフランス語も大好き!』みたいな番組をやってくれないかと思っていたのだが、なんと『科学大好き土よう塾』は、この4月からレギュラーが、エミリさんからルー大柴に交替してしまったそうである。ガシュン!だめじゃないかNHK。

2. 朝から濃厚なる味わい


次の話題。娘との春休みの約束をはたすべく、映画版『クロサギ』を遅ればせながら観に行った。都合により午前の最初の回。9時45分。
主人公の黒崎(山下智久)は、幼いころ、サギ師に何もかも奪われた父親が無理心中をはかって、家族全員を失った。それで復讐のために、サギ師をカモにして金を巻き上げる「クロサギ」になり、世の中のサギ師をぜんぶ食い尽くしてやろうとしている。奪った金は元の被害者に返してやるから、一種の正義の味方なのだが、やっていることは違法行為だ。だから、彼のアパートの隣に住む、検事を目指す法学部の女学生つらら(堀北真希)は、彼のやり方に反撥している。でも次第に彼の過去や、孤独な胸の内を知り、心惹かれていく。原作漫画は読んでいないが、テレビ版はそういう恋愛ドラマ的興味を軸に続いていた。だから私と娘は、山下智久と堀北真希の恋物語が、大スクリーンでさらにドラマチックに展開することに期待していたのである。今が旬の青春スター二人のロマンス、って言い方、古いね。
ところがこの劇場版は、どちらかというと山Pの背後にいる謎のフィクサー桂木(山崎努)と、彼と過去に因縁がある銀座のクラブのママ、さくら(大地真央)が中心の話なのだ。つまり山崎努と大地真央のラブストーリーなんですよ。これだけでもかなり胸につかえそうなのに、敵役が竹中直人。竹中直人のバックにいる暴力団の親分が石橋蓮司。さらに冒頭で杉田かおる、ラストで岸部シローが特別出演。
この豪華にしてアクの強いゲスト陣が醸し出す濃厚な味わいを、さわやかな堀北さんの涙がモンダミンみたいにすっきり消してくれるのかと思いきや、堀北真希の出演シーンはほんの3、4回で、まったく効果なし。ほとんど友情出演である。娘と私は、朝から背脂・ニンニク・ネギどっさり入りのラーメンを食ったような気持で劇場を後にしたのであった。いや、山Pはわりと良かったよ。山崎努の芝居を、わりと上手に受けていた。
で、この話が実写版にどうつながるかと言えば、実はつながらない。ただもう、山崎努と大地真央のデートなどというものを観てしまったショックを、書くことでやわらげかっただけです。もちろんテレビ版に小松彩夏が出てはいるのだが、娘の誕生日プレゼントにDVDボックスを買ってやって「これでいつでも見られるや」と思ったら気が抜けて、実は小松さんがゲストの回をまだ見ていないのである。最終回にも実写版ゆかりの人が出ているらしいんですけどね。また観てから報告します。
あえて無理矢理オチをつけるならば、前にも書いたとおり、大地真央にはいちどクイン・ベリルをやってもらいたいものである。

3. 愛の戦士、誕生!


