実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第408回】DVD第3巻:Act.10の巻(11)

1. アヤカの耳かき(肩もみつき)


今回はやっぱりアレだな。前回触れた「耳かき」から行こうか。NHK『青山ワンセグ開発』参加作品(?)『石川くん』より、啄木をめぐる枡野浩一と小松彩夏のショートコント(?)最新作。

   


耳かき嬢「じゃまず肩もみから始めますね」
枡 野「はい」



耳かき嬢「どうですか、強くないですか?」



枡 野「ぜんぜん大丈夫です」



耳かき嬢(またこのお客さんかぁ。この人、自分の話しかしないんだよなぁ)


╳    ╳    ╳


耳かき嬢「じゃあ耳かきに入るのでヒザ枕しますね」



枡 野「枡野浩一って名前なんだけど、ひらがなで『ますの』って入れると、もう僕の名前がトップにインターネットで出てくるのね。『短歌』って言葉入れても、僕が一番上に出てくるんだよね」
耳かき嬢(聞いてもないのに勝手にしゃべってるよ。ま、いつも通り『すごーい』って言っとけばいいか)



耳かき嬢「すごいですね」



枡 野「男の歌人では一番売れてるんですね。まぁ日本で一番売れてるから、まぁ世界でも一番売れてるってことになるんですけどね」
耳かき嬢「あ、すごいですね」
枡 野「まあすごくないんだけどね。なんか自分の事ばっかし話しちゃってごめんね」
耳かき嬢「あ、いえいえ」
枡 野「東京の人なの?」



耳かき嬢「あたし岩手です」
枡 野「あ、じゃぁ石川啄木と一緒だね。まぁあの人は一種の天才なんだけど、継承者がいるとしたら自分しかないなって思ってるのね」
耳かき嬢「あ、すごいですね」



耳かき嬢(継承者って……すごいこと言うなこの人)
枡 野「この間で四十四になったんだよね。でバツイチで子供もいて、子供もう十二歳なんだよ」




枡 野「本当はね、裁判所で、子供に月に一回会えるって約束だったんだけど、なんかね、それからずっと向こうが行方不明になっちゃったのね」



枡 野「なんか耳のかたちとか、そっくりなんだよ」
耳かき嬢「あ、すごいですね」



  その膝に枕しつつも
  我がこころ
  思ひしはみな我のことなり(石川啄木『一握の砂』)


以上。
小松彩夏を岩手県と絡めてくれたことは嬉しいが、しかし枡野くんのナルシストっぷりも凄いね。
神格化されがちな石川啄木の、けっこうなナルシストぶりを、自分をダシにしてくっきり浮かび上がらせた枡野くんの力量をそれなりに評価するとしても、しかしやはり、もしこの「石川くん」が『青山ワンセグ開発』のなかでレギュラーに選ばれることがあるとしたら、その功績はほぼ100パーセント小松彩夏のものだと思うね。小松彩夏のビジュアル以外に何の華もない番組だもの。
しかし改めて不思議に思うのは、ナルシストというか「私って美人」とか「私って可愛い」という自意識が、セーラー戦士のみなさんには希薄ですよね。何故だろう。小松彩夏なんか、ほんとはあんな裸同然にならなくたって通用する素材だと思うし、北川景子は美人なのにさばモグだし、でもそういう戦士のみなさんが私は好きです。
いまさらな話になってきたので本題だ。

2. 究極の癒やし系


ルナから「スティックに力を込めて。早く!みんなを助けたいって想いを込めるの」と助言を受けて、セーラームーンはムーンスティックに意識を集中する。


  


セーラームーン「お願い、みんなを助けて!」



セーラームーン「やった!」


さらにスティックを高くかざして、一連の騒動で妖魔にエナジーを奪われた人々みんなを賦活する。



するとエストア国王女は滞在中のホテルで目をさまし、燃えていた人形や絵本や紙芝居が元に戻って、子供たちの顔に笑顔がよみがえる。もちろん火川神社の「かぐや姫」の紙芝居も元どおりになって、さっきまでぐったり寝込んでいたエリカちゃんは、何ごともなかったかのようにひょっこり起き上がる。



エストア国王女の滞在先なんだが、この人、ホテルに着くなりレポーターに囲まれたりして、「一国の王女なのにSPはどうしたんだ」「背景にコンビニとか見えて、わりと庶民的なホテルだ」とか、まあ突っ込みどころはいろいろあるんだが、ほったらかしにしていた。そこで改めて調べてみたら、主題歌のクレジットの最後に「撮影協力:第一ホテル光が丘」とあった。ここがロケ先のようだ。現在はカデンツァ光が丘という(ここ)。惹句が「練馬区唯一のシティホテル」って、確かにかなり庶民的だ。ていうか、ここってAct.9の冒頭で、タキシード仮面が宝石を盗んだホテルじゃん。



練馬区のシティホテルに泊まる東ヨーロッパの王女。演じているオレナ・シュペレヴァさんについては、相変わらず不明な点が多すぎるので、いまでも情報提供募集中です。
みんなを元に戻したセーラームーンは、力尽きててへたり込む。原作では、そこをタキシード仮面がしっかり抱き留めてくれる。



でも実写版の今回のエピソードではタキシード仮面はお休みなのでひとりでぺたんと座り込む。そこへ、同じくセーラームーンのおかげで息を吹き返した仲間の戦士たちが集まる。



