実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第772回】地獄の披露宴の巻(沢井美優『正義の証明』)


 100年前に流行ったいわゆる「スペイン風邪」は若者と妊婦に猛威を振るったそうで、特に妊婦が感染した場合、死亡率は30%近かったという。こんなこと言ったら顰蹙を買うだろうけど、今回の新型コロナウィルスは、そういう意味では順当に高齢者から襲っている。若者や胎児や母親の命から先に奪われるって、ちょっとやりきれないよね。



 閑話休題。とうとう「コロナ・アイドルサミット」なんてイベントまで開かれることになった。記事を読む限り、言いだしっぺは吉田豪さんのようですね。音楽ナタリーより。



 7月29日(水)19:00からYouTubeで2部制のトークイベント「コロナ・アイドルサミット~With/Afterコロナのアイドルを考える~」が無料配信される。
 この配信では、アイドルに携わるキーパーソンが新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けるエンタテインメント / アイドル業界の今後のあり方についてトーク。第1部のテーマはアイドルシーンの中心に位置する「フェス」で、世界最大のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」の総合プロデューサー・菊竹龍氏、前総合プロデューサーの濱田俊也氏、インディペンデント系フェス「ギュウ農フェス」を主催するギュウゾウ、私立恵比寿中学やukkaのプロデューサーとしてフェスにアーティストを送り込む藤井ユーイチ氏が今後のアイドルフェスの展望を語る。
 第2部には第1部にも参加する藤井氏に加えて、活動を自粛せざるを得ない中で新体制を始動させたtipToe.のプロデューサー・本間翔太氏、コロナ禍によりアジアツアーが無期限延期となった煌めき☆アンフォレントのプロデューサー・へなぎ氏が出演し、アイドル運営・事務所の視点からみたコロナ禍でのアイドル活動と展望をトーク。第1部、第2部共にアイドルシーンを長らくウォッチする吉田豪が司会進行を務める。配信中はスーパーチャット機能による投げ銭が可能で、収益はコロナ禍でのアイドルグループの活動を支援するため各事務所に還元される。(「音楽ナタリー」2020年7月20日


 先日の『M14の追憶』で紹介されていたけど、今年のハロプロの「ハロコン」は、グループのオリジナル楽曲ではなく、他アーティストのカバー楽曲を、メンバーがそれぞれソロで歌うんだそうである。事前に歌唱曲を公開し、出演日ごとに3チームに分かれてシャッフル形式で1人1曲を歌唱する。ダンスパフォーマンスもなく、バラード曲を中心に、ただ楽曲を聴かせる、観客は座席に座ってそれを聴く、という趣向だ。



 藤井ユーイチ氏が手がける私立恵比寿中学も先日、昨年は開催しなかった「ちゅうおん」を1年ぶりに復活することを告知した。「秋空と松虫の音楽のつどい 題して『ちゅうおん』」は、近づく秋を感じながら、エビ中の歌声を純粋に楽しみましょう、というファンクラブ限定イベントで、お客さんは席を立たない、ペンライトを振らない、コールしない、というお約束になっている。メンバーは生演奏をバックに、いつもの曲を振付けなしで歌ったり、メンバーのソロコーナーでは宇多田ヒカルからドリカムからミスチルまで、各々が好きな歌をカバーする。会場は毎回、秩父ミューズパークで、けっこう遠いが、2017年も2018年も、約4,000人の観客を、密にならない屋外ステージに集めて成功しているので、そんなに問題なくやれるんじゃないだろうか。



 ともかく、モー娘やエビ中クラスの、つまり歌唱力もあり、アリーナを満杯にできる人気もあるアイドルグループは、まだこういうやり方もあるのだが、そこまでいかないマイナーなアイドルや、至近距離の接触、過激なモッシュやダイブを売りにしていた人たちはどうなるのか。


鶯籠の2ndワンマンライブ「修羅場」(2020年2月7日 恵比寿LIQUID ROOM)より
競泳水着で客席にダイブしたメンバーのPINOCOさん
(現在は全席着席など慎重な姿勢でライブ活動に取り組んでおられます)


 でもまあ、歌う側は案外、そういう環境にもすぐになれると思う。むしろ、バカ騒ぎせずにじっくり聴いてもらえて喜ぶかもしれない。問題は客席の方だな。コールもオタ芸も禁止、特典会もない、それでもみんな来るのか。私はそれでぜんぜんOKなんだけどな。いずれにせよ、ここへきてまた感染者がうなぎのぼりで、全国のライブハウスもますます厳しい状況ではあると思いますが、知恵を絞ってがんばろう。
 


 さて話題は変わって「ミタゾノの呪い」について。以前も取り上げたテレビ朝日の金曜ナイトドラマ『家政夫のミタゾノ』だが、第1シリーズ(2016年)でミタゾノ(松岡昌宏)の相棒を務めたヒロイン清水冨美加は、翌年「出家」して芸名を千眼美子と改めた。第2シリーズ(2018年)の剛力彩芽は、ドラマ放送中から、当時のZOZOTOWN社長との熱愛が発覚して、その後、仕事のペースがガクンと落ちた。第3シリーズ(2019年)の川栄李奈は、オンエア期間中に結婚と妊娠を発表して、一年ほど休養期間に入った。まあどれも不幸な話ではないのだけれど、とにかく、ミタゾノの相方に抜擢された若手女優には何かが起こる。



 そして今回、2020年の第4シリーズで登場したのは飯豊まりえ。でも何となく、飯豊まりえはジンクスを破れるんじゃないかって気がしたんだよね。そしたらやってくれました。今回、飯豊まりえは「ミタゾノの呪い」を跳ね返した。その直撃を受けたのはなんとミタゾノ自身であった。



