実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第670回】北川景子対策補習授業の巻(『探偵はBARにいる3』DVDレビュー予告編)


 
 バンダイ版ミュージカルの3代目セーラームーン、神戸みゆきさんは、2008年6月18日に24歳で亡くなった。あれから10年、今年の命日(6月18日)は19:00から天王洲銀河劇場で、乃木坂46版セーラームーンの公演がある。キャストはTEAM STAR。乃木坂のみんな、神戸ちゃんに捧げる気持ちをこめて「FIRE」を歌ってくれないか。この場をかりて永遠のセーラームーンに黙祷。



 その乃木坂ミュージカルだけど、朝の情報バラエティでゲネプロ観たときには頭が痛くなったが、初日を終えてファンの感想がネットに上がってきて、すこしホッとしているところだ。いくつか抜き出してみよう


「なぜこんなに男がいるのだ」
「乃木坂のオタクに一定数くさい人ときたない人がいるの何?」
「グッズ並んでる間に臭気にやられて頭痛くなってきた」
「スタンディング禁止、サイリウムは頭の上に上げず胸の前で、というアナウンスが流れる」
「ここ歌で表現しないの? ミュージカルだからもっと歌を!音楽を!」
「ほんとやばいありがとうございました」
「特に原作のオタク絶対観た方がいい」
「原作のセリフこれでもかってほど詰め込まれてた」
「とにかくとことん原作に忠実で忠実でびっくりしました」
「私、ラソルとかファイヤーとか聴けるセラミュがまた見たかったって思って生きてきたから、イントロの瞬間からもう震えと涙が止まらなかった 」


 ちょっとネタバレしちゃったけど、なるほど、分かった。大阪なると海野ぐりおがキャスティングされている時点で、ネルケ版よりさらに原作寄りであることは予想できたが、バンダイ版の楽曲を入れてくるとは驚きだ。これは9月公演を観に行かないとね。ただし、いつものセラミュよりおじさん臭がきついそうなので、私も入念なデオドラントを心がけたい。



 さて、今回は息抜き回。予定通りなら来週『探偵はBARにいる3』(2017年)の初回盤DVDが届く。このシリーズ、私は1作目『探偵はBARにいる』(2011年)を劇場で観ていて、2作目『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年)は海外出張の飛行機の中で観たのはなかったかな。配給は東映。東映側のスタッフは、プロデューサーの須藤泰司、脚本の古沢良太、監督の橋本一、音楽の池頼広といったあたり、テレビ朝日『相棒』チームで固めた感じ。



 我々の知っている名前では、2作目のエンドタイトルで「制作」の筆頭に白倉伸一郎プロデューサーが登場した。それで私は、北川景子を迎えて3作目を、なんて妄想していたんだけど、だいぶ時は経ったが4年越しで本当に実現した(3作目に白倉さんの名前はないみたいだけど)。今年の正月映画として公開され、私も行こう行こうと思っていたけど、結局スルーしてしまった。それでDVDを予約しました。



 というわけで今回のブログは、次回から始まる『探偵はBARにいる3』DVDレビューの予習として、レギュラー・キャラクターを中心に、映画版「ススキノ探偵シリーズ」の基本設定をおさらいします。なお私は、1作目と2作目を原作も読まずに観て、たいそう面白かったものだから。この3作目についても、できるだけまっさらな状態で鑑賞しようと、いまだに一切情報を入れていません。なのでフタを空けたら3作目には出て来ないレギュラーキャラや設定の変更があるかもしれませんが、そのへんはご容赦ください。



 まずは1作目と2作目のオープニングタイトルで共通して流れるナレーション。



お れ「人口190万。アジア最北の大歓楽街、札幌、ススキノ。ここはおれの街。おれはこの街のプライヴェート・アイ、そう、探偵だ」


 原作小説の主人公は、探偵というよりも「便利屋」を名乗っていて、ススキノ界隈で起こる揉め事解決を生業としている。もっとも主な収入は、トランプ賭博であるとか、あるいはどこか山奥で仲間と大麻を栽培したりとか、けっこう違法なことをやっていることがほのめかされている。でも映画の大泉洋は、少しはトランプ賭博をやっているようだが、よりまっとうな探偵として描かれている。
 


