実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第1025回】「よければ御一緒してもいいですか?」の巻(北川景子『あなたを奪ったその日から』レビューその20)


 2025年11月1日から11月9日にかけて紀伊國屋ホールで上演される『熱海殺人事件』(たやのりょう一座)に、小池里奈が出演する。登場人物なんて4人しかいないから、婦警役だよね。初演からおよそ半世紀を経た今もなお、様々なかたちで舞台にかかるつかこうへいの代表作だが、聖地というか本家というか、やはり紀伊國屋ホールでの公演に出られるというのは、ちょっと別格な気がする。



 今回の公演は、つかこうへい2本立てという企画で、『熱海殺人事件』と『ストリッパー物語』と交互に上演される。そっちの主演は日比美思である。



 日比美思は昨年『蒲田行進曲』(2024年5月、紀伊國屋ホール)で小夏を演じたのが評価されての続投ってことだろう。素晴らしい。パチパチパチ。



 『蒲田行進曲』の公演には、同じエイベックス所属の髙石あかりと福田愛依が駆けつけたという。髙石あかりのSNSに出ていた。



 そういえば、日比美思と福田愛依と髙石あかりは一時期ユニット(?)を組んでいた。これは、2020年2月に博品館劇場で行われた舞台『バレンタイン・ブルー』で三人が共演したことがきっかけで組まれた。その『バレンタイン・ブルー』には、実写版でうさぎの弟、進吾を演じた武子直輝も出演していた。





 しかし『バレンタイン・ブルー』公演の直後、2020年3月になると、新型コロナ感染症の拡大によって、舞台もライブもほぼ出来ない状態に突入する。それで日比美思・福田愛依・髙石あかりが「ひびふくたかちゃん三姉妹」と名乗って、オンライン配信とかのファンサービスをやっていたのである。



 また話がどんどん横滑りしていったな。今日はそんなに遊んでる時間がなかったのだ。本題に入ろう。『あなたを奪ったその日から』第6話レビューの続きです(2025年5月26日放送、脚本:池田奈津子/撮影:白石利彦/照明:磯辺大和/演出:松木創/企画:水野綾子/プロデュース:三方祐人/制作:カンテレ・共同テレビ)。



 「お母さんの働いているスーパーを見てみたい(店名も「スイッチバック」だし)」という美海(一色香澄)の希望を、紘海(北川景子)は無理やり却下した。結城旭(大森南朋)とばったり出会ってしまうことを恐れたのだ。これは美海が可哀想だよね。紘海も、理不尽なことをしたと思っている。というわけで翌朝。



紘 海「はい」



紘 海「昨日のこと、まだ怒っているの」



美 海「怒ってない」
紘 海「そんなにスーパー見たかった?」



美 海「そうじゃなくて、なんでスーパーくらいであんな……」




美 海「……なんでもない」



美 海「行ってきます」



紘 海「待ちなさい。帰りは?」
美 海「6時くらい」
紘 海「どこか寄るの?」



美 海「言ったじゃん。今日ロイヤルブルー帯2059特別団体専用車両を観に行くって」



紘 海「観終わったら真っすぐ帰りなさいよ」
美 海「はいよ」
紘 海「それと、明るい道歩いて」
美 海「はいよ」



紘 海(溜息)


╳    ╳    ╳



美 海「もうウチのお母さん束縛がきつすぎる」
初 芽「そお? 普通じゃない?」
美 海「毎日どこへ行くか聞くんだよ」
初 芽「普通じゃない?」



美 海「どこいっちゃダメとか言うし」
初 芽「普通だってば」



美 海「普通じゃないよ。うちは何かやっぱ変」



初 芽「美海ちゃん、そりゃお父さんの話が聞けないことが辛いのはわかるけど」



美 海「だけじゃなくて」



美 海「あぁ〜もうとにかく自由になりたい」
初 芽「でもさ美海ちゃん、親の束縛なんてね、まだ可愛いもんなんだよ」



美 海「え?」



初 芽「束縛する男ほどこわぁいものなんてないんだから」



美 海「お陰さまで男子とか興味ないんで」



初 芽「そんなこと言って、美海ちゃんもいつか恋する時が来るんだってば」



美 海「恋してますよ。ロイヤルブルー帯2059F特別団体専用車両に」


 あれ、初芽ちゃん(小川李奈)もジャージ履いている。埴輪ルックって女子高生だけじゃないのか。



 さて次の場面は、このレビューでは初登場となる文波社『週刊さざなみ』編集部。10年前に起こった「YUKIデリ食品事故」の真相を追い続ける東砂羽(仁村紗和)に、編集部デスクの元木愛美(村岡希美)が絡む。



