実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第422回】マリバロンVSセーラールナ、そして王子の憂鬱の巻


速報ミュージカル 美少女戦士セーラームーン 上演決定!



 脚本・演出:平光琢也(ANZAムーン後期)
 音楽:佐橋俊彦(『電王』『メビウス』『キョウリュウジャー』etc.)
 日程:2013年9月13日(金)〜23日(月)全16公演 
 会場:AiiA Theater Tokyo(東京都渋谷区神南)
 チケット価格:6,800円 7月発売開始予定
 主催:ネルケプランニング・ドワンゴ・講談社・バンダイ
 キャスト

セーラームーン/月野うさぎ:大久保聡美(スターダスト芸能3部)


セーラーマーキュリー/水野亜美:松浦雅(JUNONガールズ初代女王)


セーラーマーズ/火野レイ:七木奏音(元・私立恵比寿中学/ニコラモデル)


セーラージュピター/木野まこと:高橋ユウ(『仮面ライダーキバ』麻生ゆり役)


セーラーヴィーナス/愛野美奈子:坂田しおり(元・アイドルカレッジ)


タキシード仮面/地場衛:大和悠河(元・宝塚宙組男役トップ)

1. 北川さんのおばあちゃまが見たい



映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』の死神博士(石橋蓮司)と蜂女(及川奈央)のツーショットが、子供に見せるのはどうかと思うくらいアダルトな味わいだった話は、以前しました。テレビの『ディケイド』には仮面ライダーBLACKもゲスト出演していたから、私は、劇場版ではぜひ敵の女幹部マリバロンにも復活して欲しかったんだが、それは無かった。



オリジナル版『仮面ライダーBLACK RX』(1988年)のマリバロン様(高畑淳子)。
高畑さんていえば、みなさんご存知かも知れないが、2011年9月8日の『笑っていいとも!』テレフォンショッキングで、こんな話をされていたそうですね。

タモリ「意外な方とご親戚だったって?」
高 畑「そうなんですよ。よく聞いてくださった!あのね、2日前ですか3日前ですか、香川県でイベントごとがあったんですよ。私、香川県出身なんです。高松の出身なんですけど、楽屋に品のいいご婦人がいらっしゃって『実は……』ってことになって、『あなたのお母さんと私はいとこ同士なんですよ』って。『ああ、そうですか』って」
タモリ「高畑さんのお母さんと、そのご婦人がいとこなんですか?」
高 畑「いとこなんです。言ってみれば、私のお爺ちゃんとその方のお爺ちゃんが兄弟……ですよね?」
タモリ「ふんふん」
高 畑「そんなことはよくあるんですけど、(その方が)『私の孫は北川景子なんです』って」
タモリ「え!?北川景子ちゃんと親戚なの?」
高 畑「私!」
タモリ「ぜんぜん知らなかったんですか?」
高 畑「ぜんぜん知りもしませんでした」


まあ親戚っていっても、つまり北川景子のひいお爺ちゃんと高畑さんのお爺ちゃんが兄弟だったという薄い関係である。cypさんが『Keiko缶』に家系図的なものを書いているので参照されよ(→ここ)。どっちかというと高畑さんがお会いした「品の良いご婦人」つまり北川さんのおばあちゃんというのがどういう方か、見てみたいなあという気にさせる話ですね。
話を戻すと、高畑淳子は『仮面ライダーBLACK RX』以外にも『巨獣特捜ジャスピオン』(1985年)のギルザとか、ほかにも東映特撮へのゲスト出演がこまごまとある。Wikipediaには次のように書かれている。

1980年代後半から1990年代前半にかけて、東映特撮作品に多数出演し、その美貌と優雅な身のこなしで存在感を示した。特に『仮面ライダーBLACK RX』の悪役・マリバロンは当たり役となり、後年のインタビューで「『RX』がきっかけでようやく女優として食べていける様になった」と語っている。


天下の高畑さんも北川さんも、有名になったからって東映特撮への出演歴を隠しだてしたりせず、むしろ恩義があることを公言しているわけですよ。このあたりに共通する義理堅さに、何か血のつながりみたいなもの(薄いけど)を感じなくもないですね。

2. 屋上の少女



一方(なにが一方だよ)女優デビューが実写版セーラームーンだった小池里奈。初登場シーンはAct.26の最後。現:泉里香が演ずるダーク・マーキュリーの前に立ちはだかる謎の幼女セーラー戦士。舞台はビルの屋上。


