実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第30回】鬼の居ぬ間にタカマル祭の巻(Act.20)

1. まずはハッピー・バースデー


 8月24日(水)。再放送なし。バレーボールの中継、その後いつものヒットチャート番組の拡大版というイレギュラーな番組編成で、今週の再放送はないのである。そして来週8月30日も特別番組が入って再放送なし。2週連続。なんかイヤーな感じ。まさかひょっとしてひょっとしてね。しかしまあクヨクヨしても仕方ない。気をとりなおして、名古屋に不在中だったぶんの遅れをビデオ鑑賞レポートで取り戻そう。
 今回は8月16日に再放送されたAct.20だ。『40歳からのヲタク道』の親方さんは、この再放送を見終わって、奥さんに「大変だ!亜美ちゃんがクンツァイトにさらわれた!!」と告げたそうだ。再放送なのに(笑)。で、大変なまま、あと2週間も放置されるわけである。つらいでしょうなあ(笑)。いやお気持ちお察しします。
 さて小松彩夏さんのときは、彼女の20歳の誕生日(7月23日)と、Act.17、つまりヴィーナス変身バンク完全バージョンが再放送された日(7月26日)がかなり接近していて、おまけに小松さんのバースデイ記念の集いでも、往路のバスでAct.17のビデオが流されたという情報もあって、こちらも便乗気分で大いに盛り上がらせていただいた。だから北川さんの誕生日も、マーズれい子が『桜・吹雪』を披露するAct.23あたりでぜひ祝いたかったのだが、なかなか上手くいかないもんですね。Act.23再放送は、2週間も休みを挟むので9月も末の放送になってしまう。
 せめて前回Act.19か今回Act.20から、北川さんの美しさがきわだつ名場面でも紹介したいところなのだが、ここのところレイちゃんはプリンセスへの疑惑でずーっと眉間にしわ寄せムードで、これだというシーンはない。
 ご存じのようにAct.19は、ヴィーナスがネフライトに踏みつけにされている現場に、マーズが駆けつけるところで終わる。初回放送を観たときには、お、次週は冒頭からマーズ大活躍でヴィーナスを助けるかな、と思ったものだ。でも続くAct.20のアヴァン・タイトルの主役は、マーズではなくヴィーナスだ。もちろんマーズもかっこよく技を放つが、その後ヴィーナスが形勢を逆転し「そう簡単に本物を渡すと、思う?」と、ネフライトにニセの銀水晶をばらまいてみせる、そのときのとびっきりお茶目な仕草と笑顔、これがすべてをさらっていってしまう。
 前回Act.19も、バレンタインのチョコのふりしてアルテミスにびっくり箱を渡した美奈子の茶目っ気たっぷりの笑顔が最大の見所だった。こんな風にいたずらっぽく微笑む美奈子はなかなか見られないので、どうしてもそっちに目がいってしまう。やはり美奈子は高丸組が一番だ。
 悔しげにネフライトが去った後、またあの体育館、いや教会のときのように向き合うヴィーナスとマーズ。ここまでがアヴァン・タイトルで、主題歌が終わると、二人は同じ構図で向き合ったままなのだが、変身から戻っていて、美奈子とレイの姿になっている。この演出もなかなかいいね。どれほどのあいだ、二人はそんなふうに緊張感をもって対峙していたのだろう。
 そう、今回は高丸監督、なかなかやってくれるのだ。実は前回も、だいぶ文句はつけたが、全体としては上出来だった。というわけで今回の日記は、今度こそ高丸リスペクトだ。
 しかしそれはさておいて、とにかく北川景子さん、20歳のお誕生日おめでとうございます。あなたは、まだ未知数の人なんだと思う。ひょっとすると本当の才能が開花するのはこれからだ。
 きちんと自分の目標に向かって一歩一歩、着実に階段を進んで、とても堅実。であるように見えながら、一方では思い切り大胆。顔が命の仕事をしていながら、ここ一番の大舞台で、スキだらけの表情やとんでもないメイクを平然とさらし、神秘的な美貌という最大の武器をもちながら、Act.33でパパに殴られた後や、Act.47で美奈子がいってしまった後の泣き顔では、いっそ豪快と言いたいほど強烈な顔面破壊を見せつける。そして最初の出会いとなったAct.3、初めてセーラーマーズに変身したときの、あの眉毛の動き。
 いや私はふざけているのでもいやがらせをしているのでもない。マジメな話、そういう型破りなところに、小さなワクに収まりきらないスケールの大きさ、なにかもうひとつ大化けしそうな、あなたの未知の可能性を感じるのである。それにたとえどんな顔をしても、結局は美しい。「北川景子はどんな顔してもかわいいなぁ」といつも支援してくれるD.Sさんとかkitagawakeikoさんとかd-siderさんとか、沢山のすぐれたファンに恵まれてもいる。きっとすばらしい20代になることだろう。これからも影ながら応援しています。

2. タカマル祭りだ!いやその前にお詫びだ!


