実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第536回】小松彩夏主演『ネオン蝶 第四幕』レビューの巻(その1)

1. ミツシマさんとエリカさん



 息子が観賞中の『ウルトラマンX』第10話(2015年9月22日、テレビ東京系)をぼーっと横目で見ていたら、冒頭で胸のおおきなお姉さんが少女を連れて出てきたので「ん?」と思ったわけよ。『ウルトラマンメビウス』(2006年)のコノミ隊員(平田弥里)だった。そういえばこの人、『ウルトラマンガイア』(1998年)の我夢(吉岡毅志)と結婚したんだったな。
 この『ウルトラマンX』だけど、第8話には『ウルトラマンマックス』(2005年)のカイト隊員(青山草太)もゲスト出演していた。




 私は『ウルトラマンティガ』(1996年)以降のシリーズのなかでは『マックス』がいちばん好きなので、たいへん嬉しかった。ご存知ない方も、満島ひかりがレギュラーで、いまや演技派と言われる力量をすでに見せつけている作品なので、ぜひレンタルなどで確かめていただければと思う。個人的には第19話「扉より来たる者」をおすすめしたい。チームの情報処理を引き受ける頭脳担当アンドロイド、エリー(満島ひかり)が、珍しく戦闘モードで起動する。それが、なぜかへそ出しスタイルなのだ(そこかよ)。それも、アンドロイドなのに、お腹のぷよぷよさ加減が可愛い(そこかよ)。




 満島ひかりってFolderのころからすごく痩せてて細い印象があるが、そんなスレンダー美少女の満島ひかり史上、この『ウルトラマンマックス』時代は、最もプニっとしていた時期だと思う。




 ふふふ。ちょうど二十歳のころ。本人はすごくイヤかも知れないが、でも満島ひかりみたいな人にも、こんなプヨプヨ期があったのである。
 『ウルトラマンマックス』のパイロット監督は金子修介。満島ひかりの才能を高く買っていた金子修介は、続く映画『デスノート』(2006年)で、弥海砂(ミサミサ)役に彼女を推挙する。でもオーディションの結果その役を手に入れたのは戸田恵梨香で、満島ひかりは主人公の妹役にまわった。





 一説によれば、満島ひかりを推すはずだった金子修介監督が、オーディションで戸田恵梨香の可愛さに目がくらみ、寝返ったそうで(笑)この役に賭けていた満島ひかりはだいぶへこんだらしい。
 そういう因縁のある満島ひかりと戸田恵梨香が、この5月に公開された映画『駆込み女と駆出し男』(2015年、監督・脚本:原田眞人)で共演するというので、私はネットにあがってくる舞台挨拶や記者会見の動画や写真を注意深くチェックしていたのだが(←ヒマ人)、やはりどうも、満島ひかりと戸田恵梨香のツーショットがない。


 
 舞台挨拶のやり取りの間も、二人の視線は合わない。必ず間に大泉洋がクッションとして入っているのだ。まあね、大泉洋が主役なので真ん中に来るのは当然といえば当然、深い意味はないのかも知れないが、私みたいに下司のかんぐりをしてしまう人間には、意味深に見えてしまった。初日舞台挨拶の順序も、大泉→戸田→満島だったし、何というか、何だな。


 
 すまない、話がおかしな方向に流れていった。平田弥里だった。別にコノミ隊員としての出演ではないけれど、もと保育士というコノミ隊員の経歴を踏まえて、怪獣の気持ちがわかる少女の面倒を見ているお姉さん、みたいな役どころだった。ウルトラマンマックスに対してもそうだったが、原典からの引用の仕方がわりときちんとしていて好感が持てました。



 さて話を戻そう。って、どこまで戻るかというと、小松彩夏主演『ネオン蝶』四部作の、第三幕をレビューし終えたところで、ついつい『探偵の探偵』応援団になっちゃったわけだから、『ネオン蝶』第四幕レビューですね。コメント欄に嬉しいリクエストもあったことだし、途中セラミュレビューで中断するかも知れないけど、さっそく再開したい。


