実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第281回】DVD第2巻:Act. 7の巻(その16)



みゅうみゅう、ゴメン、ちょっと寝坊したよ、と思いつつ6時過ぎに起床して、家族の朝食の支度をしながら「ズームイン!!サタデー」を観ていたら、おさげのモッチーが、「80年代アイドルのリバイバル」みたいな話をしていた。松田聖子が今年で活動30周年だとか、AKB48のブームによって、その先祖とも呼ぶべきおニャン子クラブが注目を浴びている、とか、そういう話だ。
しかし私は、実はおニャン子クラブというものをあまり知らない。個人的には、秋元康がプロデュースしたアイドルのなかで最も印象に残っているのは水沢絵里なんだが、みなさんはどうですか?

水沢絵里は五月みどりの実娘で、1986年に「親子の歳ほど離れているけど」(作詞:秋元康/作曲:見岳章)という、すごいタイトルの歌でデビューした。露出度の高いビジュアルといかがわしい歌詞の醸し出す「揺るぎのないB級テイスト」がいかにも秋元康という感じなんですけどね。サビのところの歌詞なんか「ねえあなたってねえ私って/二まわり違いね」である。
そういえば少し前に、AKB48の秋元才加(22歳)が「AKB歌劇団」の構成・演出を担当している広井王子(56歳)の家に「お泊まりデート」したとかで騒ぎになっていた。秋元才加というのは『環境超人エコガインダー』でムダーナをやっていた人だね。秋元先生はここで一発、秋元才加に「親子の歳ほど離れているけど」のカバーを歌わせてみてはどうか。ムダーナのコスチュームで。
というのは冗談だが(当たり前だよ)実を言うと、広井王子(演出)と田中公平(音楽)のゲキテイコンビが取り組んだ「AKB歌劇団」という舞台、私も出来れば観てみたいと思っているんですよ。そもそも広井王子は前から秋元才加の才能を絶賛していたし、ミュージカルの「演出の先生」が、主演女優の才能に惚れ込むあまり、端から見ていても、才能を愛でているんだか本人を愛でているんだかよく分からない状況が生まれる、なんてウワサ話は、タカラヅカなんかでもしばしば耳にしますよね。それを表沙汰にする方が野暮だろう、というのが私の個人的な感想だ。

それからもうひとつ、この秋から始まった『仮面ライダーOOO』を記念して、特撮・SF専門誌『宇宙船』のVol.130(2010年秋号, ホビージャパン)に、小林靖子先生のインタビューが載っている(StreamKatoさんがコメント欄で教えてくれた)。で、とりあえず書店でパラパラ見たら、そのインタビューの最後の方で、小林先生が「アンクはこれからiPadでメダルの管理をする」みたいなことを言ってるんだよね。
実際『仮面ライダーOOO』(知らない方のために書いておくと、これで「オーズ」と読みます)にはiPhone4もiPadも出てくる。
この様子からすると、小林先生、台本にも「iPhone4」とか「iPad」と書いているのかも知れませんね。
前にも何度か書いたけど、セーラームーン執筆時の小林先生は、戦士たちの変身アイテム「変身携帯テレティアS」のことを、いつもそっけなく「携帯」としか書いてない。私のところにはM14さんから譲り受けた台本や、こっちよ!さんから送っていただいた台本コピーがけっこうあるが、どのト書きを見ても「テレティア」なんて書いていないんですね。たとえば、こっちよ!さんからいただいたAct.12で確認してみよう。
ね。完全に変身アイテムとして活用するシーンなんだから、「テレティア」って書いてあげればいいのに、「携帯」としか書かない。
だから今度の『仮面ライダーOOO』でも、きっと台本には「携帯」としか書いていないのかな、それにしては、かなりドラマのポイントとなる小道具の使い方をしているな、などと迷っていたのですが、やはりこれは「iPhone」とか「iPad」とか、ハッキリ書いているのであろうと、私はこのたび確信した。それがどうしたと言われても困るが。
『OOO』についてはまたそのうち、機会があったら書きますが、今回は白倉プロデューサーもいないし、かなり小林先生が好きなように書いている印象があって楽しい。あとは、quonさんのこのあたりの感想に私が付け加えたいと思うことは、今のところ特にない。
くだらん話をすまん、本題だ。

1. 高井君の謎(承前)