 さてAct.20だ。うまい具合にタカマル監督の天敵、M14さんも出張中である。鬼の居ぬ間の高丸祭りだ!
 まずは前回のお詫びと訂正が二つ。その一。前回の日記に書いたように、私は「ダーキュリー化する前の水野亜美がクラウンで静かに編み物をしている姿」にすごく愛着があって、そんな想いでAct.17とAct.18とAct.19をずーっと再見していたら、亜美の場面がなかなかきちんと出てこなくて、それで前回、しびれを切らして不満を述べた。すまなかった。このAct.20で、高丸監督はしっかり亜美の気持ちを描いてくれています。まあ次回がダーキュリー登場なので、土壇場のつじつま合わせと言えなくもないが、私は満足です。
 お詫びその二。前回、亜美がクラウンに入って来て手提げの中の年間パスポートを捜すと、元基が「ひょっとしてバレンタインのチョコレートかも」と勘違いする場面があったが、その解釈については私の方が勘違いであった。私は、ほかの戦士たちはもう顔パスでクラウンに入っているのに、亜美だけが律儀にパスポートを捜すものだから、元基も「プレゼントかな」と期待してしまったのだろう、と書いた。これが大間違い。今回、クラウンにやって来たまことは、ちゃんとパスポートを見せています。つまり前回は、どんなこともバレンタインに結びつけてそわそわしている元基、今回はまことからマフラーを貰って満ち足りた元基、という対比を示しているだけだったのだ。どうもすみません。

