実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第344回】しょうこりもなく『謎解きはディナーのあとで』第5話レビューの巻

1. 朝から人外魔境



予想外に正攻法のドラマ作りと、杏(ベラ)のハマリ具合が話題の実写版『妖怪人間ベム』だが、視聴率のほうもまずまずのようで何よりだ。原作とはだいぶ違う話なのに、オリジナルへの敬意と愛情がきちんと視聴者に伝わるところは、まもなく劇場版が公開される『怪物くん』と通じている。これは両方の脚本を手がけている西田征史の持ち味なのだろう。
音楽はサキタハヂメ……って、あれ?脚本:西田征史、音楽:サキタハヂメって顔合わせは、どこかで見たぞ、って思ったら、NHK教育テレビで毎朝、7時からやっている『シャキーン!』がそうだった。
『シャキーン!』は、かつて「ラップ少女」として評判を呼んだ小島あやめ(もう中3)と、ラーメンズの片桐仁が進行役をつとめる児童向けバラエティで、私も家族の朝飯の支度をしながら見ているんだが、基本設定がすごい。
舞台は、とある山のてっぺんにある霊樹「シャキーンの木」。昔は子どもたちの遊び場だったが、今はみんな引っ越したり大人になったりして、来るものはいない。ままごとや秘密基地ごっこに使われた、壊れた家具やおもちゃやガラクタが放置されたまま、すっかり寂れている。

そんな中に埋もれながら、捨てられた人形「あやめちゃん」(小島あやめ)や、壊れたテレビ「ジュモクさん」(片桐仁)たちは、いつかまた、みんなと遊びたい、とずーっと願い続けていた。その気持ちを知った「シャキーンの木」の奥深くに棲む謎の生命体「ウロベエ」は、彼女たちに生命を与える。こうして、人形の妖精とテレビの妖精として生まれ変わったあやめとジュモクは、シャキーンの木の上から、世界中の子どもたちを楽しませる番組を作って放送するのだった……というのが、だいたいのフォーマットである。このあたりの来歴は、ときおり番組のなかで流されるショートアニメ「クノーチェ」で徐々に明らかにされる仕掛けになっている。
もともと生命なんてなかった人外のモノたち、しかも「人間に捨てられた」という辛い過去をもつものたち、なのに人間を愛し、思慕せずにはいられず、その想いが昂じて疑似生命を与えられた、なんて、『妖怪人間ベム』とほとんど一緒の話にすら思える。西田征史の世界を理解するには、『怪物くん』と『妖怪人間ベム』だけではなく、NHK教育の『シャキーン!』を観なくちゃね、ってことだ。来週からは新コーナー、その名も「妖怪刑事」が始まるらしいぞ。



さて、このブログは『M14の追憶』の分家みたいなものなので、本家に何かあったら可能な限りフォローするのが義理と心得ている。前々回『謎解きはディナーのあとで』第3話のレビューをやったのも、そういうことだったんだが、M14さんは今週火曜日(2011年11月15日)放送の第5話も見逃されたらしい。どうしてかというと、わけあってオンエアが50分遅延して、ほとんど録画できなかったようだ。




なので今回もウチは、これをちょっとくわしくレビューする。ただし、StreramKatoさんがコメント欄で言われていたとおり、このドラマ、回を追うごとに調子を上げてきたぶん、ツッコミどころが少なくなってしまった。今回の第5話は(私の評価では)わりと好調で上り調子だった第3話、第4話に較べ、内容的にちょっと落ちるんだけど、こちらが慣れてしまったのか、気になる箇所もそんなに多くはないんだよね。たぶん全体的に小粒のレビューになると思います。

2. この項だけ(でもないか)微妙にネタバレ注意!



