実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第623回】夏バテ気味のレビューの巻(セーラームーンミュージカル2016:その2)

1. 泉里香からの小池里奈



 前回の冒頭で、最近よくテレビで泉里香を見かけると書いたけど、特に斎藤工と泉里香の「Indeed」のCMはほぼ毎朝である。家族の朝食の支度をしながら「今日も仕事かあ」なんて思っているところへ泉里香さんを拝めるというのはとてもよいことだが、このCM、私は小池里奈の「ヘパリーゼ」を思い出してしょうがない。











 「Indeed」も「ヘパリーゼ」も「男女二人が、よく知っているメロディーに合わせて、目まぐるしくコスプレを変えながら商品名(あるいは企業名)を歌う」という点で、ほとんど同じコンセプトである。








 ひょっとして同じ人が作っているのかなと思って調べてみたが、どちらのCMも、制作スタッフの名前さえ不明で、ヘパリーゼのほうに林尚司さんという方が関わっている事実が判明したくらいだ。昔は毎月『広告批評』を買っていれさえすれば、スタッフの詳細はほぼ分かった。でも『広告批評』も10年くらい前に休刊した。インターネット時代は、必要な情報が足りないことを隠すために、要らない情報が過剰にばらまかれている。



 というわけで、久しぶりに小池里奈の話題だ。といって話題があるわけではない。小池里奈は今どこにいるんだろう、という話である。ドラマへの出演は、テレビ朝日の金曜ナイトドラマ「スミカスミレ」(2016年2月〜3月)あたりが最後だったかな。2016年の春に大学を卒業してから今日までの1年あまり、ブログすらストップした。
 唯一、更新され続けているのがツイッターで、今年の正月には芸能界では仲良しの友人らしい伊倉愛美と一緒に、ニューヨークに行っているとの報告があった。


 
  その後も更新される写真は日本的ではなくて、明らかに英語圏。だからずーっとNYにいるのかな、とも思った。



 そしたら今年の春にはこんな写真がアップされた。後ろにティファニーの店が映っている。



 ティファニーといえばやっぱりニューヨークか、と思ってしまいそうだが、これは有名な5番街のティファニー本店ではないよね。違う。どこだよこれ。と思って、ちょっと世界中あちこちのティファニーの店舗の画像を検索して同じものを探していたんだけど、一番近いように感じたのがこれ。



 ニュージーランドのオークランドに昨年新装オープンしたティファニーだ。色が微妙に違うようにも見えるが、光の加減ということもあるし、形的にはこれだと思うんだけど、みなさんどう思いますか?小池里奈はニュージーランドにいるのかな。



 そのあと温泉に入っている画像も出た。これは場所は分からないけど、ニュージーランドはけっこう温泉(ホット・スプリング)があるし、まだいるのかも知れない。どうだろう。
 まあしつこく居場所を特定して、万が一ご本人に迷惑がかかってもアレなのでこのくらいにしておく。特にアナウンスはないが、海外で充電中と考えて良いのだろう。子役のころから仕事に突っ走ってきたセーラールナ、グラビアの仕事もどんどん露出が増えてエロさマシマシになってきたし、ここらで一休みして自分の時間を作るのもいいだろう。プライベートを楽しんでね。


2. 高校生マージャンの頂点をめざせ



 ところで私なんですが、情けないことに今週はセーラームーンどころじゃなくなっちゃっているんです。
 2月の封切り後間もなく映画館に観に行って「今年の日本映画ベストワンだ」とブログに書いて(ここ)、それからもう一回、劇場に観に行ってしまったくらい好きになった映画『咲 -Saki-』(2017年、プレシディオ、原作:小林立/脚本:森ハヤシ/撮影:長野泰隆/監督:小沼雄一)のセルビデオが発売されたんです。予約していたので今週の初めには届いたんだけど、これがブルーレイ版。



