実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第1005回】「子どもが一番の宝です」の巻(北川景子『あなたを奪ったその日から』レビューその1)

1. 相変わらず長いイントロ



 いやそれにしてもすごかったね北川景子。この間の『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』(2025年4月15日、カンテレ)は大暴れだった。芸人さんたちとの息もぴったりというか、なんというか。



濱 家「北川さんは他のメンバーとは、面識といいますか……」



北 川「私……昔、他局ですが『アメトーク』で、たぶん華大さんとだけ」



濱 家「御一緒」



大 吉「僕らがひな壇にいて」



北 川「はい、ですね。と……」



大 悟「ワシはまあ基本、家へ帰りゃおるけどね」



ノ ブ「違う違う違う、違うひと違うひと。革手袋をしていないでしょ」



 DAIGOと大悟の混同、というこのネタは、実は7年前からお馴染みである。2018年11月9日放送のフジテレビ『全力!脱力タイムズ』より。



有 田「実は北川さんはこの番組の大ファンだ、ということをもとにですね、まあちょっと、こちらもそこにつけあがったといいますか、サプライズをひとつ用意させていただきました」
北 川「え、何ですか?」
有 田「ご主人との 初の、結婚後ツーショット」
北 川「えっ!? えっ、ここでですか?」



有 田「はい。ご主人も実は、一緒にこの番組をご覧になっていると」



北 川「いつも一緒に観ています、はい」



有 田「ご主人のほうも出たい出たいとおっしゃって、実現したらいかがですかと。だったらここでということで」



北 川「ええっ!ホントですか!?」



北 川「さあ それでは ご主人のDAIGOさん来ていただいております。どうぞ!」
 



北 川「もーう! 家にいるって言ったじゃん」



大 悟「ごめん」
北 川「言ってよ〜!」



大 悟「怒ってるう?」
北 川「言ってよお。 何で? 今日は休みって言ってなかった?」



大 悟「景子がビックリすると思って」
北 川「うっそー。ビックリしちゃったあ」
小 峠「全然 似てねえな!似せる気がねえんだから!」



有 田「どうですか? 家で 毎日お会いしてるわけじゃないですか」



北 川「そうですね、公の場で会うことってやっぱりないから」
大 悟「恥ずかしいよね」



小 峠「しゃべり方ほとんどボビー(・オロゴン)だね」



北 川「めっちゃ恥ずかしいです」
有 田「まあこの状況はねえ、DAIGOさん、この状況を、ずばり例のDAI語で」
大 悟「えっ」(かなり狼狽)
有 田「DAI語でお願いします」



大 悟「あ〜…… DAI語で?」
北 川「面白いですよね」
有 田「いつものね」



大 悟「今の… 今の状況。え〜……YMK!」
有 田「何でしょうか?」
北 川「何だろ?」



大 悟「嫁・マジ・キレイ」
北 川「ヤーダ! 毎日 見てるじゃん」


 この時は、くりーむしちゅー有田から突然アドリブでDAI語を求められ、けっこう本気で焦っていた千鳥の大悟が面白かった。
 ちなみにこの出演は、映画『スマホを落としただけなのに』(2018年東宝、中田秀夫)公開告知のためのものであった。



北 川「言えないって、言えない、言えない。スタジオだもん、スタジオだよ、みんな見てんだもん」
小 峠「切りましょうよ、だからね。みんな見てるから切った方がいいです」



北 川「言えないって。なんで? 二人になってから言えばいいじゃん」



北 川「何で?カメラに向かって? も〜う分かった。言えばいいんだよね、分かった」



北 川「はい。私が出演してます映画 『スマホを落としただけなのに』が11月2日から公開されています」



小 峠「これはひどいな……これはひどい」



北 川「この映画はですね、私の恋人役の田中圭さんが、スマホを落としてしまったことでありとあらゆるデータが流出してしまう、という、その事件に私が巻き込まれてしまう、SNSミステリーとなってます。 皆さま劇場で覧になってください。よろしくお願いしまーす」



北 川「……いいのこれで?」



小 峠「ダメでしょ、ダメダメ。テレビ史上番宣で一番ひどいですよ今のが。一番ひどい。テレビ史上一番ひどい、今の番宣が」


 バイきんぐ小峠英二いわく「最低の番宣」であったが、映画は興行収益20億円のヒットとなりシリーズ化され、続編『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(2020年東宝、中田秀夫)、3作目『スマホを落としただけなのに 〜最終章〜 ファイナルハッキングゲーム』(2024年東宝、中田秀夫)と続いた。



