映画『屍人荘の殺人』。内容の評価はさて措いて(おい)1週目の成績は『アナと雪の女王2』『ジュマンジ/ネクスト・レベル』に続く3位で、動員数16万7000人、興行収入2億2千万円だそうです。
シロウト興行収入ウォッチャーの大ざっぱな目安だが、だいたい最初の週末で2億円を越えれば総収入10億円、3億円を越えればトータル15億円を狙える。そしてわが国では、10億円を越えれば正々堂々ヒット作と名乗って良い雰囲気がある(これは「日本映画制作者連盟」が毎年1月、前年の総興行収入10億円以上の作品リストを順位つきで公表する慣例によるものであろう)。というわけで大ヒットだ。大ヒットおめでとう。
と強調するのはもちろん理由がある。関係者はこの成績に満足していないのではなかろうか。というのもこの映画、東宝が全国300スクリーンを使って正月映画の目玉に据える作品である。つまりひと昔前だったらゴジラ映画の枠だ。しかもメインキャストが神木隆之介と浜辺美波。東宝映画的な見方をすれば、『バクマン』で17億円、『フォルトゥナの瞳』で13億円を稼いでくれた神木くん(声優のキャリアも加えると『君の名は。』の主演でもある)と、『君の膵臓を食べたい』で35億円(!)を突破した美波ちゃんのダブル主演だ。そこに国内主要ミステリー賞を総ナメにした原作をもってきている。なんか会社の期待がひしひしと感じられるではないか。
私の推定では、東宝の設定した目標ラインは15億円突破、あわよくば20億円、ってとこ。とすると、『アナ雪2』はともかく『ジュマンジ』にも負けて3位発進という今回の結果に、さっきも言ったとおり、関係者はもやもやしているのではないか。これはいけない、おぢさん、美波ちゃんを守らなければ(ついでに神木くんも)。
というわけでもういちど繰り返す。『屍人荘の殺人』1週目から大ヒット! おめでとう神木くん。おめでとう美波ちゃん。あと山田杏奈さんもよろしくね。
しかし浜辺美波もどんどん出演作品の発表があって、来春『賭ケグルイ2』を観たいという私のささやかな希望は、どうも叶えられそうにないな。
1. ヘローひこえもん
さて本編である。担任の桜田先生の英語の授業。会話を板書した先生が「はい、じゃあこの会話を、二人一組になってやってみて。席、移動していいから、楽しく会話するように」と指示すると、生徒たちは友達同士でペアを組む。亜美はうさぎと組みたいが、なるに遠慮する。なるはなるで、うさぎと亜美が最近、自分の知らないところでどんどん親密になっていることにモヤモヤしていて、それがついに爆発してしまう。
桜 田「はい、じゃあこの会話を、二人一組になってやってみて」
桜 田「席移動していいから、楽しく会話するように」
な る「うさぎ、やろ」
うさぎ「うん」
うさぎ「あ、亜美ちゃん!」
うさぎ「一緒に三人でやろうよ」
亜 美「ううん、あれ二人でやる会話だし。私、誰か余った人と組むから」
うさぎ「でもさぁ……」
な る「正直に言えば?うさぎと組みたいって」
亜 美「でも、大阪さんが先だから――」
な る「そういう自分を犠牲にしたような言い方、ずるいと思うんだけど。こっちが悪いみたいじゃない」亜 美「そんな……」
うさぎ「ちょっとなるちゃん、亜美ちゃんはそんなんじゃないって」
うさぎ「ホントに優しすぎるんだよ」
な る「何よ。うさぎもさ、最近亜美ちゃんばっかだよね」うさぎ「いや、それは……」
桜 田「こらぁ、何やってんの。こんな事でもめないの」
桜 田「先生が相手を決めてあげます」
この後、台本には「桜田が三人をバラバラに他の生徒と組ませる」とあり、台本もある意味それに忠実にしたがっている(台本全文はこちら)。その結果、桜田先生(大寶智子)は、なると香奈美(平井愛子)、亜美と桃子(清浦夏実)を組ませる。そして残るうさぎは、山本ひこえもんと組む。ひこえもんは、うさぎと亜美のクラスメートで、これまで何度か登場している。特にAct.2とAct.5で複数回にわたって画面に映り込んでいる。
亜美がメインのエピソードだと出番が増えるようだ。でも考えてみたら、亜美が主役になると教室のシーンが多くなるので、映るチャンスも増えるってだけか。
桜 田「大阪さんと阿部さん」香奈美「よろしく」
桜 田「水野さんと木村さん」桃 子「よろしく」
桜 田「月野さんと山本ひこえもんくん」山 本「よろしく」うさぎ「よ、よろしく……」
桜 田「はい、一言でも文句言ったら小テスト~」
ひこえもん「ヘロー」うさぎ「ディス・イズ……」
うさぎ「ちょっとゴメンね」
うさぎ「(小声で)なるちゃん、悪気はないから」
このAct.16のオンエア日は2004年1月24日(土)だが、亜美の背後の黒板は1月26日(月)となっている。それはともかく、ひこえもん、深みのある低音で、英語の発音もなかなかである。いまではもう立派なオトナになっているはずだが、本当にこの人については情報がなくて、名前すら判らない。うさぎのクラスメートを演じている子供たちについては、オープニング・タイトルに劇団東俳、劇団ひまわり、劇団日本児童、セントラル子供劇団という四つの劇団名が記されているのみである。どなたか本当にご存知ありませんか?
