実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第237回】欧米人問題〜火野リサの本当の墓はどっちだ?の巻

TBS 1月9日(土)午後5時〜5時30分『明日まで待てない!「筆談ホステス」みどころTV』
MBS 1月10日(日)午後3時〜3時30分『今夜放送!「筆談ホステス」みどころTV』
TBS 1月10日(日)午後9時〜11時『筆談ホステス 〜母と娘、愛と感動の25年。届け!わたしの心〜』

 

……とりあえず番宣でした。

 

 

1. カサレ問題の大いなる進展


1月4日付『M14の追憶』のコメント欄の、こっちよ!研究員による書き込みを見て、私はちょっとびっくりした。実写版の放送が終わって間もない2004年の年末に公開された東宝映画『GODZILLA FINAL WARS』(脚本:三村渉・桐山勲/監督:北村龍平)にVictor Casaleなる人物が出演しているのだという。
私はたまたま、この映画の DVD を所有していたので、さっそく首実検をしてみた。



上が実写版Act.18の、妖魔に取り憑かれた神父(ビクター・カサレ)、下が『GODZILLA FINAL WARS』で、地球防衛軍の司令室にいるVictor Casale、明らかに同一人物である。
うわぁ、ぜんぜん知らなかったよ。新年早々の収穫だ。おかげで、これまで謎の多かったビクター・カサレ問題が、かなり明らかになってきた。ただしこの問題に関心を寄せる人がどれほどいるかは疑問だ。M14さんですら、ほとんど関心なさそうに、このネタを私に譲ってくださった。
まあいいや、とにかく今回の記事は、この発見を讃える特別企画だ。こっちよ!研究員にはご褒美として、つい先月に復活した、コノミ隊員こと平田弥里さんの新しいブログの住所を教えてあげる(ここ)。すでにご存知だったらごめんね。

2. ガイジンさんの綴りが分からない


まずざっとおさらいしておくと、実写版セーラームーンには、だいたい以下のような欧米人キャストが出演している。


オレナ・シュペレヴァ(Olena Spereva)さん:エストア国王女(Act.10)

ビクター・カサレ(Victor Casale)さん:神父(Act.17、Act.18)

トレバー・ルート(Trevor Root)さん:ロンドン留学中の衛の友人(Act.29)

ウォルフガング・レルツレ(スペル不明)さん:亜美のアメリカの指導教授?(Special Act)

【番外】トマス・リンチ(Thomas Lynch)さん:司会者(Special Act[ノンクレジット])

番外のトマス・リンチさんっていうのは、Special Actの冒頭、うさぎが観ているテレビのなかで、ロンドンでグリッター賞を受賞した美奈子にインタビューしている司会者である。エンドタイトルのキャストクレジットにも名前が出ていないし、ほとんど画面に映っていないから、キャストに入れて良いのかどうかも分からないが、IMDB(Internet Movie Database)で偶然発見したので付け加えておく。この方についての詳しいことは【第144回】をご参照ください。

というわけで実質、オレナ・シュペレヴァさん、ビクター・カサレさん、トレバー・ルートさん、ウォルフガング・レルツレさんの四人が、PGSM欧米人オールスターズということになろうと思うが、とにかくどの方も、名前の綴りが難しい。ていうか正確なスペルが分からない。ご存知のように、実写版のオープニング・タイトルでは、欧米人キャストはカタカナだけで表記されるのだ。「ジェシー」とか「キャサリン」なんて分りやすい名前の人がいない。あ、ジェシーというのは『テレビでフランス語』の沢井さんの共演者で、キャサリンは越智千恵子さんのお祖母さまですからね。そういうのだったら、簡単にスペルが推定できるのだが、ヴォルフガング・レルツレさんの「レルツレ」なんかお手上げである。
でも逆にいえば、ネット上で調べるのなら、何10万ものサイトをヒットしてしまうありきたりの名前より、むしろ珍しい名前の人の方が絞り込みやすくて便利なんじゃないか。そう考えた人はいませんか?実は私も最初はそう思ったんだ。
しかしこの見通しは甘かった。なんと欧米のセーラームーンファンサイトの掲示板でも「オレナ・シュペレヴァのスペルはどうなっているんだ?」みたいな議論があったんですよ。英語圏の人にも分からないらしい。ただ、いろいろ意見が出たあげく、まあOlena Sperevaがいちばん妥当なんじゃないか、という感じで論争は終わりになっていた。だから私もこのブログでは暫定的に「オレナ・シュペレヴァ(Olena Spereva)」という表記を採用しているんです。
それ以外に大した根拠はないが、たとえばポーランドのマニアックなセーラームーン総合サイト(実写版情報も満載)「月夜見界」のマニアックなキャスト一覧 もこの綴りを支持している。ポーランドってヨーロッパの真ん中へんだし、そういうところでも支持されているんだから、このスペルで正しいかな、と信用したくなるでしょ。ならない?
でもその一方で「PROJECT WIKIMOON」(こちらは文字どおりセーラームーン版Wikipedia。これまたなかなか見応えがあります)では、名字のスペルは避けて、ただ「Olena」とだけクレジットされている。
実はビクター・カサレについても、これまで「Victor Casale」と「Victor Casarett」という二説があって、私はIMDBに準拠して後者すなわちVictor Casarett説を採用していたのである。しかし今回の『GODZILLA FINAL WARS』との照合でVictor Casaleであることがはっきりした。改めてこっちよ!さんには感謝したい。