「マーキュリー、あなたはきっと戻って来る」



あれから十年、またしても(まあ東京と京都で、だいぶ雰囲気は違うけど)ビルの屋上に立つ小池里奈。なんか飛び降りそうな雰囲気の女子高生。そんなセーラールナのもとへマリバロンが駆けつけるという、特撮ファンにはしびれるようなシチュエーションから始まるドラマが放送されたよ。テレビ朝日制作の木曜ミステリー『刑事110キロ』第5話だ(脚本:尾西兼一、撮影:朝倉義人、監督:黒沢直樹、2013年5月23日放送)。



ドラマの主人公は京都府警捜査一課の刑事、花沢(ホンジャマカの石塚英彦)体重110キロ、相棒はイケメン刑事の木内(中村俊介)で、高畑淳子が演じているのは二人の上司にあたる捜査一課長の錦織玲子。その高畑淳子が朝、出勤途中に、今にもビルから飛び降りそうな少女、京聖学院高校生徒の三上晶(小池里奈)を見かけ、慌てて駆けつけたところからお話は始まる。



玲 子「何してるの!」



 晶 「見て分からなきゃ言っても分からない!」
玲 子「名前は?何があったの?なんでそんなことしてるの?」



玲 子「ねぇ、名前だけでも教えてくれないかな。何か言えることあった?……ねぇ、なんとか言ってくれないかな」
 晶 「なんとか」



玲 子「……我慢我慢……」



 晶 「ねえ。おばさんじゃないイケメンの警察呼んできて。そしたら話す」



花 沢「呼んだ?……もっとも僕はただのデブだけど、この人イケメンだから」
木 内「なんでこんなことするんだ?何があったか話してくれないかな、今そっちに行くから」



花 沢「あの子は飛び降りる気なんかないですよ
木 内「どうしてそんなことが分かる」
花 沢「あの目はなにかたくらんでいる目です。活き活きしてるでしょ。人生を悲嘆して飛び降りようなんていうのは、もっと目が死んでますよ」



 晶 「今から桂川の久世橋の下に行って。そこで何か起こるから。行ってくれたら降りてもいい」



花 沢「ほらね、だろうと思ったよ。おいふざけんなよ女子高生。飛び降りる気もないくせに、大人をからかいやがって」



 晶 「いま何て言った?飛び降りる気ないって言った?だったら今から飛んでやるから、よーく見とけよ。死んだら化けて出てやるからなデブ」



玲 子「やめなさい、やめなさい、よーく言って聞かせるから」



玲 子「あの子が何かたくらんでるくらい分かってる。ただし真剣なの。興奮させたら本気で飛び降りかねないくらい分からないのバカ!」



玲 子「今からね、この二人に久世橋に行ってもらうから、ね。そしたら、降りて来てくれるわね」

 晶 「その時しだい」



これ、けっこう得な設定であった。石塚の刑事110キロに見抜かれたとおり、小池里奈は死ぬ気なんかない。実は好きな男の子が不良とつるんで定期的に悪さをしていて、それを阻止したくていちど交番に通報したんだけど、結局、警察は一向に動いてくれなかった。思いあまって一芝居打ったという話である。ところが、この少年が不良の仲間入りをしたのは、母親が離婚その他のストレスから覚醒剤に手を出してしまったので、その薬を売っている不良グループと背後の暴力団を突き止める、という目的があったのである。
彼が何をしでかすのか、チーマーたちの溜まり場に向かった刑事110キロは、途中で初老の男が狙撃される現場に遭遇してしまう。長距離ライフルを使用した本格的な暗殺だが、これって覚醒剤の一件と関係があるの?……というふうに、一人の少女の狂言自殺騒動から次第に話がエスカレートして、主人公の刑事たちは東へ西へ、碁盤の目のような京都の町を奔走する。しかし最後にはすべて収まるところに収まって、少女が屋上から降りてきて、お終い、という話。いや、実際には取りこぼした伏線もあって「すべて収まるところに収まった」とは言い切れない幕切れだったけど、脚本の狙いはそういうところにあったと思う。
だから小池里奈は迫真の演技を見せる必要はない。自殺は狂言だし、しかもそれをハナから刑事たちに見抜かれてしまう。マジメで一途で、ワルぶって世間を相手に大芝居を演じる度胸もあるが、反面、大人を最後まで手玉にとるほど狡智にたけてもいなくて、却って思慮の浅さを見せてしまう。そういう感じの役なので、背伸びをする必要もなく、ちょっと小悪魔的だけどまだまま子供っぽい小池里奈という、まんまの役柄で、演じやすかったんじゃないかなぁ。なかなか良かったです。



