公式プロフィールでは古畑星夏と武田玲奈が身長164cm、泉里香が165cmだったと思うが、20代の二人はその後もうちょっと伸びているかもしれない。見た感じでは武田玲奈がいちばん背が高い。なんにせよ、みんなプロポーションが良いから、実際より2割り増しぐらい大きく見えるよね。
ちなみに(何が「ちなみに」かは分からぬが)平祐奈(26)は155cm、池田エライザ(29)は170cmである。平祐奈の代表作といえば、やっぱり『JKは雪女』だよね。という私は、たぶん間違っているのだろう。
話を戻して、当ブログは、いちおう現在の『あなたを奪ったその日から』レビューを終えたら『失踪人捜索班 消えた真実』のレビュー、そしてスペシャルドラマ『花のれん』レビューと続く予定です。おそらくそれで今年のスケジュールは消化してしまだろう。ともかく、泉里香ファンのみなさま、しばし待たれよ。
1. 前回のおはなし
さて『あなたを奪ったその日から』第3話レビューを続けます(2025年5月5日放送、脚本:池田奈津子/撮影:白石利彦/照明:磯辺大和/演出:淵上正人/企画:水野綾子/プロデュース:三方祐人/制作:カンテレ・共同テレビ)。
2018年4月、結城旭から奪った萌子を「中越美海」としてひっそり育ててきた紘海だが、この子(前田花)をこのまま無事小学校、中学校へ進学させるためには、当たり前だが中越美海としての戸籍が必要だ。杉並区役所に出向き、「離婚した夫と別居中に行きずりの男との間に出来てしまった子供を、自宅で一人で生み、密かに育ててきたため、戸籍がない」という内容で相談する。うわあ。職員(三浦圭祐)もちょっとびっくりだが、ただ、実際こういう話もあるのでしょうね。
職 員「……あなたの場合、お子さんが戸籍を得るためには、それなりの手続きが必要になります」
職 員「ひとつめ。元旦那さんを戸籍上の父親としない場合、自分の子ではない、と彼にしかるべき場所で証言してもらう必要があります」
紘 海「元夫の証言?」
職 員「そしてもうひとつ。あなたとお嬢さんの血が繋がっていることを証明しなければなりません」紘 海「たとえば?」
職 員「DNA検査とか、赤ちゃんだったころの写真とか」
というわけで美海の「我が子化計画」の開始である。ミッションその1「元夫の証言」、こっちはもうサクサクと、元ダンナの皆川景吾(高橋光臣)に連絡。
2. ミッション1:元夫の証言をゲットせよ!
景吾はもう再婚して、新しい家族がいる。つまり今、守りたい者がいる。それは紘海も同じだ。ただ紘海が守りたいのは、どこから来たのかも言えない、戸籍のない子どもで、景吾のそれは、ちゃんと正式に再婚して築いた新しい家庭である。どう見ても景吾のほうがまっとうなのだが、なぜかそこを弱みとして利用されてしまうところが、高橋光臣の人の良さである(と思う)。
紘 海「お久しぶりです。ごめんなさい休日に」紘 海「幸せそうで良かった」
景 吾「嫌味か? 再婚したからって別に灯のことを忘れたわけじゃない。ただ、このまま一人で生きていくなんて、どうにかなってしまいそうで」
紘 海「分かってる。嫌味じゃないよ。幸せで良かった。支えてくれる人がいて良かった。本当にそう思っている」
景 吾「話っていうのは?」
紘 海「これを証言して欲しいんです」
景 吾「何だよこれ!」
紘 海「こういうことにして欲しい。『元妻の紘海とはずっと別居していた。だから妊娠出産していたことなんて一切知らなかった』って」
景 吾「なんでそんな……」
紘 海「……子どもと暮らしてる」
景 吾「は?」紘 海「これから先も、私の子どもとして育てていきたいの」
景 吾「その子どもは、どういう」紘 海「出遇っちゃったの。ただそれだけ」景 吾「はぁ?」紘 海「ただ騙された振りをして、証言してくれればそれで良いから」景 吾「ふざけんなよ。ちゃんと説明しろ」
紘 海「あなただって、新しい家族に私のことで迷惑かけたくないでしょ」
紘 海「『何も知らなかった』それだけのことだから」景 吾「お前なに考えているんだよ。どうかしてるぞ」
紘 海「確かにどうかしてる。だけど、さっきあなたも言ってたよね。このまま一人で生きていくなんて、どうにかなってしまいそうだって」
紘 海「本当は私も同じ。あの子を失ってから私はずっと正気じゃない。息をすることさえ、ずっと辛い」
景 吾「……その子は灯の替わりなのか?」
紘 海「違う」景 吾「でも、今の紘海の支えなんだな」
景 吾「分かるよ、紘海、俺だってそうだ。……分かるけど」
紘 海「もう二度とあなたの前に現れないから」
こんな顔で北川景子に迫られて断れる男は世の中にいない。まして高橋光臣である。というわけで、圭吾からは後日「証言してもいいよ。これきりにしてくれるなら」というメッセージが届いて、ミッションその1「元夫の証言」はきっちりクリア。
3. ミッション2:実母のDNAをゲットせよ!
