実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第550回】DVD第4巻:Act.13の巻(7)

1. たくさん泣いた夜もすごくお腹が空くね



 いやぁ。昨年の末に武藤彩未が芸能活動休止を発表して、私がけっこうへこんだ話は【第548回】でしましたね。その直後の12月28日、東京女子流の小西彩乃が、グループからの「卒業」と、芸能界からの引退を発表した。すでに腰痛を理由に長期休養に入っており、残る4人のメンバーのみによる新作アルバムも作られていて、多くのファンが予想したとおりの結末であったが、それでもまいったね。
 小西彩乃の声は、とてもローティーンの子供のものとは思えないくらい渋くて、天性の女性ポップシンガーとしての豊かな響きをもっていた。私が女子流を聴きはじめたのも、何よりも彼女のボーカルに魅了されたからだ。



 ところがデビュー2年を経た2012年に入ったあたりから、喉の不調が始まった。小西14歳。変声期とも、ガラスの喉が潰れたとも言われた。私は変声期だと思った。かつては聞かせどころだったパートで音程が外れ、声が裏返る。その様子が、性能の高いエンジンを制御できずコースアウトを繰り返すレースカーみたいだった。








 この人は、声帯のつくりが普通の人とは違う(としか思えない)ので、普通の人とは違う喉の筋肉の鍛え方をしなければ声帯をコントロールできない。逆にそれができるようになれば、すんごいボーカリストになるのではないか。ひそかにそう期待していた。まあシロウトの考えに過ぎないけど。
 でも結局、そうはならなかった。いつまでも声変り中みたいな状態に止まって、それを修正するテクニックを身につけたものの、先へは進めなくなってしまった。


 
 なぜなんだろう。ボーカリストとしての育成がうまくいかなかったこと、そして、グループの歌姫を自負していた本人の焦りや、復活を期待する周囲の重圧などからなるメンタル面の不安定、そういう要素が複合しての、不幸な結果だったと思う。これもあくまでシロウト考えですが。
 ただ、そんな過程で出されたアルバムは、3枚目も4枚目もクオリティはかなり高い。私はどっちも大好き。でも彼女の立ち位置が定められないこともあって、グループ全体の方向性は迷走し、CD売り上げも落ちてきた。今回の引退は、おそらくそういうかたちでこれ以上迷惑をかけられない、という判断だろう。どうしようもない。
 引退にあたってのファンへのメッセージが泣ける。武藤彩未のメッセージにも泣いたが、個人的にはそれ以上にせつない。
 



デビューした頃は、本当に子供で、何も考えずに歌って踊って楽しくやっていけたけど、
だんだん体が成長していくにつれて、自分が自信をもってやってきた歌がうまく歌えなくなって、
歌って踊ることの大変さに気づいてからずっと不調だったけど、時間は止まってくれない。
時間だけどんどん進んでいて、気持ちが追い付かず、何度も逃げ出したくなったけど、
ステージにたつと、温かく迎えてくれるファンの皆さんがいて、
皆さんと歌って踊る時間が最高に楽しくて幸せで…ここまでやってこれました。
ほんとにライブが大好きでした。



私は本当にいろんなひとに愛されて育ってきたのに、期待に答えられなくてごめんなさい。


 このままラストライブも、ファンへの挨拶もなしにフェードアウトか、と思ったら、ながらくメンバーが代行してトークを続けて来たラジオ日本のDJ番組「東京女子流 小西彩乃のこにたん今夜もにっこにこにたん」も終了ということで、最終回に小西彩乃ご本人が登場し、30分しっかりファンに語ってくれた。



 年明けにポッドキャスト配信で聴いたけど、今年は高校3年生で、4月からは大学進学が決まったそうである。にしても、半年ぶりの語りを聞いているだけでも、しみじみ「いい声だよなぁ」と思う。やっぱり声質の魅力はぜんぜん損なわれていない。これからのトレーニング次第では『新・巨人の星』みたいに、いつかまた歌の世界に帰ってきてくれる可能性もあるのではないか。彼女はまだ18歳になったばかりなのだ。とにかく、今はおつかれさま。素敵な歌をありがとう。





 残る4人のメンバーのみによるニューアルバム『REFLECTION』は、彼女の正式な脱退の発表がないまま、フライング気味にリリースされたし、加えて、いつもの松井寛プロデュースのサウンドがおまけ程度にしか聴けないこともあって、一部のファンの反撥を買っているが、まあこういうのは大人の思惑や、いろいろ面倒な事情があるので仕方がない(推定)。普通に聴けば、内容はJ-POPとして良くできているし、新生・東京女子流を感じさせる内容で、つい聴き入ってしまう。


2. お正月、いかが過ごしましたか?


