1. ミュージカル異聞
元俳優の松浦雅(みやび)さん(27)が、高齢犬の訪問トリミングなどのサービスを提供する事業者「Leopon(レオポン)」を始める。高齢ペットは死ぬリスクが高いことから、ほとんどのペットサロンで断られるため、それぞれの体調や状況に沿ったサービスの提供を目指す。「動物も家族。行き場のないペットとその飼い主の最後の砦になりたい」と開業を決めた。(『神戸新聞NEXT』2023年1月22日)
と、これは2年前の記事。私は2013年に復活したネルケ版セーラームーンミュージカルの初代、大久保聡美ムーンの3年間(2013年〜2015年)にとても強い愛着があるのだが、この代の戦士たちに近ごろ異変が起こっている。
まず、復活初年度(2013年)の『美少女戦士セーラームーン-La Reconquista-』だけの出演にもかかわらず、強烈なインパクトで私たちを虜にしたセーラーマーキュリー/水野亜美役の松浦雅だが、2021年1月をもって芸能界を引退、ペット・トリマーへの道を歩み始め、2023年には上の記事のようにペットサロンまで開業……という話だったのが、2025年1月より、池田エライザや岡本夏美を擁するエヴァーグリーン・エンタテインメントの公式サイトにプロフィール写真が掲載されている……とコメント欄で教えていただき、見に行ったら本当にいた。
もっとも芸能活動を再開したという話も出ていない。ひょっとしたら芸能界に復帰というより『嗚呼‼みんなの動物園』とか『坂上どうぶつ王国』とか、ああいう番組に限って出るとか、そういうことなのだろうか。さっぱりわからない。
少しとんがった亜美ちゃんだった松浦雅の後を承け、逆にすごく癒し系のマーキュリーを2014年と2015年に演じた小山百代は、この2025年3月いっぱいでスターダスト・プロモーションを退所してフリーになった。3月のファンミーティングには、すでに芸能界を引退したセーラームーンの大久保聡美も顔を見せたという。なんと!
ファンの書き込みによると「乙女のポリシー」と「ラ・ソウルジャー」を歌ったというが、まさかこの二人でデュエットしたわけではないだろうな。そもそも大久保聡美は「ファンの一人」として参加したらしい。それはそれで、たまらない話だ。
でも、小山百代をスターダストに連れてきたのは同期のセーラーマーズの七木奏音なのに、奏音をおいて事務所を辞めちゃったのか。
と思ったら七木奏音も2025年4月いっぱいでスターダストプロモーションを退所だって。新しい所属は書いていなくて、仕事の連絡先は本人名義のGmailになっているから、やっぱりフリーになったということか。
改めて言うが、やっぱり『はたらく細胞』の赤血球役は、名古屋支部的には舞台版の七木奏音が一番だと思う。映画版の中の人がいまアレなだけに、ここで言うのもアレかと思うが、でも、やっぱりセーラーマーズの奏音には赤がお似合いである。
とにかく、ネルケ版初代セラミュのみなさんに、異動をめぐる情報が多かった、という話でございました。
2. 保険証がなければ全額負担
さて本題。『あなたを奪ったその日から』第2話レビュー後半です(2025年4月28日放送、脚本:池田奈津子/撮影:白石利彦/照明:磯辺大和/演出:松木創/企画:水野綾子/プロデュース:三方祐人/制作:カンテレ・共同テレビ)。
萌子(倉田瑛茉)が夜中に発熱した。必死の形相で近くの小児科医に駆け込む紘海(北川景子)は、もう自分が誘拐犯であることも半ば忘れているようだ。
紘 海「すみません、すみません」
看護師「どうしました?」
紘 海「熱があるんです」
あくびをしながら出てきた冬平医院の院長を演じる俳優は児玉頼信。『シン・ゴジラ』(2016年)では厚生労働大臣だった。総理大臣はじめ、ヘリもろともゴジラに撃墜された内閣の一員である。
医 師「ただの風邪です」
紘 海「お薬出すんで、心配要りませんよお母さん」
╳ ╳ ╳
紘 海「保険証?」看護師「はい。お嬢さんの保険証と医療証を」
紘 海「あの、あの、すみません」看護師「ああ、忘れてしまったのなら、今日のところは全額負担していただいて、後日精算となりますけど」紘 海「はい。それでお願いします」
╳ ╳ ╳
紘 海(我に返るってきっとこういうことだ)
紘 海(いったい私は何をどうするつもりだったんだろう)
こんなふうに、初日からいろいろあって、紘海も、やっぱり誘拐した子どもの親代わりになルなんて無理だ、という当たり前の結論になりかけるのだが、タイミング良く熱が下がり、萌子もだんだん「お母さん」に懐いてしまって、手放すに手放せなくもなってくる。さあどうする?