 この映画で恋人同士を演じた田中圭と北川景子については、当時こんな記事が出た。



 劇中で、結婚間近のカップルを演じる2人。見どころを問われた中田秀夫監督は「ラブ。ラブです。一番好きなシーンは、田中さんの家で北川さんと田中さんが仲直りをするシーンがあって、すごく良いんですよ。すごく良いしうらやましいし(笑)。田中さんがこれもできるし、これもできますよって(演技プランを)言ってくれて、すごく生な北川さんの表情が見られた。そこをお楽しみに」と紹介。



 田中が「台本には仲直りのキスをするって書いてあったのに景子ちゃんが『したくない』って言って。俺も流石にここではキスできないですねって感じだったけど、彼氏だからどうにかして機嫌を取って一生懸命キスしに行くんだけど、すごいキスさせてくれないリアリティがね……」とうなずきながら補足すると、北川は「『したくない』って言うと語弊がある!役柄上ですよ?」と笑顔でクレームを入れつつ、作品を考えての行動であったことを明かした。(『モデルプレス』2018年10月8日)


 今も昔も変わらずエロい田中圭。それに対する北川景子の毅然とした対応は、さすがは我らが北川さんという感じである。
 しかしここで生じるのが『恋文日和』(2004年アミューズ・シネカノン、須賀大観)に関する疑惑である。この作品で田中圭は、まだ18歳だった小松彩夏を相手にキスシーンを演じて実写版セーラームーンのファンを騒然とさせた。



 当時の小松彩夏は確かに露出の多いビキニや少々きわどいイメージDVDを出してはいたが、ここまではっきりのキスシーンが当初より予定されていたのか、ひょっとして田中圭がその場で監督に直訴したのか?と思わないでもない。



 これほどさように田中圭という人は、美人と見るや(特に酒が入っていると)相手がそれなりの売れっ子芸能人でも、そういうことをわきまえず(そして自分の立場も、もちろんわきまえず)デレデレしたりチューをしにいったりするような人なのだが、それで私が何を言いたいかというと、いや別にね。さすが北川さんだねっていう程度の話です。

2. ここから本編



 話が逸れました。本日のお題は『あなたを奪ったその日から』第1話でございました(2025年4月21日放送、脚本:池田奈津子/撮影:白石利彦/照明:磯辺大和/演出:松木創/企画:水野綾子/プロデュース:三方祐人/制作:カンテレ・共同テレビ)。
 



紘 海(なぜだろう。愛と憎しみはとても似ている)


 今回、北川さんが演じているのは「はちどり保育園」に勤める調理栄養士の中越紘海。



 3歳になる娘の灯(あかり)がいて、この子も「はちどり保育園」に預けているのだが、ときどきお母さんに会いたくなって調理場に来てしまう。



 灯 「お母さん」



紘 海「また来たな食いしん坊」



 灯 「お母さん今日の給食なあに?」
紘 海「保育園では先生でしょ」



 灯 「先生。今日の給食なんですか?」



 灯を演じているのは4歳の石原朱馬(いしはらしゅま)さん。初の出演作品ですかね。悲劇はこの子の3歳の誕生日に起こってしまった。



紘海と灯「♪汽車汽車ぽっぽっぽっぽっ」



紘海と灯「しゅっぽっしゅっぽっしゅっぽっぽ♪」



 二人が向かうのは「YUKIデリ」というお総菜屋さん。デリというのはドイツ語のデリカテッセン(delicatessen)の省略形である。それが「デリカ」と省略されたところまでは知っているが、いつの間にかさらに1文字削られて「デリ」になったらしい。



 とうもろこしが大好きなあかりは、このお店の「コーンたっぷりミックスピザ」が前から食べたくて、今日は誕生日なのでおねだりしているようだ。



鷲 尾「いらっしゃいませ」
紘海と灯「どうも」
鷲 尾「あら今日は」


 あかりにも声をかける調理長の鷲尾を演じているのは水澤紳吾。昔はヤバい犯人役とか多い人だった。たとえば北川景子も出ていた『さんかく窓の外側は夜』(2021年松竹、森ガキ侑大)の連続バラバラ殺人事件の犯人とかね。最近だいぶテレビで観かけるようになって、ヤバイ感じはちょっと薄くなってきたかな。泉里香が出ていたドラマ『密告はうたう』(2021年、WOWOW)『密告はうたう2』(2024年、WOWOW)では「猿飛」と呼ばれる情報屋とか。『西園寺さんは家事をしない』(2024年、TBS)では松本若菜が勤めるアプリ制作会社のベテランエンジニアとか。



