実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第475回】北川景子『みをつくし料理帖』リターンズの巻(後編)


アニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」主題歌『MOON PRIDE』
歌:ももいろクローバーZ 7月30日発売!!


うわ……も、ももクロに含むところはないが、このジャケットについてのコメントはかんべんしてください。ミュージカルの話題に行って呼吸を整えよう……。


「揃い踏み!!白月5人女」


 2014年 6月30日、ZeppDiverCity「月野うさぎ バースデーパーティー in スペシャル ViVi night」より。昨年のセラミュでお馴染みのナンバー。ただし昨年は、亜美(松浦雅)がダーク・キングダムに囚われの身となっていて、マーキュリーのパートはなかった。今回が初めての完全バージョンである。松浦雅に代わって亜美役を射止めた小山百代が、どれだけセーラー戦士にあこがれていたかについては、ちょっと前にこのブログでも取り上げた(ここ)。あと、静止画像ではいちばん魅力が伝わらないと思うのがヴィーナスなので、動画ではぜひ注目して欲しいです。さあ今年もセラミュの夏がくる。ミュージカルのメンバーは今ごろ花のパリでイベントである。そして新作アニメも……私まだです。タイムシフトで観ます。










2014年7月5日土曜日19時よりニコニコ動画ほかにて同時配信


さて、『みをつくし料理帖』だ。

1. 春は芽、夏は葉、秋は実、冬は根のもん



 ユキノシタ(雪の下)は岩場の影の湿った場所などに自生する常緑の多年草で、古来より火傷やかぶれ、腫れ物など、皮膚病の消炎に効く民間薬として広く用いられてきた。また、その葉は山菜として、あえものや天ぷらにして食べることもできる。
 冒頭では、旬を過ぎた百合根を茶わん蒸しに使って、清右衛門(片岡鶴太郎)に怒られていたから、冬も終わったというところだろうが、ユキノシタの天ぷらというと、季節は春から初夏。旬のおいしいものを食べてもらおうと、せっせとユキノシタを集める澪。そこへ通りかかったのが、しばらく前から、新しく「つる家」の奉公人となった少女ふき。





 なんだろう、と怪訝な表情のふき(石井萌々果)。店にもどると、澪が採ったばかりの葉を天ぷらにしている。



ふ き「これは何ですか?」



 澪 「雪の下や。よもぎと一緒に河原に生えてたんや。春は芽、夏は葉、秋は実、冬は根のもんを賄いでも扱うようにと、天満一兆庵の旦那さんによう言われた」
ふ き「天満一兆庵…」



 澪 「大坂の料理屋さん。うちはそこで修業したんや」
ふ き「澪姉さんは、大坂に住んでいたのですか?」
 澪 「そうや。八つの年に、お父さんとお母さんが、淀川の洪水で流されてしもて。独りぼっちのうちを、料理屋の女将さんやったご寮さんが助けてくれはった」



ふ き「私もです」
 澪 「え?」



ふ き「私のお父さんとお母さんも、死んでしまいました。けど私には弟がいます、ケン坊っていう……今は別の場所で奉公してるけど」



 澪 「そう…。そうやったんやね」
ふ き「澪姉さんは、どうして江戸に来たのですか?」
 澪 「天満一兆庵の大旦那さんが亡くならはって、江戸に店を出していた若旦那さんを頼って来たんやけど……」



 澪 「ふきちゃん。人生にはいろいろな事が起こる」



 澪 「けど、へこたれたらあかん。前向いて一所懸命やっていれば、いつかきっとええ事があるんやから」



ふ き「はい」





ふ き「おいしい!」



 ふきに向かって言うと同時に、むしろ自分自身に言い聞かせるように語る澪。でもこの場面については、M14さんが何か言っているので、まあいいや(ここ)。ていうか、ここまでで、正味1時間50分あるドラマの最初の15分しか消化していないので、これでも焦っているのだよ。室井滋がらみのエピソードとか、けっこう削ったつもりなのだが。


2. 俎橋から ほろにが蕗ご飯(承前)


春の精進揚げ膳


雪の下と蓬の精進揚げ  若竹汁  菜の花のおひたし  めし


 お代は三十文。澪の考案した新メニューはたちまち大評判。と思ったら、ほどなく妙なケチがついた。



 客 「あれ?ここでも雪の下かい?おれは登龍楼で、つい昨日も同じものを食べたばかりだ」



種 市「登龍楼?登龍楼で同じものを出してるんですか?」
 客 「ああ」


種 市「旦那、一体それはどういう?」


清右衛門「登龍楼が雪の下の揚げ物を出したのは三日前からだ」



清右衛門「しかも“野辺の草摘み”という洒落た名でな」


 N 「登龍楼とは、江戸で一番と謳われる料理屋で、料理番付では必ず大関を取る名店であった」



 N 「だが女料理人である澪を目の敵にし、これまでも次々と横槍を入れてきた。つる家の近くに支店を出し、名物の茶わん蒸しを真似たばかりでなく、以前の店に付け火をした疑いさえあった」


