キーワード「小松彩夏」で来た人。あまりご期待に沿えませんが、そうですね、ここに、小松さんの全出演映画リストがあるので、よかったら参考にしてください。私のお薦めは『恋文日和』『僕は妹に恋をする』です。これ以降の出演映画は『NECK』『僕等がいた』(前篇・後篇)『らもトリップ』『踊る大捜査線 THE FINAL』ですね。次のお誕生日あたりに増補版を作成しましょうか。
ところで、前回とりあげた尾崎ナナさんって、どうもただの童顔で薄倖で貧乏なグラドルではなく、かなり特異な不幸体質の方のようだ。テレビ東京の深夜番組で、彼女がレポーターとして特殊な業界(例「コスプレモデル」「ボンデージ撮影」「赤ちゃんプレイ」)に突撃取材をかけて体験レポートをする『潜入調査』という番組があったらしい。そのDVD化記念のインタビュー(ここ)を読んでいてビックリした。この人はたぶん、かなり筋金入りの、えーと、なんか変な人である。インタビューの一部。
尾 崎「断れないですね〜。昔からよく勧誘に騙されてて、何十万もするエステの契約を何回もしちゃったり、上京したばかりのときは15万円もする部屋を借りちゃって。特に広くないどころか、シャワーだけでお風呂も窓もない部屋なのに......一生懸命アルバイトして貯めたお金が、あっという間になくなりました」
── 風呂なし窓なしで15万円ですか? よく信じましたね。
尾 崎「今あらためて考えればあり得ないんですけどねぇ。窓がないせいで不眠症になって、窓がないのはツラいんだな〜って分かりました」
── 窓のことだけじゃなくて広く学習しましょうよ(笑)。そんなに隙だらけじゃ、『潜入調査』の現場で危なくないですか?
尾 崎「コスプレモデルの体験取材したとき、取材先の人にスケスケのセーラー服を持って来られて「これに着替えて!」って言われたときは、冷静に考えて断りました。その格好だと放送禁止なんで」
── 放送禁止以前の問題かと思いますが。他に、印象に残った潜入現場ってあります?
尾 崎「赤ちゃんプレイの現場は厳しかった。気持ち悪かったです」
なんか大変そうである。テレビ東京も、これだけの仕事をさせたのだから、テレ東7ちゃんガールズに採用してやってくれよ。
1. 前(流派によっては「初発刀」というらしい)
さて、北川景子ドキュメント『輝く女』の続きだ。
ここで北川さんのふだんの仕事ぶりが少し紹介される。何か雑誌のモデルとして写真を撮られているところ、CM撮影風景、それから映画『花のあと』から北川さんの剣さばき。まあ今回のテーマから言って、この映像は使いたくなるよな。
ナレーションは『花のあと』を、北川景子の「転機」という。まあこれもいいか。
時代劇と言えば、この間WOWOWで森田芳光の『武士の家計簿』を半分くらい再見して、初見の時の「この作品の松坂慶子や仲間由紀恵は良いな」という印象をさらに強くした。森田監督、もうちょっと長生きしてくれたら、ぜったい時代劇で北川景子の魅力を引き出してくれたと思うんだけどなぁ。つくづく残念です。
さて居合いだ。最初の課題は「前」。
富田幸児六段のお手本を見てから、いよいよお稽古に入る。
富 田「相手よりも先にしかけるということが大事なんですね。相手に遅れをとると、こちらがやられます。かといって、相手に対してやみくもに早くするのではない。相手に、自分に対する敵意があることを察知するということが大事なんですね」
富 田「鞘を引くとね、自然に抜けるんです。で抜けた刀をそのまま真横に斬りますから、早く斬れるわけですね。これで相手の機先を制して、たとえばもし、傷つければ、態勢が崩れてこう、のけぞったりしますね」
富 田「のけぞった相手を、振りかぶって、これから後が仕留めの一刀なんです。頭のてっぺんから腹の下まで、真っ直ぐに斬り下ろすわけです。これは真っ向斬りと言います。これで相手の命を断ったわけですね。はい。じゃもう一回やって下さい」
富 田「足が開いて、勇ましいのかスキがあるのか分からない、でも実際にはスキがあるんですよ(笑)」
北 川「武士の人は多分こう、毎回毎回、抜くときに、これを抜いたことがきっかけで果たし合いというか、で、命を落とすかも知れないとか、失命するかもしれないとか、たぶん色々なことを考えながら、たぶん無事とか祈りながら、ほんとに、いろんな想いが逡巡して、ただこう、抜くだけですけど、してるんだろうなぁって、ちょっと考えたりしました」
私は経験が無いのでよく分からないが、ただアレだよね、普通だと、対戦相手がいないと真剣味が薄れるとか、そういうふうに思うんだけど、発想が逆である。
