実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第418回】実写版美奈子をもういちど考えようの巻



花の都にてボンジュール。楽しそうで何よりです。



さて、花の都でヴァカンスとまでは行かないが、私もこの連休はキチンと休暇をとっています。先の土曜日(2013年4月27日)には、東京女子流サード・ジャパン・ツアー「約束」名古屋公演に行ってきました。会場はZepp NAGOYA。これまで名古屋でワンマンをやるときは、CLUB QUATTROとかE.L.Lとか、500人〜600人規模のライブハウスだった東京女子流が、一気にその3倍の収容能力を誇るゼップに進出する。お父さんちょっと心配になって、つい様子を見にいってしまったよ。
行ってみると、一階スタンディングフロアの後方、段上がりのエリアは閉鎖してはいたものの、全体的には格好がつく程度にお客が集まっていて、ひと安心。東京方面からの方々も多かったのではなかろうか。ご苦労様です。
ただ肝心のステージは、メンバー5人のうち3人までもが体調不良という大変な状態であった。高音パート担当の中江友梨は声帯炎の治療中で、歌は休んでダンスのみのパフォーマンス。またグループの歌姫、小西彩乃は昨年来の不調がまだ続いていた。どうも、成長期の喉の変化への対応が遅れているようだ。女の子にも声変わりがある。15歳の彼女はもうその時期を終えたはずだが、成長した声帯に対して、発声をコントロールする声帯筋などの筋肉がまだ十分に発達していないため、すぐに歌声が裏返ったり、かすれたりする、そんな感じ。本人がいちばん、もどかしい思いでいることだろう。さらにリーダーの山邊未夢まで体調に問題があったらしく、途中かなり長いこと舞台裏に引っ込んでしまって、残されたメンバーも歌うに歌えずトークで無理やりつなぐ、という場面が二度ほどあった。
だから、さんざんと言えばさんざんなライブだったのだが、少女たちはそれでも懸命に、臆することなく、持てる限りの力をあわせたパフォーマンスを披露してくれた。おじさん胸が熱くなってしまったよ。
東京女子流はCDのクオリティが高くて、これまでよりも、むしろこれからが楽しみな、長続きしてほしいグループだ。デビュー後3年を経たとはいえ、まだ平均年齢15歳。未来を目指してがんばってください。



そんなわけで私は帰路、しみじみ感慨に耽ってしまった。美空ひばりだって山口百恵だってフィンガー5だってFolderだって、ジャニーズ事務所の人気者たちだって、それに安座間美優だって、いたいけな少年少女の頃からアイドルとして歌っていた。ステージでは色々なこともあったろう。そしてそういうとき「子供だろうが、客から金を取るプロなんだから、調子が悪かろうがきちんと仕事をするのが筋」という考え方もあるだろう。他方「プロとは言っても子供なんだから、ちゃんと学校に行かせて、身体の変化とか心の変化に対しては、観客を含めて周囲の大人が気遣ってやらなくちゃいけない」という意見もありうる。私はまあ、後者の気持ちが強い。14歳の愛野美奈子が、まだ一曲目を歌っている最中に目の前で倒れたりしたら、チケット払い戻しとかそんなことはどうでもいいから、とりあえず彼女をしっかり診てやってほしい、と思うだろう。Act.36冒頭の観客たちも、みんなそう思っているように見えた。



さて今回はいったんレビューを中断して、アイドル愛野美奈子をもう一度しっかり考察してみたい。まずは前々回に見た、Act.11の手帖をもう一度確認し、2003年末の愛野美奈子のスケジュールを書き出してみよう。



12月1日(月)
 ロンドン NEW ALBUMレコーディング
 8°〜 ファインスタジオ
 月刊誌「YOU」ロンドンでの写真転送〆切日
12月2日(火)
 NEW ALBUMレコーディング
12月3日(水)
 ロンドン橋 写真撮影後インタビュー
 9°〜 ラグジュアリーホテル
 NEW ALBUMレコーディング
 18°〜 ファインスタジオ
12月4日(木)
 ボイストレーニング
 10°〜 ファインスタジオ
 NEW ALBUMレコーディング
 14°〜 ファインスタジオ
12月5日(金)
 NEW ALBUMレコーディング
 8°〜 ファインスタジオ
12月6日(土)
 新曲CM撮影
 9°〜 アークスタジオ
12月7日(日)
 NEW ALBUMレコーディング
 8°〜 ファインスタジオ
12月8日(月)
 完成パーティー
   エリザベスホテル
     コレクション2004、招待


