実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第483回】戦士の出演ひきもきらず(北川景子『HERO』第8話・小池里奈『匿名探偵』最終話)

 


小松彩夏の主戦場だと思っていた場所で、いまや小池里奈が戦っている。


  私はふだん片道10キロくらいの距離を自転車で通勤しているが、今週は雨降りが続くので、とうとう月曜から金曜まで地下鉄で通った。なぜいつも地下鉄を利用しないかというと、混むからです。単純だな。ともかく地下鉄東山線は、名古屋で最も混雑する通勤電車として知られている。
 しかし某掲示板の「電車混雑率ランキング」なるスレッドによれば、東京はそんなもんじゃないのだそうだ。平成25年度の電車混雑率ワーストワンは、ラッシュ時の京浜東北線の上野〜御徒町間(混雑率200%)、続いて東西線の木場 〜門前仲町間と総武線の錦糸町〜両国間(混雑率199%)、さらに中央線の中野〜新宿間(194%)、横須賀線の武蔵小杉 〜西大井間(193%)と続く。27位になって、ようやく名古屋の東山線が入ってくる。要するに東京って人が多過ぎるんだろうな。東京というか、東京通勤圏で生活する人々。混雑率200%の電車ってどんなんだ。

 

 

 すまん、そんなことを話したいんじゃなかった。前にも書いたことがあるけど、視聴率調査で有名なビデオリサーチ社によれば、2013年現在で関東地区のテレビ所有世帯数はおよそ1800万世帯あるという。これは全国の世帯数の3割を占める数字だ。日本の家庭の3割は東京近郊に住んでいる。ところが、それに対してビデオリサーチ社が関東地区視聴率の調査をしているサンプル家庭はわずか600世帯しかない。全体の0.003%に過ぎないのだ。あまりにも少ない。だから統計学的に見れば、かなりの誤差の含みがある。具体的にはこういうことだ。


統計上の誤差を考慮に入れれば、関東地区で「視聴率10%」と言う場合、その「ほんとうの」視聴率は、だいたい7.6%から12.4%の間である。同様に「視聴率20%」とされる番組のほんとうの視聴率は「16.7%から23.3%の間」である。


 これは当のビデオリサーチ社のサイトにも書いてあることだ(直リン禁止らしいのでアドレスは貼らないが「ビデオリサーチ」「標本誤差」で検索すれば出てくる)。
 もちろん私が言いたいのは、フジテレビの月9ドラマ『HERO』のことだ。第1週目で関東地区視聴率26.5%をたたき出した。これは文句なしにすごい数字だ。だからそれをメディアが報じるのはいいが、第2話以降の報道の仕方がおかしい。第2話が19%、第3話が20.5%、第4話が18.7%、第5話が21%という推移だったら、第2話以降の増減は、標本誤差の範囲内である。だから、統計的に言えば、この数値から確かに言えることなんて「順調に20%台を横ばいしている」くらいだ。ビデオリサーチの出す数字の精度って、しょせんはその程度の不確かなものなのだ。
 ところが芸能ニュースのたぐいは、今回は20%を越えたが次は19%台だとか、なにか視聴率が上がったり下がったりしているかのような、まったく実のない報道をしている。バカではないか。バカ。

 

 

 まあともかく、北川さんを新ヒロインに据えての今回の『HERO』、そういうわけで好調で、さほど必死に後押ししなくてもいい感じだ。それにそもそも、私『HERO』のことをあまり知らない。第1シリーズや劇場版をまったく観たことがなくて、この機会にぜひ予習しておこう……と思ったものの、そんな余裕もないまま、今回の第2シリーズが始まってしまった。それに、ちょうど『M14の追憶』もマメにレポを書いていらっしゃる。そんなこんなの事情もあって、今シーズンは『みをつくし料理帖』ばっかり振り返っていて、『HERO』についてはすっかり怠けていました。でもこの前の第8話はM14さんも録画しそこねたそうでパスしたので、それならウチでも一回ぐらい、ちょっとやってみようかなと(2014年9月1日放送、脚本:福田靖、撮影:増井初明、監督:金井紘監督)。でももちろん、そんな本格的なレビューじゃないです。サーッと流しますね。