3. クラウンの祭


 で、そのクラウンのシークエンスは、脚本と演出ががっちりかみ合って、前後のエピソードとの関連も明快で、たいへん素晴らしい。最初は、いま述べたようにまことの来店シーンから始まる。
 前回まことから貰ったマフラーを嬉しそうに巻いている元基は、まことを心待ちにしながら「ラブラブなのはお前だけじゃないぞ」とカメ吉に話しかけている。完全な勘違いモード、単純な奴。と今回は思わせておいて、実はここでの元基、義理ということは承知のうえで、カメ吉相手にラブラブを演じてみたかっただけなんだ、という真相は次回まで伏せられている。
 そこへまことがやって来る。元基は「マフラーあったかいよ。ありがとう!」と一生懸命なのに、まことは軽く手を挙げるだけで、あっさりスルーして店内に入って行く。どうして「そんなにたいしたもんじゃないから、気にしないで」とかひとことくらい言ってあげないのか。実はこのへんがまことの繊細なところなのだ。
 この時まことは、元基にあげた黒っぽい色のマフラーとは違う、ブラウン系統のマフラーをしている。それはうさぎがしているマフラーのように柄が入っていないので、手編みであることが分かる。つまりまことは、元基にマフラーをプレゼントした後、自分に似合う色の毛糸を買ってきて、さっさと自分用のを編んでしまったのである。まことは手芸が得意だし、前回のぽんたさんの書き込みによれば、マフラーってけっこう簡単らしいから、すぐにできちゃったんだろう。
 「ちょっと自分の色に合わないから、それでよかったらと思って、それだけだから。貰ってくれてありがとう。でもたいしたもんじゃないし、すぐできるもん。ほら、私もすぐに自分用のを編んだんだ。だからぜんぜん気にしないで」とかなんとかごちゃごちゃ言わないで、具体的に態度で示しているのである。言葉よりも行動。ある意味シャイだ。こういうところがまことの魅力である。
 クラウンのミーティングルームでは、亜美がちょうど、緑の毛糸でまことのための手袋を編んでいる。テーブルに置かれた毛糸玉にじゃれるルナ。CGじゃないよ。ルナは今まであまり、こういう猫みたいな仕草をしたことがなかった。しかしやがて登場する小池里奈ちゃんのルナ人間形(という呼び方も変だが台本にそうあるんだから仕方がない)は、むしろ猫っぽい仕草を属性としているので、そろそろそっち方面への布石を打っておこう、ということでしょうね。
 夢中で毛糸玉にじゃれて、ふと我に返り「ごめんね、亜美ちゃん」という猫ルナ。「ううん、大丈夫」と言いながら毛糸を編む亜美。これだよ。これが私には妊婦に見えたんですよ。そうだそうだ。
 そこへまことが入ってくる。亜美は目を輝かせ「まこちゃん、ちょっとこの色みて」と緑の毛糸玉を差し出すが、まことは「悪い、後にして聞いてよ。あのさ、やっぱりうさぎに言おうかと思って」と、うさぎには内緒にしている衛と陽菜の件を切り出す「婚約している人を好きになっちゃいけないわけじゃないけど、やっぱり知っておいた方が良くない?どう思う?」
 しかしこれは、どうしようかと相談をもちかけているのではない。まことはもう、うさぎに告げようと決めていて、ただ亜美の同意を得たいだけなのだ。こんなふうに今のみんなは、みんな自分ひとり別の場所で考えて、結論が出てから、ただそれを伝言するためだけにクラウンにやって来る。ここでお互いの気持ちを話し合ったりはしなくなってしまった。それが淋しくて、亜美は同意もせず、ただ「まこちゃんが思うなら。私、そういうのぜんぜんダメだし」と答える。でもうさぎのことで頭がいっぱいのまことは、亜美の気持ちには気づかず、「分かった。行ってくる」と、さっさと出て行ってしまう。
 そこへ入れ替わりに入ってくるのがレイ「まことが慌てて出て行ったけど、どうしたの?」うさぎの恋愛問題を内緒にしている立場上「あ、何か用事があるみたい」と適当にごまかす亜美。
 でもレイはもともと必要以上に他人には干渉しない方だし、今は彼女も別のことで頭がいっぱいなので、亜美のアイマイな返事に突っ込みもしない。レイも、ただ自分の決意を伝えに来ただけなのだ「私ね、戦士としてもっと強くならなきゃいけないって、分かったの。そのためにも、できる限りひとりの力で戦ってかなきゃ」
 ルナは「でもレイちゃん、いままで協力してきたから戦ってこれたのよ」とやんわりたしなめるが、レイは聞く耳をもたない「それだけじゃだめだったのよ。プリンセスだって一人で戦ってるわ」このセリフもちょっと面白い。レイが「プリンセスだって一人で戦ってる」というのは、もちろんヴィーナスのことを指しているのだが、うさぎだって、恋愛のことで一人で戦っていて、実はそれが戦士たちの運命につながる前世からの大問題なのだ。しかし今のレイはそれをまったく知らない。というのはちょっと深読みのしすぎかな。
 まあともかく、せっかく亜美が二人分の飲み物をいれてきたのに、レイもまたそういう自分の気持ちだけ言い捨てると「ここにいてもしょうがないわ。敵の動きがないか探ってみる」とさっさと出て行ってしまう。ルナは困ったように「なんだか最近みんなばらばらね。よくない傾向だわ」とグチる。亜美も淋しそうに、でも自分をはげますように「そのうち、またいつものようになるよ」と言って、再びまことの手袋を編み出す。テーブルの上に二つ置かれたカップ。切ないですね。
 なんだ。やればできるじゃないか、たかまる君。素晴らしいじゃないか。