セーラームーン「できたみたい」
マーズ「うさぎ」
ジュピター「やるじゃん」
ル ナ「おつかれさま」


このセーラームーンの、お尻をつけるぺたんこな座り方、男性にはなかなかやりづらいが、女の子って時々しているよね。「とんび座り」「割座」「あひる座り」などと呼ぶようだ。Act.4でセーラーマーキュリーも同じポーズをとっている。ロケ地の風が強かったせいで、北川景子のお宝画像としてネットに広く出回っている場面だね。



ビルの屋上から落っこちたセーラームーンとタキシード仮面が、これまたスティックから発した不思議な力のせいで無事ソフトランディングして、やれやれと座り込むマーキュリー。つまりこの座り方は、「緊張の糸が途切れてへなへなとへたり込む」場面でよく用いられるってことか。確かにバレーボールとか、アスリートの人たちも、そういう時にこの座り方をするよな。



上から見ると足がM字型になる座り方なので、私は勝手に「M字座り」と名づけていたんだが、今回「M字座り」で検索をかけてみたら、とんでもない画像が沢山でてきた。興味のある18歳以上の方はお試しください。

3. セーラー服を脱がさないで



と、そのとき響き出す幻想即興曲。「うそ、また!?」ゾイサイトが新たな刺客を送り込んできたのか。あたりを見回すセーラームーンと戦士たち。その背後から不気味な哄笑が。ここでBパート終了、コマーシャルタイムなんだけど、もうちょっとだけ引き続きお送りします。



ベリル「ぬふふはははは。お前がセーラームーンか」



セーラームーン「誰?」
ベリル「憶えておらぬか。そうだな。わらわも昔とは違う。お前たちセーラー戦士も」
セーラームーン「なんのこと?」



ル ナ「お前は、まさか……」



ベリル「ふ。我が名はクインベリル。闇の王国ダーク・キングダムの女王」



セーラームーン「クイン…ベリル」



ベリル「セーラー戦士ども、お前たちなど滅びた月の残映に過ぎん。プリンセスともども、おとなしく月で眠っておれば良いものを……だがもう遅い。お前たちのプリンセスに、大いなる闇の祝福を与えよう」




ベリル「破滅だ」



鈴村監督お得意の口元アップ、初登場である。
セーラームーンとクイン・ベリルが直接、真正面から対峙するのは、このAct.10、Act.36そしてFinal Act.と、ぜんぶで3エピソードしかないと思う。もうちょっと機会を増やして、いろいろ話をしてくれれば、前世の物語がもっと明らかになっていたのに、と、ちょっと残念な気がする。そういう意味では、ここでのベリルのセリフは、数少ない前世をめぐる証言として貴重だ。だいぶ前に考察したが(ここ)、新解釈も加えてひさしぶりにおさらいしてみよう。
まず第一に、前世の月の王国にセーラー戦士は沢山いたようである。ベリルはAct.2で、セーラームーンのことを知り、ジェダイトに「セーラー戦士のひとりが目覚めたというのはまことか?」と問いかける。そして「はい。セーラームーンと名乗りました」という答えを聞くと「あの小娘らが再び私の前に現われるとは…」云々と語っている(余談ですがここではまだ「わらわ」ではなく「私」と言っています)。つまりセーラー戦士の存在は憶えているが、セーラームーン単体についての記憶はない。あたりまえだ。現世のセーラームーンは、前世のプリンセスの世を忍ぶ仮の姿だから、ベリルが憶えているはずもない。
一方、もし前世の月の世界でセーラー戦士が、マーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナスの4人だけであるなら、セーラームーンに対しては「お前ほんとうにセーラー戦士か?お前みたいなやつ知らんぞ」という感じのセリフになるはずだ。だからベリルの態度から推測するに、前世の月の世界で、プリンセス直属のSPであるセーラー戦士というのは、AKB48みたいに、全ての見分けがつかないほど沢山いて、この世界に転生した5人(プリンセスを除けば4人か)はそのほんの一握りなのだ、と私は思う。ベリルはセーラームーンを見て(う〜ん、こいつ見覚えないけど、きっとセーラー戦士のなかにいたんだろうな。いつもメディア選抜の常連だったヴィーナスなら一発で分かるんだけどな)とか思いながら「お前がセーラームーンか」と言ったのだ。
ただしその後「憶えておらぬか。そうだな。わらわも昔とは違う。お前たちセーラー戦士も」と続けてもいる。「わらわも昔とは違う」というのはまあいい。前世のベリルは、物陰からひそかにエンディミオンに思いを寄せてプリンセスに嫉妬の炎を燃やす、貧しい身なりの女だった。問題は「お前たちセーラー戦士も」ということばで、ここから考えると、セーラー戦士も前世はだいぶ違った姿かたちだったように思える。でも「セーラー戦士」である以上、セーラー服を着ている以外のスタイルって考えられない。いったいベリルの記憶にある前世のセーラー戦士と、我々の知っている実写版セーラー戦士との間の違いって何なのだろう。おニャン子クラブとAKB48ぐらいの違いなのだろうか。そう言っておいて自分でもよく分からないのがなさけない。
じゃ、緊迫する場面の最中だけど、とりあえず今回はこんなところで。つづく。