関東地方よりも一週間遅れで始まった『キューティーハニー THE LIVE』が、こちらでは今週、4月1日火曜日に最終回(第25話)を放送して、無事に全話を終了した。
私はこれ、最初は乗れなかった。確かに、ハニーを演じている原幹恵の笑顔はキュートだが、その笑顔の魅力を活かすために、ハニーをとことん明るいおバカキャラにしたのはどうかと思ったのだ。
いや、明るくて天真爛漫というのは、うさぎちゃんだってそうなんだが、ハニーの場合、ハードな戦闘シーンでもやたらとはしゃいでいる。学校ではその馬鹿な言動で何かと目立つくせに、アンドロイドだから成績が抜群で、だから陰険な同級生グループに疎まれて、いじめにあう。でもハニーは、それをいじめと気づかないほどの天然で、掃除当番なんかを押しつけられても楽しげにやっている。いじめっこ子はますますいきりたつ。私はこういう設定、ちょっといやである。主人公が友達関係で悩まないと、学園ドラマとして発展しないのだ。だから結局、ハニーといじめっ子たちが和解して友情を結ぶ機会は訪れず、いじめっ子のひとりは欲に目がくらんで、悪の組織(パンサークロー)が仕掛けた殺人ゲームに巻き込まれて惨殺される。これもちょっといや。主人公と同級生の子は、たとえ悪くても殺さないでほしい。さらには、ハニーが強くない。ザコの戦闘員たちは軽快にやっつけるのだが、親玉が出てくると途端にボコボコにされてべそをかくのだ。こういうパターンが最初の3話ぐらい続いて、実は私、4話目くらいで観るのをやめちゃったんですね。火曜の深夜1時30分って、けっこう起きているの辛いしさ。
でもアクションシーンは初回から実に見応えがあった。スタッフも役者もよく頑張った。演出も工夫を凝らしていたし、原幹恵さんの魅力もちょっと捨てがたかったので、1ヶ月ぐらいして、たまたま火曜の夜遅く起きていたのをきっかけに、また観始めたわけだ。そしたら、いや恐れ入りました。上にあげた私の感じた不満というかマイナス要因が、物語が後半に入ると、パタパタひっくり返ってプラスに変わっていっちゃったのである。
初期エピソードの暴力的で残忍な物語展開は、後半に語られる、暗く凄惨なハニー誕生の真相と、その結果として彼女に待ち受ける運命への序曲に過ぎなかった。ハニーが思いっきり、ほとんどバカに近いくらい明るいキャラクターだったのは、そうでもしなければその過酷な宿命に耐えられないからだ。これにくらべれば、学園で彼女が受けているいじめなど、蚊に刺されたほどの痛みも伴わない。
それから、初回のハニーは確かに弱かったけど、少しずつ学習して闘いに強くなって、最初はめちゃくちゃ強かった敵のボスを中盤に倒して、それでもさらに強くなって、というふうに、回を追うごとに天井知らずに進化していく。そのための初回のヘタレっぷりだったのだ。
というような理屈はともかく、インパクト重視の井上脚本、横山誠監督のハイレベルなアクションシーン、「岸和田少年愚連隊 カオルちゃんシリーズ」の宮坂武志監督の、ダークでバイオレンスで哀感ただよう演出、そして「青いハニー」早乙女ミキを演じた水崎綾女の抜群の好演、といった要素が上手くかみ合って、これはちょっとした傑作になりました。いや、赤いハニー(如月ハニー/キューティーハニー)を演じた原幹恵、青いハニー(早乙女ミキ/シスターミキ)を演じた水崎綾女、白いハニー(剣持ユキ/シスターユキ)を演じた竹田真恋人、3人ともよく頑張りましたけど、特に水崎綾女には参った。
で、これはこじつけではなく、私は何か、井上敏樹が今回、キューティーハニーをあえて「3人のハニー」の物語としたところに、小林靖子のセーラームーンに対するちょっとした意思表示のようなものを感じるのだ。いや意思表示ってほどのもんじゃないが「おれが美少女戦士ものをやったら、こういう感じにするね」という、友人の小林さんに対する暗黙のメッセージ的なものを、ちらっと感じちゃうんですよ。私ほとんど病気だから。まあとにかく、如月ハニー(赤ハニー)は明るく天真爛漫で、人を疑うことを知らず、そのために後半、過酷な運命にさらされる。早乙女ミキ(青ハニー)は、黒いロングヘアの、他人に心を開かない神秘的な美少女で、目的のためには自分の命が犠牲になることを厭わない。それから剣持ユキ(白ハニー)は、ハニーにべったりのお嬢様で、男子が大嫌い、そして他の女子がハニーと仲が良いのもイヤ、というくらい嫉妬深くて、途中でダーク化してハニーをぼこぼこにする、って、やっぱりどっかで見たような設定ではある。
ちなみに3人揃って、赤・白・青で、トリコロールで「愛の戦士」になるという、実に『テレビでフランス語』な話だが(意味不明)、「でもハニーが3人って、それって永井豪のキューティーハニーじゃないじゃん」と思っていたら、これがたった1人の「愛の戦士、キューティーハニーさ」というところに収斂していく最終回の展開は、実に見事でした。『40歳からのヲタク道』の親方さんが「『キューティーハニー THE LIVE』は「ハニー」が「キューティーハニー」になるまでの物語だったんですね」と書かれている通り(ここ)これ、アニメのキューティーハニーの『Act. ZERO』になっているところがミソである。
まあいろいろ書いたが、未見の方はぜひ、これから続々リリースされるDVDでお試しください。私と同様、最初の方がダメダメでも、懲りずに後半までご覧いただきたいと思います。ふせえりも好演です。

4. チーム!