4. うさぎの祭


 うさぎも実に良いね。前回のAct.19と今回のAct.20はうさぎのリフレッシュのためにある。初めて知った本当の恋が三角関係で、悩み傷つきボロボロのうさぎに、もう一度あの明るい笑顔を取り戻させるためのエピソードだ。そういう意味で軽いタッチの高丸演出が、うまくツボにはまった。
 そして、ママが友だちから預かってきて、うさぎが相手をすることになった小学生のひかりちゃん。このゲストキャラクターの設定も効いている。はじめはひかりちゃんを子供扱いしていたうさぎだが、思いもかけず真剣な恋の相談を受けて、あっという間に、このちょっとませた少女のペースに巻き込まれる。そういう仕掛けで、ここのところブルーでアダルトな恋愛路線に走っていたうさぎに、いつも一生懸命で相手を勇気づけるあの明るさと、中学生らしい可愛らしさを一気に取り戻させておいてから、いかにも大人っぽいカップルといった雰囲気の衛と陽菜に遭遇させる。ここも、脚本の狙いと演出がうまくかみ合っていると思う。
 その遭遇場面で、これまでは陽菜を見てもろくに会話せず逃げてばかりの白旗モードだったうさぎは、初めて陽菜と張り合おうとする。「うさぎ」っていうのも現実的にはとんでもない名前だけれど、うさぎは今まで自分のこの名前が可愛くて気に入っていた。衛に送ろうと思ってクッキーに添えたカードにもサイン代わりにウサギのイラストを描いていた。でも陽菜から「うさぎちゃん」なんて言われると、私のこの名前、ちょっと子供っぽいかな、なんて思う。さらにひかりちゃんのことを「お友達同士だったの?」と尋ねられて、ここはうさぎもスイッチ入ったね。ちょっと澄まして「母の友人の子供を預かっているんです」と精一杯大人ぶるのだ。けれどもぜんぜん効果なし。結局、陽菜からは思いっきり子供あつかいされて、飴までもらってしまう。初戦は完敗だ。
 と見えるのだが実はそうでもない。衛はそんなうさぎの、いつまでも失われない少女らしさに魅力を感じて、陽菜からどんどん気持ちが離れてしまっているのだ。今回だって、飴を受け取るうさぎを見て、楽しそうにぷっと吹き出している。うさぎは、またバカにされた、と思っているのだけれど、実は衛の心は、さらにうさぎに傾いている。だから結局アドバンテージうさぎ。というところまでが前回、Act.19であった。
 で今回、Act.20では、ふたたびひかりちゃんがやって来て、前回チョコレートを渡せた大地君とのデートに、付き添って欲しいというのだ。子供同士だとあんまり遠くに行けないし、でも保護者同伴のデートなんかつまらないからね。そして大地君の保護者役は、なんと地場衛だという。ダブルデートだ。
 その森林公園のデート、これはまあ説明するようなものじゃないね。なぜかうさぎと衛の屋外ロケは風が強い日のことが多いみたいで、この日もうさぎちゃんの髪はけっこう乱れている。もうちょっとおだやかな日だったらもっと良かったのにとも思うが、しかしそれは措いといて、とても楽しい。緊張のあまり変な歩き方をしてしまううさぎ、なんていう高丸監督らしいベタなギャグも、こういう場面では微笑ましい。それから手作りのサンドイッチって、なんか初デートのマストアイテムな感じ。違うかな。Act.15以来の『オーバーレインボー・ツアー』も心躍ります。
 そんなドキドキのデートだったけど、さあマフラーを渡せるかといういいところで陽菜が来てしまってお終い。しかも陽菜の口から、二人が事実上の婚約者であることを聞いてしまう。とそこへ、これまで倒したはずの妖魔たちの姿が現れては消える。クンツァイトが他の戦士たちの気をそらして、そのスキに亜美を奪うために放った幻影だ。このとき「私、ちょっと用事を思い出しちゃって」と即座にその場を去るうさぎに、なんか成長を感じます。
 まあ陽菜の言葉に大ショックで、その場にいたたまれない気持ちでとびだした、という面もあるにはある。でもやはり同じような状況で、戦いの場に行くことすら放棄したAct.17のときと違って、今回はきちんと気持ちを切り替えて、すぐに戦おうとしている。というか、戦士としての自覚が、いまは落ち込んでる場合じゃない、戦うんだ、とうさぎ自身にハッパをかけて、そのことが心傷ついたうさぎへの励ましともなっているのである。
 ちょっと違うが、前回の最後もそう。セーラームーンとして戦った後、地場衛に渡せなかったチョコレートをタキシード仮面に差し出す。その時の彼女は、セーラームーンの姿をしているけど、月野うさぎだ。渡せなかったチョコだけど、せめてここで気持ちに整理をつけたら、とセーラームーンに励まされて、うさぎはチョコを、結局それとは気づかず、本命の地場衛に渡している。
 戦士の力が、うさぎを勇気づけ、強くする。そして強くなったうさぎは、変身した姿でも、ときどきセーラームーンではなく「強いうさぎ」の顔になる。その頂点とも言えるのが、たぶんAct.26のラストで、ジュピターに「帰ろっか」という場面だと思うのだけれど、あっこれも高丸回だ。なんか今回の日記はホントに高丸祭りだ。