1. 『HERO』第8話「久利生危機!身代わり出頭の闇」

 


 帯木会という暴力団の幹部が殺された。川藤組という敵対組織と抗争中で、そこのヒットマンに襲われたようなのだが、警察に出頭してきたのは、川藤組でも下っ端組員のチンピラ、権藤(池内博之)だった。しかも自供によれば、動機は女がどうのこうのという個人的な怨恨で、組織とはいっさい関係ないという。一応ツジツマは合ってるが、どうにもうさんくさい。要するに上から言い含められて、真犯人の身代わりに下っ端が自首してきたのである。
 でも、だからといって本当の犯人を捜し始めたら、そいつを組織ぐるみでかくまっている川藤組だって黙っちゃいないだろう。市民の平和のためにも、自分たちの身の安全のためにも、自首した男を逮捕・起訴しておくのが、いちばん穏便な道である。警察も検察も、みな諦めぎみにそう考えるが、担当検事の久利生(木村拓哉)だけは納得しない。

 


久利生「じゃあ、向こうの言うとおり起訴しろって言うのか?……なあ、俺らが一番守らなきゃいけないものって何? 事務官だったら考えとけ」

 


 久利生が素直に権藤を起訴しない、と聞いた川藤組は脅しをかける。城西支部のみんなが仕事上がりで晩飯に繰り出そうと、わいわいがやがや出てきたところを、大人数で出迎えて銃を撃つフリをしたり。

 






「バーン!」


「キャーッ!」

 


 ビビって建物に逆戻りする麻木(北川景子)たち。
 その日から久利生の同僚は、一人でいるところを川藤組に狙われないように、みんな変装して通勤するようになる。ただ一人平然としている久利生に変装をすすめる麻木。







 それでも結局、久利生は自首してきた権藤の「俺がやった」という自供を斥け、証拠不十分で不起訴・釈放としてしまう。釈放当日、署の前では、またまた川藤組の連中が集団で出迎えだ。

 


久利生「うわ〜、すんげえいっぱい来てる。めちゃくちゃ怖え顔してんだけど」


久利生「暑い中、お出迎えごくろうさまで〜す。権藤さん連れてお帰りになったら、組長さんに伝えてもらっていいですか?」


久利生「全然納得できねえし、身代わりなんていらねえから真犯人出せ……って」

 


 一部始終を見ていた担当刑事の関(マキタスポーツ)も、決して圧力に屈しない久利生の態度に心動かされ、もう一度きちんと事件を捜査しようと思い直す。
 ラスト、深夜に屋台ラーメンをすする久利生と麻木のもとへ、関刑事がやってきて、事件現場付近の聞き込み捜査をやり直したら、本当の犯人につながる新たな目撃情報が得られたことを報告する。





 話としてはこれだけだ。真犯人の目星がついたところで幕切れとなるけど、それはあまり重要じゃない。犯人の犯行を証明するためにではなく、逆に、自供している人間の無罪を証明するために検事が奔走する、という状況設定は、ミステリ的にはなかなかユニークだ。でもこのドラマが描こうとしているのはそういう、ミステリやサスペンスものとしての趣向の面白さでもない。久利生というブレのないキャラクターと、彼に影響を受けて変化していく周囲を描くことが主眼である。
 そういう意味で、あらすじだけ見ると、とてもベーシックな内容で、悪くはないけど目立った印象もない。でもそれだけのドラマが平均視聴率20%を取るはずもなくて、ともかくあっちこっちに工夫のあとが見られますね。プロット自体はシンプルだけど、各キャラクターの台詞とか、シチュエーションとかは、かなり手間ひまかけて汗かいて、磨き上げているように思います。そして演出は頭と金をふんだんに使い、視聴者の気を引くフックをどんどん放り込んで、テンポの良い話運びを心がけている。
 たとえば久利生(木村拓哉)が事務官の末次(小日向文世)と電話で話していると、麻木(北川景子)が耳をそばだてている。一方、受話器の向こうでも、会話している末次の背後で、警備員(勝矢)が耳をそばだてている、というふうに、意味不明に対称的だったりするところとか。こういう笑っちゃうような変なビジュアルが、あちこちにしかけてある。