2. 前回までのお話



 第三幕の最初のときにも書いたが、第三幕と第四幕の冒頭には、なぜかホステス役で出演している今井メロによる「セクシーナビゲーション」がある。要するにこういうことだ。



「皆様おひさしぶりです。ネオン蝶ナビゲーターの今井メロです」



「第四幕を迎え、ますます盛り上がってきているネオン蝶。皆様お楽しみいただけていますか?」



「それでは第四幕が始まる前に、私と一緒に第三幕のおさらいをしてみましょう」


 ホント、これ何の意味があるのか。ともかく、うちのブログもしばらくぶりなので、ここで前作『ネオン蝶 第三幕』のおさらいをしましょうかね。



 銀座の老舗クラブ「手毬」の人気ホステスになった桜子(小松彩夏)の前に、ふいに叔母の佳代(大島葉子)が現れる。一度は銀座を捨てた佳代だが、美しいネオン蝶に育った桜子へのひそかな嫉妬と羨望から、捲土重来を期して、新しく銀座にクラブ「トレゾール」を構えたのである。それまで自分を可愛がってくれた佳代が、いきなり対抗心をむき出しにしてきたことに戸惑いを隠せない桜子。まして桜子はすでに、佳代が叔母ではなく、ほんとうは自分の母親であることを知ってるのだ。



 そもそも、銀座のネオン街も不況にあえぎ、「手毬」のような老舗でさえ決して経営が楽ではない昨今、一度は都落ちした佳代が、どうして一等地に店を構えて再起できたのか。しかも「トレゾール」は、料金は他店より控えめなうえ、周囲の有名店の人気ホステスを二倍三倍のギャラで引き抜いて集めているのでほとんどひとり勝ち、飛ぶ鳥を落とす勢いである。いったいそれだけの資本をどうやって用意できたのか。桜子たちはまだはっきりと知っていないが、その背後には東京進出を狙う香港マフィアの存在がある。



  その「トレゾール」の引き抜きの手は桜子にも及んだ。桜子をスカウトに来たのは「トレゾール」の支配人、高杉(小沢和義)である。高杉は佳代の昔の男で、つまり桜子の実の父親であった。かつて佳代と、生まれたばかりの桜子を捨てた高杉は、今になってその償いをしようと、佳代とよりを戻し、佳代のために銀座に「トレゾール」を開いた。そして「トレゾール」に娘の桜子を連れて来てナンバーワンにして、親子三人水入らず……ということを考えていたらしいが、それはまあ、あまりに身勝手な話だ。



 高杉の優しさに心を開きかけていた桜子は、すべてを知って傷つき、怒り、「手毬」ナンバーワンホステスとして、両親である高杉と佳代に宣戦布告する。「あなたたちには負けません」



 高杉が「トレゾール」を開店するために資金援助を受けた湯川(修士ex二丁拳銃)は、香港マフィアの手先だった。そして香港マフィアの狙いは、「トレゾール」を繁盛させて、同じビルに入っている他店をすべて追い出し、ビルを丸ごと乗っ取ることだった。



 ところがビルのオーナーの野上は銀座の古株で、「手毬」のママや常連客の川口とも昵懇の、気骨のある老人だ。そんな奴らに銀座を乗っ取られるわけにはいかない、たとえテナントが全部出ていってもビルは手放さない、「トレゾール」には契約期間が切れたら出ていってもらう、と息巻いて、高杉がどれだけ高額を提示してビルの譲渡を迫っても首をタテに振らない。


 
 高杉は粘り強く交渉を続けようと提案するが、香港マフィアからタイムリミットを示されて焦り気味の湯川は、ついに強引な手段に出る。ヒットマンを雇い、通り魔の仕業に見せかけて深夜に野上を襲わせた。オーナービルのトイレで胸を刺され、血まみれで息絶える野上。


3. 黒幕登場


 とまあ、ここらへんまでが第三幕のお話だった。そして第四幕。
 オーナー野上を非道な手段で葬り、ビルを手に入れた香港マフィアだが、それはまだ第一歩にすぎない。ここを拠点に銀座のビルを片っ端から買い占めようというのが彼らの狙いだ。でも、いくらなんでもそう簡単にはいかない。「手毬」のように、古き良き銀座を守ろうと必死に抵抗する勢力もいる。トレゾールを拠点に一気に銀座を乗っ取るはずの計画は足踏状態にあった。
 香港マフィアのボス、王(ワン)は、はかどらない銀座制覇計画の進捗状況に業を煮やして、ついに自ら東京へ赴く意志を固める。というわけで第四幕は香港のシーンから始まる。
 いきなり海外ロケである。シリーズ最終話ともあってスケールが違う。