 

TEAM! チーム男子を語ろう朝まで!

TEAM! チーム男子を語ろう朝まで!

  • 作者: チームケイティーズ,オノ・ナツメ
  • 出版社/メーカー: 太田出版
  • 発売日: 2008/02/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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太田出版から出た『TEAM! チーム男子を語ろう朝まで! 』という本を買った。買って読んでみても、これどういう本だか、もうひとつ分からない。
いわゆる「フ女子」の方々が、男同士の世界に対して「萌える」というのは、こういう視点なのだろうか。違うような気もするが、ともかく、テレビ番組で「男がチームを組む」設定のドラマとかアニメとかバラエティとかを素材に、「萌え本には終らない、新しい視点と切り口で」せまった分析・研究書ということです。で、具体的に扱われているのがドラマ『ちりとてちん』、お笑い『吉本印天然素材』、アニメ『ルパン三世』、アニメ『おおきく振りかぶって』、ドラマ『傷だらけの天使』、ドラマ『東映特撮シリーズ』、舞台『アニメミュージカル』、ドラマ『必殺シリーズ』。う〜ん。分かんない。ともかく、『ルパン三世』の項では大塚康生とモンキー・パンチの対談、『傷だらけの天使』は市川森一のインタビュー、そして『東映特撮シリーズ』は小林靖子インタビューなので、それだけで私は買ってしまったわけ。もちろんここでは小林靖子インタビューの一部をご紹介したいと思う。小林靖子が関わった戦隊ものやライダーものをテーマに、男子の「チーム」について語ってもらうという内容である。
ひょっとすると『仮面ライダー電王』の好評で、小林靖子インタビューなども、けっこう雑誌などに載っているのかも知れないが、私は無精なので、あまり丁寧にフォローしていない。だからこれからご紹介するこの本での小林靖子の発言が「もうそんなの、とっくに別のところで発言ずみだよ」ということであれば、ご指摘ください。
まず「チーム」ということへの、小林先生の基本的な考え方。

戦隊って、5人揃っているだけで最初からチームとして見てもらえるので、どこか一つ間違えばたがが外れそうなチームの方が面白いんですよ。むしろ、それが醍醐味だと思うんですよね。(中略)どこかでつながってはいるけれど、どこかつながっていない部分があるとか、そういう発展途上な緊張感のある関係がいいですね。見ている人が、こいつはこいつのことが嫌いなんだろうと思ってくれる方が面白い。嫌いというときつくなるから、気にくわないと言ったほうがいいと思いますけど。

「どこかでつながってはいるけれど、どこかつながっていない部分があるとか、そういう発展途上な緊張感のある関係」って、それはつまりセーラームーンのことではないですか。というように、このインタビューでは、実写版セーラームーンファンの我々をいちいちうなずかせるような発言が続出する。それを以下に拾っておきましょう。

『タイムレンジャー』で絶対やらないようにしていたのは、戦隊ではわりとお約束の「行くぞ!」「オーッ」というやり取り。誰か一人が「行くぞ!」と言って、それに「オーッ!」と答えたら、その瞬間に他の4人は駒になっちゃうんですよ。だから、それは極力やらないようにしていました。タイムレンジャーは、チームとしてはぜんぜん固まっていなくて、みんなばらばらなので(笑)、誰かが「行くぞ!」と言っても、全然反応が違うんですよ。

M14さんの台本比較によって、我々は、Act.33の初めの方とAct.34の最後でうさぎが言う「みんな、がんばるぞ、おー!」が、小林靖子のオリジナル台本には書かれてなかったことを知っている。でもこのセリフは、決してセーラームーンがリーダーで他の戦士は駒、という関係を示していない。最初はうさぎが「ひとりにしないで〜」状態で置いてかれてしまうし、二度目にやるときには、どうしても「がんばるぞ」をやりたいうさぎに、みんながつきあってやっている、というニュアンスが強い。
小林靖子は「行くぞ!」「オーッ」的なセリフを嫌っていた。でも舞原監督は、その意図をくんだうえで、あえて「がんばるぞ、おー!」という台本にないセリフを加えた。これはなかなか見事なコラボではないかと思う。
次の発言は『仮面ライダー電王』の基本設定について。