 すみません、考えたら私は連休どころか土曜まで出勤しなくてはいけなくて、オチのないヨタ話をあれこれしているヒマはなかったんだ。で、本日のお題ですが「日曜プライム」で放送されたスペシャルドラマ『私刑人 〜正義の証明〜』です(テレビ朝日&ビデオフォーカス制作、2020年2月9日放送、原作:森村誠一/脚本:久松真一/照明:徳永恭弘/撮影:村瀬清/監督:竹園元)。



 森村誠一の証明シリーズなんだけど、原作のメインキャラクターである棟居刑事(『人間の証明』の映画版では松田優作が演じていた)はこのドラマには出てこない。だから、というわけではないが、放送時はうっかりスルーしていて、最近、有料配信でようやく観た。GYAOとかAmazonとかテレ朝動画とか、複数の配信サービスで、300円ぐらいで視聴できる。



 与党の幹事長を務める龍岡泰邦(竹中直人)の邸宅。ある朝、その庭で悲鳴が起こる。



 駆けつける松永(遠藤憲一)や江碕(北村有起哉)ら、SPたち。



 悲鳴の主は龍岡の一人娘、美香(沢井美優)だった。庭の番犬がぐったりしている。何者かに撃たれたようだ。



松 永「どうしました?」



美 香「あっちの方から……」





松 永「これ麻酔銃だ」




美 香「何が起こったの? 何が起こったのよ!」


 そして自宅のファックスが「警告 罪を認めただちに辞任しろ。さもなくば、次は実弾を撃ち込む。私刑人」という脅迫文を吐き出す。「私刑人」とは誰か。




 龍岡泰邦は黒い噂の絶えない大物代議士で、多くの人の怨みも買っているが、力業でねじ伏せて、次期総理大臣への道をまっしぐら。



 娘の美香を遊佐コーポレーションの御曹司、一彦(ワタナベケイスケ)と結婚させるのも、もちろん様々な事情こみの政略結婚で、野望実現ためのワンステップである。




 披露宴当日、司会者(富士村彩花)の案内とともに新郎新婦のご入場。



司 会「それでは、お二人のご準備が整ったようでございます。新郎新婦、ご入場です」





 主賓として祝辞を述べるのは内閣総理大臣の石渡(須永慶)。



 披露宴は滞りなく進み、こういう宴には付きものの、新郎新婦の生い立ちや馴れ初め、プロポーズの瞬間を本人たちが演じた再現映像(こんなのは実際には観たことないけどね)が会場のスクリーンに流れる。



司 会「それでは、新郎新婦のライフヒストリーをご覧いただきましょう」



司 会「新婦の美香さんは平成5年、群馬県にお生まれになりました」




司 会「小さいときの美香さんは大のお父さん子で、パパ、パパと離れたくなくて、お父さんを困らせていたそうですよ」





司 会「このころの一彦さん、宴会プリンスと呼ばれていたそうです」




美 香「一彦さん」



一 彦「美香さん、結婚してください」



美 香「はい」




会場内(野次と拍手)




 ところが、ここでとんでもない映像が紛れ込んでしまう。どこかのホテルで、美香がタトゥーだらけの外国人(ジェームス・JJ・デ・バラード)に抱かれているところを隠し撮りした映像である。




 沢井さん、こういうふしだらなお芝居は、テレビでは『天国の扉』以来だったかな。



美 香「早く……」



美 香「……ふふふ……」



会場内(どよめき)





美 香「ねえ……いいでしょ……」







龍 岡「おい! おい何だこれは!」





龍 岡「止めろ! 止めろ!」





美 香「……違うの……」



美 香「待って!」




司 会「みなさん、落ち着いてください」



司 会「ご着席お願いします。みなさん、落ち着いてください」


 もちろん速攻で破談。せっかく周到に準備した政略結婚をぶち壊されて怒り心頭の竹中直人。



 ただ「私刑人」は基本的に狙撃者で、今までこんな手口は使ったことがない。ひょっとすると、私刑人の名を騙った別人の可能性もある。ということで捜査範囲は美香に個人的な怨みをもつ人物を洗い出す作業まで広げられた。そしたら出る出る。美香は子どもの頃から、万引きはするわ、クラスメートに陰湿なイジメを行うわ、そのたびに父親がその悪事を無理やりもみ消していた、とんでもないアバズレであることが判明した。



 ただこのあたりの過去のエピソードは、沢井さんではなくて子役(丸本凛)が演じているのでここでは省略。ていうか沢井さん自体の出番は以上でおわりですので、レビューもここまでです(笑)。

 演出はテレ朝の竹園元。北川景子の『筆談ホステス』(2010年)『指定弁護士』(2018年)や小池里奈の『オバチャン保険調査員 赤宮楓のマル秘事件簿』(2017年)などで、このブログではおなじみの演出家である。沢井美優は、おそらく『おふくろ先生のゆうばり診療日誌』(2008年)以来ではなかろうか。
 テレ朝・東映の社会派刑事ドラマということで、『相棒』シリーズや北川景子の『指定弁護士』同様、そんなにすっきりさっぱりする娯楽作品ではない。ただなにしろ役者群が浅野和之、竹中直人、遠藤憲一、光石研なんてバイプレーヤーズでびしっと固めてあって、そこに(この人たちに較べれば)ひとまわり若手の北村有起哉がガチンコでぶつかっていくのだから、これはもう渋い。歌舞伎系の『半沢直樹』みたいなケレンもなくて、なかなか良いです。そういう世界にもきちんと収まる沢井美優の演技力は、たぶんこれからますます評価されていくことでしょう。ということで今回はこれまで。


 最後に、本編ともセーラームーンともまったく関係ありませんが、連休中もステイホームのみなさんにおみやげ。10年前の映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』の電波人間タックルこと岬ユリコ(広瀬アリス)です。では。