 うちにはブルーレイの再生環境がないんだけど、特典映像の付いた初回限定版はDVDでは発売されていないんです。しかたがないからブルーレイ版を買って、一日がかりでなんとか手持ちのMacでリッピングして動画ファイルに変換して(良い子のみんなは真似しないでね)結局今週中に3回繰り返して観た。でも気づいたら、そんな苦労しなくても、もうアマゾンプライムでも配信していたよ。恥ずかしいですね。で、やっぱりこれは、邦画も洋画も含め、2017年に公開された映画のなかでベストワンだ。
 お話はシンプルなもので、高校生マージャンの全国大会優勝をめざす女子生徒たちの熱い戦いを描いたスポ根もの。舞台は長野県予選大会で、決勝戦は強剛二校と新参の二校による激突。






 ビデオのランタイムを確認したら、100分あまりの本編のうち、15分ほど過ぎたところでこの四校の戦いが始まり、95分くらいのところで決着が着いて物語は終わる。全編の8割を使ってひたすら麻雀の一試合を描いた映画である。原作は人気漫画ということだが私は知らない。麻雀もやったことがないし、ルールも全く分からない。でもこの映画はひたすら面白い。出てくるのみんな美少女ばっかりだし。







 梶原一騎という人のおかげで、私たちの世代には「スポ根」イコール「同性愛」という等式ができている。いや同性愛というよりはホモソーシャルというのかな。だから野球漫画のくせに異性愛が主題の「タッチ」って、あんまり面白くなさそうで私はいまだに読んだことがない。



 やっぱりスポ根は同性同士の、友情を越えちゃったような熱い結びつきが描かれてなくちゃ。そういう点でも、この『咲 -Saki-』は満足させられる作品で、原作は読んでないからわからないが、映画はもう、あっちこっちに百合の花が咲き乱れている。






 ともかく私はいま『咲 -Saki-』に溺れていて、あんまりブログに身が入っていないんですが、十年以上やってりゃ、たまにはこういうこともあると勘弁していただけると嬉しいです。




 というわけで『咲 -Saki-』で映画初主演を果たした浜辺美波の最新作『君の膵臓を食べたい』は7月28日公開だ。北川景子も出るよ。



3. Amour Eternal(愛・永遠に)



 さて、前回からずるずる始めたミュージカル2016レビュー、なかなかピリッとしまらなくてすみません。どうしてレビューがイマイチかというと、とにかく手間ひまがかかる。歌と踊りのミュージカルをレビューするには、ストレートプレイより工夫がいるので、じっくり考えなきゃいけないんだが、関係ない映画を3回も観て時間を浪費した。加えてあらすじも案外ややこしい。




 前半は、わりと原作どおりの流れで、いくつかの物語が並行して進む。最初はちびうさのお話。ちびうさが夢の中でペガサスと出会う。ペガサスは美しい少年の姿でエリオンと名のり、ちびうさの夢の中に匿われて安らぎを得る。いままで、地場衛をうさぎと張りあっていたファザコン(?)のちびうさは、初めてパパ以外の男(?)に恋しちゃったかな、という感じになる。でもペガサスが探している「乙女」とは、本当はちびうさではなくセーラームーンらしい。またまた大好きな男をセーラームーンにとられてしまった(?)ちびうさの複雑な乙女心。



 3年目の神田愛莉がすばらしい。ただ、ちびうさを演じるにはちょっと成長し過ぎたのが難点だ。2002年10月生まれの14歳、黒木マリナがうさぎを演じていた頃である。今年もちびうさとして出演するそうだが、一年ぐらいブランクをおいてうさぎ役に起用してはどうか。



 二つ目は内部太陽系戦士のお話。皆既日食の真っ暗な空間から謎の帆船が姿を現し、デッドムーンサーカス団が十番街にやってきた。団長のジルコニアの密かな目的は夢。配下のアマゾン・トリオに、ペガサスが宿主として選びそうな美しい夢の持ち主を探し出すことを命じる。



 高校に進学して夢いっぱいのうさぎたちにもペガサスさがしの手は及び、襲われたうさぎたちは変身。ここからセーラー戦士たちの新しい戦いが始まる。でも大学生になったうさぎの恋人、地場衛は、なんだかめちゃめちゃ体調が悪そう。



