実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第163回】Special Actの巻(25)


関東の実家に帰省中。池袋まで足を伸ばし、サンシャインシティ「ウルトラマンフェスティバル2008」に行ってきたら、なんとサミットをやっていたよ。

有名な侵略宇宙人のみなさんが集まって、地球人類がどれほどひどい種であるかを議論していた。司会はザラブ星人だった。


北川さんが映画の詳細をようやくブログで公表してくれました。タイトルは『真夏のオリオン』、公開は2009年。舞台は第二次大戦末期の1945年8月、沖縄南洋に侵攻してきた米軍の駆逐艦パーシバルと、日本の最後の希望、宇宙戦艦ヤマトの戦いを描いた海洋戦争アクション大作である。北川さんはヤマトの紅一点、看護婦兼レーダー係の森雪を演ずる。
もちろんウソである。日本側の船はヤマトではなくて潜水艦イ−77で、艦長は玉木宏だ。北川さんは残念ながら搭乗員ではなく、玉木宏艦長の無事をひたすら祈るモンペ姿の恋人役だ。後はネタバレになるので、知りたい人は東宝ラインナップ(ここ)のストーリー紹介でも読んでおいてくれ。もう本編はクランクアップしたということなので、後は特撮スタッフがCGなどの合成に時間をかけて、潜水艦と駆逐艦の迫力あるバトルシーンを作り込むのだろう。
原作は池上司(池宮彰一郎の息子だ)の小説『雷撃深度一九・五』 (文春文庫)。で、これを福井晴敏・長谷川康夫・飯田健三郎という『亡国のイージス』のスタッフが脚色している。長谷川康夫・飯田健三郎って言えば、ただいま絶賛放映中『太陽と海の教室』コンビ(監督:若松節朗/主演:織田裕二)の劇場作品『WHITE OUT』の脚本を提供したチームである。その『WHITE OUT』のテロリスト役で強烈な印象を残した吹越満も、今回、潜水艦イ−77の航海長役で参加するというので楽しみである。あと、やはりあのとき下っ端テロリストだった黄川田将也も出る。そしてアミューズからは『僕は妹に恋をする』の平岡祐太が参戦。それから北川さんの遠縁というか、ドランクドラゴンの塚地じゃない方も出る。実写版セーラームーン絡みのメンツはこんなもんかと思ったら、監督が篠原哲雄さんだったよ。
篠原哲雄は、1993年に森田芳光のプロデュースと脚本で、オムニバス作品『バカヤロー!V エッチで悪いか』(ビデオ)の「天使たちのカタログ」というエピソードを担当している。主演は春木みさよ。つまりAct.2のアルトゼミナール講師である。詳しくは【第90回】の「5. 君は春木みさよを観たか」をお読みいただきたいが、さらに篠原監督、今年(2008年)2月に公開された『クリアネス』という映画では、我々がまだその存在を確認していない段階で、泉里香を使っているのだ。そして今度は真っ向から北川景子をヒロインに据えたということで、なんとなくタダ者ではないという気がする。
なお、ついでだが、時間をかけて書いた「こまっちゃんに聞け」のデータがぜんぶ消えちゃってへこんでいる小松彩夏は、8月11日づけのコマブロに、こう書いている。

話しは変わって今日は衣装合わせでした☆
また白衣きます(笑)
なんだか衣装で白衣着る機会が多いな♪(笑)
お知らせできるようになったら報告します(^ー^)ノ

これはつまり、『感染列島』の次の作品の準備で衣装合わせがあったんだけど、また白衣だった、でも仕事の内容はまだ報告できないのでちょっと待っててね、という意味に理解して良いんですよね。
ただ小松彩夏のことだから、白衣と言っても女医とか看護士とは限らない。理科とか保健の先生役かも知れないし、料理人だって要するに白衣だし、白衣の下はビキニのお仕事かも知れないのだ。どんな内容なのか、ドラマか映画か、はやくお知らせできるようになってください。
そして安座間美優さんのドラマ『サラリーマン金太郎』というのもあるが、まあその辺の話題はまた後日と言うことにして、そろそろ本題に入る。