今回のエピソード「アリバイをご所望でございますか」は、上梓されたばかりのシリーズ2作目『謎解きはディナーのあとで2』(2011年11月10日刊)の冒頭第1話が原作。おそらく原作本が書店にならぶタイミングに合わせて映像化をオンエアし、販売促進を狙ったものと思う。
でも考えようによっては、新刊のミステリ小説をさっさとドラマ化して、トリックや犯人のネタばらしをしてしまうって、むしろそれ営業妨害なんじゃないかと思うよね。そこらへんはしっかり考えてあって、実は今回のドラマ版の物語は、原作とは大幅に異なる。たぶんこれまででいちばん変更点が多いのではないだろうか。
具体的に言うと、まずゲストキャラクターとなる事件関係者たちの設定。亡くなった女性は、氏名こそ原作と一緒だが、職業がベストセラー漫画の原作者だとかの設定は、すべてドラマのオリジナル。このあたりは、被害者を保険会社の秘書から代議士に変更したドラマ第3話に近い。
一方、死体の発見状況やアリバイの謎あかしといった推理小説的な筋は、原作に準拠しながら、さらにもうひとつヒネってある。つまり麗子が(影山のフォローを受けながら)推理する「事件の真相」までは、おおむね原作どおりなんだけど、最後に影山がそれをひっくり返して「さらに意外な真相」を開陳する、という二段オチになっている。このあたりは第2話と共通している。


(ここから先は、さらにネタバレ厳重注意エリア)

と、ここまで書いて、マジメな私はものすごく悩んでいるのだよ。
理由その(1)。上の見出しに「この項目だけ微妙にネタバレ注意!」と書いたけど、ドラマをご覧になった方、および原作を読まれた方は「もう観ちゃったから(読んじゃったから)アリバイトリックも犯人も知っているもんね」と思ってこの項目を読むだろう。そして「えーっドラマと原作で犯人が違うの?」と驚かれるかも知れない。「放送と刊行がほぼ同時のドラマ版と原作版の犯人がそれぞれ違う」というポイントが今回のエピソード最大の趣向なので、たとえ犯人の名前を明かさなくても、それだけで「ネタバレ」なのである。「ネタバレ注意」と書いただけでは、そのネタバレを防いだことにはならないし、「原作だけを読んだ人、およびドラマだけを観た人も含めてネタバレ注意」なんて書いたら、これもある種のネタバレである。困ったものである。
理由その(2)今回は、ドラマ版のオチを割らずにお話を紹介する書き方がむずかしいよ。
ミステリに慣れた読書家のみなさんなら、さっきのドラマ版のストーリー紹介で、私が「被害者の女性」と書かずに「亡くなった女性」と書いたり、「殺害状況」と書かずに「死体の発見状況」というアイマイな書き方をして、さらにわざわざカギカッコをつけて「真犯人」と書いていることで、あらかた真相の察しはついてしまっていると思う。ネタバレである。困ったものである。
(ネタバレ厳重注意エリア終わり)


原作本のミステリとしての最大の難点は、なんといっても「えっ!そんな理由でそこまでする?」「そういうことを、冗談半分で考えるだけでなく、本当にやっちゃう?」という種類の「動機やトリックのとんでもなさ」だ(逆に第2話のワイン毒殺事件は、「遺産相続」という、あまりにも当たり前すぎる動機だったが)。で、たとえば今回のように、原作とは犯人を変えることによって、そういう面を幾分かフォローできているかというと、できていない。むしろますます「ありえな〜い」という方向に進んじゃっているのだ。そして観ているこちらも、だんだんそういう「ありえなさ」に慣れてきて、今では「次のエピソードの真相はどんだけトンデモナイものかな」なんて楽しみにさえなりつつあるのだ。そういう意味では、私も最初のころほど違和感を感じなくなってきた。視聴者にそう思わせるようになったら、番組側の勝利だな。

3. 実写版ヤマトは女性乗員が多いので南極1号は不要(何ということを)


タイトルに「アリバイをご所望でございますか」とあるように、第5話はアリバイトリックである。つまり、犯人の目星はあらかたついていて、でもそいつには、死亡推定時刻前後に完璧なアリバイがある。それさえ崩せば……みたいな話ね。だから犯人隠しみたいな作為は必要ないので、今回は冒頭からひと組の男女が、夜の神社の境内で争う姿から始まる。それで気がつくと、女の胸にナイフが突き刺さっていて、男は呆然として、それから逃げ出してしまう。という、ほとんど犯人と被害者は確定した、みたいな感じのオープニングだ。男は中村俊介、女はマイコ。