5. 最後は反省会


 でも鬼の気持ちも考えて、最後にちゃんと反省会もしておこう。ただし二つだけね。
 反省その一。今回まことは、森林公園でデートするうさぎを、最初の待ち合わせ場所であるバス停の場面からずっと、探偵みたいに尾行している。うさぎに陽菜のことを告げようと思っているうちにそういうことになっちゃったらしいのだが、詳しい経緯はわからない。それはまあいい。ともかく、気づかれないように影から成り行きを見守っているうち、タキシード仮面の正体を知ってしまう、というのが、今回物語の上でまことに振られた最大の役割である。Act.7でボートを漕いで以来のまことと衛のツーショット。
 問題はその、バス停で待ち合わせているときの演出だ。カメラは、うさぎたちを影から見守るまことを背後から撮る。肩から上は画面の外に切れていて顔は全く見えない。そしてまことはそのまま、うさぎに気づかれないようサングラスをかけ、マフラーで顔を隠すのだが、ここも、まずポケットから出されるサングラスのアップ、次にそれをかけるまことを後ろから撮る、というつながりで、まことの顔が映らないようにしている。これは「さあ、うさぎちゃんたちの後をつけているこの人は、はたして誰でしょう?」と視聴者に謎かけをするサスペンスのやり方だ。
 もちろんバレバレなんだけど、その後バスに乗っているときも、それから森林公園に入るときの料金所の場面でも、カメラはまことのことを、いちおう「謎の尾行者」っぽく追うのである。いや実際、初回放送の時、うちの娘は「このひと誰かな」なんて言っていた。
 でもその後すぐに、アップのカットで自分からマフラーとサングラスを外すのだ。すると、そこまでの高丸サスペンス劇場の意味、それは一体どこにあるのか、さっぱり分からないのだ。
 しかしこれはそれほど大きな問題ではない。どちらかというと次の方が問題かも知れない。反省点その二。変身シーン。そもそも初登板となったAct.3から、高丸監督の変身シーンは変だった。空中からプロペラ妖魔の手が伸びてきて、レイを異次元空間に引きずり込む、レイにしがみついて一緒に異空間に飛び込んできたうさぎは、妖魔に立ち向かって「レイちゃん、隠れて!」「うん」とレイが言うが早いがメイクアップ。
 早すぎるのだ。この時点での火野レイはまだ一民間人である。その目の前で堂々と変身するわけにはいかない。もちろん、すぐにセーラーマーズが誕生するのだから、物語的には正体がばれても全然かまわない。しかしレイに「隠れて!」と言っておきながら、ほとんど返事すら待たないくらい間をおかず変身というのはないだろう。せめてレイが木陰に隠れるのを確認してから変身、でもレイは一部始終をしっかり目撃してしまって「何!?」とかなんとか、とにかくひと工夫は要るはずだ。
 Act.19の最後でも、市民が逃げまどう街なかで、白昼堂々うさぎは変身する。そういうシーン自体は他にもあった。ただ他の監督の場合、いちおうみんな逃げて、あたりに人影は尽きたとか、ある程度、変身してもいいような状況づくりをしているように思う。ところがAct.19は、変身の瞬間こそ周囲に人影はいなくなっているが、その直前も、そしてその直後、妖魔に向かって構えるセーラームーンの背後にも、一般市民が逃げる姿を映すのである。これでは多くの人々が逃げまどうど真ん中で、うさぎが変身していることになる。つまりこの監督は、誰かが妖魔に襲われてる、ピンチ!すぐに変身しなくちゃ、というエモーションの方が、変身を一般人に見られてはならない、という原則よりも優先される、という考えなのだろう。
 とにかく変身ということに対する考えが、ちょっと独特だ。だから変装のはずのセーラーVが「変身」してしまったAct.12、あれもどうだったのかなと思う。あそこは美奈子の姿のまま駆け出すところで終わりにして、次に戦士たちの前に姿をあらわすときにはセーラーVになっていても、ぜんぜん構わないはずだ。というか変身してしまったことによって、じゃあAct.11の初めの方に出てきたあの変身セットは何なのよ、という話になってしまったのである。あれは台本にあったのだろうか、それともひょっとして、この人の判断か、という疑惑も生じる。
 しかし、そう考えると、今回まことがタキシード仮面の「変身」姿を目撃する、なんてシーンがなかったのは、不幸中の幸いかも知れない。


 さて、以上で高丸祭終了ですが、もうひとつ気がついたミステリーを書きとめておく。今回は猫たちがけっこう活躍だ。ルナも盛んに毛糸玉にじゃれているが、アルテミスなんかホテルの部屋で、ベッドに寝込んだ美奈子のためにかいがいしくタオルを絞り、額に乗せてやっている。偉いもんですね。そう言えばアルテミスって、フライパンに卵割って目玉焼きを作ろうとしたこともあったはず、と思って確認したら、なんとそのAct.46も高丸監督であった。高丸回に働くネコありって法則があるのか?CGルナやアルテミスがぜんぜん出てこないので、こっちにも注目してみます。


 最後にもう一度、北川景子さん、お誕生日おめでとう。8月22日、限りなく乙女座に近い獅子座。あなたは眠れる獅子をうちに宿した乙女だと思う。


(放送データ「Act.20」2004年2月21日初放送 脚本:小林靖子/監督:高丸雅隆/撮影:川口滋久)