 最近ので印象に残っているのは『ベイビーわるきゅーれエブリデイ!』(2024年、テレ東)第3話で、宮内さん(中井友望)にぶつかってぬいぐるみをすっ飛ばしたくせに謝りもせず、怒ったまひろ(伊澤沙織)とちさと(髙石あかり)にボコボコにされる通称「ぶつかりおじさん」でした。



 第8話にも再登場していたね。……話を戻します。そんな水澤紳吾が、わりと普通そうにレジをやっているデリカ。いやデリ。



 灯 「あ、これ」



 灯 「とうろもこしのピザ」



紘 海「ピザならお母さん作ってあげるよ」



 灯 「これがいい、とうろもこしのピザ」



紘 海「分かった了解です」



紘 海「うん、うん、OK」


 あかりは甲殻類アレルギーだ。甲殻類アレルギーでアナフィラキシーショックが起こる格率は、他の食品に較べて高いとも言われる。なので、前に食べたことがある商品でも、原材料のチェックは怠らない。海老も蟹も使われていない。しっかり確認して、買ってあげることにする。



 でも「ピザならお母さん作ってあげるよ」のセリフは、あとあと痛切に響く。運命の分かれ道というか、多分このあと紘海は繰り返し「何であの時『ピザならお母さん作ってあげるよ』と押し切ってしまえなかったのだろう、安易な気持ちで買ってしまったのだろう」と繰り返し自分を責め、後悔することになるのだ。次の鷲尾のセリフがまた、追い討ちをかける。



紘 海「ではこれ」
鷲 尾「ありがとうございます」



鷲 尾「お母さんのピザに勝てるかな」


 そこへ突然「YUKIデリ」の社長、結城旭(大森南朋)が登場。ある意味、ここで結城と鷲尾の会話を聞いていなければ、紘海のこの先の行動も違ったものになっていたかもしれない。彼女の人生を狂わせるすべての要素が、このわずかな「YUKIデリ」での買い物シーンに集約されているわけで、秀逸な構成だと思う。



鷲 尾「あ、社長」



鷲 尾「どうしたんですか?」



結 城「ちょっと遊びに来ただけ」
鷲 尾「仕事じゃないの?」



結 城「仕事なんてやってらんないよ、こんな天気の良い日に」


 ということで、この時はさりげなく終わってしまうが、これが紘海と結城のファースト・コンタクトであった。

3. 急変



 その夜、夫の景吾(高橋光臣)と紘海と灯、家族三人で灯の誕生パーティーが行われ、紘海も景吾も親バカぶりMAX。



 そりゃそうだ。そもそも、最初の子どもの3歳の誕生日っていえば、両親にとっての最高のプレゼントなのである。



 いやあ、うちの娘だって、3歳のころは本当に天使かと思うくらい可愛かったのになあ、って何を言っているんだか。



 しかし窓の外が激しく光り、雷鳴が轟き、激しい雨が降り始めた頃、あかりの様子も急変する。

 



紘 海「あかり、おいで」



紘 海「よしよしよし、カミナリさま怖いのかな」



景 吾「あかり、おへそ隠したか」



紘 海「大丈夫。お母さん守ってあげる」



 灯 「お母さん……」



紘 海「ん?」



 灯 「気持ち悪い」



紘 海「あかり……」



 灯 「はぁ、はぁ、はぁ」



紘 海「あかり!?」



景 吾「ん、どうした?」



紘 海「アナフィラキシー、なんで、え?」



景 吾「見せて」
紘 海「大丈夫?どうしよう」



景 吾「苦しそうだな。病院」


 そして、ここがちょっとよく分からないのだが、豪雨の中、景吾はあかりを抱きかかえて病院に走る。傘を差して後を追う紘海。直接走って出てゆくって、病院がよほど近いところにあったのかな。



 なぜとっさに救急車に電話をするとかしなかったんだろう。うちの娘が3歳の時、40度の熱を出して引きつけを起したことがあったんだけど、私と妻は「どうしよう、どうしよう」とぐるぐる回ってから、とりあえず救急車を呼んだけどなぁ。……ともかく、病院へ。最高に楽しいはずの誕生日パーティーが、苦痛と悲しみの淵に叩き落とされてしまった。