 さて今回は、まず前回ご紹介したAct.ZEROの台本と本編とのリンク具合を検証しようと思っていたが、小西彩乃引退でモチベーションが落ちてしまったので中止。またそのうちにね。
 それから正月番組。まずは二宮和也主演の新春ドラマスペシャル『坊ちゃん』(2016年1月3日、フジテレビ系)。沢井さん、可愛かったですよね。



 客 「今日マドンナは?」
女 給「もうみんなマドンナ」



女 給「さっきまでいたんですよ」


╳    ╳    ╳



女 給「寄席に行くとかで」




赤シャツ「寄席?」


 続いて同じ2016年1月3日にNHK総合でオンエアされた小出恵介と貫地谷しほりの『正月時代劇 吉原裏同心 〜新春吉原の大火〜』。昨年好評だったシリーズの新春スペシャル版だ。これは大家さんがレポされるということですので、そちらにお譲りします。




 さらに北川さん。これは『元日はTOKIO×嵐 ウルトラマンDASH』(日本テレビ系)というバラエティ番組で、私は直接は見ていない。様々な分野で「ウルトラマン」と呼ばれるほど、すごいスキルをもった人たちを紹介する番組みたいだ。それで、靴やドアノブや鍵とか、本物そっくりのお菓子を作ることのできる菓子職人が出てきたんだそうです。
 で、北川さんはそのパティシエさんの作った、お菓子で出来たテーブルの鍵を食べたんだそうですが、けっこうネットで大騒ぎでしたね。はっきり言ってエロいと。みなさんはどんなふうに感じましたか?ご覧になっていない方のために、画像を拾い集めてみました。一見すると旅館とかにあるキーチェーンの鍵を北川さんがパクッと食べて「チョコだ!」という場面。エロいか?










 で「チョコだ!」と。
 まあエロいかエロくないかはともかく、北川さんと鎖って相性が良いように思えますね。お正月番組の落ち穂拾いはこのくらいで、少しは本題に入っておきますか。
 それにしても、実写版セーラームーンが放送されていたのが2003年から2004年、それから10年あまりの間、事務所の期待を世に芸能界にデビューした少女たちはどれほどいて、そのどれほどが生き残っているのだろうか。アイドルグループなんて、将来有望といわれても、どんなところも5年も経つうちにはメンバー脱退、引退、解散なんて事態と無関係ではいられない。そう考えると実写版セーラー戦士たちはやはりただものではない。10年以上経っても全員メジャーな舞台で現役で活動していて、5人のうち3人が東京キー局の正月特番に出演しているんだぜ。
 浜千咲が泉里香として復帰したとき、私は、彼女ほどの才能があれば、いずれカムバックできて当然、くらいの気持ちでいた。だが今では、それがどれほどあり得ない奇蹟のような話であったかを痛感している。実力があるからってそう簡単に戻ってこられる世界ではないようだ。それでも、いつか武藤彩未や小西彩乃の歌を再び聴く機会があるだろうという期待は、捨ててはいないけどね。

3. 四天王最後の男


 というわけでAct.13レビューを再開します。
 昨年は、元基、うさぎ、衛が、ペットの亀吉を見つけてくれたシンの館を訪ねるところまでだった。でも元基は、亀吉を受け取るとさっさと帰ってしまう。うさぎと衛はシンとしばらく話をしているうち、彼がタキシード仮面すなわち地場衛と同様、記憶を失っていることに気づく。
 しかし、シンには覚醒の時が迫りつつあった。すでにダーク・キングダムではベリルがシンの召喚を決意していたのだ。



ベリル「四天王最後の一人……。気が進まぬが、使うほかあるまい……」



 手にした一輪の白バラにベリルが息を吹きかけると、純白のつぼみがどす黒く染まる。
 つまり、うさぎたちセーラー戦士が、あるいは地場衛=エンディミオンが、前世の記憶を失ったまま地球に転生したように、四天王も普通の人間として転生していて、ただしその命運をベリルににぎられている、ということだ。ベリルの言い方からすれば、ベリルはいつでもシンをクンツァイトとして覚醒させることはできた。ただし、彼らの前世の記憶は消したまま、四天王としての技能だけをよみがえらせるという、少々いびつなやり方である。このあたり、原作マンガのクンツァイトは、前世の記憶を取り戻してから、次のように述懐している。



「そうだ。オレたちはオレたちのマスター、王子エンディミオンをさがして転生してきた。だがその記憶もとりもどさぬうちに、またしてもあいつの手のうちにはまり、この身を売った。そしてこの身を変えられた」