 原作でも映画でも「おれ」(大泉洋)の氏名は明示されない。これはハメット『赤い収穫』以来、ハードボイルド探偵にはつきものの由緒ある設定だが、ただ、大泉洋の「おれ」は、コンチネンタル・オプに較べればはるかに饒舌で、しょっちゅう弱音も吐く。お喋りという点では、ロバート・B・パーカーの創造したボストンの私立探偵スペンサーと同じぐらい、無駄口が多い。そしてスペンサーにホークという凄腕の相棒がいるように、「おれ」にも高田(松田龍平)という、やたらと強い助手がいる。




 高田は北海道大学農学部の助手で、空手の師範代。なまけものだがケンカにはめっぽう強く、バイト感覚で「おれ」の探偵助手をしている。



 普段は「おれ」に対してけっこう冷淡だったりもするが、いざ「おれ」の身に生命の危険が迫ると「まあ、今回はあれだ、手ぇ引け。一人きりの友達、なくしたくねえや」なんて泣かせるセリフを言ったりもする。




 「探偵はBARにいる」というタイトル通り、「おれ」はほとんど毎晩「KELLER OHATA」(ケラーオオハタ)というバーのカウンターの隅っに腰を据えている。「おれ」は携帯を持っていないので、「おれ」の名刺には、このバーの電話番号が刷られている。
 「おれ」に事件の依頼の電話があると、無口なマスターが、黒いダイヤル電話を差し出す。




 ケラーオオハタのマスター、大畑を演じている桝田徳寿は、俳優業のかたわら、札幌で「SAKE BAR かまえ」という店を持っていて、本当に毎晩、カウンターに立たれているそうだ。ただ、映画の中のカクテルの監修やバーテンの演技指導の担当者はまた別にいて、それは「BAR一慶」のマスター、本間一慶さんだそうです。ここはレアもののニッカウイスキーがいただけるそうです。札幌にいったらどっちの店にもぜひ行ってみたい。



 しかし探偵のくせに携帯をもっていないとは時代錯誤にも程がある。実は原作のススキノ探偵シリーズは、出版されたのは1992年だが、物語はもうひと廻り前の時代に設定されている。


 ちょっと昔、風俗営業法が変わる前、「ソープランド」が「トルコ」と呼ばれ、エイズがアメリカのホモだけが罹る原因不明の奇病だった頃、俺はススキノでぶらぶらしていた。


 これが第1作目の冒頭だ。つまり1980年代だね。だから携帯なんてあるわけがない。でも映画版は現代の話なので、少し奇妙な状態になっている。我々世代は、バーテンが黒電話を差し出す、というレトロなヴィジュアルにそれなりの興趣を感じるけれども、若い人たちはどうなんだろう。



 「おれ」とは貸し借りがあって、いわば腐れ縁の関係にあるヤクザ、桐島組の相田(松重豊)。1作目が公開された2011年当時は、この人はまだこういうコワモテの役が主要レパートリーだったと思う。転機は翌年の『孤独のグルメ』(2012年)。そして『孤独のグルメ』シーズン2第6話(2012年11月)で小松彩夏と共演をはたす(それがどうした)。



 『探偵はBARにいる』では、1作目にも2作目にも、松重豊と大泉洋がサウナに入って会話するシーンがあって、その時に必ず付き人の組員がスーツ着たまま死にそうな顔で控えている。それが桐原組の組員、プッチョ(土平ドンペイ)。