1. 補遺あれこれ


さて、25回にわたる『Special Act』レビューもいよいよファイナルである。
四人の戦士(レイは新たに映画の仕事が決まったために欠席)が力を合わせてセーラープラネットアタックを放ち、黒木ミオは悲鳴とともに消滅した。わずか1分あまりで「今日だけの変身」は終わり、地球に平和が戻った。うさぎのペンダントはピンク色、亜美とまことと美奈子のブレスレットはブルーとグリーンとゴールド、それぞれのイメージカラーの光の粒子となって砕け散る。気がつけば、例によってあたりは真っ暗な夜である。
というあたりでしたね。ここで既出の疑問点を整理してみましょう。
(A)うさぎがぽつんと「これで良かったんだよね」とつぶやく、このセリフの真意はどういうことなのか。前回の最後に、私はふたつの解釈をあげたが、大家さんがとっくの昔に同じようなことを書かれていた(『M14の追憶』2006年5月22日)。

1. 黒木ミオをチュボンしたこと
2. ふつうの市民として生きていた4人がセーラー戦士になって戦ったこと
3. 変身アイテムが消滅し、もうセーラー戦士になれないこと

個人的には1番、つまり最後までミオを憎悪しきれなかったうさぎの「結局ミオちゃんのこと倒しちゃったけど、仕方ないよね、これで良かったんだよね」という述懐であると理解したい。したいのだが、ただ次のカットでは、戦士たちがみんな、この言葉にうなずいたりしながらも、何だか一様に寂しげな表情を浮かべているのだ。とするとこれはうさぎ一人の感慨というより3. 「これで良かったんだよね。でも、でも、もう二度とセーラー戦士には変身できないんだよね」と、寂しさを打ち消そうとした言葉と理解した方が良いのかも知れない。
(B)もうひとつM14さんの「中国語字幕版Special Act」レビューから(2006年5月19日)。「セーラープラネットアタック」を出すにあたって、うさぎが「みんな、行くよ!」と号令をかけるシーンに対して、大家さんは次のように考察されている。

セーラームーン的には正しいが、実写版的にはこの役目はセーラーヴィーナスだ。忘れたか小林靖子。だが、やはり主役、このくらいはさせてあげないとお子様が怒る。

まあそういうことだよね。蛇足を加えると、美奈子が「今日だけの変身よ!」と言い、うさぎが「みんな、行くよ!」と言う。これだけで、すでにリーダー風を吹かせるやつがチームに二人もいることになる。ここにさらにレイが加わろうものなら、二人の頭ごなしの命令に反撥して、チームワークが乱れていたかも知れない。船頭多くしてなんとやら。やっぱりレイがいなくて良かったな、と観ている我々は納得する。これが小林先生の魂胆だ。だとしても、ぜんぜん効果はないが。
(C)もうひとつ、実写版で「セーラープラネットアタック」が出てくるのはこれが初めてなんだが、私は大家さんの日記を読み返すまで、すっかりそのことを失念していた。実写版のシリーズ本編での合体技は「ムーンライト・アトラクティブ・アタック」でしたね。あれはタンバリンがないとできないからな。とにかく、すみませんでした。
これについてM14さんは、次のようにためになることをおっしゃっているので、中学生になってますます勉強嫌いなうちの娘にも読ませようと思う。

この技があればメタリア妖魔や四天王も簡単に倒せたのではないか。いや、それは違う。当時のセーラー戦士は中学生。この技は高校を卒業して初めて使える技なのだ。やはり勉強は大切だ。

