実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第855回】へば!の巻(泉里香『正直不動産』第3話)


 災害時の炊き出しなどを目的に開発された吉野家のキッチンカー「オレンジドリーム号」が、吉野家公式YouTubeチャンネルのメンバーとともに、新作CM撮影現場に登場。吉野家のCMを作ってくださるスタッフやキャストに牛丼の差し入れをしようという趣向である(「吉野家YouTu部」2022年4月8日)。



 ご存知のとおり、この春の吉野家CMの顔は藤田ニコル。にこるんに牛丼を提供したいと、吉野家YouTube班も心待ちにしているわけだが、そこへ別の意味での大物登場。



 常務取締役、伊東正明。彼こそレジェンド、ご飯の代わりに野菜サラダに牛肉をトッピングしたヘルシーメニュー「ライザップ牛サラダ」や「牛丼小盛り」を考案して女性客の大々的取り込みに成功、劇的な黒字転換を成し遂げたあの人である。すでに解雇されちゃったが。



 CM撮影スタッフに注文の聞き込みを始める常務。やばい、これでは、にこるんもシャブ漬けに。と思っている間もなく本人がやって来た。



 このあと、吉野家YouTu部の女性たちと藤田ニコルの「どうやったら若い女の子に、もっと吉野家に来てもらえるか」というトークに続く。




 こういう流れを見ると、おそらく今回の藤田ニコルのCM起用も、伊東常務のアイディアなのではないだろうか。にこるん起用で田舎の生娘を取り込んでシャブ漬けに。



 私は、これを機に批判が殺到して、伊東常務考案の「ライザップ牛サラダ」も吉野家のメニューから消えるとばかり予想していたが、どうもそうはならないようで、普通に販売している。藤田ニコルもCMを降りて、イメージダウンに対する賠償金を求めて吉野家を提訴するかと思ったが、CMも普通に放送している。てことは、本人がクビになっても伊東氏の生娘シャブ漬け作戦は着々と進行中である。まことに世の中の流れは見極め難い。



 いや話題を変えよう。『家政夫のミタゾノ』といえば、当ブログでは長くヒイキにしているドラマのひとつである。久しぶりに、沢井美優がゲスト出演した第1シーズン第6話のレビューを読んでみたが(ここ)、「いきなり第6話から見たので、基本設定が分からない」と書いている自分に笑った。



 あれから6年たっていよいよシーズン5だが、いまだにミタゾノさん(松岡昌宏)がどういう経歴の人なのか、なぜ女装しているのか、なぜ家政夫なのか、基本的な設定は相変わらず分からないままである。



 第3シーズンから見習い家政夫としてミタゾノさんに同行するヒカル(伊野尾慧)は健在、そして今シーズンの新人家政婦は山本舞香。やったね。



 「ミタゾノの呪い」については本ブログでも注目してきた。第1シーズン(2016年)の清水冨美加(千眼法子)、第2シーズン(2018年)の剛力綾芽、第3シーズン(2019年)の川栄李奈と、『家政夫のミタゾノ』でレギュラーの新人家政婦を演じた女優の身辺には、なぜか直後に、出家だとか恋愛だとか妊娠だとかの異変が起こり、女優業のキャリアがおおきく停滞する。そのジンクスを打ち破ったのが第4シーズン(2020年)の飯豊まりえで、ついに「ミタゾノの呪い」をハネ返した顛末については、かつて述べた通りである(ここ)。ハネ返されたジンクスはミタゾノ役の松岡自身を襲い、TOKIOの長瀬智也がグループを脱退し、ジャニーズを退社した。



 そして今シーズンは山本舞香。山本舞香も強そう。付き合っていた人気俳優が轢き逃げ事故を起こしたり、真偽のほどは定かでないがその後、別れたとか言いながら実は続いていて、しかも別の男とも二股していたとか、さらに注目すべきはこのエピソードだ。



 28日に放送されたバラエティ番組『TOKIOカケル』にゲストとして出演した山本。特に注目を集めたのは、同番組のMCを務めるTOKIO・松岡昌宏が、「この仕事をしていなかったら何していると思う?」と質問したシーンだ。
 この問いに山本は、「仕事を辞めたいと思ったことがあって、その時はキャバ嬢になりたかった」と回答。番組ではその理由や、役者を続けることになった理由について、TOKIOが山本の本音を聞いていくという内容になっていた。(『エンタMEGA』2020年10月29日


 おそらく松岡昌宏はこのとき「この子ならミタゾノの呪いに打ち克ってくれるだろう」と見込みをつけたのではないか。炯眼である。こういう言い方もなんだが、山本舞香なら、もうすでに事故物件みたいなものである。それでいてしっかり人気をキープしている優良物件でもある。