(左頁下から右頁上にかけて画面から切れて読み取れず)


12月12日(金)
 月刊誌「Any」ポラ撮り&インタビュー
 14°〜 ハイグランドホテル1103号
 メールインタビュー&サイン5枚でOK
12月13日(土)
 TVワールド「新春エンタメスペシャル」稽古
 9:30°〜 麻スタ      キャンセル
12月14日(日)
 FMラジオ「Mie−ナコナコ♥」収録
 16°〜 BEAT–J FM 2階  キャンセル
12月15日(月)
 ボイストレーニング    キャンセル
 10°〜
12月16日(火)
 TNC「M-BEAT」新曲発表収録
 10°〜 Mスタ       キャンセル
12月17日(水)
 TVワールド「新春エンタメスペシャル」稽古
 8°〜 麻スタ      キャンセル
12月18日(木)
 TVワールド「JamJam」電話インタビュー
 12:40°〜
12月19日(金)
 ナコナコクリスマスバージョン
 〆切日
12月20日(土)
 月刊誌「Pears」インタビュー
 10°〜 パークホテルTVワールド「新春エンタメスペシャル」キャンセル
 麻スタ


このメモによると、美奈子は12月の上旬をほぼロンドンでのレコーディングに費やしていたらしい。
前回のコメント欄でも話題にしたが、わたくし個人の意見としては、海外での長期レコーディングは夏休みとかを利用すればいいのに、と思う。あるいはもうすぐ冬休みだし、春休みだってあるのだ。なぜ2学期の終わりの時期にロンドンへ行っちゃうかなあ。アイドルとはいえ愛野美奈子は中学2年生、14歳の女の子なのである。
労働基準法の第6章第56条には、雇用の最低年齢がこう定められている。


使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。


もっとも、これにすぐ続く第2項にはこういうふうに書かれている。いわゆる子役やチャイドルのみなさんのお仕事は、ここに根拠をもつのだろうな、たぶん。


前項の規定にかかわらず、別表第1第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする。


まあ、法律のことはよく分からないのでこのくらいにしておこう。


今回、私がAct.11で映った社長の手帖を静止画像でチェックして驚いたのは、美奈子のロンドン滞在が「アルバム制作を目的としていた」という事実である。これは今まで気づかなかった。手帖で確認できる限りでも、12月1日から8日まで、ほぼ毎日ロンドンのファインスタジオで「NEW ALBUMレコーディング」に専念していることが分かる。しかしこのロンドン録音の成果が、愛野美奈子単独名義のアルバムとして発表される機会は訪れなかった。なぜだろう。
その理由を考えてみたくて、アイドル愛野美奈子を改めて見なおそうと思ったわけです。美奈子の歌手活動については、すでにまとめたことがあるが(ここ)、だいぶ前の記事なので、まずはここで「改訂版」を作りながら、おさらいしてみます。今回は各CDの発売日も、可能なものについては推定してみた。といっても、だいたいいつごろ発売されたかを絞って、あとは水曜日の日付を確かめただけだけど。
なぜ水曜日かといえば、J-POPのCDはだいたい水曜日に発売されるからだ。これはオリコンの週間チャートが月曜から日曜までの売り上げ枚数の集計で決められることにちなんでいるという。月曜日に出荷して、火曜日に店に届き、水曜日に発売、というタイミングが、いちばん良い数字がでるらしい。もちろん多くの店では、火曜日の午後にはもう新譜を店頭に並べてしまい、熱心なファンは発売日前日に、いわゆるフライングゲットしてしまう。もちろんそれも、ちゃんとその週の売り上げ枚数としてに加算される。
この原則は、我らが愛野美奈子にもあてはまる。実際、ドラマ内で明示されるセカンドアルバムの発売日は2003年9月24日(水)だし、現実世界で美奈子のサードアルバム『I’ll Be Here』を収めた実写版メモリアルボックスが発売された日も2004年9月22日(水)である。
というわけで今回のリストでは、正確な発売日が不明な場合でも「とりあえず水曜日がリリース日」という前提に基づいて、日付をつけてみた。


