実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第877回】ニレの木陰の欲望の巻(『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE LEGACY OF The Master's Soul』レビュー:その5)


 現在放送中のスーパー戦隊シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』も30話を越えた。白倉伸一郎プロデューサーが、戦隊物のルーティンをできるだけ逸脱したいという趣旨の発言をしていたと思うが、確かにその通り、ルールはぜんぶ破ってやろうという作風ではある。



 私は、またやってんなぁ、と思って観ているけど、好き嫌いが分かれる作品かもしれない。設定が破格なぶん、演出はきちんとしておこうという配慮か、久しぶりに田崎竜太がメイン監督を務め、それにセーラームーンの理科の加藤先生(加藤弘之)もローテーションの中心だったりして、画面から受ける印象は良い意味で破天荒ではないところが、私の好みのポイントです。



 あとソノニ(宮崎あみさ ex Mystear)とイヌブラザー(柊太朗)の二人の場面になると、お父さんどきどきしちゃって、こっちのほうが、よりポイントかもしれない(←バカ)。



 ただ脚本を井上敏樹が事実上ひとりで書いている。なので、色々絡み合ってストーリー的には盛り上がっているが、最後に伏線が全部回収されるとか、すべての謎が明らかになるとか、そういう、ぴたっと収まるべきところに全てが収まる最終回は、まず期待できないだろう。



  一方、うちでレビューしているスーパー戦隊シリーズ第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のオリジナルスピンオフ作品『THE LEGACY OF The Master’s Soul』(脚本:下亜友美/撮影監督:石塚将巳/監督:たかひろや/プロデューサー:丸山真哉と仲間たち)も、話が佳境に入ってきましたぞ。



 マスターレッド(黄川田雅哉)を追い回していた元気少女ハナ(駒井蓮)の正体はヒイラギの娘だった。……っていってもヒイラギが誰かよく分からない。ともかく、ヒイラギはすでに故人で、父親は「赤いリュウソウジャー」に殺された。ハナはそう思って、父の仇としてマスターレッドを追っていたのだ。



ハ ナ「私は父とは離れて育った。何年かに一度しか会えなかったけど、私は父が大好きだった」



ハ ナ「あの日も、久しぶりに父と会えるのが楽しみだった。なのに……」



ハ ナ「誰が父を手にかけたのか」



ハ ナ「きっと、父からリュウソウレッドの座を奪おうとした奴がやったに違いない」



ハ ナ「だから私は今のリュウソウレッドを必死に探した」



ハ ナ「そしてやっと見つけた」



ハ ナ「マスターレッド。あんた、あんたが父を殺したんだ」





ハ ナ「マイナソー?」




 無邪気な元気娘の仮面を捨てて、ハナがマスターレッドへの敵意を剥き出しにすると、あの手強いマイナソーがあらわれた。てことは、マイナソーを生んだのはやはりこのハナか?
 ここまでの会話からすると、ハナの父はヒイラギで、ヒイラギはマスターレッドの先代のリュウソウレッドということだ。つまり師匠だ。しかしそうなると、先代のヒイラギは、現役のリュウソウレッドだったとき(もしくはそれ以前)に結婚してハナを作ったのか。



 まあ、ただいま放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のキジブラザー(鈴木浩文)も新婚だし(ただし新田桃子の演じる嫁さんは訳あり)、古くはタイムイエローのドモン(現:和泉宗兵)も、レギュラーシーズンの間にちゃっかり彼女(現:吉村玉緒)とのあいだに子供をつくったりしていた。



 だからスーパー戦隊が子持ちで悪いということもないんだが、ただ、リュウソウジャーの場合、先代がマスターになって弟子をとり、そのなかから後継者を選び、引退するシステムのようだ。だから、マスターになるまでは結婚したり家庭をもったりしないんだろうな、と思い込んでいた。そうではないのだね。じゃあマスターブルーとマスターピンクが結婚してもいいのか。あるいは先代のブルーが後継者のブルーと一緒になることもいいのか。
 それでマユ(宮﨑香蓮)はリュウソウブルーを目指していた。でもマスターブルー(渋江譲二)はマユを優秀な弟子としてかわいがったけど、男女の感情を抱いてはいなかった。



