連続ドラマW 湊かなえ『落日』DVD-BOXが2024年10月2日(水)発売決定!湊かなえ原作の衝撃のミステリー
株式会社ハピネット15年前に起きた一家殺害事件の“真実”とは、“救い”とは——
ということで、今年後半のレビュー企画はこれで行きたいと思う。ディスクになれば、レビューのための諸作業があれこれ簡単なのです。WOWOW配信はいろいろガードが固くて。
で、問題は、いまの『眼の壁』を終えてから、『落日』までの間に何をやるかということ。一度しっかり『正直不動産2』を全話レビューしたいという気持ちもあるが、このブログの本来の使命である実写版DVDも久々に進めたいとも思う。悩むところである。
それでは続きです。『松本清張 眼の壁』第4話レビュー(2022年7月10日放送、原作:松本清張/脚本:深沢正樹/照明:宮脇正樹/撮影:金澤賢昌/監督:内片輝/チーフプロデューサー:青木泰憲・的場政行/制作:WOWOW・ファインエンターティメント)。
長野県の霧沢村で、クラブ『月世界」のマネージャー堀口こと黒池健吉(薮宏太)が死体で発見された。関野部長(甲本雅裕)を手形詐欺にハメた張本人が「死んですべての罪を償います」という遺書を残して焼身自殺を図ったということだが、萩崎(小泉孝太郎)には、まだそれで事件が終ったようには思われなかった。
絵津子(泉里香)が去った後、入れ替わるように現場を訪れた萩崎は、誰かが置いた献花に目を留める。しかしこの人も、いざというとき警察の眼を気にしないなぁ。
萩崎が近くの食堂に入って腹ごしらえをしていると、ラジオからも黒木健吉の焼死を伝えるニュースが流れる。それを聞いた地元民らしい客(藤井尊弘)が、店の女将(岩橋道子)に語りかける。
ラジオ「長野県警によりますと、現場は霧沢村中心部から4キロメートル北に離れた県有林のなかで、遺体の身元は、現場に残されていた免許証から、東京都在住の黒池健吉さん28歳と……」
女 将(ラジオをオフにする)客 「何?」
女 将「食事がまずくなるでしょ」客 「この焼け死んだの、文雄んところにいたアレかっていう噂があるんだけど、本当かねえ」
女 将「止しなさいよそんな話」客 「それが本当なら怖い話だよなあ。何かの因縁か?」
食べ終った客が出てゆくと、片づけをしている女将に、萩崎は村木の肩書きを借りて、話の続きを聞き出そうとする。
萩 崎「あの、もしよかったら、今の話もう少し聞かせてもらえませんか?」
女 将「……マスコミ?」萩 崎「……毎朝新聞の者です」
だが敵もさるもの、「新聞社なら、情報への謝礼っていうのがあるでしょ?」というわけで、情報料として定食に数枚の札を払うことになる。でもそのおかげで、近所の近松という家を紹介してもらう。
萩 崎「御会計してください」女 将「ふふ。毎度どうも」
女 将「あの大きな銀杏の木の先の橋を渡ったところ、近松さん。大きなおうち。あそこのおじいちゃんだったら、きっと話してくれるよ」
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近 松「うちに何か御用かね」
萩 崎「近松さん、ですよね。毎朝新聞の萩崎と申します。黒池健吉さんのことでお話をうかがいたいんですが……」近 松「話すことなんてないよ。出ていってくれ」
萩 崎「このお花きれいですよね。焼け跡に供えられていたのを……近松さんですよね」
最初は取りつく島もない近松(有福正志)だったが、萩崎が決して、ただの興味本位で事件をかぎ回っているわけでもないことをさとり、態度を軟化させる。そしてようやく、黒池絵津子と健吉姉弟の過去が明らかになる。
回想シーンで絵津子の少女時代を演じているのはヒラタオフィスの安藤美優17歳。前も書いたけど、この子はすごいよ。子役時代から、いろんな人から絶賛されていて、『セーラー服と機関銃 —卒業—』(2016年)では橋本環奈の少女時代、『咲 -Saki-』(2017年)では浜辺美波の少女時代、『帝一の國』(2017年)では永野芽郁の少女時代、『ひとよ』(2019年)では松岡茉優の少女時代を演じている。そして今回は泉里香の少女時代だ。
ついでに『約束のネバーランド』(2020年)でグレイス=フィールドハウスの子どもたちのひとりギルダ役で北川景子と共演しており、『女神(テミス)の教室』第10話にも、塾講師の渡部秀に裸の写真を撮られて脅迫された被害者の役で出ている。弟の健吉役の市原匠悟16歳もヒラタオフィスで、これまたNHKを中心にけっこうな出演歴がある。以下、近松の語る黒池姉弟の来歴が、まあこの物語の出発点でもあるので、ちょっと長くなるが見ておきたい。
萩 崎「教え子?」近 松「ええ。私は小学校の教師をしていました」
萩 崎「そうだったんですか」近 松「健吉はかわいそうな子でした。幼い頃に両親を事故で亡くしましてね。叔父の家に預けられたんです、姉といっしょに」