【1stアルバム】『IMITATION』(2002年12月18日発売)



1. 始まりの伝説
2. IMITATION
3. 負けるな! クリスマスガール
4. LOVE vs DREAM
5. うれしくて・・・
6. ナイショ!
7. ハートはORANGE
8. 白い出会い
9. MAKE UP POWER!


(備考)曲名および発売日の推定は「Act.ZERO」の冒頭シーンより。美奈子はおそらく13歳。当然これ以前に何枚かのシングルが発売されていて、このアルバムにも収録されていると考えられるが、どの曲かは不明。
 美奈子がひとり屋上で「きよしこの夜」を歌っているので、「Act.ZERO」の冒頭シーンはクリスマスの出来事だと思う。



街角の大型ビジョンにCDランキングが映し出されて、デビューアルバムがみごと1位を穫ったことがアナウンスされる。それを伝えるDJのしゃべりがイマイチはっきりと聴き取れないが、雰囲気的には「初登場1位」っぽい。ということは「Act.ZERO」より前の週の水曜日にリリースされたんだろう。で「2002年12月18日発売」という予想を立てました。


【シングル】『C'est la vie 〜私の中の恋する部分』(2003年7月または8月)


1. C'est la vie 〜私の中の恋する部分
2. Lucky Joker
3. C'est la vie 〜私の中の恋する部分(Instrumental)
4. Lucky Joker(Instrumental)


(備考)曲目中、3曲目と4曲目はおそらくカラオケバージョンだろうと、想像で付け加えた。初回特典盤にはポスターがついて来る。うさぎの購入シーンは「Act.ZERO」で見られる。その背景になっているのが、おそらく特典のポスター。



その直前に、なるちゃんたちと夏の制服姿で学校に通っているので、時期は1学期の終わりごろかな、と思うが、夏休みの登校日かも知れない。だいたい十番中学は、春が来ても生徒が進級しないで2年生のまま、という特殊なカリキュラムを組んでいるので、このあたりはよく分からないのである。ともかく、このときのポスターと、セカンドアルバムのポスターとは、おそらく同じセッションで撮られている。だからセカンドアルバムの先行シングルとしてリリースされんだと思う。7月下旬からお盆前にかけての発売というところか。


【2ndアルバム】『VENUS』(2003年9月24日)


1. C'est la vie 〜私の中の恋する部分
2. Shay girl
3. for your dream
4. ETERNITY
5. come again
6. 月のキセキ
7. Be Free!
8. A-Q-U-A
9. HAPPENING☆
10. 戦う女神・おんな・
11. Lucky Joker
12. ア・イ・ノ セレナーデ



(備考)全12曲のトラックタイトルは、Act.2、うさぎが初めてクラウンの秘密基地を訪問したシーンで、カラオケの本に出て来る。発売日も同じくAct.2、うさぎと亜美がCDショップの前で会話するシーンでばっちり分かります。



 このポスターは、Act.1以来、うさぎの部屋に貼ってあるものと、デザインは少し違うが、素材の写真そのものは一緒である。




【シングル】『肩越しに金星』(2003年12月24日)



(備考)カップリング曲は不明。クリスマス前のエピソードであるAct.12では、美奈子が発売前の新曲として観覧車のシーンで歌っており、Act.14の新年会では、まことがカラオケで歌っている。そうすると12月下旬のリリースということになるので、12月24日水曜日の発売と見た。



以前は、ロンドンでレコーディングされたのがこの曲だと思っていたのだが、考えてみると、12月10日ごろまでロンドンに滞在してレコーディング、12月24日リリースというのは無いよなあ。したがって「肩越しに金星」は、ロンドン行きより前に国内で録音されていたクリスマス向けシングルであった、と考えを改めます。