 久しぶりに会ったマスターに、やっぱり本当の気持ちを言えず、去って行く後ろ姿を見送るマユ。そんなマユに同情するような、哀れむような声が。



ニ レ「後悔がなければなぜそんな顔をする」



マ ユ「ニレ? どうしてここに?」



ニ レ「本当はリュウソウジャーではなく、マスターブルーの恋人になりたかった」



ニ レ「図星だな」




マ ユ「いいんですよ、もう」



マ ユ「マスターには想うひとがいたんだから」



マ ユ「私はただ、修行する意味を失った」



マ ユ「それだけです」



マ ユ「で、いったい何の用ですか?」
ニ レ「カナエソウルをよこせ」



マ ユ「え?」



ニ レ「お前がリュウソウルの研究をしていることは分かっている。そして、カナエソウルを手に入れたということもな」



マ ユ「イスカから聞いたんですか?」



ニ レ「さあな」



ニ レ「カナエソウルを渡すんだ」



 マユからカナエソウルを無理やり奪おうとする、このニレ(松田賢二)とは何者か。ハナの父親の名はヒイラギだった。ヒイラギは常緑広葉樹、ニレは落葉広葉樹である。同じ広葉樹でも、毎年一回は枯れて散るニレ。その命名の意味するところは何か。
 一方、傷ついたアスナ(尾碕真花)からイスカの様子を聞き、さらに心配のつのるマスターピンク(沢井美優)は、ようやくイスカ(花影香音)を見つけ出した。



マスターピンク「見つけた」



イスカ「……マスター、私アスナと戦いました」



イスカ「あの子は馬鹿力しか取り柄がない」



イスカ「私の方が強くて頭も良い。リュウソウピンクにふさわしいのは私のはず。なのに……」


╳    ╳    ╳



イスカ「何で……」



イスカ「何で戦わないのよ」



アスナ「だって戦う理由がない」



イスカ「どっちが強いかはっきりさせるの。強い方がリュウソウピンクになるんだから!」



イスカ「うっ!」



アスナ「イスカ?」



アスナ「大丈夫? 顔色が……」



イスカ「うるさい!」



イスカ「剣を抜け。戦え」



イスカ「リュウソウジャーは戦うことが使命なのよ」



アスナ「違う」



アスナ「マスターが言ってた。リュウソウジャーは守るために戦うんだ、って」



アスナ「イスカ、あんたは間違っている」



アスナ「私は仲間を傷つけるなんてできない」



イスカ「この……」




╳    ╳    ╳



イスカ「私は……アスナに勝てなかった。強くなりたくて必死にあの技を習得したのに……」



イスカ「私とアスナでは何が違うんですか?」



マスターピンク「アスナは、あなたの心配をしていた」


╳    ╳    ╳



アスナ「マスター……」



アスナ「イスカを助けてあげてください!」



マスターピンク「分かった」



マスターピンク「約束する」



╳    ╳    ╳



イスカ「何それ……」



マスターピンク「あの子の強さはそういうところ」



マスターピンク「あなたは剣の強さに捕らわれ過ぎた」



マスターピンク「こんなに無理して……強さはひとつじゃない」



マスターピンク「お願いだから、もうこんな危険な技を使うのはやめて」



マスターピンク「あなたは私の大切な弟子なの」



 えーと、知らないうちに、15分×3話の物語も、すでに第2話の半分過ぎぐらいまで紹介してしまっているが、第1話が「元気少女のハナ登場」の回だとすると、第2話はイスカが本当の「強さ」にめざめる回(あるいは暴走したイスカをプリンセスが癒やす回)といって良いのではないか。そういう意味で、ここでだいたい第2話のエピソードも大団円を迎え、後半の物語に入ってゆく。イスカを演じた花影香音さんの出番も、あともう少しだけ。お疲れチャッキー。



マスターピンク「イスカがマイナソーを生んだんじゃないなら、なぜあのマイナソーは技を使えるの?」
イスカ「実はあの技、ニレから教わったんです」
マスターピンク「ニレに?」



イスカ「はい。カナエソウルのことを教える代わりに、あの技を」
マスターピンク「カナエソウルって、願いを叶えてくれるっていう、幻のリュウソウル」
イスカ「うん、マユはそれをずっと調べていて、最近手に入れたみたいなんです。そのことをニレに」



マスターピンク「ってことは……」



マスターピンク「マユが危ないってこと?」


 実際、ニレはマユの前に現われ、剣を突きつけリュウソウルを奪おうとしているからね。いったいニレとはどういう人物で、何をしようとしているのか……というあたりがドラマ後半のポイントとなる。
 でも全部ネタバレするつもりはもちろんない。お話の結末を知りたい人は、東映特撮ファンクラブに入るか、ディスクを買うかしてください。このブログでは、あと1回くらい次これのレビューをやって、その次は『高嶺のハナさん2』に移行する予定です。今のところは。よろしく。