萩 崎「姉。黒池健吉に姉がいたんですか?」近 松「ええ……ちょっと待ってください」
萩 崎「……姉……」
近 松「これは村祭りの写真です。いまから12年くらい前になります」
萩 崎「盛大にやっていたんですね」近 松「この村も今よりにぎやかでしたから」
近 松「ほら、これが黒池健吉です」萩 崎「隣に写っているのは?」
近 松「これは二つ違いの姉です」萩 崎「名前は?」
近 松「絵津子。黒池絵津子です。仲の良い姉弟でした。いつも二人で手をつないでいたような印象が残っています」
萩 崎「二人は両親を亡くし、叔父に引き取られたんですよね」近 松「ええ。同じこの村に住む叔父が引き取ったんですが、何かと問題の多い男だったんです」
萩 崎「文雄さんですか?」近 松「そうです。梅村文雄。子供の頃は村一番の秀才と言われていたんですが、その頭の良さを悪いことにしか使わない男でした。絵津子や健吉を引き取ったのも、親が残した保険金目当てでしょう」
萩 崎「保険金欲しさに二人を引き取ったんですか」近 松「そうとしか思えません。文雄が二人の両親を、事故に見せかけて殺したという噂まであったほどですから」
近 松「文雄は、自分だけは贅沢をして、絵津子や健吉にはろくに食事も与えなかったようです」
近 松「贅沢三昧で金を使い果たすと、今度はネズミ講みたいな真似をして、村の人間から金を掻き集めました」
近 松「騙されたと気づいた連中は、文雄を許しませんでした。警察が介入する前に、少しでも金を取り返そうと、みんなであいつの家に押し掛けたんです」
近 松「そこであの悲劇が起きました」
村 人「文雄はどこだ。いるんだろう」絵津子「おじさんは昨日から帰っていません」村 人「嘘つくんじゃねえ!」村 人「文雄、隠れてねえで出てこい!」村 人「どこかに金が隠してあるはずだ。みんな探せ」
村 人「おーい、大変だぁ。納屋が燃えているぞお」
健 吉「おじさん!」
絵津子「おじさんが中にいるんです。助けてください!」村 人「なんだとぉ」村 人「あんな所に隠れていやがったのか!」
絵津子「助けて、助けて誰が助けて」村 人「おい、死にてえのかよ」絵津子「助けて、助けて」
(納屋の中から火だるまの男が現れる)
村 人「見ろ。もうダメだ」
健 吉「おじさん……」萩 崎「梅村文雄は焼身自殺を……」近 松「梅村は灯油をかぶって火を点けたんです」
近 松「まるで口から火を噴いているみたいでした」萩 崎「黒池健吉も焼身自殺」近 松「はい」
近 松「でもなぜ健吉まで」萩 崎「梅村文雄の死は自殺だったんですか?」
近 松「はい。村の人間たちにとっても忘れたい出来事でしたので、その話をする者はいなくなりました」萩 崎「その後、二人の姉弟はどうしたんですか?」
近 松「施設に預けられたと聞きましたが、詳しいことは分かりません」
近 松「あの姉弟のことを、私は教育者として忘れてはならなかったのかも知れません」
近 松「あの姉弟がどれほど心に傷を負い、どんな思いで生きてきたのか、それを知ろうとするべきでした」
このへんで、萩崎にも私たちにも、黒池姉弟の背後に誰がいるのか、誰が堀口こと黒池健吉を操って手形のパクリをやらせ、そして水嶋(忍成修吾 )に命じて田丸(加藤雅也)と関野(甲本雅裕)を殺させたのかは、だいたい見当がついてくる。
翌日、かつて焼け落ちた梅村文雄の家の跡に、絵津子の姿があった。姉弟仲睦まじく、貧しいなりに楽しかった日々の回想に浸っていると、そこに萩崎が姿を現す。
萩 崎「絵津子さん」
萩 崎「逃げなくていい。必ずここに来ると思っていました」
萩 崎「あなたたちに何があったのか、近松という人から聞きました」
萩 崎「十五年前までここには、あなたが弟や叔父さんと暮らした家があったんですよね」
萩 崎「堀口はあなたの弟、亡くなった黒池健吉ですね」
絵津子「嘘をついていてごめんなさい。でも死んだのは別人で、弟はまだ生きているはずです。顔が分からないほど焼かれてたんです。別人かも知れません」
萩 崎「やっぱりそうだったんですね。あなたの叔父の梅村文雄さんも、同じように亡くなったそうですね」
萩 崎「もしかしたら文雄さんも、誰かを身代わりにして、今も生きているんじゃないですか?」
萩 崎「文雄さんの写真を見て思ったんです。梅村文雄は生きている」
萩 崎「文雄さんですか?」近 松「そうです。梅村文雄」
萩 崎「山杉喜多郎として」
ということで、真相がようやく姿をあらわし始めたところで、第4話が終了。次回から第5話、最終回のレビューに入ります。
















































