 登龍楼には、ドラマ第1作目でも茶わん蒸しをパクられたけど、あれはこっちの「とろとろ茶わん蒸し」がさんざん評判になった後だった。今回のは、澪が考えついたメニューを、つる家と同じタイミングで店に出している。これは一体どういうことか。それに茶わん蒸しは、澪が工夫を重ねて開発した鰹と昆布のダブルだしが決め手なので、他店ではせいぜい、それ風のものを出せる程度だ。でもこれは旬のユキノシタを天ぷらにするというアイデア勝負なので、アイデアを盗まれて先に出されちゃうとかなりの痛手である。
 少々がっくりの澪。しかし、親代わりのご寮さん(原田美枝子)の励ましもあって、へこたれず、すぐに新しいお品書きを考え出す。だが、またしてもその献立が盗まれてしまう。





╳    ╳    ╳



 澪 「これが蛤のお吸い物。三つ葉をあしらってみました。そしてこれが三つ葉のおひたし。それに白和え三つ葉と白魚のかき揚げ。それから三つ葉ご飯です」


種 市「お澪坊…こいつはいけねえや」
 澪 「え?」
種 市「うますぎていけねえってんだよ」
おりょう「さすがは澪ちゃんだ。三つ葉だけでこんないろんな味が楽しめるなんてさ」
種 市「よし決めた!俺はこいつをつる家の春の看板料理にするよ」



╳    ╳    ╳



 澪 「それはどういう事でしょう?」



 客 「ですから、これとそっくり同じものを登龍楼で食べたのです。この三つ葉のおひたしに白和え、かき揚げに、この吸い物の三つ葉の結び目まで一緒。しかもその名も三つ葉づくし」
 澪 「え?」



清右衛門「お前が盗んだのか?」



 澪 「誓ってそのような事はしておりません!」
清右衛門「ならばなぜ、こうも偶然が重なる?」


清右衛門「どうやらこの店には隠密がいるようだな」







 まあ、どう考えても容疑者はこの子だけだよね。実は、原田美枝子は、前に「とろとろ茶わん蒸し」のメニューを盗まれたときに、登龍楼に抗議に乗り込んでいて、そのとき、店の下足番が、客の履物の鼻緒を結んで、間違わないようにしていたのを見たことがある。この少女も同じことをしていたので、前の奉公先は登龍楼だと気づいていた。種市も、この子を紹介した口入れ屋から、前の奉公先のことを実は聞き及んでいた。でもとてもいい子なので、みんな「まさか」という感じ。
 このあたりは原作ではもうちょっと説明があって、実はふきと弟の健坊は、死んだ父親が騙されて抱えた借金のカタとして登龍楼に引き取られ、奉公させられているんですね。だから板長の末松の指図にさからえず、つる家にのお品書きを盗んでいた、ということです。

3. 見どころまであと一歩


 まあしかし、そんなきちんとした説明がなくても、こんないい子が自発的にスパイをするはずもないし、きっとやむにやまれぬ事情があったのだろう、くらいのことは視聴者にだってわかる。
 澪にも分かる。何しろ幼いころの自分と同じような身の上なのだ。自分だって淀川の大水で家族を失い、ひもじさのあまりかっぱらいをした。あのとき、ご寮さんに救ってもらわなければ袋だたきにあったことだろう。そんなことをあれこれ思えば、とても一方的にふきを責める気にはなれない。といって、このままで良いはずもないし、できれば正直に事情を話して欲しい。
 こういう時は言葉より得意な料理のほうが、思いをまっすぐ伝えられる。そう考えた澪は、ふきの名にちなみ、一緒にふきごはんを作って、料理でふきと会話しようと試みる。





 澪 「ふきちゃん、ちょっと手伝うてもろてええ?」



╳    ╳    ╳



 澪 「こうすると灰汁が抜けておいしくなるんや」


 澪 「葉っぱはあとで使うから捨てたらあかん」
ふ き「はい」


 澪 「蕗には無駄なところが一つもない。すごく偉い野菜や。葉も茎もおいしく食べられるし、こうして出た筋でお鍋をこすると汚れがきれいに落ちる」




 澪 「はいお味見」



 澪 「蕗だけでも十分においしいやろ?蕗は元々力のある野菜やから……」


 澪 「ふきちゃんみたいに強い…」


 澪 「ふきちゃん?」


 澪の想いは伝わった。というか伝わりすぎた。ふきは澪の優しさにいたたまれなくなって、その場を飛び出してしまった。澪も後を追って店を飛び出す。


 澪 「ふきちゃん!」



ふきの姿を探し求める澪。はたしてふきはどこに?
って、このあたりでタイムアップ。ああ今回こそハイライトシーンに行けると思ったのにあと少し。次回こそ。



男たちに身動きを封じられて苦悶する、囚われの北川景子さんをご紹介できると思います。それでは。
ところで今回が「北川景子『みをつくし料理帖』リターンズの巻」(後編)なのですが、ごらんの通りまったく完結する方向に向かわない。次回は「続・『みをつくし料理帖』リターンズの巻(序章)」です。