ちなみに「山本ひこえもん」という表記は、今はなき東映公式サイトの表記による。Act.29で助監督の加藤弘之が「理科の加藤先生」として出演したとき、公式サイトは彼を「山本ひこえもんと並ぶ、十番中学の名物になるか?」と持ち上げていた。
そこまで言うなら、もう少しひこえもんのことを教えて欲しかったよな。ひこえもん本人も、名乗りを挙げて欲しい。どういう経緯で「山本ひこえもん」という役名を与えられ、沢井美優の相手役に抜擢されるに至ったのか語って欲しい。もう忘れているかも知れないけど、私は「海野ぐりお」の「海」の反対で「山本」と命名したのではないかと睨んでいる。
2. エナジー・ファーム
続いてはダーク・キングダム。あいかわらずヘタレで、そのわりにプライドの高いネフライト。もうベリルもクンツァイトも完全にバカにしている。ここで、まことが吸い込まれそうになったアリ地獄の正体とメカニズムが説明される。エナジーファームである。
ネフライト「ベリル様! 申し訳ありません!」
ネフライト「必ずプリンセスを見つけ出し、幻の銀水晶を……」
クンツァイト「いつまで口約束を唱えているつもりだ。私がお前でも出来る仕事を与えてやろう」
クンツァイト「たとえば私のエナジーファームとか」
ネフライト「黙れ! 誰がお前などに」ベリル「クンツァイト、エナジーファームとは何だ?」
クンツァイト「その名の通り、牧場です。ただし、飼っているのは集めてきた人間」
たとえば女性が独り歩きをしていると、足もとに突然アリ地獄が開いて彼女を飲み込んでしまう。
で、その女性が床からピュッと吐き出されて倒れ込むと、そこにはベレー帽を被ってアーティスト気取りの妖魔(金)が待ちかまえている。
場所は千葉県木更津市のかずさアカデミアホールである(台本では高層マンションということになっていた)。ここがエナジーファームだ。
妖魔(金)というのは台本での名称ね。その妖魔(金)の目が紅く光ると、囚われた女性は意志を奪われ、まさしく牧場の家畜状態だ。
同じような人々があたりにゾンビのように徘徊しており、うつろな表情でエナジーを吸われている。
クンツァイトの声「人間どもには普通に生活をさせ、定期的にエナジーを吸い取ります」
そうやって集められたエナジーは、屋上の排気口からダーク・キングダムに送り込まれ、そしてどうやらメタリア復活のための資源とされるようなのだ。
これがクンツァイト自慢のエナジー・ファームの全容である。
クンツァイト「大いなる悪の復活が始まるのも時間の問題でしょう。ネフライトにはそこで下働きなど……」
ネフライト「クンツァイト! それ以上行ってみろ……!」
クンツァイト「やるか?」
ベリル「待たぬか!」
ネフライト「しかし!」
ベリル「クンツァイト、お前の作戦は買おう」
ベリル「だが、ネフライトはお前の部下ではない、わらわにかしづく者だ」
ベリル「それはお前も同じ!」
ベリル「身の程をわきまえよ!」
そして次にこのエナジー・ファームの犠牲者になったのは、なるちゃんだった!
な る「きゃぁ?!」
亜 美「大阪さん!」
亜 美「大阪さん!」
まことを救い出した時のようには、なるを救えなかった亜美。状況が違うとはいえ、これは亜美の良心にずしんと来るね。というところでAパート終了。
今回はここまで。さあ22日、日曜日の朝は『リュウソウジャー』に小松彩夏登場。児童館でクリスマス会の準備をするあかり先生を見逃すな。
(おまけの速報)『騎士竜戦隊リュウソウジャー 第39話 奪われた聖夜』(2019年12月22日)より