剣道で面を一本打つとき「ああこれで防具がなくて真剣なら、相手の頭をかち割って生命を奪うことになるんだな。でも、それって最良の解決法だったんだろうか」なんて、いちいち内省したりはしないだろうけど、居合いは、具体的な相手がいないからこそ、真剣勝負で命のやりとりをするレベルまで、頭の中でイメージをふくらませて剣を抜くという世界なのだ。
しかし富田先生は「足が開いて、勇ましいのかスキがあるのか分からない、でも実際にはスキがある」なんて、稽古初っぱなで、北川景子の女優としての基本スタンスをも見抜いてしまったみたいで、さすがだ。
2. 新さばモグ伝説
お稽古が終わって、お待ちかねご飯の時間である。「行きつけの店」に入って行く北川さん。前回、コメント欄で万丈さんからご指摘いただいたように、王将の彦根店だそうである。席も自分の定位置があるみたいだ。ここ。
北 川「いつもここ。だけど別に今日はどこでもいいです」
まあ入り口付近の席でテレビカメラとかが入っていると、他のお客様には迷惑だもんな。なので、もっと奥の方の席に行ってメニューを広げ、どれも捨てがたいということで、キムチラーメンとチャーハンと餃子6個を注文。しかしオリジン弁当とか王将とか、ほんとうに親しみやすい食生活の人である。
ここで、一日6食とか9食とか、ファンにはすっかりお馴染みの良く喰う話。
スタッフも遊んでいる。ここのBGMが『謎解きはディナーのあとで』のサントラなのだ。「あの麗子お嬢さまが、実は……」という演出だろう。
と、定番ネタをこなしたところで、おそらく人気女優らしからぬそのざっかけない性格に、同行したスタッフが「意外と自然体なんですね」とかなんとか言ったのではないだろうか。次のようなトークが始まる。
ずっと芸能人ではいられないじゃないですか。だから、家族といる時とか、友達といる時とか、ひとりで、自分が昔から知っている北川景子になる時が大事ですね。それがないと自分を見失いそうになる。
ちょっと去年、忙し過ぎて「えっ?」ってなった時期があるんです。はじめて、へへへ。(今まで)そんなことなかったけど。その役名でいる時間が多くて、「私どこへ行っちゃったんだろうか」とすごく不安になって、たぶんすごく不器用だと思うんですよね。
最近、だからその時期ぐらいから、日記をつけるようになったんですよ。それでちょっと解決して、今は楽になりました。
これは『この世界の片隅に』の頃のことか、それとも『謎解きはディナーの後に』の頃を言っているのか、専門家の分析を待ちたいと思います。
しかしあれだね「王将」って言われて見てみれば、たしかにテーブルのメニューとかにも王将のロゴがよく見える。民放の局だとこういう場合、最近はスポンサーへの気兼ねからか、スポンサー以外の商標のたぐいはボカシをかけて見えなくしちゃうことが多い。でもNHKは、ナレーションで「行きつけの店」とだけ言って宣伝活動をしないだけで、画面に「王将」の文字が映るのはぜんぜんOKってところが面白いですね。
3. ナイトウォッチ
そしてホテルに帰ってからも、突撃取材で撮影は続行。
もともと予定されていたものかも知れないが、やはりスタッフも、人気女優「北川景子」と目の前の北川景子との間に、それなりのギャップを感じたのであろう。そのへんについての質問をもうちょっと続けたい、という雰囲気になったみたいだ。受ける北川さんの答えは、「いかにも」という感じの、ファンなら十分に予想できる内容のもので、まあここも、説明は要らないな。
意外なのは、だいたいその、雑誌とか新聞とかバラエティで紹介されるときに、なんていうか(照れてる)……「女子たちのあこがれナンバーワン」ていうのが意外なのと──「え、そうなの?」っていうのと──「クールビューティー」なんていうふうに書かれることが多くて……(プッ)
マネージャーが超笑ってるけど……クールじゃないよね別にね。
クールビューティーってなんだろう。松雪泰子さんみたいな感じでしょう、クールビューティって。私はそう思っているんだけど。
だからこう、なんか、シュッとしたキリッとした感じの……(でも自分は)そんなことないんだけどなぁ、とか思って……。よく目にするんですね、掲載誌とか。(自分のことを)「クールビューティーなイメージを持たれている彼女だが」みたいな。「おーおーそういうふうに思っていたんだインタビュアーさんは」とか。それは意外。なんでクールと思ってるんだろう。
なんかもし、近寄りがたいとか、思われてたらイヤだなって思います。「普段どういうところで遊ばれるんですか?」なんて言われますけど、「一緒だって、みんなと」みたいな。でもなんか「声かけちゃいけないと思った」って言われることがたまにあるので……そんなことないです。なんか私がすごい怖い人みたいにみんな思ってる。