景 吾「お前なに食べさせたんだよ」
紘 海「変なものは何も。前にも食べさせたことあるやつだし」



景 吾「じゃあ何でこんなことに」



紘 海「分かんないよそんなの」



景 吾「先生」



医 師「手は尽しました」



 医師(羽田野玄多)の手当ての甲斐なく、灯はそのまま逝ってしまった。享年三。やってらんないですね。引き取った灯の遺体を前に茫然としている紘海と景吾。



 海老や蟹は使われていないという表示にもかかわらず、ピザを食べたとたん、甲殻類アレルギーが生じた。つまりこれは「YUKIデリ」の表示ミスで、製造過程になんらかの過失があったということだろう。



 当然、事件はニュースになり、社長の結城旭はマスコミ相手の記者会見を余儀なくされる。



 テレビをつけると記者会見の真っ最中だった。記者たちから責任を厳しく問い詰められ、思わず台本にはない本音で訴える結城。だが逆効果だった。



 旭 「私たちは、心を込めて商品を開発してきました。大人だけではなく、もちろん子どものためにも」



 旭 「子どもが何を口にするかは大人の手に委ねられています。何かあったら大人の責任です」



景 吾「はぁ?」



記 者「被害者の親が悪いって言うんですか?」



 旭 「そんなことは言っておりません。私はうちの商品を、自分の子どもに与えるものだと思って」



記 者「じゃあ何でこんなことになっているんだ!」



 結城としては、決して責任転嫁をするつもりはなく、むしろ大人の一人として強い責任を感じている、ということが言いたかったようだが、これでは「食べさせた親の責任だ」と釈明していると思われても仕方がない。記者会見はさらに紛糾し、収集がつかない。中継を観ていた景吾も怒り心頭である。



 ただ紘海には、灯が死んだ夜、病院で景吾から投げ掛けられた「なに食べさせたんだよ」という詰問に加え、この「子どもが何を口にするかは大人の手に委ねられています」というひと言がさらに深く刺さる。あの時、社長と呼ばれたこの男は「仕事なんてやってらんないよ、こんな天気の良い日に」などと能天気なことを言っていた。



 そんないい加減な社長がやっている惣菜店だと分かった時点で、買い物をやめてさっさと帰って、ピザなんか手作りしてあげればよかったのだ。確かに「子どもが何を口にするかは大人の手に委ねられて」いる。自分にも責任はある。でもそれを、当のこの社長に言われるとは。



 マスコミの厳しい報道にもかかわらず、事件は不起訴に終わる。店の製造過程でピザに誤って甲殻類が混入した事実がはっきり確認できなかったからである。公式見解としては、家庭で食べさせるときに何かの手違いが起こった可能性、つまり母親の紘海に非がある可能性を否定し切れなかったわけだ。



 紘海は離婚届を景吾に差し出す。自分を母親失格、家庭をもつ資格などないと断罪して、その懲罰を受けるつもりであろうか。



紘 海「お願いします」



景 吾「これだけは言っておく。お前を責めるつもりはなかった」



紘 海「わかってる」



 灯がアナフィラキシー・ショックを起したときは、お互い取り乱して言い争いにはなったけど、別にその後、関係がぎくしゃくしたような描写もない。だからこの離婚にいたる心理も不可解といえば不可解だ。でも高橋光臣だから仕方ないね。



 前回までレビューをやっていた『落日』でも、高橋光臣は、幼稚園のころとっても可愛かった香ちゃんに再開したいという下心ミエミエで、アメリカから駆けつけ、香と真尋の取材に協力したのだ。でも香がまるで自分に興味を持っていないことを知って「会えてよかった」とか格好つけて去っていった。



 『リコカツ』(2021年、TBS)もそう。北川景子が気兼ねなく振れる相手役が高橋光臣である。というか高橋光臣が出てきたら北川景子と別れる役ということになっているので、この離婚に深い理由は要らないのかもしれない。



 こうして一人になった紘海の胸に去来するものは何か。あれから一年……というところで、ちょっとそろそろ時間だな。



  う〜ん、今度こそはドラマの放送に食いついて同時進行でレビューをしようと思っていたのだが、初回で躓いてしまった。ここまでで第1話の半分強。やはり分不相応なことなど考えるもんじゃない。ということで今回はこれまで。かなりいいテンションのドラマなので、最終話までこの感じで続いてくれることを希望します。



結 城「子どもが一番の宝です」



紘 海(……その言葉が聞きたかった……)


 てことで、ではまた次回。