ちなみに、アニメでは内部戦士五人の合体技として知られる「セーラープラネットアタック」だが、原作漫画では、セーラームーンを除く四人の技で、これでクンツァイトを倒していたと思う。いま実家に帰っているので原作を確認できませんが。つまり月はプラネット(惑星)ではなくサテライト(衛星)なので参加できない、ということだ。
(D)前回のコメント欄にStreamKatoさんが、結局チャッピイって何だったんだよ、と指摘されていた。うさぎに仲良しのルナがいるので、嫉妬心から自分は犬のぬいぐるみを友達にした、ということは分かる。でもそれなら、ルナみたいにしゃべったり動いたりさせればいいのに、どうしてそうしなかったのか。
ひょっとするとミオ自身がそもそもベリルから作り出された存在なので、自分が人形に生命を与えることはできないのかも知れない。もちろんミオだって、妖魔を生み出すくらいなら、指パッチンひとつで簡単にできる。でもあれは命令どおりに動く奴隷であって、生命をもった「友達」とは言えないからな。
と、まあそういう理屈を考えてみた。ひょっとして最初の構想では、チャッピイも動いたりしゃべったりしたのかも知れない。でも制作費の都合とかあって……という話はここではしない約束だ。
(E)もうひとつStreamKatoさんから「ルナとアルテミスは最後の戦いの間どうしていたんだ」というご指摘がありました。そうですね。でもこの二人(二匹)は、Act.48とFinal Actでも、シリーズ最後の肝心の戦いにはまったく姿を現さなかった。基本的にヘタレなのである(なんか考え方がだんだん投げやりになっている)。

2. まこと、任務完了


あと、他にも細かい点を挙げていったら問題点がないわけでもないだろうが、以上でだいたいストーリーの考察は終わり。後はフィナーレだが、その前にとりあえず、うさぎと衛をくっつけなければいけない。お互いの気持のすれ違いはすでに解決しているが、成り行き上、まだケンカして絶交した状態のままなのだ。こういうときに一肌脱ぐのは、もちろんまことである。

まこと「で、結婚式はどうするわけ?」
うさぎ「…やる…」
まこと「ん?」
うさぎ「もう…やります!」

まことが「結婚式をどうするわけ」と言うところで、亜美が美奈子にちょっと近寄って、ワクワクしたような笑顔を交わすところがとてもいいですね。舞原監督も、テレビシリーズで亜美ちゃんと美奈子にあまり接点がなかったことを気にしていたのではないだろうか。それで、最後にこんなふうに二人を寄り添わせてみたのだ。
それはともかく、こういうときのキューピット役は、もちろんまことだ。Act.7では衛を乗せたボートをぐいぐい漕いで、Act.21でタキシード仮面をぶんなぐったまことが、ここでも力まかせに衛の腕を引っ張って背中をどやしつける。テレビシリーズ中から、二人の仲を取りもつべく奔走していたまことだが、その任務もようやく完了だ。ただ、まこと自身の恋の物語は終わっていない。この『Special Act』で、ある意味いちばん驚いたのは、エピローグにあたる部分で、木野まことと古幡元基の物語にきちんと結着をつけたことだった。最後の主役はまこちゃんである。結婚式のシーンで、他のメンバーが、もうセーラー戦士を完全に卒業したような衣装でいるなか、まことだけがジュピターのコスチュームを連想させる緑色のワンピースなのは、そういう意味なのだろう。
私はねえ、元基にプロポーズされたときのまことなんか観ていると、安座間さんのお芝居って上手いと思いますよ。ご本人としてはあくまでモデルが一番なのでしょうが、こんどのドラマ『サラリーマン金太郎』の仕事も頑張ってください。
と、結婚式のシーンの話に入ってしまったが、まあここから先は、あれこれレビューするような内容のものじゃない。DVDをお持ちの方は、うさぎと一緒に、あるいは田崎監督と一緒に、別れを惜しんで泣きながらご覧ください。
空にでっかい満月を浮かべた夜の小山ゆうえんちのショットに続いては、結婚行進曲。無事、式を終え、教会から出てきた二人。マリアチャペル柏玉姫殿、今は「マリベール柏」と呼ばれている。伝説の仮面ライダークウガ第2話で、燃えちゃった教会ですね。
楽屋落ちと経費削減を兼ねて、スタッフなどの関係者がチョイ役で出演することを、ドラマの業界用語で「ウチトラ」つまり「ウチワ(内輪)のエキストラ」と呼ぶそうだ。この結婚式のシーンなんか、まさにその実例だが、スタッフたちの祝福の気持が感じられて楽しい。ただ、この結婚式の参加メンバーが正確には何名で、どれだけのスタッフが映っているのかは、よく分からない。レギュラーの役者陣も含め、確認できる限り、このシーンに参加している人を、リストアップしておく。
上が教会の出口で、そこから出てきた衛とうさぎが一礼して、真ん中の階段を下りる。そのときに両脇にいた人々の配置である。見落としなどありましたらぜひご指摘ください。