 桐原組の組長(片桐竜次)も、ちょっとずつ出演するから一応レギュラー組か。



 
原作では怖い人だったと思うけど、映画版では『相棒』の刑事部長役に寄せたコミカル演技。



 一作目の冒頭で依頼人として登場する北海道日報の記者、松尾(田口トモロヲ)。依頼内容は、ユスリのネタにされそうな美少年とのベッド写真を回収する仕事だった。調子に乗ると「おれ」を連れてススキノのゲイバーを引っ張り回すクセがある。



 行きつけの喫茶店「モンデ」。原作だとここではいつも、トーストとベーコンエッグとかの普通のモーニングに、スーパーニッカのストレートをダブルで頼んだりするのだが、映画版の大泉洋は決まってナポリタンとコーヒー。どっちもまずい。ここの、妙に露出が多くて、すぐ「おれ」の気を引こうとするウエイトレスが峰子(安藤玉恵)。



 安藤玉恵ってたいしたインテリ(死語)のクセに、こういう蓮っ葉な役がうまいよね。『深夜食堂』のマリリンとか。
 そして、この人はレギュラーというのだろうか。花岡組の佐山(浪岡一喜)。



 1作目ポッキリの敵役かと思ったら、まさかの2作連続出演。ロジャー・ムーアの007シリーズにおける「ジョーズ」のような役回りである。3作目には出てくるのだろうか。
 そしてもう一人、この人は2作目にちょっとしか出ていないので、ぜんぜんレギュラーじゃないけどつい挙げたくなっちゃう、役名は「極上女」(麻美ゆま)。



 日本語がカタコトだがとにかく胸が大きくてナイスバディで明るくエロい。2作目の冒頭で「おれ」はこの娘にハマって、手がけるつもりだった捜査が放ったらかしになってしまう。連日ベッドから一歩も出ず、『ロッキー』のスタローンもびっくりのジョッキ生卵一気飲みでスタミナ回復。



 探偵の仕事を妨害するためのハニートラップかと思ったら、そのうち金持ちのパトロンを見つけて雨の中を去っていった。ホントにただの脱ぎ要員である。でも麻美ゆまさんは。それだけではもったいない人なので、再登場してもうちょっと奥行きのある役を演じて欲しいなあと秘かに思っています。



 と、このくらいにしておこう。だいたい以上のようなメンバーに、北川景子はじめ新しいキャストが加わる『探偵はBARにいる3』DVDレビューは次回からだ。



以下、1作目と2作目のネタバレになります。すみません



 そもそもこの映画、実は1作目も2作目も、ヒロインの「復讐」の物語である。特に1作目の小雪。



 夜の世界でのし上がるためなら、元恋人を惨殺させた黒幕(石橋蓮司)にも平気でなびく、そういう打算的な女を最後まで演じる。で、その男の息子(本宮泰風)と婚約して、披露宴のその時まで我慢に我慢を重ね、ついに華燭の宴で復讐を果たす。めちゃくちゃかっこいい。









 そして2作目。原発再稼働反対を訴え、市民団体の圧倒的な支持を受ける代議士(渡部篤郎)に、孤高の復讐を試みるバイオリニストの尾野真千子。演説会の会場で、バイオリンのケースに刃物を隠して相手に接近するその行動はほとんどテロリストである。













 でも、1作目では小雪の復讐を止められなかった「おれ」は、この2作目ではなんとか身体を張って尾野真千子の復讐を防いだのだった。
 一見クールなヒロインが、最後の最後まで耐え抜いた想いを爆発させて行動に出る。そこに、一見とぼけた探偵が、やはり熱い想いをもって乗り込んでくる。東映のお家芸『極道の妻たち』シリーズにも通じる、女と男の情念の交錯がこのシリーズの魅力である。そんな『探偵はBARにいる』に、新たなヒロインとして我らが北川景子が登場するっていうんだから、これは当ブログとしてはしっかり見届けたいですね(みんなもう劇場で観ているんだろうけど)。というわけで、次回より何回かかけてDVDレビューをいたします。