元 木「東もしつこいねえ。またあのYUKIデリ事件」
砂 羽「放っといてくださいヒマなんですか」



元 木「うんヒマ。ヒマな上にもヒマ。窓際だから。ねえ構って、お願い構って」
砂 羽「もうホント勘弁して下さい」



砂 羽「ああちょっと」



元 木「これ、被害者遺族?」



元 木「結局この遺族は、YUKIデリが渡そうとした賠償金を跳ねつけたんだっけ」



砂 羽「はい。あくまで混入の原因究明が先だと」



元 木「混入経路が不明なまま警察も捜査を打ち切った。被害者も浮かばれないよね」



 はたしてネットに流出した告発動画の効果はあったのか。これもスルーされると、そろそろ出せる手は出し尽くした感のある砂羽であったが、旭の部下の望月(筒井道隆)が引っかかってきた。望月自身、動画を見て、旭への信頼がぐらつき始めていた。これまでも何かと砂羽に付きまとわれていた望月だが、今回は望月のほうから砂羽を呼び出した。動画について何か知っていないか聞き出そうというのだ。



 ところが、望月はなぜか「居酒屋やぐら」に砂羽を連れて入って話を聞こうとする。そしてそこをスイッチバックお客さま相談室の村杉(田山由起)さんに目撃さる。



 なんでまた村杉さんはこんなところにいるのか。仕事帰りという感じではなく、手に大判の封筒を持っているだけなのだ。てことは、ちょっと届けものに出たのか? この居酒屋やぐらは会社のすぐ近くか? そうなると今度は、そんなところに旭を告発しようとしている週刊誌記者を連れてゆく望月の意図がよく分からなくなる。内容によっては社員にバレたらやばい話になるかも知れないのだ。
 と、謎は多いが、とにかく望月を見ちゃった村杉さんは、さっそく職場に戻ってそこに居た紘海と鳥谷(内藤秀一郎)に言いふらす。そういう人なのだ。



村 杉「ありえないんですけどぉ」



紘 海「どうしたんですか?」



村 杉「望月さんが、やぐらに女としけこむのを見ちゃった」
鳥 谷「まじすか、やばいっすね」



村 杉「こんな時間からいちゃいちゃと。ったくあの人仕事する気あんの?」
鳥 谷「コネ入社最強っすね」



村 杉「ホントそれ」



 まあ望月は、結城専務の腹心の部下として、特命を受けていろいろ単独で動いていたみたいだから、事情を知らない社員からするとフラフラしているだけのように見えるんだろう。でも紘海は、告発動画が送られてきたときの二人の会話を盗み聞きしている。



 旭 「俺はお前に隠していることなんかない」



 旭 「信じられないか」
望 月「いえ……」



望 月「……分かりました。あの記者の根拠のない嫌がらせなんですね」



望 月「だとしたら、まさかあの動画も」


 この二人には何かある。ということで、紘海は三浦室長(大浦龍宇一)をつかまえて探りを入れる。三浦室長も、まあいろいろあって紘海には負い目があるとも言えるし、打ち解けたとも言えるので、けっこうフランクに質問に答えている。



三 浦「望月さん?」



紘 海「はい。元YUKIデリの方でしたっけ」
三 浦「そうだよ」



紘 海「役員の方なんですよね」
三 浦「そう。でもぶっちゃけ何やっているかよく分かんないんだよね」



三 浦「まぁいわゆる常務の懐刀っていうのかな」



紘 海「信頼されてるってことですか?」



三 浦「学生時代からのつき合いらしいから」



紘 海「あぁ……先輩後輩」



三 浦「うん。でも確か、年は一緒だよ」



三 浦「望月さんは一浪なのかな」


 紘海は望月に直接アタックをかける。こういうところはけっこう大胆。ていうか、娘の死の真相を知るためとなれば、どんな橋だって渡れるのだろう。



 退社してさっそく居酒屋やぐらをのぞき込むと、案の定、望月さんはカウンターで一人で飲んでいる。チャンスである。
 



紘 海「望月さん」
望 月「はい」



紘 海「お疲れさまです……あの、私」
望 月「ああ、お客様相談室の」



紘 海「中越です」



望 月「あ、そうだ、中越さんだ」
紘 海「面接の時はお世話になりました」
望 月「いやいや、俺は何も」



紘 海「お一人ですか?」
望 月「はい」
紘 海「よければ御一緒してもいいですか」



望 月ええ!?



紘 海「あの会社のこととかいろいろお聞きしたいですし」
望 月「会社っていっても」



紘 海「飲みニケーションってやっぱり大事ですよね」



望 月「はぁ……」


 「飲みニケーション」なんて言葉、本当に現実に使われているのだろうか。……ということはともかく、望月の「ええ!?」という叫びはよく分かる。北川景子から「よければ御一緒してもいいですか」なんてぐいぐい迫って来られたら、ねえ。
 でもこれは、北川景子と会話するなら理想のシチュエーションですね。飲み屋の席なので、ただ情報を引き出す無味乾燥な会話でもなく、いろいろ余計な話題もまじえて、それなりに愉しい。だいたい、北川景子さんと居酒屋でサシなんて、会話も出てこなけど、一回くらい飲みながらお話できたら嬉しい。……という視聴者の願望をかなえたような、うれしはずかし筒井道隆。がんばれ。
 という中途半端なところですけど、今回はここまで。また。