              教  会
  教会の女性                   教会の女性
 (  ?  )                 (  ?  )

女の人(  ?  )      ↓       男の人(  ?  )
女の人(  ?  )      ↓       男の人(  ?  )
亜 美( 梨 華 ) <新 郎> <新 婦>  桃 子(清浦 夏実)
まこと(安座間美優) 地場  衛 月野うさぎ  な る(河辺千恵子)
元 基(黄川田将也) (渋江譲二)(沢井美優) 香奈美(平井 愛子)
レ イ(北川 景子)     ル ナ      進 悟(武子 直輝)
美奈子(小松 彩夏)   (小池 里奈)    マ マ(森若 香織)
女の人(小林 靖子)      ↓       パ パ(田崎 竜太)
男の人(鈴村 展弘)      ↓
男の人(  ?  )
男の人(  ?  )              (この辺が分からん)
男の人(  ?  )  
女の人(  ?  )

高丸監督は、この直後、みんながわらわらと二人の前に寄ってきて祝福の言葉を述べる場面には出てくる。そして、まことへのプロポーズに成功したハッピー古幡をどやしたりしているのだが、なぜかこの、うさぎと衛が教会の階段を下りていく時の列の中には見つけることができなかった。佐藤健光監督はいないようだが、これは、華燭の典にヘリコプターの音を流されちゃたまらん、という舞原監督の気遣いで、そもそもロケに呼ばれなかったのではないかと思う。
亜美の隣りにいる数名の女性たちの顔は、この後、うさぎがブーケを投げて古幡がそれをつかむ、というシークエンスで、わりとはっきり確認できる。たぶんセーラー戦士アクションのスタントを担当した方々ではないか、と思うのだが、たとえばG-Rockets公式ページのメンバープロフィール(ここ)を見ても、「この人」というふうにはっきりとは分かりませんでした。すみません。
いずれにしても、参列者は家族を入れてざっと25〜26人、四天王も数に加えてようやく30名、という、こじんまりとした集まりである。うさぎちゃんは、明るくて魅力的で、誰とでも仲良くなれてしまう子なのに、ちょっと少なめだね。たぶん招待状をあまり出さなかったのだろう。なぜか。

(理由その1)陽菜との一件もあって、数少ない衛サイドの人間が一人も参加しなかった。
(理由その2)衛が「あまり大がかりにしないで、おれたちで責任もって出来る範囲でやろう」と言った。
(理由その3)国際的アイドルの美奈子が来るので、あまり多くの人を呼ぶとパニックになると思った。
(理由その4)二人は式が済んだらすぐにバイクでハネムーンである。披露宴がないので、式への出席者も少ない。

どれかひとつ、ではなく、これ全部が理由なのだと思う。
特に(理由その1)はひどいね。私だって、自分の娘の式がこんなだったら、田崎監督みたいに号泣するだろう。なにしろ、新郎の関係者が、頼りなさそうな友人一人(古幡元基)と、遠巻きに見守る怪しいコスプレの人たち(四天王)だけなのだ。こいつ一体、どこの馬の骨か。
あと、来ていても良さそうなのに、その場にいない人と言えば、桜田先生とひかりちゃん。桜田先生はまあいい。ひょっとして呼ばれたけど、教え子に先を越されたのがシャクで来なかったとか。問題はバレンタイン騒動の時(Act.19、Act.20)の野崎ひかりちゃんだ。おませなひかりちゃんなら、この場に出席していておかしくないはずである。それがいない。恐らくひかりちゃんと大地君は破局したのだ。だから、過去の恋を思い出させる衛とうさぎの結婚式には、出席したくなかったのである。ひかりちゃんの幸せを祈りたい。当時、達者な子役として重宝されていた望月瑛蘭さんも、気がつけばまったく見かけないですね。

3. スズヤン、だめですか?