問題はミッションその2「DNA鑑定」だ。これはどうする。萌子の母親から頂戴するしかない。だが、どうやって?
夜、紘海はスクラップブックを広げる。結城萌子の失踪を伝える『週刊さざなみ』の記事である。「特別取材 冷酷な父 結城旭の娘 失踪! 因果応報の連鎖!? 歪んだ結城家の闇」というタイトルで、結城の別れた妻についても書かれている。
離婚した元妻は川口のスナック勤務
「離婚した結城旭の元妻は、現在、埼玉県川口市内にあるスナックで働いている。この店で働く彼女は、明るく気さくなママとして常連客から親しまれている。だが、彼女が自らの過去について語ることはほとんどないという」
「結城の元妻は、次女の萌子を産んだ後ほどなくして結城の元を去っている。彼女に離婚歴があること、ふたりの娘がいることは店の常連客の間でもほとんど知られていないそうだ」
「川口」という地名にピンとくるものがあって、紘海はスマホを手に取る。情報収集のためにいつもチェックしている結城の長女、梨々子(平祐奈)のSNSに、川口のことがあったはずだ。
「RiRiko_YK月に一度のクレープここのクレープいつ食べても最高」
彼女が手にしている「ミラクルクレープ」を検索してみると、川口市に店舗があるらしい。
ビンゴだ。江東区に住んでいる梨々子がなぜ月に一度、川口まで行くのか。
ここに母親の居場所を探す手がかりがある。紘海はクレープのお店があるJR川口駅東口で、梨々子を待ち伏せする。
これまたビンゴだ。梨々子を発見。SNSの日付を見てタイミングをはかったのではあろうが、ここまでうまく行くとは、紘海にはなにか特別な能力があるという伏線なのかもしれない。
次第に暗くなるなか、梨々子の後をつけてゆくと、「スナック蝶」という店に行き着いた。梨々子は馴れた感じで中に入ってゆく。
梨々子みたいな若い子が一人で入るような店構えではない。ということは、記事にあった「結城の元妻が働いているスナック」はここか。しばらく佇んでいた紘海だが、とにかく入ってみないことには、どうしようもない。
4. 小さなスナック
「スナック蝶」店内に入ると、昔ながらの盛り上がり。ちなみにこの店は、中目黒にあるスナックがロケ地で、店名はそのまんま「スナック蝶」だそうだ。過去にも何度かドラマの撮影に使われたことがあるという。
常連らしい客達が、雇われママ、結城旭の別れた妻の江身子(鶴田真由)と何かのお祝いで乾杯している。
江身子「おめでとう、おめでと……ああ、いらっしゃい、お一人?」紘 海「はい」江身子「どうぞ、そちらに」
紘 海「水割りください」
一方、カウンターの隅にいた梨々子は、ソフトドリンクか何かを呑みほすと立ち上がる。
上着を羽織りながら、酔客と戯れる母親の姿を冷たい目で一瞥すると、何も言わず店を出る。
やがて出来上がった客たちのグループが、一組、また一組と店を去り、店内には江身子と紘海だけが残る。
江身子「はーい、しっかり歩いてよ」
江身子「また来てね」
こうして、スナック蝶の店内で、結城萌子を産んだ「ママ」の江身子と、中越美海を育てた「お母さん」の紘海が対峙することになった。
5. 「ママ」VS「お母さん」
もっともそんなこと、江身子は知る由もない。一人店内に残った紘海に声をかける。紘海にとっては、これこそ待っていたチャンスだった。
江身子「見慣れないお顔だけど、初めて?」紘 海「ええ、なんだか今夜は飲みたい気分なんです」
江身子「分かる。あるわよね、そういうこと」紘 海「付き合ってもらえます?」江身子「喜んで」紘 海「ボトルお願いします。いちばんいいやつ」
江身子「わお、喜んで」
(睡眠導入剤 パラナブミン 顆粒 1包)
(ちなみにこんな名前の薬は実在しません)
╳ ╳ ╳
紘 海「ここはママのお店?」
江身子「ただの雇われママ。しけた店でしょ」紘 海「ですねぇ」江身子「ははっ、言うわね」