あるいは、麻木と久利生が事件現場(府中公園)で会話するシーン。噴水と池があって、その向こうからカメラがロングショットで、少しずつズームしていく。背景には犬の散歩をしているらしい人々。けっこう細かく画面を作り込んでいる。土曜ワイド劇場などの同様のシーンと較べて、時間も手間も人件費も、かなりかかっているのではないか。








 『M14の追憶』にも書いてあったが、スーツ姿の北川景子がカッコ良いのも、たんに北川景子の着こなしが良いというだけの問題ではないみたいだ。金曜プレステージの十津川警部シリーズで小松彩夏が似たようなスーツで捜査官を演じているが、同じフジテレビのドラマでもだいぶ印象が違う。でも北川景子はセンスがいいけど小松彩夏は垢抜けないとか、そういう個人的な問題ではないだろう、当たり前だが。




 とにかく、しつこいようだが手間とヒマとそれから金がかかっていて、贅沢だが無駄遣いではない、良いドラマですね。もっとも、こういう贅沢な制作環境を獲得するために、木村拓哉はトップスターとしての地位を、血のにじむような努力を重ねてキープし、そのプレッシャーに耐えているのだ。実際、平均視聴率12.7%の『安堂ロイド』が、マスコミから「コケた」とか言われているのだから、たいへんな世界である。
 あとあれだ、個人的には、木村君と北川さんの間に恋愛的な要素が希薄で、麻木は久利生に異性として心惹かれるというよりも、むしろ「師匠」として信頼している感じなのもけっこう良いですね。恋愛的要素は第1シリーズの松たか子との間に描かれているので、北川さんは今回そういう意味でのヒロインではない、という具体的な理由があるそうなんですが、良かった。なにしろ木村拓哉主演のドラマは何でも恋愛が入って来てしまって、ヒロインは必ず木村君に惚れてしまう、という印象が私にはある。若いうちはそれで良いかもしれないが、木村拓哉も四十代である。そろそろ「出会った女がみんな彼に惚れる」なんて単純な表現の仕方とは違う、大人のヒーロー像を示せる年齢なのではないでしょうか。
 ま、そんなところで。


 

2.『匿名探偵』第9話「探偵と終わりに見た女」


 さて、時間もないんだけど大急ぎでもう一件。これも好評につき第2シリーズが制作されたテレビ朝日系、金曜深夜のドラマ『匿名探偵』最終回(2014年9月5日放送、脚本:尾崎将也、撮影:朝香昌男、監督:秋山純)である。第1シーズンの第3話で、ゲストヒロインを演じ、その後も何話かに登場していた小池里奈が、なんと第2シーズン最終回のヒロインとして再び登場した。

 





麻 美「二十歳になったら付き合ってあげてもいいよ」

 


 なーんつってた小池里奈が、ハタチになって『週刊プレイボーイ』の表紙もやるようになって、戻ってきちゃったのである。どうする?



 物語は、大学生になった保坂麻美(小池里奈)が行方不明になったので捜索して欲しい、という依頼から始まる。探偵(高橋克典)がさっそく捜査を始めると、麻美の意外な居所が判明した。「城ケ崎宇宙意識開発センター」。最近「宇宙意識」から超能力を授かったと自称して、警察の未解決事件をテレビで公開捜査なんかしている城ケ崎晃(林家三平)という人物を教祖といただく、オカルトみたいな宗教みたいな組織だ。



 これが城ケ崎晃。演じているのは林家いっ平、ではなくて二代目林家三平である。
 第1シーズンでは、小松彩夏と壇蜜の美人姉妹が新興宗教に入信して、あわや姉妹そろってその肉体を教祖に捧げそうになる、というエピソードがあった。



 『週刊プレイボーイ』表紙といい、小池里奈は本人が望むと望まないとに関わらず、かつての小松彩夏のポジションを奪いに行っているのだ。仕方ない。小松彩夏も、もう28歳だ。でもまだ全然だいじょうぶだけどな(何が?)。