 しかしなんだか東京と変わらない。背後にそびえ立つタワーマンション。手前にみえる弁天堂の屋根。なんだか上野の不忍の池みたいだ。いやどう見ても不忍の池である。でも「香港 Hong Kong」と字幕が出るのだから、これはきっと香港に違いない。心の目でみればここは香港だ。
 なぜか木の上で太極拳をやっている男が、香港マフィアのボス、王(桐生コウジ)。そこへ電話がかっかってきて、何やら話して、東京行きを決意する。



 王 「日本に行く」


 ついに王が自ら日本に来ることになった。焦ったのは湯川だ。第三幕では金にものを言わせてトレゾールのマスター、高杉にも言いたい放題だったが、しょせんは香港マフィアの日本窓口に過ぎない。指示されたとおりにビルを買い占めるを計画もまったくうまく行っていないので、もう完全にテンパっている。トレゾールで頭を抱え、覚醒剤を射って気を鎮めようとする湯川と、その異常な焦燥ぶりに不安を隠せない高杉と佳代。



湯 川「どうなってんだおい、やべえぞ、やべえ」




湯 川「ここは、ここはOK、ここもOK、ここもOK、こっちのビルはコンプリート。ここは駄目、ここも駄目」



湯 川「畜生、『手毬』さえ潰せばほかもびびって出て行くはずなんだよ。てめえらがしっかり脅しかけねえからだろうが!」



子 分「すいません」



高 杉「あんたらまさか、桜子に何した?」



湯 川「落ち着け落ち着け落ち着け。まだ何もしてねえ。ただお前らがのんびりしてると分からんぞ。若手ナンバーワンのあの女を襲うのがいちばん手っ取り早いんだ。いい見せしめになる」




高 杉「店では止めてくれ」



湯 川「うるせえ!」
高 杉「とにかく野上さんの時のようなことは二度としないでくれ」
湯 川「てめえらが悪いんだろう」
高 杉「ここは香港じゃないんだ。これ以上乱暴な真似をするなら、今回の計画自体が駄目になる」



湯 川「うるせえ!ワンが、ワンが日本に来てるんだよ。早くしないとやべえ。ワンはやべえ。やべえ、やべえぞ」


4. ヒロインのピンチ


 一方、今夜も仕事を終えて帰宅の途につく桜子たち。ホステスたちの役名も分からなければ、今井メロ以外、女優さんたちの名前も分からないので、どなたかお分かりの方はご一方願います。



メ ロ「あ〜あ、もうホントひどいよね最近。客の質も落ちちゃってるし」
桜 子「ちょっともう、誰が聞いているか分かんないんだから」



「あ〜あ、あたしもトレゾール行こうかな」
「やめなよ」
「冗談。そんな顔しないでよ」



桜 子「うん。でもやっぱりみんなのところへも引き抜き来てる?」
「もうすごいよ。客のふりしちゃったり。まあ、わたしたちは大丈夫よ。節子ママにはさんざん世話になったし」
桜 子「そっか」



メ ロ「あ、ねえ、おなか空かない? ラーメン食べてこうよ」
桜 子「ちょっと、こんな時間に食べたら太っちゃうよ(笑)」
メ ロ「まあ、ナンバーワン太らすわけには行かないもんね。今の『手毬』は桜子でもっているようなもんだもん」
桜 子「もう……」
メ ロ「じゃあ太る覚悟がある者、挙手!」



一 同「はいっ!」
メ ロ「だって、お疲れ!」



桜 子「お疲れさまでした」



 第四作目となって、桜子も堂々たるナンバーワンとなったみたいだ。ともかく、仲間と別れ、独りになる桜子。



 そしてそんな桜子を、車から見張る鋭い目つきの男(本宮泰風)。




 夜道を歩いていると、背後から二人分の足音が、少しずつ、しかし確実に距離を詰めてくる。それは湯川の子分の男達だった。





 次第に不安が増してくる桜子は、だんだん早足になって、走りだす。すると後ろからの足音も追ってくるではないか。



 と、その時、桜子の行く手に一台の車が急停車する。先ほど、独りになった桜子をひそかに見張っていた男だ。

 


 男 「乗れ!」



桜 子「え?」
 男 「早くしろ!」




子 分「畜生!」


╳    ╳    ╳



桜 子「あの、あなたは」

 男 「お前バカだろ。なんであんな道、通るんだよ」
桜 子「すいません」
 男 「おったく。人の仕事を増やしやがって」



桜 子「え?」
桜 子「あの……あの」
 男 「おいいからさっさと住所いえよ」
桜 子「え、あ、はい」


╳    ╳    ╳




桜 子「あの……ありがとうございました」



 とにかく、悪い人ではないらしい。ま、男にバカと言われたら恋の始まりだね。セーラームーンもそうだったし。

5. ア・ボーイ・ミーツ・ガール


 さてその翌日の夜。「手毬」店内。
 節子ママ(あいはら友子)と話し込んでいるのは常連客の川口(奥野匡)。保守党の幹事長を務める大物政治家だが、好奇心が旺盛で、現在の銀座の異変の背後に何があるかも調べさせている。ここでようやく、節子ママたち銀座陣営にも、自分たちの敵がいったい何者であるかがあきらかになってきた。