江身子「昔はね、こう見えて私、お嬢様だったのよ。パパは大企業の会長」紘 海「え〜っ?」江身子「ははは、信じてないでしょ。本当よ。ピアノとか習っちゃって」
紘 海「あ……さっき、あそこに居た子、もしかしてお嬢さんですか?」
江身子「は?」
紘 海「あ、いや似てたから、なんとなく」
江身子「ああ、そうね、確かに似ているかもしれない、どっか歪んでいるところがね」紘 海「……」
江身子(煙草に火を点ける)「私ね、子供を二人置いて家を出たの。ひどい親でしょ」紘 海「……」
江身子「さっきのは上の子。私のことなんか全然好きじゃないくせに、ああやって月に一度ここに来て、あたしが荒れた生活してんのを確かめて、それで帰っていくの。……歪んでるでしょ」紘 海「……」江身子「歪んでるのは母親ゆずり。あたし母性ってものがないみたい」
紘 海「……下のお子さんは?」
江身子「……死んだわ」
紘 海「……」
江身子(立ち上がろうとしてよろける)「ああっ」
紘 海「大丈夫ですか?」江身子「やだ……疲れてんのかな」
紘 海「横になりましょう。私もう帰りますから」
江身子「でもね、一番歪んでいるのはあの人かも知れない」
江身子「娘が死んだっていうのに葬式も出さず、ひどい男よ」
江身子「あの時だってそう。会社の商品で三歳の子供を死なせたときも」
江身子「うやむやに事故で終わったけど、実際なにがあったか分かりゃしないわ」
江身子の身体を揺さぶるが、睡眠導入剤の効き目ですっかり寝入っている。このチャンスを待っていた……、のだが、しかし一方では最後に江身子が呟いた「うやむやに事故で終わったけど」というセリフに内心はげしく動揺もしている紘海であった。
6. ミッション2:作戦完了
ともあれ、行動を起さなければならない。紘海は鞄から素早くDNA採取キットを取り出す。この綿棒を口の中に入れ、頬の内側の粘膜をこすって検体を採取するのだ。
綿棒を江身子の口元に近づける。えーと本当はですね、できれば、DNA採取にあたっては、30分前から喫煙や飲食(特に水を含む)は控えたほうがいいですね。
こんなふうに、お酒を飲んで煙草吸って寝ちゃった人から取っても、うまく検出できないことがあるそうです。理想を言えば、採取前に歯磨きで口腔内を清潔にして、30分ほどおいてから採取することですね。
しかしまあ、ドラマですから、ごちゃごちゃ言うもんじゃないですね。採取成功。これで鑑定の結果、実の親子であることが証明されれば、もう美海は紘海の実子となる。
紘海は一万円札2枚をテーブルに置く。店で一番いいボトルを入れて2万円。画面で確認すると、二人が飲んでいたのは「UTENA 萼」っていう架空のジャパニーズウイスキーっぽい。すみませんこういうところには興味が向いてしまうもんで。
そして逃げるように店を出てゆく。終わりだ。これからは結城旭とその家族と関わることなく、子どもの成長だけを思って暮らしていける。
7. テレポーテーション
そう自分に言い聞かせる紘海だったが、江身子の最後の言葉がきっかけで、これまで自分の胸をえぐり続けて来た旭の言葉が、フラッシュバックのように胸に甦るのだった。
紘 海(忘れろ、忘れなきゃ。これで美海と本当の親子になれる。だから……)
江身子「うやむやに事故で終わったけど」
江身子「実際なにがあったか分かりゃしないわ」
紘 海(もう考えちゃ駄目だ)
旭 「子どもは親を信頼して口にするわけですから」
旭 「何かあったら大人の責任です」
旭 「一年前の事件とは何のことですか?」
灯 「お母さん」
旭 「仕事なんてやってらんないよ、こんな天気の良い日に」
想いは千々に乱れ、気がつけば結城旭(大森南朋)の自宅の前に立っていた……って、えっ?川口のスナックから、いつのまに東京都江東区の結城邸まで来たんだ?
