フジテレビ大人の土ドラ『リカ』の続編『リカ 〜リバース〜』が放映中だって。続編といっても「リバース」つまり時間を第1作よりも前に巻き戻して、雨宮リカが永遠の28歳になった最初の物語が語られているらしい。エピソード・ゼロである。だから今回は安座間美優さんが出ていない。それに、とにかく怖い話なので私は観ていない。さらに6月には劇場版『リカ 〜自称28歳の恋愛モンスター〜』が公開という。あれってそんなに人気作品だったのか。「主人公がサイコなストーカー体質の女性」という点では『ナイルパーチの女子会』とも通じるから、こういうのがいま受けるのであろうか。
予告編じゃ空飛んでるし。『リカ』もそうだったけど、『ナイルパーチの女子会』も、私にはきつ過ぎて観るのをやめてしまった。しかし物語の行き先は気になったので、柚木麻子の原作を買ったら、引き込まれて一気読みして、これは良かった。それでまたドラマに戻って最終回を少し丁寧に観たんだけど、主人公の水川あさみと山田真歩、それに森矢カンナの物語はうまいこと着地点にいたったけど、小池里奈はこれで良いのか? という終わり方。意味不明ですみません。
さて私事ですが、今週来週はまだ相変わらず忙しくて、ブログに時間を割けない。すみません。「ゲキカラドウ」レビューの後始末をしながら、いよいよ始まった泉里香さん初主演作『高嶺のハナさん』に向けて盛り上がっていきたい。2021年前半は泉里香祭りだよ。
第11話「谷岡流激辛もつ鍋」(2021年3月17日)
ある朝、谷岡室長(平田満)が「明日は休日だ、どうだろう、みんなを招待するから、うちでホームパーティーをやらないか」と提案し、定例の会議に向かう。とまどい怖れる営業促進室の面々、猿川(桐山照史)、秋山(前川泰之)、友麻(泉里香)、山崎(森田甘路)、そして篠宮(中村嶺亜)。
猿 川「室長どうかしたんですか?」秋 山「こっちが聞きたい」
友 麻「会社に来た時からヘンなのよ。室長がホームパーティーやろうなんて、これまで一度もなかったし」
山 崎「きっと、辛くてヘンなもの、食べたんじゃないですか?」
篠 宮「離婚とかじゃないっすか?」
友 麻「……そうね。離婚の話が出ているから、私たちを呼んで場をなごませいたいのかも」
山 崎「離婚ぎりぎりってこと?」
秋 山「最後の晩餐になるかも知れない」
心配なのか野次馬なのか、ともかく招待に応えて谷岡家を訪ねると、離婚の危機どころか、谷岡家は室長と奥さん(有森也美)、そして長女(里内伽奈)の仲むつまじい三人家族。
たしかに圧倒的に奥さん上位で、室長は頭の上がらない恐妻家に見えるが、職場の部下全員をホームパーティーに招いて、母娘二人でおもてなしなんて、なかなか古いタイプの夫を立てる妻だよね。メニューは福岡の郷土料理ごまサバの唐辛子ごままぶし、青唐辛子入りの肉巻き、そして辛子明太子入りもつ鍋。辛子明太子は銘柄指定でふくやの「辛皇 ホットエンペラー」である。
どれも美味しくて、しかも炭水化物大好きの山崎には最初からご飯、ビールNGの友麻には芋焼酎と、気配りもこのうえない。辛いものが苦手だったはずの篠宮も、気がつけばけっこう美味しくいただいていた。だがお腹もいっぱいになってくつろぐひとときで、メンバーが次々に衝撃のカミングアウトをしてゆく。
猿 川「亮介、がんばったな」篠 宮「はい、辛かったっすけど、パイセンたち見ていたら、食べずにいられなかったんで」
谷 岡「亮介君、それだ!」
谷 岡「負けると分かっていても頑張るのが激辛道だ」
篠 宮「……けど、激辛道ってよく分かんないっす」友 麻「私も室長の、ほかの上司にはない力の抜け具合には好感が持てますけど、激辛道はちょっと……」