演出のポイントはスカートひらひら。カメラは小池里奈を、だいたいアオリの角度で捉えて、ビルの屋上だから風も強くて、常にスカートがひらひら。あと途中、公園のブランコに乗ってお爺ちゃんと話をするシーンもキレイなんですが、ここもブランコでスカートひらひら。言っとくけど何も見えないよ。見えないけど、この「ひらひら」が小池里奈のコケットなわけですよ。


3. 不機嫌な王子、またも殴られる


 続いてはマスター・エンディミオンこと渋江譲二くん、久々に古巣の東映特撮に登場の巻である。『獣電戦隊キョウリュウジャー』第15話 「はらだたしいぜッ!ドゴルドのやぼう」(脚本:三上陸、撮影:大沢信吾、監督:加藤弘之、2013年5月26日放送)。今回のシリーズ、三上陸がメインライターということになっているが、メインどころか今のところ第1話から第15話までぜんぶ一人で執筆している。スーパー戦隊ものの単独執筆本数でいうと、これまではダントツで小林靖子だったけど(『侍戦隊シンケンジャー』は全49話のうち42本、『特命戦隊ゴーバスターズ』全50話中36話)それを越えちゃうかも。そして監督は、セーラームーン的には「理科の加藤先生」こと加藤弘之。セーラームーンではチーフ助監督だった彼も、いまやスーパー戦隊のローテーションに欠かせないレギュラーメンバーだ。撮影は第1話から第6話までが松村文雄で、第7話からこの第15話までは大沢信吾。前の『ゴーバスターズ』も、この二人プラスいのくままさおの重鎮トリオだったと思う。
さて今回、第15話はキョウリュウブルーこと有働ノブハル(金城大和)をメインにした回である。有働ノブハルはスーパー戦隊史上初めての妻子もちの戦士……というのはウソで、妻ではなく妹、娘ではなく姪っ子との3人暮らしです。亭主と死別してしまった妹が、ダンナの稼業を継ぎながら娘を女手ひとつで育てるのを見て、一流商社を辞めて妹の店「なんでもや まるふく」を手伝い始めた、という設定。ちなみに妹役は木下あゆ美。



どうして木下あゆ美かというと、パイロット版の監督が、木下あゆ美のことが大好きな『トラベラーズ次元警察 』の坂本浩一監督だったから、だと思う。



その木下あゆ美の妹と有働ノブハルの兄が、「未来工学研究所」を訪問するところから話は始まる。「なんでもや」に資料室整理の仕事の依頼があったのだ。
研究所の中に入ると、一人の白衣の男が、その辺の段ボールを蹴っ飛ばしながらプンプン丸でやってくる。これが、天才ロボット工学者の中里博史(渋江譲二)なんだけど、自分のロボット開発研究の価値を上層部が理解せず、経費をしぶっているのが気に食わないらしい。



中 里「電源装置が手に入らないだと?あんな、たった八千万円の機械を買えないっていうのか!オレの価値が分かってない。バカばっかりだこの研究所は」



ノブハル「すいませーん、あの資料室はどちら……ああっ!」
中 里「おい!有働!」
ノブハル「やっぱり中里かぁ。ここの名前聞いて会える気がしたよ。ひさしぶりだなぁ」



ノブハル「優子、こいつは中里博史、高校時代の親友だ。世界一のロボット博士になるって僕が信じている男さ」



中 里「あいかわらず人がいいなお前って奴は。……『なんでもや』?」
ノブハル「ああ、今は『なんでもや』の仕事に専念している」
中 里「世界を駆ける商社マンだったのに、落ちたもんだな」



優 子「ちょっと、それどういう意味?」
中 里「どいつもこいつも簡単に夢を捨てる。情けない」


渋江くんと木下さんはこれが初共演だろうか。ともかく、初対面の女をムカつかせるテクニックは相変わらずの譲二。



美人を怒らせるのが上手で、いったい何の役に立つのかは知らないが、でも確かに木下あゆ美さんて、ちょっと怒らせてみたくなるタイプではあるよね。違いますか?
渋江君が開発しているのは、一見したところ、中に人の入ったアシモみたいな(おいおい)ロボット。G-BO(ジーボ)と言うらしい。なんだかんだ言われても人の良いノブハルは、仕事の合間に中里の研究室を訪ねて、そのロボットを見学する。