マイコさんという方は、よく知らないんだけど、『宇宙戦艦ヤマト』の実写版で通信班の相原義一の役をやった人だ。いや実写版はアニメと違って女だから「義一」ってことはないと思うが。



右側が相原(マイコ)。ついでだが左側が技術班の東田(沢井美優)。もうワンカット出しておこうか。




第一艦橋の大スクリーンを見上げるクルーの面々。左から2番目、つまり左端の島(緒形直人)のななめ後ろが相原(マイコ)。ついでだがその隣の隣、森雪(黒木メイサ)の左うしろが技術班の東田(沢井美優)。もうワンカット出しておこうか。




ラスト近く、『南極大陸』の視聴率不振の責任をとって特攻をかける木村拓哉に別れを告げるヤマトの面々(黒木メイサはスタンガンで意識不明中)。右から4番目がマイコ。ついでだがその後ろというか右うしろが技術班の東田(沢井美優)。


これもついでだが、黒木メイサは明らかに乱れ方が足りない。ちゃんとオリジナル版を観て学習して欲しい。森雪が失神するときは、このぐらいでないと。



『宇宙戦艦ヤマト』はご存じのとおり、戦艦大和を改造して、宇宙に飛ばすという話である。で、この戦艦大和の建造にかかわった牧野茂さん(名古屋市出身)という技術者が、戦後は「宗谷」を南極観測船に改造する設計にもかかわって、戦艦大和で培った技術を活かしているという。つまり、牧野茂さんを通じてヤマトと宗谷はつながるわけだ。
私は『南極大陸』というドラマを観ていないのだけれど、木村拓哉のなかには、映画では未来の世界で(戦艦大和をベースに改良した)ヤマトに乗った自分が、こんどは過去の世界で(戦艦大和の技術をとりいれて改造された)宗谷に乗る、ということでひとつにつながる、何かロマンチシズムのようなものがあるのではないか。
気持ちは分かるが、視聴率が13%台まで落ちてきたそうで、制作費もかかっちゃっているし、やはりテコ入れが必要だ。前回ここに私が書いた提案を受け入れて、「南極1号開発秘話」にしてくれたら、私もがんばって視聴するのだが。



あっごめん。まったく関係ない画像がまぎれ込んだね。

4. 燻製にしん(red herring)


えーと何だったっけか。それで翌朝、女の死体が発見される。女は菅野由美(マイコ)。有名な漫画『国立日記』の原作者だという。逃げ出した男は、その漫画の作画を担当していた江崎健夫(中村俊介)。『国立日記』とは、影山(櫻井翔)の言葉を借りれば「国立在住のベジとレベッカ、幼なじみの男女がバンドを組み、世界の頂点を目指す青春物語」だそうである。風祭警部(椎名桔平)の言葉を借りれば「連載から12年、トータル発行部数3000万部を誇る大ベストセラー」なんだそうである。
今年は『ワンピース』が累計2億部を越えたとか、とんでもないニュースがあったもんだから、トータル3000万部の漫画というのがどの程度のヒット作なのか、いまいちわからない。でもミュージシャンが主人公の人気コミックといえば、2005年に矢沢あいの『NANA』が映画化されたときの惹句が「累計2700万部突破のコミック『NANA』が映画化」だったな。ここらを参考にしたのかも知れない。ちなみに、同じ作者の『パラダイス・キス』映画版の宣伝文句は「累計発行部数600 万部突破の矢沢あいの同名コミックを実写映画化」であった。
『パラダイス・キス』かぁ……。



(彼女……どこかで見たことあるわ……)



