みんなが観たかった今年いちばんの話題作(勝手に決めるなよ)が、いよいよ次の金曜日、2021年8月6日に公開だ。
みんなワクチン打ったか(私はまだだけど)? 映画館は、飲み食いせず静かに観賞していれば感染のほうは大丈夫だと思うぞ。みんなで距離とって映画館に観に行こう。
もっとも、私が本当に観たいのは、この映画そのものよりも、この映画のなかに出てくる劇中作品。これは原作(原田マハ『キネマの神様』文春文庫)にはない映画オリジナルのようだ。
どっちかというと、カラーの本編よりも、このモノクロ映画のほうを全編ノーカットで観たい。なんて、公開前から失礼な事を言ってすみません。でも本当にそう思う。
あと、舘ひろしの事務所に入った弱木くん(みんな「弱気くん」って書くなよ。「弱木」だよ。弱木強だよ)がケガしたらしい。気をつけて養生してね。『中日スポーツ』(2021年7月29日付)より。
7月から舘プロに所属した俳優の小越勇輝(27)が、NHKBSプレミアムドラマ『生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔』(今秋スタート)の撮影中に右鎖骨を骨折したと、所属事務所がこのほど公式サイトで発表した。
30日に初日を迎える舞台「梅棒 12th WONDER『おどんろ』」(東京・よみうり大手町ホール)は、本人の強い希望で出演する。演出を一部変更し、主治医と相談した上で安全面を最大限に考慮するという。
骨折しても舞台は休まない。侠気の弱木君である。まあ5年間テニミュの主役を張り続けてきた根性があるもんな。というわけで、こちら『高嶺のハナさん』でも、だんだん弱木君の骨っぽい(でもちょっとズレている)ところが前面に出てきて、ハナさん(泉里香)はもとより、イチゴちゃん(香音)もどんどん弱木(小越勇輝)の魅力にハマってしまうのだ。第8話は前回も触れたように、ゴキブリが嫌いな塚田芽来の初監督回(2021年5月29日、BSテレ東、原作:ムラタコウジ/脚本:岡庭ななみ/照明:丸山和志/撮影:神田創/監督:塚田芽来/プロデューサー:瀧川治水・清家優輝)。
もうこのあたりまでくると、原作に対してドラマのハナさんの心の声は2割増し、いや3割り増しくらいになっている。
華 (ああぁぁぁ。もっと優しくしてあげたいのにぃ)
華 (なんでいっつも、こうなっちゃうのかなぁ)
一方、3日も会社を休んじゃったイチゴちゃん(すごいね)にちょっかいをかけるチャラ田(猪塚健太)。
で、あいかわらずイチゴと弱木をくっつけようと、告白タイムを演出するが、本気すぎるイチゴちゃんが玉砕してしまうくだりは、すでに紹介したっけね。
どうも自分の思うように話が進まくて焦るチャラ田は、COP(クールジャパンお菓子プロジェクト)が大詰めで夜も会社にカンヅメ中の弱木を飲み屋に喚び出し、宣戦布告する。
更 田「天井がお前のこと、好きなんだってさ……なんでお前なのかね?」
弱 木「……もしかしてチャラ田さん、天井さんのこと……」更 田「んなわけねーだろ」弱 木「じゃなんで」
更 田「別にいいだろ。とにかくお前はもうちょっと天井のこと考えてやれよ。ああ見えてアイツ、純粋だぜ」
弱 木「そんなこと言われても、僕には好きな人が」
更 田「高嶺だろ? まぁお前の気持ちはわかってるよ」
更 田「わかってるついでにもうひとつ言っとくと、俺の未来の嫁は高嶺だから」
弱 木「は? えっ……えっ? それって、どういうことですか!?」
更 田「別にお前と張り合おうなんて思ってねえし。そんなんしなくたって、俺とお前じゃ結果は見えてるしな」
弱 木「お二人はつきあってるんですか!?」
更 田「今後そうなるってことだよ……そういうわけだから、天井のことよろしくな」
一途な弱木は可愛いイチゴちゃんにも一向になびく気配がない。意外と手ごわいと見てとったチャラ田は、いきなりハナさんとの結婚宣言をしてマウントを取ろうとしたのだ。思わぬ急襲にショックを隠せない弱木は、会社に戻る道すがら、座り込んでしまう。
弱 木(高嶺さんがチャラ田さんと?)
弱 木(そんなの、僕がかなわないことくらいわかってるけど、でも、でも、ああ……)
華 「あれ? 弱木くん?」
弱 木「え? 高嶺さん?」
華 (そんな子犬みたいな瞳で見つめないで~!)
弱 木「遅くなってしまいすみません」
華 「そうよ! 何してたのよ?」弱 木「ちょっとチャラ田さんと飲んでまして」華 「何のんきにお酒なんか飲んでるの」弱 木「いえ僕お酒は飲んでないです」華 「そういうことじゃないでしょ!」
弱 木「すみません。それ持ちますね」華 「ありがとう。あっ、い、いいよひとつで」
弱 木「いやでも」華 「いいから!」
弱 木「やっぱり 持ちますよ」華 「いいから! いい」
弱 木「いいんですか?」華 「いいです」
弱 木「いや でも やっぱり」華 「いや!」
華 (こんなふうに弱木くんと歩けるなんて)
華 (はぁ……この道が永遠に続けばいいのに)
弱 木「高嶺さん、これ夜食ですか? すごい量ですけど」
華 「これのどこが夜食なのよ? どう見ても違うでしょ!」
弱 木「そうですよね」
華 「とりあえずお菓子を片っ端から買ってみたの。何かヒントが見つかるんじゃないかと思って」
弱 木「なるほど! さすが高嶺さんですね」
華 「なに言ってるの? そんなの仕事の基本でしょ!」
弱 木「あっ……はい! すみません」
華 (あぁぁぁ、また やってしまった。どうして いつもキツい言い方になっちゃうの?)
華 (私のバカバカバカバカバカバカバカバカ)
弱 木(本当は もっと 高嶺さんの力にならなきゃいけないのに……)
弱 木(もっと頑張らないといけないのに……)
ふたり(はぁ……)
一方、実は弱木君からもらった「またタコパやろうね」のひと言がメチャクチャ嬉しかったいちごちゃんは、親友のエミ(森田想)とお茶している間も、頭の中はタコだらけなのであった。可愛いね。
エ ミ「お~い」
莓 「タコタコタコ」
エ ミ「ちょっと 聞いてる?」
莓 「えっ?」
エ ミ「何がタコタコよ?」
莓 「あっ……ごめん」
エ ミ「彼氏できたとか?」
莓 「えっ? まさか、違うって」
エ ミ「また~ だって 苺らしくないし。あっ、今度は本命か?」莓 「だから違うって!」
エ ミ「で どんな人?」莓 「別に好きっていうか、なんかほんのちょっと気になるだけっていうか……」エ ミ「はいはいはい。 で、どんな人?」
莓 「企画部のくせに全然仕事できないし」
莓 「いっつも怒られてるし、頼りないし鈍感だし、マザコンだし」
莓 「でもなんか天然っていうか、バカ正直っていうか、真面目っていうか」
エ ミ「ねぇ、ねぇ! そのへんに彼がいっぱい見えるんだけど」
莓 「はぁ?」
こうしてイチゴちゃん、ついに弱木先輩に告白する。それもコンビニで買ったワンカップをあおって、酒の勢いでコクるのであった。……ってあたりで、今回はこのへんまで。続く。
しつこいようだが最後にもう一度。山田洋次監督『キネマの神様』2021年8月6日全国ロードショーです。