実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第812回】筑前煮女、散るの巻(『リコカツ』第8話)


 2021年8月6日より全国東宝系にて公開される『元カレとセスナに乗ったらパイロットが死んじゃった話』(原題『地平線』HORIZON LINE、ミカエル・マルシメーン監督)。サーファーと人喰いサメの死闘を描いた『ロスト・バケーション』スタッフの手がけた新作で、今度は海から空に舞台を移した。友人の結婚式で、インド洋に浮かぶ小島へ向かうため、小型セスナに乗り込んだサラ(アリソン・ウィリアムズ)。タイミング悪く、偶然乗り合わせたのは元カレ(アレクサンダー・ドレイマン)。さらにタイミング悪く、気まずい空の旅が始まるやいなや、パイロットが心臓発作で急死! 自動操縦は機能せず、GPSは故障。通信機能も途絶え、前方には巨大乱気流が迫る。



 ……っていう話だそうだ。こういうタイトルに較べると、『リコカツ』って、内容についての情報が少なすぎるよね。もうすこし視聴者の興味を引くタイトルはないかと『離婚早々別れたダンナとラブラブになっちゃった話』とか、いろいろ考えた。でも考えているうちに、『リコカツ』って意外と良い題名だなって思えてきたりして。


 
 というわけで金曜ロードショー『ボヘミアン・ラプソディー』の裏で放送された『リコカツ』第8話「リコカツからの即再婚!? 願うのはあなたの幸せ…」である(2021年6月4日、TBS、脚本:泉澤陽子/照明:椙浦明規/撮影:寺田将人・田中浩一/監督:韓哲/プロデューサー:植田博樹・吉藤芽衣)。やっぱり、最終章に向けてちょっと一休み、みたいな話であった。



 今回は離婚した元夫婦が、なぜか咲(北川景子)の家に集まり、結果的にまた宴会のような状態になっている。紘一(永山瑛太)を除く男性陣が泥酔してだらしなくクダを巻いているのに対して、女性陣はわりとさばけている。三石琴乃がカラオケで「乙女のポリシー」歌ってるし(笑)。まあ「ムーン・リベンジ」じゃなくて良かったです。



 ただ本当に吹っ切れているのは紘一の母、薫(宮崎美子)くらいで、咲はもちろん、咲の姉、楓(平岩紙)の決意も、九歳の娘(夏野琴子)への想いで揺らいでいるし、咲の母親、美土里(三石琴乃)も、フリーの編集者にして若い恋人のつもりだった誠実(中山麻聖)に2000万円を騙し取られ、穏やかでない。それにまだ家族には内緒にしているが、マンモグラフィーの画像検診の結果、乳がんの疑いも出ている。



 この件と、それから武史(佐野史郎→平田満)の愛人ふうの謎の女「りなっち」(中田クルミ)は、話として連動しているように見える。いずれにしても次回、平田満が何らかの行動を起こし、美土里の病気の件と「りなっち」の正体も明らかになってくるだろう。その結果ここの夫婦がどうなるかは、まだちょっと分からない。


 
 紘一(永山瑛太)は、咲の幸せのためには自分が身を退いて、もっと咲を幸せにできる男と再婚するのが一番、と考えて、尾行して素行調査など行った結果、やはり元カレの青山弁護士(高橋光臣)が最適解だという結論に至り、咲に青山との復縁を提案する。よけいなお世話であるが、咲は咲で、一ノ瀬三尉の謝罪訪問を受ける。



一ノ瀬「申し訳ありませんでした!」



 咲 「えっ?」



一ノ瀬「申し訳ありませんでした」



 咲 「ちょっと 待ってください。どうされたんですか?」



一ノ瀬「私、今までひどいことを沢山してしまいました」



一ノ瀬「まず、バーベキューの時に林の中に置き去りにしたこと」



一ノ瀬「本当に申し訳ありませんでした」



 咲 「置き去り?」



一ノ瀬「それから、お母様の誕生日パーティーの時に、勝手に寝室に入った上に、緒原一曹にもっと尽くすよう言ったこと」



一ノ瀬「緒原一曹とは別れた方がいいと言ったこと」



一ノ瀬「すべて、誠に申し訳ありませんでした」



 咲 「どうしてですか?」



一ノ瀬「お慕いしていたんです、緒原一曹のこと」



一ノ瀬「生まれて初めて人を好きになって」



一ノ瀬「どうしたらいいのか分からなくなってしまって」



一ノ瀬「私は決して、許されないこと してしまいました」



一ノ瀬「私には、緒原一曹を好きになる資格はありません」



 筑前煮女、これで少しは株を上げたか、それとも逆にあざといと反感を買ったか。
 前にも書いた通り、一ノ瀬役の田辺桃子はこの春から『リカ〜リバース〜』(フジテレビ「大人の土ドラ」2021年3月〜4月)『ガールガンレディ』(MBS「ドラマイズム」2021年4月〜6月)『ゆるキャン△2』(テレ東「木ドラ24」2021年4月〜6月)そしてこの『リコカツ』と、尋常じゃないペースでドラマに出演して、いまとても注目されている。個人的な印象だが、『リコカツ』の一ノ瀬は、『ゆるキャン△』の大垣千明と、なんとなくキャラがつながっている。そう思いませんか?(すみません『2』はまだ観てないもんで)
『ゆるキャン△』の大垣さんは、野外活動サークルの部長で、男気があって、部員に対してはわりと上官口調でしゃべる、というちょっと軍隊風のキャラである。