3. さそりハットでかくれんぼ
翌朝。さっそく体温を測ると、もう平熱に戻っている。やれやれ一安心。でも結局、この子をどうするつもりなのだろうか。
(36.6度)
紘 海(安堵の溜息)
萌 子「お母さん」
紘 海「気分は? 平気?」萌 子「保育園バス、ここに来てくれる?」
萌 子「ショウくんと約束したの。きょう保育園でかくれんぼしようって」
萌 子「保育園バス、来てくれるかなぁ」
紘 海「お腹すいていない? お母さん、萌子さんの好きなものを作ります。何でも言って」
紘海は勤務先の「はちどり保育園」に連絡して休暇をもらい、近所のコンビニへ行く。お店の名前は「モンマートまつやま」。実際には埼玉県草加市にあって、よくドラマのロケに使用されるコンビニである。
紘海は萌子の顔が見えないよう、つばが広く垂れて顔を覆うような帽子をかぶせている。昔はグレタ・ガルボにちなんでガルボ・ハットと呼ばれたようだが、私たちの世代に言わせれば映画『女囚さそり』シリーズで梶芽衣子がかぶっていたという印象が強い。さそりハット。
もちろん、子どもにとってはでかいしうっとうしい。だからすぐ取りたくなってしまう。当たり前ですね。
紘 海「すいません。今日はどうしても出勤できなくて」
紘 海「はい、すいません」
紘 海(帽子をかぶせて)「駄目だって」
萌 子「どうして?」
紘 海「どうしてって……これはね、ゲームなんです」
萌 子「ゲーム?」
紘 海「見つかっちゃいけないゲーム」
萌 子(にっこり微笑む)
見つかっちゃいけないゲーム。つまりかくれんぼだ。嬉しそうにそんなわけで、店に入ると、萌子はコンビニのなかでかくれんぼを始める。可愛いですね。
4. 筑前煮とサバの味噌煮定食
ところでこの店、みかけはもろにコンビニだが、中に入れば生鮮食品もまあまあ揃っていて「スーパーっぽいコンビニ」のようである。
紘海が買い物をしている間、萌子も店内を探検して「好きなものを作ります」というお母さんの言葉を信じて、あれこれ好きなものを勝手にもってくる。その品物がすごい。
三陸北部沖産 まさば(半身)
紘 海「好きなの?」
萌 子(頷く)
香川県小豆島産 のり佃煮
ゆず風味 いか塩辛
紘 海「渋好みなんだ」
買い物の帰り道。萌子は「見つかっちゃいけないゲーム」に夢中で、紘海にもすっかり懐いている。
紘 海「ミッション発生!」
萌 子「ラジャー!」
萌 子(帽子を目深に被って顔を隠す)
紘 海「よし、ミッション完了」
萌 子「お母さん、楽しいね」
こうなっちゃうと、もう可愛くてしょうがないやね。その帰り道、紘海は商店街の靴屋の店先にならぶ子供靴に目を留めた。
それで何やら思いつくところがあり、萌子をちょっと待たせて店内に入る。それから家に帰り、ご飯を作り始める。
保育園の調理師の仕事は続けているようなので、腕は鈍っていないようだが、自宅でちゃんと料理をするのは、ほんとうに一年ぶりだ。さて本日のメニューは何か。
……どうもこのドラマのスタッフには北川景子の熱烈なファンがいるのではないか? だって筑前煮といえば、どうしたって『リコカツ』(2021年)の「筑前煮女」を連想するし、サバ味噌を見て『とんねるずのみなさんのおかげです』「食わず嫌い王決定戦」(2008年)の「さばモグ」を思い出さない人はいないでしょ。
そういえば、話が飛んじゃうが、筑前煮女こと田辺桃子の最近の動向はどうなのであろうか。
5. ガールガンレディズその後
これまた北川景子ファンならば御記憶のとおり、『間宮兄弟』(2006年)のころ、スターダストプロモーションの看板と言えば沢尻エリカで、北川景子は二番手で、この序列はまず動かないものと思われたが、沢尻エリカさんが翌年の映画『クローズド・ノート』の舞台挨拶の塩対応でマスコミから総スカンを喰らって転落すると、あっというまに北川景子がトップの座についてしまった。