あ、いや、ごめんね。また関係ない画像で。
ともかく、この大人気コミック『国立日記』は、いよいよクライマックスというところで、現在その連載が中断されている。理由は原作者の菅野由美(マイコ)と、作画の江崎健夫(中村俊介)の意見の不一致。
菅野と江崎は、かつて同じ貧乏アパートに暮らしていた恋人同士で、『国立日記』はそのころ意気投合して合作した漫画だった。でもそれが大ヒットして人気作家になってから、二人の距離は広がった。相変わらず安アパートに住み続け、手書きでこつこつ『国立物語』を紡ぐ由美と、さっさと高級マンションに移り住んで、商業主義の水に染まって濫作に走った作画の健夫。最近、二人は作品の打ち合わせのたびに激しく口論することが多くなっていたという。そしてある日、原作者の由美がナイフの突き刺さった遺体で発見された。と、こうなったら犯人は健夫以外にいない、と普通は思うでしょう。冒頭にちゃんとそういうシーンもあるしね。
だいたいそんな人物関係が明らかになった段階で、私がさっと思いついたプロットは「作画の健夫は多くの連載を抱えているが、実は『国立日記』以外の作品はあまり売れていなかった。だからもっともっと『国立日記』の連載を続けたかった。しかし原作の由美は、商業主義に走った健夫に愛想が尽きて、『国立日記』をそろそろ完結させて、それを機にコンビを解消しようと申し出てきた。もちろん健夫がそれを認めるはずもなく、口論になるうちに……」というものであった。というか、ご覧になったみなさんの大半は、そういう筋書きを思い描いたんじゃないだろうか。だからあとは、この基本プロットから、どれだけ意外性のある方向に話が膨らんでいくか、今回のエピソードは、そのへんのバリエーションの見せ方だよな、とか思った。
思ったんだけど、話は実にぜんぜん違う、予想外の方向に進んでしまった。いやほんとうに意外性ありすぎで、説得力はないんだが、これが5話も続けて観ていると「なるほど、このドラマ的には、これはこれでありだな」と思えてしまうところが慣れの恐ろしさである。
ただ、私が「ちょっと卑怯だな」と感じたことがある。ティータイムの場面だ。風祭警部とお嬢様が、容疑者行きつけの喫茶店「ルパン」で聞き込み調査をしていると、その店の片隅で英字新聞を片手に影山がお茶をたしなんでいる。問題はこの英字新聞。



イギリスの新聞『ガーディアン』の日曜版「オブザーバー」の本物が使われている(10月23日版)。「Shakespeare: Does it matter who he was?」という見出し語と、影山の手に隠れているが、シェイクスピアの肖像画がおわかりと思う。わりと熱心な映画ファンはこれでピンと来るのではないか。これ、現在英米で公開中の映画『作者不詳』(Anonymous)のレビュー記事なのだ。

『作者不詳』は、『インディペンデンス・デイ』やハリウッド版『ゴジラ』で知られるローランド・エメリッヒ監督が、シェイクスピアをテーマにした歴史サスペンスドラマに挑戦したということで、けっこう話題になっている。実は私も内容をよく知らないのだが、ともかく、いわゆる「シェイクスピア別人説」をテーマにした作品であるらしい。
「シェイクスピア名義で知られている数々の名作の真の作者は別にいる」というトンデモ学説は、そんなに珍しいものではない。問題はこのドラマのこの場面で、そういう映画の記事が画面に大写しになったということだ。私はこれって、視聴者に対して、事件の真相のヒントを与えているのかと思っちゃったわけよ。
つまりこの事件の背後には大ヒット漫画『国立物語』の「真の作者」問題が絡んでいる。ここまでの話の流れだと、作品をリードしてきたのは、死んでしまった原作者の由美のように思えるが、実は本当の作者は由美じゃなくて、意外なことに作画の江崎だったとか、あるいは本当の原作者は由美のアパートの大家さんで、報酬の配当をめぐってもめたとか、そういうことを暗示しているのかな、と思ったのだ。でもぜんぜん、まったく、そういうことはなかった。単に適当に英字新聞を持ってきて使っただけらしい。ガシュン。
ちなみに、「聞き込み捜査をしている麗子の傍らで、英字新聞を読む影山」という場面は原作にもある。細かいセリフとかは、けっこう原作からそのまま採用されているのだ。このセリフもそう。



影 山「失礼ですが、やっぱりお嬢様はアホでいらっしゃいますね。……良い意味で」


5. フィナーレとDVDリリース予定無し疑惑(ここもネタバレあり)


なんかまた話があちこちに脱線しすぎたが、ともかくミステリのレビューは、話の筋をきちんと紹介するとネタバレになるので、わざとやったということにしておいて下さい。そんなわけで、話は一向にまとまらないが、時間も字数もそろそろ尽きてきたので、エンディングに行きます。やっぱり私はこのシーンが一番好きだ。