そんなことはないです。声かけて欲しいです。むしろなんか、私自身が受け身なんで、いつでも、なんか来てくれるのを期待しているところがあるんで、来て欲しい。友達でもなんでも、ほんとにそうなんですけど。だから恋愛とかでも、好きな人がいても、自分からは絶対に声かけないから、だから何でも話しかけてくれるのを、監督とかでも、待ってます。
4. Hunky Dory
さあ、なんか今回は番組の採録に終始して、私自身が口を差し挟む余地もなかったぶん、面白かったでしょ。最後に、北川さんのデジタル音楽プレーヤーにどんな曲が入っているかだけみて、終わりにしましょう。BGMにデヴィッド・ボウイの「チェンジズ」が流れる中、音楽の趣味を語る北川さん。
音楽はすごい好きです。いっぱい入っている。ずっと中学の時から決まって好きなのは、デヴィッド・ボウイとかが好きなんですけど、でも最近はホイットニー・ヒューストンが、亡くなったから、ベストをすごい聴いていて……。
ううむ。オムニバスやコンピレーションアルバムなんかの「様々なアーチスト」(Various Artists = V.A.)というのが「ベアリアス・アーティスト」というカタカナ名で登録されてしまうのは、これは仕様なのだろうが、ちょっと変ではないか?
それはともかく、2012年春の、北川さん所有の楽曲リストはどんなものか見てみよう。テレビの画面上で確認できたのは、カ行のアーチストからアルファベットのAで始まるアーチストの最初の方まで。
カ 行
キマグレン
コールドプレイ
サ 行
サザンオールスターズ
サスケ
ジェイソン・デルーロ
ジャスティン・ビーバー
スキマスイッチ
スピッツ
ナ 行
ナオト・インティライミ
ハ 行
フジ子・ヘミング
ブリトニー・スピアーズ
ヘイリー
ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラ
ホイットニー・ヒューストン
マ 行
メロン記念日
ラ 行
レミオロメン
A
ADELE
AKB48
Akon
Alexander Holmgren
Alicia Keys
Alicia Keys & Usher
Andress Johansson
タレントさんの中には、取材の時「私はこういう音楽を聴く人です」的アピールをするために、聴いてもない曲を自分のMP3プレイヤーに入れている人もいるそうだが、これはもちろんそうではないね。ナオト・インティライミがちょっと「お付き合い」っぽい感じがするくらいで(これだって実際に気に入っているのかもしれない)あとはかなり個人的な趣味の選曲ではないかと思う。この年頃の子にしては、けっこう洋楽ロック・ポップスへの傾倒が認められるが、クラシック系もちょろっと。フジ子・ヘミングかあ。北川さんが彼女を聴くっていうのは、図式としては、なんかすごく分かりやすいね。
「カ行」にコールドプレイはあっても、倖田來未(『謎解きはディナーのあとで』OP曲「Love Me Back」を歌っている)は入っていない。あと「ア行」が見られないので、「ベイベベイベ」の「安座間美優」や「迷宮ラブソング」の「嵐」が入っているかどうか確認できないのが残念。
これから生放送とか、舞台挨拶でテンションをあげなきゃいけないっていう時は、最近は松浦亜弥さん。ちょっと前、去年の年末とかは80年代の歌にハマって、工藤静香さんとか小泉今日子さんとか、あとウインクさん。あと中山美穂さんも。
……葉加瀬太郎さんも入ってました。
キョンキョンやミポリンとは、今後ドラマや映画で共演する可能性もけっこうあるから、話のタネとして今のうちに聴いておくのは良いことだと思う。あと「テンションあげたい時は最近は松浦亜弥」というわりに、上のプレイリストにあややの名前はない。「マ行」に入っているのはメロン記念日のみである。なんでだ。
そうだ。もう北川さんだってスターダストのエースみたいなもんだから、ここは事務所の先輩として、「マ行」に「メロン記念日」や「松浦亜弥」でなく「ももいろクローバーZ」を入れておけば良かったんじゃないだろうか。「曲のアレンジとかセーラームーンミュージカルっぽいし、赤の戦士がセンターなのが良いですね。大好きです。私も若い頃は赤の戦士でレオタードでがんばってましたよ」とか、言うわけないけど(笑)。
はぁ、今回はインタビューを沢山文字に起こして時間がかかってしまいましたが、そんじゃこのくらいで。バイバーイ。
……次回で完結できるだろうか。雲行きが怪しくなってきた。