ノブハル「さすが中里、すごいロボットだよ」



中 里「高速運動を可能にする駆動機関のプログラムを備えている。両方おれの発明だ。それが頭の悪い上司どもには分からないんだよ!最終インストールに必要な電源供給すら許可しない。それが完了すれば、人間を越えた超人的な力が発揮できるはずなんだ……なのに……」


文系の私にはちょっと意味が分からないが、つまりハードウェア(ロボット本体)は完成していて、後はプログラムをインストールして起動するだけなんだけど、初期化というか立ち上げにものすごい電力が必要で、その使用許可が下りないってことか?ここまで出来ちゃったものを、上層部はこの段階で開発を中断させようってことなのだろうか。かかった経費のことを考えると、確かに渋江譲二でなくても、その判断はどうかと思うぞ。


ノブハル「焦んなよ。スムーズに行かないのはそれが今までにない凄いことだっていう証拠だろ」
中 里「分かったようなことを言うな。おまえも脱落者のくせに。努力して一流商社に入ったと聞いたのに、町の『なんでもや』なんかに成り下がりやがって」



ノブハル「おいおい、ひどいぞ中里その言い方」



中 里「うるさい!結局オレに理解者なんかいない。まわりはクズばかりだ!だからすべてがうまく行かないんだ」



ノブハル(この怒り方、普通じゃない!……怒りに反応している)




周囲の無理解に苛立つあまり、魔界に入りかけているジョージ。でも最後にダーク化するのは、エンディミオンの運命みたいなものなので致し方ない。敵のデーボス軍の幹部ドゴルドが、そういう譲二の心の負のエネルギーを増幅して悪の陣営に取り込み、ロボット開発の完成をうながす。その目的は、エネルギー負けしてすぐに溶けてしまう、今の彼自身の身体を捨て、このロボットの身体に憑依して永遠不滅の機械の身体を手に入れることにあった。なんだか銀河鉄道999みたいな話だ。
自分のロボット開発に目がくらんでダーク・エンディミオンと化した高校時代の親友を、なんとか目覚めさせようとするキョウリュウブルー。



ノブハル「止めてくれ中里!」
中 里「いやだ。おれは自分の才能を確かめたいんだ。G-BOの性能がすごいと証明できるなら、相手は誰でもいい」



ノブハル「おまえええ」



中 里「……有働」


これまたしかし、いざって時にぶん殴られるのはタキシード仮面の宿命だもんな、仕方ないや。



なんか渋江君が可哀想になってきたぞ。話を戻して、ここぞとばかりにエンディミオンに説教するキョウリュウブルー。



ノブハル「高校のころを忘れたのかよ。お前、お前なんのためにロボットの研究を始めたんだよ。……そうさ、一緒にボランティアに参加した時だ」



中 里「もっと身体にやさしい機械があったらなぁ」



ノブハル「あの時ぼくたちは思ったんだろう。困っている人のために役立つ大人になりたいって」



ノブハル「お前は機械工学の勉強を始め、ぼくは世界のいろいろな国にものを届けるために商社に入った。それは、『なんでもや』になった今も変わらないよ。ぼくは人を助けたいんだ」


ここからがクライマックスなのだが、回想シーンでの渋江譲二の詰めえり学生服姿をご紹介する、という所期の目的は達したので(そうだったのか)もういいや。エピローグ。



中 里「すまん有働。人の役に立つ職業に、上も下もあるわけないな。勝手に夢を捨てたのはおれのほうだった。お前に負けないような、人を助けられる、やさしいロボットを作るよ」



というわけで、『刑事110キロ』と『キョウリュウジャー』の話題をマクラに、実写版セーラームーンAct.11レビューの続きに入ろうと思っていたら、例によって本編に行く前に力尽きた。何やっているんだか。今回はここまで。
渋江譲二が加藤弘之監督と何か会話を交わしたのか(たぶん話したでしょう、なにか思い出話みたいなこと)知りたいんだけど、あの人のブログ『矛盾の男』は、とてもそんな話題は出てこないしなぁ。面白いブログだけど、こういうときは困ったものである。ではまた。