今回、事務所の一押しでトップ女優の後継者とも思われた永野芽郁さんが、なんか色々あって活動自粛状態になって、じゃあその代わりは誰か、ということになると、筑前煮女ががぜんクローズアップされてくる……というのは個人の見解です。みんなそうは思わないかもしれない。
ですがまあ、私の言い分も聞いてくれ。永野芽郁は1999年9月生まれの25歳でスターダスト・プロモーション第一事業部所属、田辺桃子は1999年8月生まれの25歳でスターダスト・プロモーション第三事業部所属。ちなみに北川景子は第三事業部の所属。まあ第一事業部の第三事業部の違いって、私には分からないが。
永野芽郁は2016年から2019年まで『セブンティーン』のモデルをやっていて2019年6月号で卒業。田辺桃子は2013年のミスセブンティーングランプリを大友花恋とダブル受賞して専属モデルとなり、2019年4月号で卒業。そんなふうに、私の頭の中で永野芽郁と田辺桃子は同じフォルダに分類整理されているわけです。
要するに何が言いたいかというと、ほら先日、永野芽郁が来年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟』を降板すると発表したでしょう、代わりに誰が出るかということで、私は「田辺桃子はどうかな」って思ったわけ。
……でもこの記事を書いている間に「代役は白石聖」というニュースが出てしまった。白石聖さん、最近なんとフラームに移籍したと話題になったばかり。さすが事務所の力というか、幸先の良い再出発になりましたね。
というわけで『ガールガンレディ』(2021年)で言えば(なんで『ガールガンレディ』で言うんだ?)、ポスト永野芽郁はアルファタンゴのチームだった白石聖であった。
デルタタンゴの田辺桃子ではなかったか。かすったな。デルタタンゴには、去年大河ドラマで活躍したらしい見上愛がいたのにな(だからそれがどうしたって)。
6. 二人のグルメ
道草を食いましたな。すみません。食事の場面にもどりましょう。だいたいね、こんな、筑前煮だのサバ味噌だの塩辛だのという御膳を「おいしい」と言って食べる子に、悪い子はいないですね。優しくサバの骨をとってあげる紘海。
萌 子「わぁ、萌の好きなものばっか」
紘 海「いただきます、しましょうか」
二 人「いただきます」
紘 海「あ、待って」
紘 海(骨から鯖の身を取り分けて)「はい、どうぞ」
萌 子(一口食べて)「おいしい!」
萌 子「こんなの初めて」
紘 海「お家ではお魚、食べないの?」萌 子「骨があるから危ないって」
紘 海「いつもご飯は誰が作ってくれるんですか?」萌 子「買ってきたやつとか、あとお祖母ちゃん」
萌 子「う〜ん、おいしい」
萌 子「う〜ん、しあわせ」
萌 子「おいしい」
7. 「お靴がまた会いに来てくれました」
さあ、そしてさっき商店街の靴屋でこっそり購入しておいた品物の登場である。
紘 海「あ、そうそう」
紘 海「さっき、これがうちに届いたんです」
紘 海「開けてみて」
萌 子「ミミちゃんのお靴!」
紘 海「萌子さんが良い子にしていたから、お靴がまた会いに来てくれたんですね」
萌 子「やったー。良い子にしてたから?」紘 海「そう。良い子にしてたから、ミミちゃんはまた会いに来てくれたんですね」
萌 子「パパは?」
萌 子「パパも会いに来る?」
萌 子「良い子にしていたらパパもまた会いに来る?」
疑似親子に酔いしれかかっていたところを、絶妙のタイミングで現実に引き戻す萌子。その無邪気な問いかけが、眠っていた紘海の罪悪感を揺さぶる。
紘 海(とっくに気づいていた)
紘 海(この子を利用して復讐するなんて間違いだと)
萌 子「どこへ行くの?」
紘 海「萌子さんの、一番行きたいところ」
保護者になるなんて無理だ。理性を取り戻し、あたりまえの現実に目がさめた紘海は、改めて萌子を結城の元へ帰してやる決意を固めたのだったが……。
今回もそろそろ時間切れだ。まずいな、今回こそは第2話の終わりまで行くはずだったのだが。しかしなんで『ガールガンレディ』の話なんか始めちゃったかなぁ。反省。