 と、話を無理やり不動産方面へ繋いだところで、ようやく本題だ。時間もないのに遠回りして、済まない。ドラマ10『正直不動産』第3話「信じられるパートナーとは」(2022年4月19日放送/原案:夏原武/原作:水野光博・大谷アキラ/脚本:根本ノンジ/照明:長谷川誠/撮影:金澤賢昌/プロデューサー:宇佐川隆史・清水すみれ/監督:金澤友也/制作:NHK・テレパック)。



 登坂不動産。壊した石碑の祟りで嘘のつけない正直者になって、営業成績は5位まで転落した永瀬財地(山下智久)。そして最下位の新人、月下咲良(福原遥)。



咲 良「永瀬先輩!」



咲 良「光友銀行の榎本美波さんと付き合ってるんですか?」
永 瀬「はあ?」
咲 良「だって昨日……」


╳    ╳    ╳



美 波「あ!」



永 瀬「大丈夫ですか?」



美 波「大丈夫です」


╳    ╳    ╳



咲 良「いい感じだったんで」



永 瀬「ぶつかりそうになっただけ」



咲 良「でも、そのまま仲よく出て行ったじゃないですか」



永 瀬「彼女、最近うちの担当になったからいろいろ説明してあげてたの」



永 瀬「そもそも俺、彼女とか作らないし」



咲 良「そうなんですか……でも永瀬先輩、めっちゃモテそうなのに」



永 瀬「いや、そんな全然もうモテ……」



(正直の風が吹く)



永 瀬「…… モテてしょうがねえわ。誰に向かって言ってんだ、おい!」



咲 良「す、すいません。 ごめんなさい……えっ、じゃあ結婚とかは?」



永 瀬「ありえない。24時間365日赤の他人と一緒に過ごすなんて、ただの罰ゲームでしょ」



咲 良「そういうもんですかね?」



永 瀬「そんなくだらないことより、月下、今月も最下位だぞ」



永 瀬「もっと頑張って。指導係の俺が怒られるんだから」



咲 良「私だって頑張ってるじゃないですか!」



沙友理「永瀬さん。以前マンションを購入された室田さんご夫妻がお見えです」



永 瀬「室田さん?」
沙友理「はい」


 受付嬢の大野沙友理(牧野莉佳)に呼び出されて室田夫妻(小林涼子・松角洋平)のもとへ。



 3年前は熱愛新婚カップルだったが、今は視線も合わさない冷めきった関係。



 子供もいない様子で、そのへんの協議も必要なく、すんなり離婚するみたいだ。だが問題は愛の巣だったマンションの処分。二人は永瀬の勧めで、1億2千万円の高級マンション「マリアージュ杉並」をペアローンを組んで購入した。



 ペアローンとは、一つの物件に同居人がそれぞれの名義でローンを組み、互いが互いの保証人になる方法なんですと。こうすると借入可能額が大きくなって、高い物件にも手を出しやすくなる。
 しかし離婚するいま、妻は出て行くが夫はこの家に残るという。となると、まだ4千万円以上近く残っている妻の返済額を、保証人の夫が肩代わりして即刻支払わなければならない。



 そんなの無理だからローンを組み直してくれという夫の頼みを受けて、永瀬は取引先の光友銀行に向かい、融資課の榎本美波(泉里香)と交渉するが、撃沈。



美 波「無理です」



永 瀬「そこを何とかお願いします」



美 波「ご主人の室田晃汰さん、高級車に高額な貴金属をローンで購入しているんですよ。これじゃ審査は通らないと思います」



永 瀬「そうですか……」



美 波「そもそも共有名義は、離婚の際多くの夫婦がもめます。ペアローンも、離婚しなくてもどちらかの収入が減った場合のリスクも大きい」



美 波「何でリスクをしっかり説明しなかったんですか?」



永 瀬「いやまあ、まあねえ」



美 波「とにかく、当行ではお貸しできませんので」



亜 衣「美波さん、永瀬さんに容赦なさすぎ」



美 波「知り合いの顧客だからって融資甘くするわけないし」
亜 衣「知り合いって……狙ってるんじゃなかったんですか」
美 波「いま様子見ちゅう」



亜 衣「私なら考えられないな。不動産屋さん、収入の浮き沈み激しいし。それこそ美波さんなら、銀行員とか商社マンとか、もっと条件いい人、選べるのに」



美 波「言ったでしょ、結婚なんて形だけ」


 新たなローンが無理と分かった夫は、だったらできるだけ高額で売ってくれ、さっさと買手を見つけて、ペアローンを勧めた責任をとれ、と永瀬に迫る。高級マンションだけに短期決着は難題だが、うまく行けば一気に営業成績アップのチャンスだ。



