実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第407回】DVD第3巻:Act.10の巻(10)


  

石川くん (集英社文庫)

石川くん (集英社文庫)

1. 「恋をするなら、仄かな恋に限る」(石川啄木)


岩手県が生んだ三大偉人といえば宮澤賢治と石川啄木、それに小松彩夏なわけだが、この三人のコラボ企画というのは今まで無かったのではないか。まあ宮澤賢治はアレとして、石川啄木なら色恋の話も多いから、どこかに小松さんが絡める余地もあるように思っていた。それが今回NHKによって実現しました。書籍でも出版された『ほぼ日刊イトイ新聞』の人気コンテンツ、枡野浩一の『石川くん』が、実写化された(というのかね)のである。

2012年没後100年!明治の天才歌人石川啄木の短歌を、平成の歌人枡野浩一が現代風に大胆解釈!
二人の天才歌人の愛すべきダメっぷりに日本中のダメ人間が共感しまくり!
新感覚!ダメ人間☆全肯定(!?)教養コントバラエティ!!


どういう構成かというと、まず現代を舞台に、枡野浩一本人が演ずるショートドラマがあって、そこに啄木の歌がはめ込まれる。たとえば枡野が喫茶店でコーヒーを飲んでいると、突然きれいな女の子から「ファンなんです。握手してください」と声をかけられる。


  


ファン「あの、枡野浩一さんですよね」
枡 野「はい」


   


ファン「やっぱり!あの、あたし大ファンなんです」
枡 野「……どうも……」


   


ファン「あの学校でも枡野さんの本みんなで回し読みしてたし、あの、最新作はいつも図書館でチェックしてます。あそこにある古本屋さんでも、枡野さんの作品、大人気なんですよ。握手してもらってもいいですか?」


   


ファン「ありがとうございます!これからも応援しているので頑張ってください」
枡 野「ありがとうございます」


   


枡 野(……応援してるってわりに、買ってはくれないんだな僕の本。古本屋さんで大人気って、それ誉め言葉じゃないんだけど……)


  


  はたらけど
  はたらけど猶わが生活樂にならざり
  ぢつと手を見る
   (石川啄木『一握の砂』)


と、まあだいたい、こんな感じ。
「石川くん」は、NHKの『青山ワンセグ開発』のなかで放送されている。これは「企画オーディション番組」で、参加者が5分程度のミニ番組を出品してコンペを行ない、データ放送やウェブを通じて視聴者の人気投票が行われ、トーナメント戦に勝ち残った番組がレギュラー枠を獲得する。なるほど小松彩夏がブログに「投票してもらえると嬉しいです♪」とか書いてたのはこのことだったのか。
投票だけではなく「視聴者からのコメント」を寄せることもできるようだ。私もコメントしようと思ったが、下にあるような40代男性のご意見を見てしまったので、もうそれ以上言うことはない。シンプルでダイレクトで力強い、すばらしいメッセージである。



これからもNHKは、石川啄木はもちろん、富田砕花でも新渡戸稲造でも、さっき言った宮澤賢治でもいいから、岩手県出身者を素材にするときは必ず小松彩夏を起用して番組に華を添えるべきであろう。前回のコメント欄のyamabosiさんの書き込みで知ったが(知るのが遅いよ)4月からの朝の連続テレビ小説『あまちゃん』は三陸が舞台らしいので、私からも特に強く提言しておきたい。
それはそうと「石川くん」、次回あたりは、小松彩夏が浴衣姿で枡野浩一の「耳かき」をするという、うらやましい画が見られるみたいなので楽しみです。




というわけで本題だ。

2. 「心は益々乱れたり」(石川啄木)


……じゃなかった。もうひとつあったな。2月14日に放送されたTBSの木曜ドラマ9『あぽやん〜走る国際空港』第5話(原作:新野剛志/脚本:関えり香/撮影:小松忠信/演出:神徳孝治)。「あぽやん」なんて初めて聞く旅行業界用語だが「空港のカウンターで起こるトラブルを処理する旅行代理店のプロフェッショナル」のことだそうである。
成田国際線JALパックのカウンター。バンコク線への搭乗手続きにやってきた、あからさまにワケありそうでバカそうなカップル(政岡泰志・小松彩夏)。


  


岡 浜「いらっしゃいませ。パスポートと日程表を拝見いたします」


  
  


       ╳    ╳    ╳


柳 沢「高橋様、石井様、ありがとうございました。チェックインはあちらでございます」


  


岡 浜「……やっぱり不倫。結婚指輪外してあった!」


みるからに、という感じの不倫カップルであるが、この二人をめぐって数分後に大騒動が起こる。奥さん(杉山薫)が駆けつけて、国際線ロビーで修羅場が勃発しちゃったのである。


  


高橋夫人「こっそり海外旅行なんて……私となんか、熱海でさえも……もう許さない!」


       ╳    ╳    ╳


  


以上。まあ自業自得としか言いようがないが、しかし「小松彩夏と二人っきりのプーケット&バンコク6日間ツアーがドタキャン」という状況には、いささか同情を禁じえない。さ、じゃ本編に行こう。