川 口「『トレゾール』のことをいろいろ調べさせてみたんだがな、どうもバックに香港の実業家がついているらしいんだ」
マ マ「香港ですか?」
川 口「王という男で、あの店を拠点に銀座の不動産を買い占めようとしているらしいんだ」



マ マ「そういえばこのビルも、テナントが次々に出ていってます」
川 口「いや、おれももう少し調べたいんだが、王のやつ外務省に食い込んでて、下手に動くとおれも危ないんだよ」
マ マ「銀座制圧。そんなウソみたいな言葉が、いよいよ現実味を帯びてきたって言うわけですよね」
川 口「うん」


その時、店の入り口のあたりで騒動が起こる。どうやら無理やり入ろうとしてきた男をボーイ(粟島瑞丸)が止めて、揉めごとになっているようだ。そしてその男は、昨夜の、あの目つきの悪い男だった。思わず止めに入り、ハッとする桜子。



ボーイ「ですから、どなたさまのご紹介でしょうか」
 男 「さっきから何度も何度もなんなんだてめえ。紹介がなきゃ入れないのかこの店は」
ボーイ「いやあの、当店、必ずしも一見様お断りというわけではないんですが、やはりそのお店としましても品格というものがございまして……」



 男 「品格ってなんだよ。じゃそのてめえの下品な面はなんだよ」



ボーイ「あの……申し訳ございませんが、お客さまのような常識のない方はお引き取り願います。どうぞ」
ボーイ「出口はあっち」



 男 「さわんじゃねえコノヤロウ」
ボーイ「あ何ですか、何ですかこれ、警察呼びますよ!」
 男 「呼べよ
ボーイ「何ですか、殴りますよ」



桜 子「ちょっと!」




川 口「おい!蓮司、そのぐらいにしとけ」



╳    ╳    ╳



川 口「コイツはおれの息子、蓮司」
マ マ「先生の?……先ほどは失礼いたしました」
川 口「いいよいいよ、こいつはこういう奴だからな。呼んだおれがバカだったよ」


 イマイチ様子が呑み込めてないママに、桜子は昨夜、見知らぬ男達に追われた顛末と、そのとき彼が助けてくれて、しかも家まで車で送ってくれたことを話す。もちろんそれでも、ママにも桜子にも事情は分からない。



マ マ「どういうことですか?」
川 口「いや、おれがこいつに桜子の後を付けさせたんだよ。最近あちこちのナンバーワンが脅しまがいの目にあって店を辞めてるって聞いたもんだからなあ」
マ マ「そうだったんですか……」
川 口「心配すると思って言わなかったんだ。いや済まない。ともかくしばらくの間、桜子にはこの蓮司をつけさせるよ」



桜 子「そんな、あたしのために」
川 口「桜子に何かあったら『手毬』はやばいだろう……はは、これは言いすぎだったかな」



マ マ「いえ、先生のおっしゃるとおりです。桜子、あんたもそれだけの存在になったということを、しっかり自覚しなさい」
桜 子「はい」
川 口「ま、心配することはないよ。こいつはな、長いことおれのボディガードやってたから、いわばその道のプロだ。頼むぞ」


 助けてもらったことには感謝しているけれど、どうにも無愛想な蓮司にとまどう桜子。でもこれって、なんか少女漫画の典型的なファースト・コンタクトのパターン、ア・ボーイ・ミーツ・ガールではないか。最初はなんだアイツ、とか思っていた不良と、いつの間にか恋に落ちるヒロインの物語。でもそれが水商売の世界を舞台に展開するところがユニークといえばユニークである。
 しつこいようだが、これでもう少し小松彩夏がベッドシーンなどで「身体をはった」ところを見せてくれれば、けっこう商品価値のある作品になったと思うんだよなあ。でも、ホステスの豪奢でセクシーな衣裳をあれこれ来ている小松彩夏が見られればそれで満足、というファンなら(私のことだけど)充分に観る価値はあります。ということで、以下次回。