  


麗 子「どうして菅野由美は、正直に病気のことを話さなかったのかしら」


  


麗 子「そうすれば江崎だって……」


  


影 山「お嬢様、素直な気持ちというものは、一緒にいる時間が長ければ長いほど正直に言えなくなるものでございますよ」


  


影 山「しかもそれは、かけがえのない相手であればあるほど言いづらくなる」


  


影 山「人は誰もが、大切な相手に面と向って言えない思いをもっているのだということを、お忘れなきよう」


その他、前回で麗子は「私が唯一苦手とするダンス」なんて言っていたんだけど、今回はさらに、彼女が自転車に乗るのも苦手なことが判明して、いったい苦手なものはいくつあるんだ、とか、拾い損ねたネタもなくはないが、また次の機会に、ということにしておこう。


あっ、だけどもうひとつ、ひっかかったことがあって、まさかとは思うが書いておく。
今回の作中に出てきた漫画『国立日記』は、歌手としてトップを目指す少女レベッカと、ずっと彼女をサポートしてきたミュージシャン(たぶんギタリスト)ベジの青春物語だ。キャラクター命名の由来が、ドラマの最後の方で明かされる。



もうずっと昔、まだ貧しいけど情熱はたくさんあった二人が、行きつけの喫茶店でこの作品の構想を練っていたとき、作画の江崎健夫が食べていたのがミックスベジタブルカレーだったから、男の子の名前が「ベジ」で、原作の菅野由美が持っていたのが、レベッカのアルバムだったから、女の子の名前は「レベッカ」だったんだって。このエピソードが語られる回想シーンで、レベッカの4枚目のアルバム『Rebecca IV Maybe Tomorrow』(1985年)が画面にうつり、BGMには、このアルバムに入っている彼女たちの大ヒット曲「フレンズ」が流れる。



1980年代に一世を風靡したレベッカは、1991年に解散した。しかし1999年、フジテレビのドラマ『リップスティック』の主題歌に「フレンズ」が使われ、リミックスバージョンのシングルがオリコン6位にまで上がるリバイバル・ヒットとなった。これを受けてバンド自体も2000年に再結成される。
年代的に言って、二人が『国立日記』の構想を練り、連載をスタートしたのは、この1999年のリバイバル・ヒットの時期であろう。それは上にも引用した風祭警部の「連載から12年、トータル発行部数3,000万部を誇る大ベストセラー」という証言とも合う。2011年暮れの今の時点で「連載から12年」だとすると、連載開始はまさしく1999年だ。
それはいいのだが、ドラマに流れる「フレンズ」を聞いていて「そういえば……」と思った。どうもこの『謎解きはディナーのあとで』というドラマには、版権問題が絡みそうな固有名や商品名がよく出てくる。このレベッカしかり、前回は風祭警部による、メガネを使った「ケント・デリカット」の物まねが披露された。第1話なんかアレだ、こんな会話があった。


  


影 山「お嬢様、自宅に戻るという行為は即ち帰宅するという意味、とは限りません。出かけるために戻ることも、往々にしてあるのでございます」


  


麗 子「どういう意味よ」
影 山「たとえば、買い物しようと町まで出かけたら、財布を忘れて……♪ルールルルッルー♪……家に戻ることもあるのでございます」


  


麗 子「それって!」
影 山「はい、あの国民的アニメ『サザエさん』でございます」


このセリフ「あの国民的アニメでございます」と言うだけで、みんな分かる。版権に関して何かとうるさいことで有名な作品だ。放送元であるフジテレビの公式ホームページにさえ、いまだにキャラクターの画像は一切使われていない。なのに影山は、そんなリスクはハナから無視したかのように、わざわざここで『サザエさん』と言うのである。DVD化の段階で、クレームがついたりしたら、どう対処するつもりなのだろう。ここだけ入れ替えたりするのかな。でもひょっとするとひょっとして、アレかな、理由は分からないが、このドラマ、当面はDVD化しないという方針が、あらかじめ決まっているとか、そんなことないだろうね。
いや、私だってまさかとは思う。コメディ系の推理ドラマとしては、蒔田光治と堤幸彦の『トリック』なんかも、テレビ番組の題名など、いろいろな固有名を使った遊びを多用しているから、そういうのに倣っただけかも知れないしね。ただ『モップガール』『太陽と海の教室』が未だに陽の目をみていない北川さんの作品でもある。まだジンクスは払拭されたわけではないのだ、ちょっと注意して今後を見守っていきたい。
てことで。