『電王』は、1体のライダーがいくつかのフォームにチェンジするライダーだったので、だったらそれを多重人格にしたらいいんじゃないかと提案したところ、多重人格だとちょっと病的で問題があるので、憑依という形で多重人格を表現しましょうということになったんです。

そうですね。何度も書いたが、要するにうさぎとプリンセス・ムーンの関係を発展させたのが、良太郎とモモタロスたちなのではないかと思う。
次。『電王』でモモタロスたちが乗っている電車、デンライナーについての説明。しかしこれはそのまま、実写版セーラームーンのカラオケ「クラウン」についての、脚本家の自己解説になっていると思う。

チームには、必ずどこか集まる場所が必要なんですよね。メンバーが普通にそこにいられる場所がないと。特に、互いにまとまりのないチームほど、そういう場所が必要なんだと思います。閉じた場所の中でやり取りをしていると、他の登場人物が入ってこないので、見ているほうは一つのチームとして見ていられますから。

「メンバーが普通にそこにいられる場所がないと」「互いにまとまりのないチームほど、そういう場所が必要」いい言葉である。Act.20で編み物をしていた亜美や、Act.33、Act.34でクラウンに合宿したレイと亜美(とそれを見守っていたまこと)を思い出さずにはいられません。そして、Act.44で初めて美奈子がクラウンに姿をあらわしたシーンがなぜあれほど感動的なのかも、この発言を考えれば分かる。
そして最後、これはもう説明不要です。みなさん一字一句よおく味わって下さいね。『電王』のモモタロスたちがいつも馬鹿馬鹿しい掛け合いをやっていることについての小林先生のご発言だ。

やっぱりどうでもいいような掛け合いは男の子同士のほうがやりやすいですね。女の子はもうちょっと感情的だったり、言いたいことがストレートに言えなくてお互い腹を探り合うようなところがあるので、男の子のようにはぽんぽんやり合う感じにはならないんですよね。アニメのセーラームーンはどちらかというと少年マンガっぽいノリなんですが、実写はより現実に近い中学生の女の子同士の友情を描いた部分もあって、ときには『中学生日記』っぽい話も出てきたりして。仲良くしたいのに仲良くできないとか、他の女の子同士が仲良くしているから嫉妬しちゃったりとか。男の子よりも感情が生々しいんですよ。そういう部分ではかなり苦労したところもありましたね。実は私、昔から少年マンガばかり読んでいて、少女マンガが好きじゃなかったんです。

実写版セーラームーンを「戦う中学生日記」と表現したのは、『M14の追憶』以外にもいくつかあったと思う。たぶん作者本人もすでにどこかで「中学生日記」を引き合いに出しているのかも知れないが、私は今回、このインタビューで初めて読んだ。感動した。


でこの『TEAM!チーム男子を語ろう朝まで! 』という本だが、セーラームーンファンのアンテナに引っかかる情報が他にも載っている。たとえば叶井俊太郎インタビューとか。叶井氏は、実写版のAct.31でまことと元基がデートに行く映画『カメファイター』の元ネタとなった映画『えびボクサー』『いかレスラー』の仕掛け人であり、小松彩夏出演映画『ドリフト』を制作したファントムフィルムの社長である。本書のインタビューでは、『いかレスラー』の河崎実監督が、当初イカではなくタコをメインに映画をとるつもりだったという、驚愕の新事実が明らかにされている。
また、セーラムーンミュージカル(セラミュ)と、最近大評判のミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)の関係についても、テニミュのプロデューサー、片岡義朗さんのインタビューでちょっと知ることができた。もともと片岡さんは、当時は6人組だったSMAP主演のミュージカル『聖闘士星矢』の仕掛け人のひとりで、つまり「人気アニメ(漫画)のミュージカル舞台」という、それまでなかった市場を開拓された方である。ただご本人は、ミュージカル『聖闘士星矢』の直継にあたるセーラームーンミュージカルには参加せず、『姫ちゃんのリボン』や『赤ずきんチャチャ』の舞台を手がけて、テニミュに至ったらしい。さらに驚くのは(って驚いている人はあまりいないと思うが)、この『聖闘士星矢』から『赤ずきんチャチャ』という流れで、片岡さんのアシスタントを務めたのが松田誠である。この人、現在ネルケプランニングの社長。ネルケプランニングというのは、小松彩夏の舞台『アンラッキー・デイズ』の一切を仕切っている会社なのである。
なんか小松彩夏関係の話をしていると、すごいんだがすごくないんだか分かんなくなってくるので、この辺でやめておきます。