うさぎがブーケを投げるシーンだけど、美奈子とレイは、シックと言えばシックだけど地味と言えば地味な衣装で、けっこうブーケを気にしてちょっと小競り合いなんかもしている。対照的に亜美とまことは、相変わらずおっとりした感じでほほえみを交わしてる。着ているものも、美奈子やレイより華やかで、まことは戦士の色だし、亜美なんか可愛すぎて「あれから4年」にはとうてい見えない。舞原監督の趣味が全開ですね。
趣味が全開と言えば、その次のシーン。まことが恥じらいながらプロポーズを受けて、みんなが新しい祝福の拍手を送る。それを嬉しそうに見ていたウエディングドレス姿のうさぎは、ふと感傷にひたってしまう。「みんな昔と一緒だけど、でも、みんな昔と違ってる。私も…」

うさぎの回想
01. 初めて亜美に話しかけるうさぎ(Act.2:田崎監督)
02. 神社で同級生に突き飛ばされるレイ(Act.3:高丸監督)
03. 木を見上げるまこと(Act.6:舞原監督)
04. 橋を歩く下校中のうさぎとまこと(Act.6:舞原監督)
05. 観覧車前で待ち合わせ(Act.12:高丸監督)
06.「うさぎ おはよう!」(Act.5:舞原監督)
07. 「行くよ〜」「行け〜」(Act.8:田崎監督)
08. 雨に打たれるまこと(Act.6:舞原監督)
09. 自分の頬をつたう涙に驚く美奈子(Act.40:舞原監督)
10. 噴水の前にならぶ戦士たち(Act.6:舞原監督)
11.「亜美ちゃん、お帰り」(Act.28:舞原監督)
12. 並んで歩き出す五人。最後のシーン(Final Act:舞原監督)

03と04は、同一エピソード内の、ほとんどつながっているシーンなので迷ったけど、いちおう間のカットが抜かれているので、別扱いにした。そうすると、ここでのうさぎの回想、もしくは「名場面集」は12のカットからなるわけだが、田崎監督と高丸監督が担当したエピソードから、それぞれ2回ずつ引用している以外、残る8つのカットはどれも、舞原監督自身が担当された回である。しかもその半分にあたる4カットがAct.6、まこと初登場の回から取られている。これは舞原監督の、木野まこともしくは安座間美優への愛着が、実証的に確認できるデータではないかと思う。
ついでだ。ご存じのように舞原監督は、Final Actの最後にも「名場面集」を入れている。これについての考察も、確かM14さんがやっていたはずだが、今回ちょっと検索してみたけれど見つからなかったので、ビデオを見ながら使用シーンを確認してみた。

Final Act エンドクレジット名場面集
01. 空からルナが降ってきた(Act.1:田崎監督)
02. 衛とのファースト・コンタクト(Act.1:田崎監督)
03. 熊の着ぐるみでタキシード仮面とぶつかる(Act.4:高丸監督)
04. 塾へ行く途中で衛とぶつかる(Act.2:田崎監督)
05. ハープを弾くPムーン(Act.37:高丸監督)
06. 「うさぎ おはよう!」(Act.5:舞原監督)
07. うさぎのフリをした亜美(Act.37:高丸監督)
08. 「みんな、ありがとう、ただいま」(Act.28:舞原監督)
09. 「うさぎちゃんを、帰して」(Act.14:舞原監督)
10. ワゴンから顔を出すレイ(Act.8:田崎監督)
11. 「行くよ〜」「行け〜」(Act.8:田崎監督)
12. 戦士の力に目覚めたマーズ(Act.23:佐藤監督)
13. カメの着ぐるみのまこと(Act.41:佐藤監督)
14. 雨に打たれるまこと(Act.6:舞原監督)
15. 戦士の力に目覚めたジュピター(Act.31:高丸監督)
16. 観覧車でショートケーキ(Act.12:高丸監督)
17. アルテミスに迫る美奈子(Act.39:舞原監督)
18. セーラーV登場(Act.12:高丸監督)
19. 戦士の力に目覚めたヴィーナス(Act.46:高丸監督)
20. 五人戦士勢揃い(?:佐藤監督)