 ところで、うさぎたちも同様に(おそらく、真のプリンセスが誰か気づかれないために)前世の記憶を封印されたまま、現世でセーラー戦士になった。しかしセーラー戦士と四天王の大きな違いは、セーラー戦士が「メイク・アップ」によって、現世の姿と戦士の姿を行ったり来たりできるのに対して、四天王がそういう変身能力を日常的にもっていない点である。
 たとえばジェダイトはAct.1の冒頭では、なるちゃんのお母さんのジュエリーショーにかかわるスタッフの一員として登場し、途中で四天王のお馴染みのコスチュームに「変身」する。







 しかしその後は、たとえば遊園地(Act.7)やナコナココンテスト(Act.8)の場に姿をあらわす時も、常に四天王のコスチュームで、もうスタッフジャンパー姿は見せない。
 ネフライトの場合はちょっと事情が違っていて、Act.4で最初に登場するカットでは、すでに四天王の姿である。




 それから街に人間の姿で現れ、たぶんAct.4の舞台となる仮装パーティーに忍び込んだのだろうが、どうせ仮装パーティーに行くなら、四天王の格好のままでかまわなかったのにね、と思う。しかしそこも、ネフライトはバカだから、と解釈すればいいか。でもそれ以降は、たとえばAct.10の幻の銀水晶騒動のときにも、成田物産社長の邸宅に人間姿で現れるということはなかった。




 そしてAct.36でベリルに見捨てられ、四天王としての全ての能力を失い、Act.37以降は人間の姿に戻る。赤毛じゃなくなってるな。




 ということは、たぶんAct.1のジェダイトやAct.4のネフライトは、まだ人間から(ベリルの手によって)四天王に目覚めさせられたばかりの時期なので、ちょっとは人間時代の姿に戻れたのではないか、と思うのである。
 実はこのAct.13でもこの後、夜中にクンツァイトが女子高生を襲う場面がある。でも翌朝、シンに戻っているのだ。それで衛に向かって「おれ昨日、夢で人を襲っていた。夢じゃないかも」と告白する。Act.1の人間姿のジェダイト、Act.4のネフライトは、このシン=クンツァイトとだいたい同じような段階なのではないか、というのが名古屋支部の仮説であります。
 改めて整理します。セーラー戦士たちは、ルナやアルテミスから変身携帯テレティアSを与えられることで、自由に普段の姿からセーラー戦士に変身したり戻ったりできるようになった。地場衛も後半になって、変身グッズを持ってはいないが、純白のエンディミオンのコスチュームになったり普通の姿にもどったりできるようになった。






 でも四天王たちは、ベリルのコントロール下に入ってしまうと、最初のうちは少しは融通が利くけど、原則として四天王の姿のままでいなければならない。そういう法則ということです。もし他のエピソードとの矛盾を発見された場合は、ご面倒でもコメント欄でご指摘いただけると嬉しいです。
 ともかくベリルは、クンツァイトを覚醒させるのを最後までためらっていた。四天王のなかでも実力はピカイチだが、なにせ意志強固で、なにかと御しがたかったからである。実際、ベリルの召喚を受けても、クンツァイトは簡単には目覚めず、「シン」として葛藤していたのである。

4. 意外といい人なレイ


 そんな様子を見たうさぎは、なにかシンの記憶に関する情報を得る方法はないかと考え、火野レイのことを思い出す。レイちゃんの霊感で、なにかこの人の過去について見てもらえるかも知れない。さっそくテレティア。



シ ン「おれは、ここから出ちゃいけない気がする」



うさぎ「え……?」



うさぎ「そっか。じゃ、ちょっと待って」



うさぎ「……あ、もしもし、レイちゃん?」



レイの声「うさぎ? あなたどこにいるの?」


 この場面、好きだなぁ。年末の火川神社。戦士のみんなが、初詣でに向けていろいろ忙しいレイをサポートすべく集まっている。たぶん「レイちゃんのお手伝いしよう」とか言いだしたのうさぎだろう。ところが当の本人は亀吉騒動に巻き込まれて、すっかりその約束を忘れてしまっていた。そういう義理を欠いたら誰よりも怒るのがまこと。うさぎの断っての願いで、これは遊びじゃなくて大変なレイちゃんを手伝うことだからと、塾をわざわざ休んで駆けつけた亜美もさすがにおかんむりである。
 で、本当はだれより腹を立てていなければならないレイが、二人の殺気を感じてうさぎの身を案じているわけね。こういうあたりがレイの優しさだ。ただあんまり長持ちしないんだけど。





まこと「うさぎから?」



まこと「うさぎ! 今日は正月準備手伝うって話だったろ!」



まこと「うわ!」






亜 美「ああっ!」






うさぎの声「あの、ごめん、レイちゃん……」



レ イ「いいわ、来なくて……もう十分」


ていうところで、今回はこんなところで。ていうか、このシーンで昨年のブログ納めをしたかったのだが、ちと予定がずれた。残念である。