【シングル】『Romance』(2004年4月28日)



(備考)これもカップリング曲は不明。続く『Kiss2 Bang2』も同様。
Act.28でキャンペーンのためにFM局の公開収録に出演していた。Act.27の後半からAct.28「亜美ちゃん、お帰り」までは(後半からみんな私服だし)たぶんAct.28のオンエア日と同じ週末の出来事で、このラジオ出演は2004年4月24日(土)もしくは4月25日(日)で、ニューシングル発売直前であったと想定し、発売日を2004年4月28日水曜日と考えた。



このラジオ番組で「今回は作曲に挑戦した」みたいなことを言っているのと、美奈子自身の作詞・作曲したナンバーである可能性が強い(実際の作詞・作曲は名古屋出身のピアニスト・ソングラーターの杉浦篤)。Act.21で美奈子が「新曲の構成メモ、明日にはファックスするって社長に伝えておいて」と言っていたことを併せて考えると、2月末ごろに曲想をまとめて、3月に入ったところで録音したのではないでしょうか。


【シングル】『Kiss2 Bang2』(2004年8月25日)


(備考)ご存知、Act.40(2004年7月17日放送)のマーズれい子との新曲争奪戦の後、美奈子がスタジオ録音していた曲。続くサードアルバムが2004年9月22日発売で、そこにも収められている点を考慮し、その一ヶ月前、2004年8月下旬のリリースと考えてみた。



先のシングルとこの作品の間は、わずが3ヶ月ながら美奈子にとってはものすごく大変な期間で、「ライバル黒木ミオ登場」(Act.29)、「ロンドンに厄介払いできたと思ったエンディミオンの帰国」(Act.32)、「うさぎの開き直り交際宣言」(Act.33)、「二人を引き離すためにゾイサイトと結託」(Act.35)、「Pムーン覚醒」(Act.36)と事件が続出し、しかも病状は悪化の一方で、大事なライブの最中に倒れるという失態をおかす(Act.35)。そのためAct.40で歌手引退の決意を固めるんだが、レイの計らいでこの曲を出すことになったわけだけど、そういうあれこれを想い出して聴いていると、軽快なロック調なのに聞くのがつらい。


【3rdアルバム】『I'll Be Here』(2004年9月22日)


1. Romance
2. I'm here
3. C'est la vie〜私のなかの恋する部分
4. 肩越しに金星
5. Kiss2! Bang2!
6. さよなら〜sweet days



(備考)実際にメモリアルCDボックス『MOONLIGHT REAL GIRL』の1枚としてリリースされたので、作品世界のなかでの発売日も、これにあわせたい。美奈子が最初のプレスをアルテミスや戦士たちに送り、そして物語を去るAct.47は2004年9月4日のオンエアなので問題はなかろう。だが内容は問題だらけ。なにしろ、たった6曲の「アルバム」で、しかもオリジナル曲が2曲しか無いし、「C'est la vie」にいたってはセカンドアルバムとかぶっている。


【シングル】『Happy time, Happy life』(2008年4月?)



(備考)「Special Act」のなかで、美奈子が日本人で初めてイギリスの「グリッター賞」を受賞したというニュースのバックに流れている曲。Special Actは、本編から4年後の、衛とうさぎの結婚式前後の物語であり、戦士たちはそれぞれ高校を卒業して新生活に入ったところである。だから結婚式を6月(ジューン・ブライド)と想定して、2008年5月(もしくは6月)の話じゃないかと思う。その時点での最新ヒットシングルとすれば、この『Happy time, Happy life』2008年4月のリリースと考えるのが妥当だが、こういうときのニュースのバックに流される歌って、最新ヒットとも限らないしな。だいたいこの曲、私にはクリスマス・ソングに聞こえる。


以上が美奈子の音楽活動である。ここから推察できること、よくわからないことを整理してみよう。


と思ったけど、だいぶ時間も字数も使ってしまったので、ここまでで前編(資料編)とする。分析・考察編は次回っていうことで。