3. 強力な妖魔とさらに強力なヒロイン


前回は妖魔がセーラームーンを攻撃して、とっさに盾になったマーズが身代わりに倒れてしまったところまでだった。



マーズを介抱するセーラームーンに、なぜか背を向け、軽やかなスキップを披露する妖魔。だがその前に二人の助っ人が立ちはだかった。


  


マーキュリー&ジュピター「まて」


ところがこの二人、ちょこっとだけひらひらクルクルしただけで、わりとサックリやられてしまう。



さすがゾイサイトが2週間を費やして創造しただけあって強力な妖魔だ。『プリンセスへのレクイエム』というピアノの小品ひとつを書き上げる製作期間として長いのか短いのかは分からないが、妖魔としては過去最長の製作期間だけあって、最強である。茫然と立ちすくむセーラームーン。


  
  
  
  


セーラームーン「みんな……」


味方陣営がここまで完膚なきまでに叩きのめされると、ふつうなら「続く」の文字が出て今回のエピソードは終了、そして次回でリヴェンジマッチという2話構成が考えられるわけだが、なにせまだBパートが始まったばかりなので、話は続く。CGのルナが近づく。


  


ル ナ「セーラームーン、スティックに力を込めて」


  


セーラームーン「えっ?」
ル ナ「早く!みんなを助けたいって想いを込めるの」


  


セーラームーン「うん」


  
  
  


セーラームーン「やった!」


というわけで、ちょっとセーラームーンが本気を出しただけで、他の戦士があれだけ苦戦した妖魔が、あっさりやられてしまうのである。
う〜ん。ただ、以前にも指摘したように、この話の元ネタは原作マンガの連載第6回目「Act.6 タキシード仮面」なのだ。どういう内容かというと……地場衛が「幻の銀水晶」の存在をマスコミに公表したために、世間に「幻の銀水晶を探せ」ブームが起こる。そのどさくさにまぎれてゾイサイトがエナジー集めに暗躍し、街では人々がエナジーを奪われ、意識を失い次々に倒れる。ことの重大さに気づいたタキシード仮面はセーラームーンに助けを求め、セーラームーンは強力なヒーリングの力で人々を元に戻し、力尽きてタキシード仮面の腕にくずおれる。……要するに前半がAct.9、後半がAct.10と、ひとつの原作をバラして使っているのだ。



しかし実写版の場合、原作のこの場面をここに使う必要があったのかなという疑問は感じる。
原作のセーラームーンは、敵との戦いを重ねるごとに、見違えるほど強くてカッコいい「負けないプリンセス」へとぐいぐい成長していく。アニメのセーラームーンは、戦いの最後には必ず必殺技で相手を倒す切り札的存在である。だから彼女だけは「選ばれし者」で、他の戦士たちが倒されても、決して倒れないという描写が出て来てもかまわない。ていうか主人公って本来そういうものだ。
でも実写版のセーラームーンは、そういう特権的なヒロインではない。もともと小林靖子先生は群像劇というかチームワークを描くタイプの人で、セーラームーンにもそういう傾向は顕著に現われている。後半、プリンセスムーンが登場すると、さすがに主人公は別格あつかいされるようになるが、でも前半でセーラームーンを特別なヒロインとして描く必要はそんなにないと思うんだけどなぁ。


で、当然この次はセーラームーンがヒーリングの力で意識不明のマーキュリーやマーズやジュピターや、エリカちゃんや色々な人を甦らせる、という話になるわけですが、中途半端なところで恐縮ですが(しかも肝心の本編が短めですが)今回はこのくらいでお許し下さい。


代わりに、と言ってはなんですが、おまけとして「石川くん」からもうひとつショートドラマをご紹介します。自宅マンションの入り口で郵便物をチェック中、出て来た住人にぶつかられて郵便物ぜんぶ落っことしちゃった、というシチュエーション。


  


 男 「てっ、痛えな。なんだよオラァ」
枡 野「あ、すいません」


  


枡 野(あの感じの悪さはなんでしょう。先に「イテッ」とか言うから反射的に謝ったけど、こっちは止まってたたわけだし、動いていた向こうに非があると考えられるけど……)


   


美 女「大丈夫ですか?」


   


枡 野「あ、すいません」


   


枡 野(いやぁ、都会も捨てたもんじゃないな。あ、ひょっとして僕のファンなのかな)
美 女「これで全部ですかね」
枡 野「はい」


   


 男 「おい、何やってんだよ。外で待っとけって言ったろおい」


   


美 女「だって早く会いたかったんだもん」
枡 野「何いってんだよ」
美 女「ふふ」


  

 
 男 「は?なんだよ」


  

枡 野「すいません」


  
  


枡 野(あの子が、あんなチャラい男に……早く別れますように。ついでに男の茶髪も穂抜けになりますように。というか、男の方は死んでしまいたまえ)


  
  


  一度でも我に頭を下げさせし
  人みな死ねと
  いのりてしこと
  (石川啄木『一握の砂』)


最初の方に書いたように、この「石川くん」はNHK『青山ワンセグ開発』でオンエアされている。『青山ワンセグ開発』の司会はももいろクローバーZだ。ももクロの司会で一握の砂まで輝き出せ。




じゃまた。