 努力の甲斐あって、なんとか物件に興味をもつ新婚の根尾夫妻(西原亜希・前原洸)が現われる。だが、この夫婦、絵に描いたような格差婚。IT企業に勤める妻が、フツーの会社員の夫より年齢も収入も社会的ステータスも上で、内見のときも妻が一方的に意見を言い、夫は唯々諾々と従っている。それでペアローンを組んで、この高級物件を買おうとしている。こういう夫婦は正直危ない。前の購入者の二の舞いにならないだろうか。



 嘘のつけない永瀬は、離婚の可能性も視野に入れた方が良いと正直に助言して、夫婦の(特に奥さんの)逆鱗を買い、撃沈。



 で、行きつけの居酒屋「しょうじきもん」で一人酒。凹んでいる様子に店の大将、若松(湯江タケユキ)と直子(伊藤麻実子)夫婦も心配そう。




 一方、光友銀行八起支店では、仕事をあがった美波のもとに、秋田の祖母、早苗(三谷侑未)から電話が来て、いろいろ思うところあり、今夜はいつもの同僚、松田亜衣(五島百花)を連れずに一人酒。



男子行員「お疲れさまです」
男子行員「お疲れさまでした」



(携帯の震動音)



美 波「ばっちゃ、なした?」



早 苗「なんぼもこうも、このあいだ話したお見合いの件、どした?」



美 波「父っちゃにも母っちゃにも断るって言ったよ」



早 苗「聞いだども。もう心さ決めた人いらんの?」



美 波「いや…… まあ……」



早 苗「ばっちゃは死ぬまでに美波の花嫁姿、見てなぁ」



美 波「分がってる。 へばね」



美 波「はぁ……」


╳    ╳    ╳



永 瀬「はぁ……」



若 松「またため息。相談乗ってやろうかな」
直 子「そっとしときな」



「室田です。マリアージュ杉並、売れた?売れないなら、ほか当たります。ミネルヴァ不動産ってところがいいらしいんで」



永 瀬(まずい。他社に横取りされる)



永 瀬(でも唯一、買う可能性ありそうなの、あの格差婚の新婚カップルだけだけど、説明すら聞いてくれないからなあ)



美 波「はぁ……」



永 瀬「榎本さん?」



美 波「永瀬さん」



美 波「今日はお一人ですか?」
永 瀬「ええ。 そちらも?」
永 瀬「はい」



美 波「日本酒、お飲みになるんですね」
永 瀬「はい。 一人の時は時々。この『秋田雪』が特に好きで」



美 波「えっ? 私もです」
永 瀬「うまいっすよね」



美 波(秋田雪は秋田の銘酒。好みが一緒だ!)



美 波(顔は悪くないし、定職についてるし、体も丈夫そう。何より誠実そうで嘘もつかない)



美 波(ばっちゃを安心させるためならこの人で十分。いや むしろ全然アリ)



永 瀬「そうだ。榎本さん、ひとつ聞いてもいいですか?」



美 波「は……はいっ!」



永 瀬「たとえば、僕と榎本さんが結婚したとして」



美 波「えっ?」



美 波(待って待って! 何これ? いきなり結婚話?)」



永 瀬「『共有名義でマンションを購入しよう』って言ったら、どうします?」



美 波(新居の話まで? すごい積極的)



永 瀬「もちろん榎本さんには、結婚後も銀行のお仕事を続けてもらって」



美 波(いいじゃんいいじゃん。まさに理想的!)



永 瀬「ペアローン組もうって言ったら」



美 波(キャ~ッ!)



永 瀬「どう思います?」



美 波「あっ、そうですね」



美 波「この前はリスクのことばかり言いましたが、ペアローンなら 夫だけでなく、二人でローンを背負うことになりますが、それぞれの稼ぎを共有財産にしていくという視点からも、私は全然ありだと思います」
永 瀬「ですよね。ちゃんとリスクを知った上でなら、悪い手法じゃないですもんね」
美 波「でも、ごめんなさい。いきなり新居の話をされても……」



美 波「まだ実際に、結婚もしてないわけですから」



永 瀬「実際に?」



美 波(うん、これでいい。 いきなりホイホイ乗ったら軽い女だと思われる)



美 波「そうですよ。まだ実際におつきあいもしてないですし」



永 瀬(実際に……?)