瞬間移動。自分がとんでもない能力を発揮したことに気づいたのか気づかないのか、紘海は結城の家の前に茫然と佇む。
とその時、玄関から口々に「いやぁ美味かった」「ごちそうさまでした」とか言いながら男たちが出てくる。萌子を奪ったあの日のように、旭が部下(森本のぶ・髙木トモユキ)を招待して、手料理を振る舞っていたらしい。
最後にあの日と同じ望月(筒井道隆)が出てきたのを見て、我に返った紘海は、その場を立ち去ろうとする。しかし焦ったせいか今回は瞬間移動の能力を発揮できず、誤って傍に停めてあった自転車にぶつかり、騒音を立てて望月の注意を引いてしまう。
望 月(自転車が倒れる音に気づいて)
望 月「大丈夫ですか?」
紘 海「……大丈夫です……」
倒した自転車を戻し、慌てて駆け去る。
帰宅した紘海は、タンスの奥の方に仕舞ってある小さな木箱をとり出して開いた。中には亡くなった灯の想い出の品々が収められている。保育園に通う線路沿いで撮った写真、亡くなった誕生パーティーの時、頭につけていたリボン、そしてへその緒。
紘 海「忘れなきゃいけない。結城旭のことは」
紘 海「忘れるべきだ。この子の幸せな未来のために」
紘 海「過去のことは全部忘れて」
紘 海「ただ、この子の未来のことだけを」
美海の口の中からも検体を採取して、親子鑑定を行なう。そして数日後のある朝、親子鑑定結果報告書が届く。
PCR-STR法によるDNA鑑定の結果、二つの検体は99,99999999994%の確立で生物学的親子関係にあることが立証されたという。よかった。
アルコールとニコチンを摂取した直後の江身子の口腔から採取した検体だったが、無事DNAが検出されたようだ。ほっとした表情の紘海。
元夫の証言とDNA鑑定が揃い、美海は晴れて実子として紘海の戸籍に入った。本物の親子になれるのだ。
8. ランドセル
そして小学校入学の日が近づき、紘海は美海にランドセルを披露する。ランドセルもカラフルになっているこの御時世に、赤ですらなく黒である。可愛いミミちゃんのお靴が好きな子だったのに……と思ったが、考えてみれば小さい頃から、さば味噌煮、のりの佃煮、いかの塩辛が好きな子だったよな。
紘 海「じゃーん」
美 海「黒だ。車掌さんと同じ」
紘 海「うわぁ、美海かっこいい!」
美 海「本当? 美海これで学校行くの?」
紘 海「行くよ、小学校。その後は中学も、高校も行けるよ」美 海「車掌さんになれる?」紘 海「勉強がんばって、お友達と仲良くして、美海が頑張れば何にだってなれるんだから」
美 海「やったぁ。ランドセル良し、側灯滅、出発進行!」
そしてそして、あっという間に7年の歳月が過ぎたのでありました。……つづく。