最後は、体育館らしいところに五人が揃っているからAct.18なんだろうけど、ヴィーナスを中心に並んでいる本編とは違って、セーラームーンが中心になっている。Act.18の未公開テイクと見なして、佐藤監督の担当としておく。そうするとこれら20シーンの内訳はこうなる。

田崎監督担当エピソード:5回
高丸監督担当エピソード:7回
佐藤監督担当エピソード:3回
舞原監督担当エピソード:5回

まあまあ均等と言えるだろう。鈴村監督の演出回が1回も入っていないことを除けば。つまり「Final Act」ラストの名場面集でも、この「Special Act」のうさぎの回想シーンでも、舞原監督は、鈴村監督の担当したエピソードをまったく取りあげない。故意ではないだろう。舞原賢三が名場面集を選ぼうとすると、どうしても自然に、鈴村監督が担当した回は落ちてしまうのだ。なぜでしょうね。
もうひとつ、この「Final Act」と「Special Act」の「名場面集」には、顕著な特徴が見られる。両者のどちらでも採用されているのは、以下の4つのシーンだ。

Act.5「うさぎ おはよう!」
Act.6 雨に打たれるまこと
Act.8 「行くよ〜」「行け〜」
Act.28「亜美ちゃん、お帰り」「みんな、ありがとう、ただいま」

Act.8の 「行くよ〜」「行け〜」(田崎監督)以外はどれも舞原監督が担当した回だが、それはいい。客観的に言って、名場面集を作ろうとおもったら、Act.5とAct.8とAct.28のこのシーンは、どれも外せない。しかしAct.6はどうか。確かにまことの初登場回ではあるが、安座間美優の魅力はまだ「つぼみ」の状態で、これを選ぶかどうかは議論の別れるところであろう。にも関わらず、舞原監督は選んじゃうんですよね。やはりこの人は、ある意味で浜千咲以上に安座間美優を気に入っていたのではなかろうか。そういうふうに考えると、メインのストーリーよりも、このラストの、まことがプロポーズされる場面の演出の方に力が入っているように見える理由も分かってくるのである。

4. 大団円


また脱線した。あと少しなのに。

「みんな昔と一緒だけど、でも、みんな昔と違ってる。私も…」

だんだん疎遠になって、みんなで会う機会もほとんどなくなって、気がつけば、もうみんなも私もあの頃と一緒じゃない。少女の時は短い。もう終わってしまったんだ。
そんな感傷に涙ぐんでいるうさぎだけれども、ふと、自分を抱き寄せる温かい手を感じて、衛と笑顔を交わす。こういうお芝居は、やはり沢井美優さんだ。素晴らしいですね。
というわけで、さあ、フィナーレです。うさぎがウエディングドレスのオーバースカートをはぎ取ると、じゃーん、下はミニスカートである。そのまま衛のバイクの後ろにまたがり、ハネムーンに出発だ。
この『Special Act』レビューの最初のころ、衛とうさぎのヘルメットについて考察したことがあったが、ここは二人の(特にうさぎの)幸せそうな表情をアップで画面に映さなければならないから、もちろん顔の見えるキャップ型である。Act.13やAct.43と同じ、衛が銀のキャップにゴーグルで、うさぎが赤のキャップ。
バイクで行くということは、おそらく国内旅行であろう。現在、国内の新婚旅行スポットとして人気があるのは北海道と沖縄で、九州がそれに続くそうだが、どんなもんですかね。流氷を見て温泉に入るとか、阿蘇山を見て温泉に入るとか。
そんなことはどうでもいいや。最後のセリフ。