3. Victor Casale氏の生活と作品


これら4人の欧米人キャストの中で、すぐに素性が分かったのは、名前の綴りもいちばん分かりやすかったトレバー・ルート君だけだった。

彼は実写版の当時、日本文化を学びに上智大学へやってきたばかりの留学生で、アルバイト代わりに日本のマイナーな芸能プロダクションとも契約を結んでいたようだ。上の画像は、2005年度の上智大学の、受験生向け入学案内パンフのもので、このときルート君は比較文化学部の日本語・日本文化学科3年生ということになっている。ということは、順調に行けば2007年3月にはご卒業されているはずだが、その後は郷里に帰られたのか、日本で仕事をしておられるのか、大学院に進学されたのか、いずれにせよ現在はタレント活動はされていないと思う。

しかし他のキャストについては、さっぱり情報がなかったのである。ところがこのたび、私がずっと「Victor Casarett」だと思っていたカサレさんが、こっちよ!さん情報によって「Victor Casale」であると判明し、晴れてこの名前で検索をかけたら、ぬわんとVictor Casale氏のHPなるものが存在した(ここ)。

それによると、カサレ氏は1950年6月4日ニューヨーク生まれのアメリカ人で、ニュージャージー州立ラトガース大学で中国史・中国文化を学んだ後、1972年に来日、東京のベルリッツで英会話講師として働き、一時期は非常勤講師として常盤大学で英語や英文学の教鞭をとったりもしていたようだ。その頃の著作として、常盤大学の吉川勲先生と共著で書いた『English: Face to face 秘書のための英会話』(Victor Casale ・吉川勲著、グローバルメディア、1986年)なんて本もある。

また小説家としては『The Button Men(チンピラたち)』というアクション小説を1999年にMinerva Pressから出版している。ニューヨーク・マフィアのドンの姪が日本のヤクザ組織に誘拐され、抗争が勃発する、という話らしい。本人の書いた惹句にいわく、西洋のマフィアと東洋のヤクザが激突する、ギャング小説版の『キングコング対ゴジラ』であり、東西文化の齟齬を描いたハードボイルド活劇だそうである。現在は茨城県水戸市に居を定め、日本人女性のユリさんという方と結婚、お子さんも三人つくられて、水戸駅のそばにNew York Stationというカフェバーを開いていらっしゃる。
って一気に書いたんだけど、ただですね、このカサレさんのHPって、どうも更新が2002年くらいまでで止まっているんだよね。2003年の実写版セーラームーンや2004年のゴジラ映画出演のことがひとことも触れられていないのは、どうもそのせいのように思える。とすると、New York Stationというカフェバーが今も水戸で健在かどうかも分からない。どなたか近隣の方、確かめてみてはいただけないだろうか。

4. 次回予告


というあたりで、今のところ把握できている欧米人キャストについて情報を紹介し終えた。
ところで、今週はオレナ・シュペレヴァさんの出ているAct.10と、ヴィクター・カサレ氏の出ているAct.17を毎晩のように繰り返し観ていたんですが、このあたりのエピソードで描かれる「火野家の過去」をめぐって、私は改めて考え込んでしまったよ。そこで次回は少しそのへんの問題を再考してみたいと思います。火野隆司(パパ)はカトリック教徒なのか否か?なぜ神社にレイをあずけたのか?火野家と火川神社との関係は?いや、回答を出せるあてがあるわけじゃない。問題点を整理したいだけです。特に大きいポイントは次のふたつ。


     
     
左がAct.10の回想シーンに出てくる少女時代の火野レイ。右がAct.34の回想シーン。
まったく別の子役が演じている。

前々回に書いたように、少女時代のまことを演じているのは、Act.6(舞原監督)と Act.31(高丸監督)では、監督が違っても鳴海美翔(なるみ・みしょう)さんで統一されているのに(両親役は撮り直されているから、同一映像の流用ではない)、レイに関してはAct.10(佐藤監督)が水黒遥日(みずくろ・はるひ)さん、Act.34(舞原監督)では田中明(たなか・めい)さんと、タイプの異なる子役が配されているのはなぜか。
まあしかしこの問題については、私なりの解釈はある。これはどちらも、レイが少女時代を回想している主観映像である。だからAct.34でパパに対するレイの先入観が劇的に転換したとき、過去のイメージが変貌を遂げたってかまわないのだ。
一方、現時点ではどうにも説明つかないのが、次の難問。


     
     
左がAct.17に出てくる火野リサ(ママ)の墓。右がAct.34に出てくる火野リサの墓。
ぜんぜん違う場所。

「RISA HINO」って、本当はどう書くのか。実は「火野里佐」かも知れないし「火野莉紗」かも知れない。でもなんとなく「火野リサ」っぽい。レイもカタカナ2文字の名前だから、という以外に何の根拠もないけどね。ちなみに原作もアニメも、レイの母の名前にはまったく言及しない。
それはそうと問題はこの二つの墓、いったいどう考えたらいいのか。カトリックでは一人の故人に対して二つの墓を建てて良い、という教義でもあるのか?あるわけないと思う。ということは、Act.17のオンエア(2004年1月31日)からAct.34の放送(2004年6月5日)までの半年足らずの間に、墓を移動したっていうことかな。何かせっぱ詰った事情でもあったのだろうか。でもどんな?
ともかく、何か合理的な解釈の可能性がないか、ないとは思うが、一週間かけて考えてみます。できれば、キリスト教の教義や風習に詳しい方の助言をお待ちしています。ではまた。