さて前回は「なぜ高井君は妖魔に憑依されたのだろう」と問いかけたところで終わってしまったんだっけ。
だいたい妖魔が人間に憑依するのは分かりやすい理由がある。最も多いのは「その方がイキのいいエナジーを集めやすいから」で、これまでのエピソードを見ても、Act.1では、若い女性のエナジーが集まるジュエリー・ショーに潜入しやすいように大阪なるのママ(渡辺典子)に憑依し、Act.2では塾の先生(春木みさよ)に憑依して教室の少年少女を狙い、Act.6ではストリートバスケの人気者(田代功児)に憑依して、追っかけの女子たちを一網打尽にしていた。
それ以外では「幻の銀水晶を探すため」というのもある。Act.4でサボテンが桜木財閥令嬢(みさきゆう)に取り憑いた理由がこれだ。あと、さっきのAct.12では、妖魔は美奈子に接近するために、美奈子の事務所の齋藤社長(池田成志)に取り憑いて、不意をついて襲いかかった。それで美奈子は階段を駆け下りて逃げているのだ。
こういう場合と比較して、このAct.7で伊賀妖魔もしくは納豆妖魔が、しかもこのタイミングで高井くん(三嶋啓介)を餌食に選んだ理由がイマイチ分からなんだよね、なぜ高井君は妖魔に憑依されたのだろう。
と、そこまで書いて前回は終わりにしたんだが、コメント欄でStreamKatoさんが幾つか可能性を指摘してくだささった。

(1)ゲストだから
(2)素直な性格で、とり憑き易いから
(3)背中に背負ったカメのリュックが欲しかったから
(4)伊賀妖魔は実は火野レイのファンで、高井の姿を借りてレイに近付こうとしたから

(1)は放っておく。(2)については、確かに高井君って取り憑き易いとは言えるよね。ただ前回書いたように、この伊賀妖魔、さっきまで普通に遊園地の中を歩いていたのに、周囲の人々は、水戸から納豆を宣伝しに来た「ゆるキャラ」だとでも思ったのか、誰も気に止めていなかったのである。だからそのままの格好でエナジー収集活動に入っても構わなかったはずだ。それをわざわざ、高井君の姿をとる必要があるのか。ということで、この(2)は「妖魔は誰か人間に取り憑かないと人間のエナジーを吸収できない」という制約があればともかく、そうでないとちょっと苦しい。
それから(4)については、StreamKatoさんの補足説明がある。「忍者と巫女、忍術と呪術ですから互いに魅かれ合っても不思議ではないです」って、まるでハリウッドのニンジャ映画のようなざっくりした認識である。
あ、ハリウッド映画といえば、ちょっと前にネットのどこかで、オーディションというか、キャスト募集のチラシを拾ったな。えーと、これだ。『47Ronin』だって。

『忠臣蔵』のストーリーには存在しない架空のキャラクター、混血の男性ヒロ(キアヌ)は、戦いの中で次第に四十七士の一人として認められ、最後には侍の本懐を遂げる。ハリウッド的な解釈で描かれる四十七士のCGアクションエンタティンメント。

いかがわしいなあ。トム・クルーズ主演『ラストサムライ』の向こうを張って制作されるキアヌ・リーブス版『忠臣蔵』と考えれば、まあ当たらずとも遠からずであろう。で、その主人公の混血のサムライ、ヒロと絡むメインキャストってどんなんだ?

大石内蔵助は語呂合わせで佐々木蔵之介にどうだ、とか、丹波哲郎が生きていたらなぁとか、大石主税は佐藤健にやらせたい、とか、あれこれ空想してしまうが、まあその辺はみなさん「これは!」と思うキャストがあったらコメント欄にご推薦ください。気になるのはやはりヒロインの「ミカ」だな。「30代」と限定しているあたり、もう有力候補はいたりして。ひょっとしてまた小雪(33歳)か?最近はこういうの、もう何でもかんでも小雪で、それでいいのか?だいたい30代に縛るなよ。北川景子(24歳)だっていいし、天海祐希(43歳)だっていいじゃない。要するに「稀代の美女」なら文句ないだろ。
それから四十七士のキャスト。
うわあ、「バショウ」だよ。四十七士の一人の名前が「バショウ」で、しかも相撲取りだよ!
台本は『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』の人か。なら日本通だな(笑)。やはり北川景子もミカ役オーディションを受けてみたらどうか。事務所の強力プッシュがあれば大丈夫だって。今度はホントにセリフのある役で実のあるハリウッドデビューだ。
「締め切りは10月15日必着です」って、もう終わってるじゃん。ガシュン!!
……本題に戻ります。

2. 今度こそ高井君の謎


妖魔の気配が感じられず、野外ステージを後にしたレイ。しかし、すぐさま悲鳴が上がる。振り向けば、野外ステージのあたりから、道化師たちの持っていた風船が宙を昇って行く。持ち主たちはどうなったのか。駆け戻るレイ。あたりには道化師を始め、倒れ込む人々、泣きじゃくる子供、それにぼーっと立ち尽くして不敵にほほえむ高井。