 三つ目が外部戦士の話。前作のラストで赤ん坊に転生した土萌ほたるを引き取ったせつな、みちる、はるかの三人は、海外にわたって擬似家族として暮らしていた。ところがある日を境にほたるはぐいぐい成長する。なぜか。戦いの時が近づいたから、強大な敵の出現を前に、プルート、ネプチューン、ウラヌス、そして究極の戦士サターンの力が必要になってきたからである。内部戦士も、彼女たちの戦線復帰とサポートに期待している。



 でも美奈子だけは複雑な心境である。自分がリーダーなのに、みんな自分を頼りにしてくれず、プルートやネプチューンやウラヌスにばっかり期待して、という感じでね。



 原作コミックだと、そういうストレスの結果、美奈子が変身できなくなるという展開がある。



 リーダーとしての自負とは裏腹に、自分だけが変身能力を失ってしまう葛藤みたいなところは、実写版の小松彩夏だけが掘り下げてくれたよね。



 今回の舞台では、外部戦士が変身して登場した時のカタルシスがなかなか良い。悪いんだけど、今年新しくなった内部戦士にまだ馴染めていないので、昨年から継続の外部戦士たちが登場すると、ホッとするというか、頼りがいを感じてしまうのである。



 そして地場衛、タキシード仮面とうさぎの物語。さっきもちょっと書いたように、衛は物語の冒頭から胸に痛みを感じていて、倒れ込んでしまう。それで原作漫画だと、亜美のママに検査してもらって、肺に影が見つかる。



 もちろんこれもブラック・ムーンやペガサスと関係があるのだ。この衛の衰弱という要素は、アニメ版ではあまり描かれなかったと思うが、旧セラミュではむしろ強調されていた。とくにアニメ版スーパーズの後半は、ちびうさとペガサスのエリオスに物語の焦点が絞られてくるのだが、バンダイ版旧ミュージカル「美少女戦士セーラームーンスーパーズ 夢戦士・愛・永遠に」(1995年7月)では、衰弱したタキシード仮面(望月祐多)がセーラームーンの足手まといになることを潔しとせず、戦いの場で敵から仲間を守るために自らの命を捨てる、という驚きの結末を迎える。



 この1995年版は、タキシード仮面は倒れたまま「熱い風」となり、ほたるもセーラーサターンとして覚醒しないまま終わる。最愛の人を失ったセーラームーンは、それでもみんなも守るために立ち上がる、という悲劇的な盛り上がりのなか、戦闘場面では宙づりもあって、アンザムーンのなかでもかなりテンションが高い。



 でも翌年の改訂板「夢戦士・愛・永遠に サターン復活篇」(1996年3月)では、タイトルどおりほたるはセーラーサターンとして覚醒。ここはめちちゃくちゃカッコいい。



 そして一度倒れたタキシード仮面も復活。もともと「改訂板」で生き返らせるつもりで、前年は悲劇に徹したのかなと思う。



  20年前と同じ平光琢也が台本・演出を手がける2016年版のタイトルは「美少女戦士セーラームーン Amour Eternal」。アモーレ・エターナルは直訳すれば「永遠の愛」つまり旧作の「愛・永遠に」と同じなのである。だからどこが旧作と重なるのかと思っていたら「タキシード仮面が犠牲になる」という部分だった。なるほど。



 言うまでもなく新生セラミュの客層の一部は、宝塚以来の強固な大和悠河ファンである。特に今回は、大久保聡美たちが卒業して、3年かけて培ったネルケ版セラミュの固定客がちょっと離れる懸念もある(実際、私は昨年あまり盛り上がらなかった)。そういう意味で、クライマックスに大和悠河のタキシード仮面の悲劇を持ってきて見せ場を作るというのは、興行的に正しい選択だと思う。ちょうど作品系列的にも、「S」まで行ったから今度は「SuperS」だ。制作側はそんなことを考えて「愛・永遠に」の「タキシード仮面が犠牲になる」というプロットを採用したんじゃないか。



 なんて埒もないことを書いているうちにそろそろお時間です。今回も盛り上がらなくて済まない。セラミュのことは次回ももうちょい、書こうか書くまいか。