美 波「お互いの気持ちだって、まだ……」
永 瀬(実際に……?)



美 波「なので まずはちゃんとお互いの気持ちを」



永 瀬(そうか!)



永 瀬「いや参考になりました。ありがとうございます。今日、僕ごちそうしますんで」



永 瀬「大将、ちょっとツケで。すいません、どうも。失礼します」
若 松「ツケ? ツケって、ちょっと……」



 後半、心の声がほとんど『高嶺のハナさん』であるが、ともかく、美波の言葉にヒントを得た永瀬は、根尾夫妻に頼み込んで、物件の内見に来てもらう。



 そして具体的な物件の紹介を、前の住居者であるえり香夫人(小林涼子)にお願いした。「実際に」ここに住んでいた室田夫人の説明は、新婚夫婦にとって要を得たものであった。さらに経験談も。



えり香「経験者から言わせてもらうと、新婚の夫婦こそ、共有名義のリスクについて知っておくべきだと思うんです」



えり香「もしもの時、どう対処するかまで話し合っておいた方がいいと思うんです。私たちにはそれが足りなかった。だから離婚したんです」



えり香「ただ。このマンションは私たちの離婚とは関係ありません。駅から近いし、スーパーに行くのも便利。日当たりもいいし近所に公園もあって静か。すごく住みやすかった」


 それでも主導権をにぎる根尾さんの奥さんは「離婚した夫婦が住んでいた物件なんて縁起が悪すぎる」と曲げず、話はここで終わりそうになる。しかし正直者の永瀬が、遠慮なく「新婚だとか、収入の格差があるだとか、年上だとか 年下だとか、そんなことで言いたいことを我慢してはいけません。夫婦は対等なんです」と訴えると、これまで妻の意見に沈黙を続けてきた夫が、意を決して「僕はここを買いたい」と主張。



 こうして美波の言葉がヒントになって高級マンションの売り上げ成功。お礼に美波を招待する永瀬。店はいつもの「しょうじきもん」だけど。




永 瀬「では、乾杯しましょう」



美 波「何に乾杯するんですか?」



永 瀬「もちろん 榎本さんに」



美 波(やっぱ お洒落してきてよかった!)



美 波(これ絶対プロポーズされるやつ)



美 波「それで永瀬さん、話っていうのは?」



永 瀬「実は今回、榎本さんのおかげでマンションが売れたんです。そのお礼をしたくて」



美 波「えっ?」



永 瀬「いや~。しかし今回つくづくね、痛感しましたよ。うん。結婚っていうのは 人生の墓場だな、って」



永 瀬「昔ね、僕のばあちゃんが言ってたんですよ。」



永 瀬「『この人となら一緒に暮らせるって思ったからって結婚してはいけない。この人と一緒じゃなきゃ生きられないって思った人と結婚しなさい』って」



永 瀬「まだね、そんな人に会ったことないんでね。だから結婚はね、当分先かなと」



永 瀬「あっ、このジョーク知ってます?『人生最良の日は結婚式の日だった。では最悪の日は?』」



美 波「いつですか?」



永 瀬「『それ以降の毎日だ』(笑)い〜や上手いこと言うわ」



美 波「……わたし目が覚めました」



美 波「永瀬さんみたいなデリカシーのない人」



美 波「大っキライです!」



美 波「へば!」




永 瀬「……へば?」


 こういう永瀬のお話と並行して、この第3話では、営業成績最低でクビ寸前の月下(福原遥)が起死回生の一発を放つエピソードが進む。そしてその絡みで後半には大物、大地真央が登場する。この人は登坂不動産の社長(草刈正雄)といい仲らしい。が詳細は不明。原作を読んでいないのです。



 したがって、いまのところまだ思わせぶりにちょいちょい出てくるだけのライバル会社、ミネルヴァ不動産の倉科カナも、どうなるのか分からない。



 月下(福原遥)が不動産屋を志した経緯を影でこっそり聞いていたクールな桐山(市原隼人)が、ラストシーンで月下のチラシ配りをサポートする姿も意味深。



 と、いろんなイベントの出し入れ具合が、なかなかいい流れですね。泉里香も、第1話では銀行内でのワンシーン、第2話では、居酒屋とラストの2シーン、第3話で冒頭と銀行と居酒屋とラスト(も居酒屋)と、ぐいぐい出番が増えていて頼もしいです。



 以上です。次回第4話ゲストは、霊とかタタリとかがある事故物件に住みたがるお客さん。つまり池田エライザだな。というのはもちろん嘘で、ゲストは風吹ジュンのようである。



へば!