  
レイ「高井さん……妖魔!」
  
レイ「マーズ…」
  
レイ「!」
  

変身ポーズをとったレイの顔がゆがむ。高井が信じられない早さでふところに飛び込んできて、レイの下腹部のビミョーなあたりをつかむ。すると高井の亀の頭が黒光りしながらムクムク持ち上がる……って「なに書いてんだテメエ」って思われる方もいるだろうが、本当なんだから仕方がないよ。

つまり高井(妖魔)はハンドパワーでレイのエナジーを吸収して、それが背中の亀のリュックに溜まって、リュックがふくらんで亀の頭がムクムク、ということなんですけどね。すみませんね。根が下品で。

『仮面ライダークウガ』が第2話で「変身!のかけ声の後、戦いながら徐々に変身する」という、当時としては風変わりな変身シーンを披露して以降、平成仮面ライダーでは、いわゆるヒーローものの「お約束」が免除になって、変身バンクのたぐいを見かける機会もだいぶ減った。それに較べればセーラームーンは5人の変身バンクを作っているぶん、まだライダーよりも戦隊ものに近くて、古典的である。
でも、このAct.7で早くも「レイが変身ポーズをとりかけたところで敵にさえぎられ、結局この回は変身しないまま終わる」という変則的なパターンを出してきたところが、やはり実験的というか、意欲的である。だって前回のAct.6で、ようやくひととおりの(つまり美奈子以外の)戦士が揃ったんですよ。ふつうは次のAct.7で、とりあえず4人そろい踏みで変身するシーンを見せてくれるのが、この手の番組のスジというもんじゃないでしょうか。初見の時は私だってそれを期待していた。
ところがフタを開けてみると、このAct.7に亜美は不参戦で、レイは変身ポーズ中にダウンし(ついでにセーラーVは顔見せのみで)結局、変身して戦うのはうさぎとまことだけだった。意外性はありましたね。まだパターンが確立されていない段階でのパターン破りというか。
しかしそれを「実写版はこう来るか」と前向きに評価した人は、当時は少数であって、むしろ、マンネリズムの心地よさが身上だったアニメ版のファンからは、さらに顰蹙を買っていたと記憶する。まあしかし、確かにこれは「アニメ版は実写版とは違うよ」という挑戦状ではあったと思う。


閑話休題。この後も、高井(妖魔)がエナジーを吸収するたびに、カメのリュックは膨らんでパンパンになっていく。風船のように。

で、遊園地に妖魔が出現したきの最初のショットを思い出していただきたい。こいつ、子供にまとわりつかれながら、風船を持っている道化師の後を追っていたのではなかったか。
つまりこの妖魔は、ジェダイトから「ベリル様にささげるエナジーをうんと溜めて来い」って言われて、まず「エナジー溜め袋」を探していたんだね。最初は道化師たちの風船に目をつけた。ところが、風船の後を追っているうちに、自分の後をレイが尾行してきて、続いて高井がやって来て、とか色々あった。最終的には高井のリュックを見て、風船よりも素材がしっかりしているので割れる心配がないし、伸縮素材で、エナジーを圧縮すればかなり詰め込めそうだ、と見込んだ妖魔は、高井に取り憑こうと考えたのである。
 以上、このような考えを踏まえて、改めてStreamKatoさんの整理された「なぜ妖魔は高井を襲ったのか」に対する答えを見てみましょう。

(1)ゲストだから
(2)素直な性格で、とり憑き易いから
(3)背中に背負ったカメのリュックが欲しかったから
(4)伊賀妖魔は実はのファンで、高井の姿を借りてレイに近付こうとしたから

名古屋支部的には(3)「カメのリュックが欲しかったから」を正解と考えるわけであります。

3. 脚本の問題


Act.7は「古幡元基が亀好き」という実写版オリジナルの設定を、「うさぎとカメのデート」というダジャレで活用すると同時に、カメ愛好仲間の高井君というキャラクターをかぶせてきて、さらにその設定を「亀なのに動きがすばやく、油断していたレイの変身を封じる」「愛用の亀のリュックにエナジーを溜める」などのバリエーションで展開している。このあたりに、小林靖子ならではの脚本の巧緻さが光っていると思うが、反面、まことのポニーテールを早くも解いて、キャスケットをかぶせているとか、そのあたりは演出家のなせるワザではないかと思う。
でもM14さんのAct.8台本比較(ここ)なんか拝見すると、田崎監督の担当回における台本と演出のコラボ具合がみごとで、「この表現は小林脚本の巧さ」とか「こっちは田崎演出の力」なんて簡単に仕分けできないレベルのものであることがよく理解できる。だからやはり、台本を見てみたいよな、と思う。高井のリュックが「カメである」という設定まで、iPhonやiPadのように台本に書かれているのか、それとも田崎演出のアイデアなのか、そこんところをちょっと知りたいのである。
ではまた。今回も字数のわりに進まなかったぜ。