【おまけ】今シーズンドラマ界の台風の目、天井知らずに視聴率が上がり続ける『家政婦のミタ』第7話に、第1話に続いて沢井美優が再登場だそうだ。とにかく、できるだけ沢山の国民の方々の目に、プリンセスのお姿がとどまらんことを。





【作品データ】『謎解きはディナーのあとで』第5話「アリバイをご所望でございますか」2011年11月15日(火)21:50-21:44放送/制作著作:フジテレビ、共同テレビジョン
<スタッフ>プロデュース:永井麗子/原作:東川篤哉「謎解きはディナーのあとで2」(小学館)/脚本:黒岩勉/撮影:栗栖直樹、後藤継一郎/演出:土方政人/音楽:菅野祐悟/主題歌:嵐「迷宮ラブソング」/オープニングテーマ:倖田來未「Love Me Back」【制作】プロデュース補:鈴木里佳子/企画編成:成河広明(フジテレビ)、佐藤未郷(フジテレビ)/企画統括:瀧山麻土香(フジテレビ)/企画協力:立松嗣章/スケジュール:谷口和彦【演出】演出補:村谷嘉則/制作担当:加藤誠、増子美和/制作主任:飯盛雄仁/記録:島田伸子【音楽・音響】音楽プロデュース:志田博英/選曲・効果:亀森素子【撮影技術】技術プロデュース:市村雅彦/撮影:栗栖直樹、後藤継一郎/照明:田頭祐介/映像:服部正邦/音声:島田隆雄/VTR:吉田崇/編集:河村信二/ライン編集:勝又秀行/MA:藤井啓介【美術】美術プロデュース:杉川廣明/デザイン:きくちまさと/美術進行:村上勇人/大道具製作:内海靖之/大道具操作:小野将志/大道具操作:小野将志/装飾:錦織洋史/持道具:武藤浩一/スタイリスト:野村昌司/衣装:細谷恵子/ヘアメイク:増田佳代・對馬晶子/アクリル装飾:中村哲治/建具:三田村賢/電飾:寺田豊/植木装飾:津山洋/生花装飾:牧島美恵/視覚効果:田村憲行/イラスト:楠川浩之/フードコーディネーター:住川啓子【そのほか】広報:為永佐知男(フジテレビ)/広告宣伝:平井隆(フジテレビ)/ホームページ:丸谷利一:スチール:チャールズ村上/CG:朝倉怜、中村明博/オープニングタイトル:上田大樹/劇用車:エルエーカンパニー、広島自動車/車両:ショウビズクリエイション、ファン/コマツサポートサービス/撮影協力:旧岩崎邸庭園、八雲荘 PORNOO/協力:ベイシス フジアール、バスク インナップ/音楽協力:フジパシフィック音楽出版/警察監修:杢尾尭/執事監修:日本バトラー&コンシェルジュ株式会社
<キャスト>影山(宝生家の執事):櫻井翔/宝生麗子(宝生財閥令嬢にして刑事):北川景子 /風祭京一郎(風祭モータースの御曹司にして警部):椎名桔平 /並木誠一(刑事):野間口徹/ 山繁悟(鑑識):中村靖日/ 宗森あずみ(婦警): 岡本杏理/ 江尻由香(婦警):田中こなつ/菅野由美(『国立日記』原作担当):マイコ/江崎健夫(『国立日記』作画担当):中村俊介/友岡 弘樹(『国立日記』の担当編集者):佐伯新/権藤 寛治(国立神社の宮司):半海一晃/「河井荘」大家:大島蓉子/松原久子(「河井荘」の由美の隣人):円城寺あや/喫茶「ルパン」マスター:藏内秀樹/Storm Rider