秋 山「私もです。辛いものは大好きですが、激辛道はついていけないというか……」
山 崎「実は私も、激辛道とか関係なく、辛いものと炭水化物があればいいと思ってるので……」
なんと営業促進室の面々は、とくに室長の激辛道に感化されたわけでもない、ただの激辛好きの集まりだった。それでもめげずにゲキカラドウを語り続ける谷岡。そんな谷岡の言葉に猿川だけは真剣に聞き入る。
しかし話が長すぎて、終電の時間も来てしまい、気がつけば猿川以外の同僚はさっさと帰宅していた。
そんなわけで、もつ鍋のシメのちゃんぽんは、谷岡家と猿川の四人でいただくことに。これも明太子入りだ。
美味しく食べ終わったが、ゲキカラドウを熱く語り続けた室長は、酒が回って寝てしまっていた。
千 里「パパ、ママと出会ってから辛いものが好きになったんですよ」
猿 川「へえ」千 里「ママに振り向いて欲しくて辛いものを食べ続けて、いつの間にか辛いものが好きになってたんです」
猿 川「あ、そうだったんですか」千 里「そしてセルビアでママにプロポーズを」
猿 川「セルビアで」
千 里「パパと付き合っているとき、ママは世界中の激辛料理を食べ歩く旅に出たんです。パパ、心配でついていって、セルビアに着いた時に、結婚して欲しいって」
千 里「そういえば猿川さん、パパ、初めて激辛道を信じてくれる部下ができたって、喜んでました」
猿 川「いや……ははは」
これね、あまり詳しく触れなかったけど、実は第8話「激辛アラビアータとモテカラドウ」(2021年2月24日)とフーガ形式になっている。第8話は、営業促進室でただひとり辛いものが苦手な篠宮が、激辛大好き美少女の香澄(武田玲奈)に恋をしてしまう話だった。その香澄は唐辛子が好き過ぎて、唐辛子料理を究めるためにブータンへ激辛留学をしたいという夢があって、悩んでいた。
そんな香澄の背中を押してあげたのが篠宮で、篠宮は、香澄がブータンから帰ってくるまで激辛が食べられるようになろうと頑張っているのだ。実はそれって、若き日の谷岡室長と同じ境遇だったということで、さあいよいよ最終話。
第12話「さらば愛しのゲキカラドウ」(2021年3月25日)
猿川に与えられたミッションは、JAL国内線のドリンクサービス用のプレゼン。相手が大手というせいか、谷岡室長はいつになく厳しく、猿川のプレゼン資料にNGを出す。
ひとり残業していると、いつものヒーハーイーツ配達員(しずる村上)が激辛カレーを運んでくる。
配達員「お待たせしましたヒーハーイーツです」猿 川「ごくろうさまです」配達員「カツカレー20辛です」猿 川「ありがとうございます」
猿 川「おぉ旨そう」
猿 川「……いやいや頼んだのはひとつです」
配達員「あ、いや、いつもあそこに座っている綺麗な方……」猿 川「大河内さん」
配達員「大河内さん……サービスです」
猿 川「……あの、前から言おうと思ってたんですけど、大河内さん、炭水化物食べないんです。」
猿 川「だから今までのも食べてないですよ」
配達員「……ヒーハー……」猿 川「ヒーハー?」
猿 川「でもせっかくなんでオレが」
配達員「それは違います」
猿 川「それは違う……」配達員「ありがとうございました」
猿 川「あ、またお願いします」配達員「お願いします。ありがとうございました」
なんてことをやりながら、夜を徹して作ったプレゼン資料だったけど、室長からは突き返されてしまう。
谷 岡「やり直しだね」
篠 宮「あの、室長、パイセン、徹夜でがんばって……」
谷 岡「仕事だ。頑張って当然だよ」
山 崎「さっき読んだんですけど、前のより全然」
山 崎「ねえ」秋 山「私も、ロンロンの意図が分かりやすくなって、よくなっていると」