「みんな、ありがとう、行ってきまーす」

『キラリ☆セーラードリーム』のイントロと共に走り出すバイク。カメラは、笑顔で手を振る美奈子・レイ・亜美・ルナ・まことをパンする。よく見ると背景はオープンスペースのパーティー会場のようにも見える。私はずっと、二人は結婚式の後すぐにハネムーンに出た、と思っていたのだけれど、設定的にはいちおう祝賀パーティーをやった後なのかな。ていうことは、なるとカナミとモモコが「てんとう虫のサンバ」をコーラスし、美奈子が「Happy time Happy life」を披露し、マーズれい子が長渕剛の「乾杯」を絶唱したのか。
そんなこともどうでもいいや。戦士たちの祝福を背に旅だった二人であるが、ここでカーテンコール。もう一度、共に悩み戦った、かけがえのない五人の仲間のイメージが、疾走する二人のバイクの傍らに浮かんで消えていく。タクシーから無邪気に手を振る、やたらと可愛い亜美、ブーケを手に古幡と二人で歩くまこと、一人で歩むレイ、そして運転手つき車の後部座席からVサインを送る美奈子。亜美・まこと・レイ・美奈子。なんかこの順番も独特で、舞原監督の趣味ではないかという気もする。ともかく、彼女たちひとりひとりに、改めて笑顔で別れを告げたうさぎは、衛の身体に回した手をぎゅっと抱きしめる。バイクは未来に向かってどこまでも走っていく。終幕。
エンドクレジット。さっき挙げたヘルメット談義と同じ回(ここ)で、私はオープニングの配役クレジットがこうなっていることを指摘した。

月野うさぎ    沢井 美優
水野亜美      梨 華
火野レイ     北川 景子
木野まこと   安座間 美優
愛野美奈子    小松 彩夏  

私は、ここに変身後の名前が表記されていないのは、この『Special Act』があくまでも「うさぎと亜美とレイとまことと美奈子のお話」であって「戦士の物語」ではないことを示唆しているのだろう、と書いた。こっちよ!さんからは、レイは変身しないし、だからといって、マーズの表記だけ抜くとネタバレになる、という大人の事情もあったのではないか、というご指摘をいただいた。でもこのエンドクレジットには、さすがにぜんぶ、戦士の名前が併記されている。レイは変身しないのに。
これは、(1)「最後の名場面集でちょっとだけマーズの姿が映っているから、ウソついてるわけじゃない」もしくは(2)「これは『Special Act』だけではなく、テレビシリーズ全体の総括的な意味合いで入れてみました」という感じかな。

月野うさぎ/セーラームーン      沢井 美優
水野亜美/セーラーマーキュリー     梨 華
火野レイ/セーラーマーズ       北川 景子
木野まこと/セーラージュピター   安座間 美優
愛野美奈子/セーラーヴィーナス    小松 彩夏  

そして、物語の中の彼女たちの「今」。アメリカの病院に戻って子供を診察している亜美。まだ学生なんだが。京都のお山で修行中のレイ。印を結んだりした後、ほっと一息つくときも、男っ気はない。修行中だから当然か。逆にまことは古幡の手を引っ張って町をデート。でも花屋さんを見かけるとつい気になって飛び込んでしまう。スタジオで歌っている美奈子。これは演技なのか、慣れてる職場でリラックスしている感じが良く出ていて、抜群に可愛い。そして、うさぎがこちらに駆けてきて手を振るイメージショットとともに、本当に本当の「Bye Bye」だ。
やれやれ、これでひとまず終わりだ。ここまでしつこくやってきた以上、スタッフ・キャストの細かいところとか、BGMについてもやらなきゃいけないような気もしてきたが、それは後で考えるとして、とりあえず『Special Act』本編のレビューはこれで終了です。やれやれ。
ほんとうに嬉しいのは、こうやって全編を観終わって現実世界の「あの戦いから4年後」に戻っても、ルナも含めて戦士たち全員が「あの人は今」になっていないことだ。正月にこの『Special Act』レビューを始めた頃には、一人それに近い人はいたが、ここしばらくの間に状況は急変し、先日はついに五人一緒の写真が公式公開された。私も、半年以上もだらだらレビューを続けた甲斐があったというものだ。
というわけで永らく続いた『Special Act』レビュー、終了のご挨拶です(講談社おともだちニューシールブック110『美少女戦士セーラームーン Special Act シールえほん』より)。

  「バイバ〜イ」
けっこうお茶目な三人組である。
やー終わった終わった。あ、でも別にこのブログが終了するわけではないので、勘違いしないでまた訪問してくださいね。