コメント欄に「北川さんはVENEXのルームウェアを愛用しているから来ないよね」なんて勝手なことを書いて済まなかった。来た。尊いヴィーナス&マーズのツーショット。ありがとうございました(誰に?)。
さて、今月は時短モードで『正直不動産』第7話「過去の自分と今の自分」を(2022年5月17日放送/監督:川村泰祐/制作:NHK・テレパック)の泉里香登場シーンをひとつずつ紹介しています。そろそろ終盤。話を整理しよう(自分の理解のため)
共働きから隠居生活に入った藤崎夫妻(前田吟・中田喜子)。でも年金生活はあまりに余裕がない。夫の秀樹は思い切って自宅を売って、賃貸に住もうと考える。そうすればまとまったお金が手に入るが、しかし住み慣れた家を離れなければならない。
それに永瀬(山下智久)がざっと見たところ、自宅は立地条件にやや難があり、良い条件で短期間に売れるか分からない。
そこで光友銀行の美波(泉里香)は「きらきら長寿」を奨める。リバースモーゲージといって、自宅を担保に融資を受けられるプランだ。ローンを終えたばかりの自宅を手放さず、お金が借りられる。
ただ融資は融資なので、契約期間が終了しても元気なままだと、当然、返済義務が生じる。その間に地価が下落すれば融資額も減る。長生きするほどリスクが増えるのだ。どっちを取るかは微妙な選択である。
永 瀬「査定価格は4, 800万円になりました」
秀 樹「あぁ、そうですか」
美 波「それで、ご決断はされたのでしょうか?」
秀 樹「ええ。いろいろ考えたんですが、家を売ることにします」
永 瀬「そうですか」
永 瀬(よし! これで課長代理としてのメンツも保てる!助かった)
美 波「あの……理由をお教えいただけますか?」
秀 樹「やっぱり、やっと家のローンが終わったのに、また借金するってのは、ちょっと」
芳 恵「この家を手放すのは心苦しいんですけどね」
美 波「そうですか」
秀 樹「ただ、家を売却したあとの資産運用などは」
秀 樹「光友銀行さんにお願いしたいと思ってます」
美 波「かしこまりました」
美 波「では永瀬さん、後はよろしくお願いします」
(正直の風)
美 波「では藤崎さん、失礼いたします」
秀 樹「はい」
永 瀬「榎本さん、お待ちください!」
美 波「はい?」
永 瀬「藤崎さん、この家、絶対に売ってはいけません!」
永 瀬「それより光友銀行さんのキラキラ長寿を契約すべきです」
美 波「永瀬さん?」
秀 樹「何で急に!?」
永 瀬「もしかしてお孫さん、アレルギーをお持ちなんじゃありませんか?」
芳 恵「あの、どうしてそれを?」
永 瀬「あの砂、抗菌砂ですよね」
永 瀬「お孫さん、普通の砂場で遊ぶと」
永 瀬「湿疹などの症状が出てしまうのではありませんか?」
芳 恵「ええ。 でも颯人は砂遊びが大好きで。だからあの子のために、砂を取り寄せました」
芳 恵「私にとっても、庭は孫と過ごせる幸せな場所ですから」
美 波「だから奥様、家の売却に気が進まなかったんですね」
芳 恵「あっ……はい」
永 瀬「ご主人」
永 瀬「ここを売却したら、この砂場はもう戻ってきません」
永 瀬「かといって、お二人の年金支給額を考えると」
永 瀬「庭付きの賃貸物件に住むのは、正直言ってむずかしいです」
永 瀬「幸せのかたちは人それぞれです」
永 瀬「私は、お孫さんのためだけでなく奥様のためにも、この家を売るべきではないと思います」
秀 樹「それでは登坂不動産さんが困るんでは?」
永 瀬「いえ。私たちは物件を右から左に仲介しているわけではありません」
永 瀬「家を通じてお客様の人生を豊かにする」
永 瀬「そのお手伝いをすることが、不動産屋の仕事ですから」
不動産屋からこういうセリフが出ればドラマも終盤。ただ三軒家万智は最終回までこのセリフをとっておいた。
万 智「大切なのは私が預かったお客さまの人生です」
それと永瀬財地の場合、最後のキメぜりふが、やや弱いんだよね。
永 瀬「安心してください、私は嘘がつけない人間なんです」
いやこれはこれでいいんだが、たとえばこの『正直不動産』というドラマが全話通して明らかにするテーマを、三軒家万智は、最初から確信しちゃっているのが強みだ。「不動産屋です」だもんな。ましてや、きちんとお客さまのことを考えつつも、これは商売だという大事なポイントも押さえている。
万 智「この家、お買い上げいただけますか?」
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万 智(……落ちた……)
三軒家万智のモノローグは他にはほとんどない。私たちが知ることの出来る彼女の心のセリフは毎回「落ちた」の一言だけなのである。ていうことで、今回はここまで。でも『正直不動産』にもこれを越えるキメぜりふはあるぞ。
美 波「へば!」
主人公のセリフじゃないけどな。ということで、へば。