5. ラッキイ夫人の生活と意見


ついでだ。以前【第117回】のコメント欄で引用した『東映ヒーローMAX』2007年5月号の46〜47頁、『ゲキレンジャー』振り付けの彩木エリ(実写版セーラームーン当時は「彩木映利」)インタビューも、資料として載せておく。
まずは実写版セーラームーンについて

この作品は今思い出してもみても、とにかく大変の一言に尽きますね。プロデューサーの丸山真哉さんも撮影の松村文雄さんも、今でもお会いすると言われるんですよ。「どの作品も『セーラームーン』に比べるとラクだ」って(笑)。でも、とてもやりがいのある作品でしたね。現場は、ライダーとも戦隊シリーズとも違うものを作ろうというエネルギーが常に溢れていました。

次はアクションシーンの試行錯誤について。

当初は女のコたちが主人公だから、殴る、蹴るじゃなくて、キレイに踊りながら、敵の攻撃を避けるアクションをやろうみたいなオファーだったんです。基本的な動きはこちらで考えて、戦いのことは専門ではないので殺陣師の方と一緒に作り上げていきました。私はもともと器械体操の選手だったので、アクロバティックな方向性を狙って、バック転なんかにしても、JAEさんのアクション寄りのものではなく、ヒザつま先までキレイに伸びているバック転が出来る元器械体操の方を吹き替えでお願いしたり、そういう面で工夫をしました。ただ監督の要望も段々とハードになってきて、中には殴ったり、蹴ったりしているシーンもありましたね(笑)。

そして伝説のキラリ☆ライブについて。

セーラージュピターの安座間美優ちゃんだけは沖縄アクターズスクール出身だったのでダンスはバリバリだったんですが、他の4人は全くの初心者で、空いている時間に「家に来い」って、それこそナンパみたいに(笑)、家へ呼んで稽古をしていました。セーラーマーキュリーの浜千咲ちゃんなんか、時間がなくて、○×駅の改札横の隠れている部分で練習したこともありました。「見つかったら、あんたの笑顔でごまかしなさい」って(笑)。今でもたまに「○×駅でダンスレッスンやりましたね」ってメールをもらいますよ。そんな状況だったんですが、いざ始めてみたら、みんな見事にダンスにハマっちゃって。一時期、舞原監督から「ダンスレッスン禁止」みたいに言われたこともありました。でも、そんな舞原監督もライブを観に来てくださって、「あのコたちはこれのために頑張っていたんだ」と感動されていましたね。とにかく大変な作品だったので、つい熱く語っちゃうのですが(笑)、やっぱりライブを境にして、みんな上達しました。ライブは一度限りでも、「特訓しておいて絶対に損はないから」と言っていたんです。ライブを通じて身についたものはとても大きくて、現場でも最初は立ち方から何から、それこそ1から10まで全部こちらでつけてあげなくちゃいけなかったのが、最後の方はチェックするだけになりましたからね。『セーラームーン』では現場での仕事はもちろん、「スペシャルライブ」やダンスレッスンのビデオ、2本のVシネマなど色々と発展もあって、女のコたちもスケジュールが忙しい中、引っ張って練習させて、とにかく100%の力を注ぎました。

インタビューはここまでが前半で、後半が本題のゲキレンジャーですが、まあいいですね。最後のあたり「とにかく100%の力を注ぎました」ということです。みなさんしみじみと感動して下さい。


という、ちょっと手抜きで内容もデコボコな日記でしたが、よろしかったらまた来週。