 さて、なぜかマイケル・ジャクソンの扮装をして教団、ではなくて「城ケ崎宇宙意識開発センター」に潜入した探偵は、すぐに小池里奈を見つける。物陰に連れ込んで「麻美。俺だよ忘れたのか?」と話しかける探偵だが、麻美は「私は元気でやってる」と冷たい態度。




 やっぱり小池里奈、小松彩夏や壇蜜みたいに教祖様に洗脳されてしまっているのか。



 そうではなかった。小池里奈は、自分の好きだった男の死因を突き止めるために、宇宙意識開発センターに潜入していたのだ。男の名は北山(金児憲史)。雑誌記者で、ここしばらくは城ケ崎と「宇宙意識開発センター」のインチキを暴こうと嗅ぎ回っていたところ、遺体となって発見された。
 探偵は、小池里奈が施設の外に買い出しに出たところを狙って自分の事務所に引っ張り込み、真意を問いただす。

 


麻 美「私は城ヶ崎の裏を探ってるの」

探 偵「やっぱり……どうしてこの間そう言わなかった?」


麻 美「あの事務所、盗聴器があちこちにあるの」
探 偵「あえてそんなところに飛び込むなんて……どういう事だ?お前、好きだったのか?北山さんのこと」

╳    ╳    ╳


北 山「誕生日おめでとう」

麻 美「ありがとう」

北 山「俺でっかいスクープものにする。でいつか社会派の雑誌の編集長になるんだ」

麻 美「頑張って。応援してる」

╳    ╳    ╳



麻 美「あんなに張り切ってたのに… …」

探 偵「彼が言ってた、そのでっかいスクープってのは、城ヶ崎の事か」


麻 美「北山さん城ヶ崎の裏を調べるって言ってそれきりいなくなっちゃって……そしたら……」

 


 北山は死体になって発見された。だから麻美は「彼を殺した奴を見つけて復讐する」ために城ケ崎の組織に潜入したのである。でも潜入したはいいものの、結局その後は打つ手なしの状態である。
 素人の娘がそんな危ない橋を渡るもんじゃない、と諭す探偵。だが麻美は言うことを聞かない。

 


麻 美「だからって……帰れないよ。だってこのまま帰ったら、なんていうか、北山さんに顔向け出来ないよ」

 


 こういう女の涙にめっぽう弱い探偵は「わかったよ、俺が城ヶ崎の裏をあばく手伝いしてやるよ」と折れる。
 まあ後の展開は、この手のハードボイルド・アクションのルーティンなのでいいでしょう。お約束の、教祖に手ごめにされそうになるピンチシーンもあるが、セーラールナがやるとひと味違うね。

 


麻 美「個別指導して頂けるなんて感激です」

城ケ崎「宇宙意識につながる方法を教えてあげよう」

麻 美「お願いします」

城ケ崎「脱ぎなさい」

麻 美「えっ?」
城ケ崎「男女の性的なパワーを合体させた時、より宇宙意識に近づく事が出来るのだ」

麻 美「はい」

城ケ崎「おお……おお……」


麻 美「あっ、宇宙意識が脱がなくていいと言っています」

城ケ崎「えっ?いや…」


麻 美「宇宙意識、そんなこと言わない」

 


 こういうテイストは小松彩夏とは違うね。
 ラスト、黒幕の袴田吉彦に人質にとられ、アジトのソファに縛られて転がされてから、駆けつけた探偵が死闘のすえに救い出して涙ぐんで笑顔、というエンディングまで、もう絵に描いたようなヒロインぶり。







 わりと深夜ドラマのクイーンへの道を歩んでいるような気もする。ちょっとこれからの小池里奈が楽しみである。

3. ただただ観賞して欲しい泉里香


 てことで、だいぶ時間も字数も使ったので終わり。最後に、これは大家さんのところのコメント欄で知ったんだったかな、なんというか、最近いちばん感動した物件をご紹介します。



やはりこの人は小悪魔だよなぁ。