谷 岡「済まないが、判断するのは私だ。大河内君、例の契約の件、上に報告に行くんだ。君も来てくれ」
猿 川「……はい……」
秋 山「猿川、おれは良く出来ていると思うぞ」山 崎「新製品の写真が小さ過ぎたのかなあ」
猿 川「ありがとうございます。でもまだ先方に想いが伝わらないってことかも知れません」
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友 麻「室長、どこが悪かったんでしょうか」
友 麻「私も目を通しましたが、よく出来ていたと思います」
なんていうこともあって、同僚のみんなも心配するなか、何度か突っ返された後、ついにOKが出る。JAL国内線のドリンクサービスのラインナップにロンロンの冷製スープも加え、ちょっと小腹の空いた客にも対応しようというサービスだ。
相手の反応も上々で、前向きに検討するとの返事も貰った。そこでようやく谷岡室長は「これで思い残すことなく君を贈り出すことができる」と打ち明ける。実は猿川の大阪本社への異動辞令が出ていたのだ。
それで室長は、本人に伝える前に、やり残したことを急いでやっていたのである。第10話で「組織において一番大切なこと、それは後輩を育てることだ」といい、いまいち仕事に向かう気のない篠宮の教育係を任せたことも、第11話のホームパーティーで猿川ひとりに熱く激辛道を語ったことも、そしてこの第12話でプレゼン資料のやり直しを何度も命じたことも、すべてもうすぐ異動する猿川への室長の叱咤と激励だったのである。
ということで送別会の場所は、蒙古タンメン中本の上板橋本店だ。第1話で猿川は「ラーメンランド浅草大門店」の「地獄ラーメン50丁目」を一人で食った。最終回もラーメンだ。その間に第7話で、友麻が「辛ラーメン」を使った自家製プデチゲを作っている。ただ炭水化物NGの友麻は麺の代わりにシラタキを使っていたけど、今回はどうするんだ? ていうかこの店、店員が鈴木亜美。
店 員「食券いただきますね」猿 川「お願いします」
店 員「北極ラーメン、チャーシュー味玉のせ、頂きました」
山 崎「お、最後は北極にチャーシューか」猿 川「はい、室長のお勧めです」篠 宮「北極って、最果て感ハンパないチョイスが悲しいっす」猿 川「ははは」
秋 山「一生会えないわけじゃないだろ。」
篠 宮「僕は伝統の蒙古タンメンっす。残しちゃうかもしんないっすけど」猿 川「おいっ(笑)」
谷 岡「私はひやみだ」猿 川「ひやみ?」
谷 岡「冷やし味噌ラーメンだ。略してひやみ」山 崎「一番辛いやつだ」
山 崎「僕は蒙古丼に蒙古タンメン麻婆マシ、背脂乗せダブルで」
秋 山「おれは味噌卵麺にバターだ。大河内は?」
友 麻「私は北極野菜ラーメン」
猿 川「あっ、けど大河内さん、炭水化物……あっあの、ここってシラタキとかに麺を替えれますか?」
店 員「あ、大丈夫ですよ。うちコンニャク麺もあるんで」
友 麻「いいの今日は」
猿 川「え?」
友 麻「今日は食べる」
なんかね、泉里香演じる大河内はずっと炭水化物NGキャラで通してきましたからね。最終回で、猿川を送り出す送別会だから特別にラーメン解禁という、ただそれだけで、ここまでホロリとさせられるとは思わなかったなあ。乾杯も、いつものチャミスルとかではなくて、泉里香もみんなと一緒の生ビールなのだ。そういう細かい複線回収が利いていて、良いドラマだった。私は十分、楽しめた。
ということで、三ヶ月にわたって楽しんできた『ゲキカラドウ』、これにておしまい。次回からは『高嶺のハナさん』でひたすら泉里香の変顔を追う所存であります。あっ『リコカツ』もあったよなぁ。