 反面、ソロキャンパーの志摩リン(福原遥)にあこがれのような片思いの気持ちをもっていて、できれば一緒にキャンプしたいなと思って、なでしこ(大原優乃)と一緒に誘うのだがフラれて玉砕している。融通のきかない感じがなんとなく一ノ瀬っぽい。





 もっとも、大垣さんは機転を利かせて遭難しかけた志摩リンを救ったこともあって、最後はリンも誘いにのってくれる。反対に一ノ瀬三尉は咲を遭難させかけたけど。
 あと『ガールガンレディ』のガンファイトもなかなかだったが、最終回まで生き残れずに倒されちゃったな。



 『リカ~リバース~』は、私は怖いから観なかった。田辺桃子ならすげー怖い芝居もできそう。
 閑話休題。あまりにもストレートな一ノ瀬に、かえって好感を抱いた咲は、彼女こそほんとうは紘一にふさわしい女性だったのではないかとさえ思い始めて、もう一度確かめるために、一ノ瀬を訪問する。ロケ地は荒川河川敷の彩湖・道満グリーンパーク(埼玉県戸田市)なんだけど、たぶん紘一や一ノ瀬の勤務地である航空自衛隊百里基地(茨城県小美玉市)の近くで、咲がわざわざ訪ねてきたという設定なのだろう。



 咲 「突然 すみません」
一ノ瀬「ああ、いえ、全然……今日は、どうかされたんですか?」



 咲 「一ノ瀬さんのことが知りたいんです」



一ノ瀬「えっ?」



 咲 「聞いてもいいですか?」



一ノ瀬「あっ、はい」



 咲 「どうしてパイロットになったんですか?」



一ノ瀬「ああ。私の父も自衛官で、ブルー・インパルスのパイロットだったんです。それで、私も父に憧れて……」
 咲 「そうだったんですか」
一ノ瀬「はい」



 咲 「夢をかなえられたんですね」



一ノ瀬「パイロットになって、初めてひとりで空を飛んだ時の感動は、今でもよく覚えています」



一ノ瀬「あのとき見た空の美しさ、一生忘れません」



 咲 「よく分かります。私も、初めて自分が書いた記事が雑誌に載った時は本当に嬉しくて、今でもその雑誌は大切にしまってあります」



一ノ瀬「よく分かります」



 咲 「もし結婚することになったら、お仕事は どうされるんですか?」



 咲 「自衛官は異動が多いですよね」



一ノ瀬「私は、自衛官であることに誇りを持っています」



一ノ瀬「ですが、古いかもしれませんけど、結婚したら夫のために、仕事は辞めるつもりです」



 咲 「……本当はまだ好きなんですよね。紘一さんのこと」



一ノ瀬「いえ、私はもう……」



 咲 「私たちは」




 咲 「私たちは離婚したんですから、もう気にしないでください」


 やっぱり自分より一ノ瀬の方が、価値観も合うし、紘一にふさわしい。そんなふうに咲が自分に思い込ませ、紘一を諦めようとしているとき、紘一は紘一で、青山弁護士に「自分は、やはり咲さんの相手は、青山さんだと思います。どうか咲さんをよろしくお願いします」なんて頭を下げている。そして告白されたままスルーしていた一ノ瀬を呼び出して、きちんと返事をする。



 この鳥居のロケ地は杉並区大宮の大宮八幡宮。てことは、二人は都内にいるって設定なのかな。少なくとも、紘一はこの後ダッシュで駆け出して、暗くなるころ咲の家にたどり着いているから、さすがに茨城の百里基地の近くではないはずだ。なんにせよ、改めてしっかり振られた時の、一ノ瀬の表情がすごくいい。この微妙な変化は静止画像ではぜったい伝わらないですが。



紘 一「自分に、思いをまっすぐぶつけてくださり、ありがとうございます」




紘 一「ですが 自分は、誰とお付き合いするつもりはありません」




紘 一「一ノ瀬三尉とお付き合いすることはできません」












紘 一「はぁ……突然すまない。少し時間をもらえないか」



 咲 「どうぞ」



紘 一「お邪魔します」



紘 一「ああ……何だか懐かしいな、まだ半月ほどしか経っていないのに」



紘 一「もう何年も経ったような気がする」




紘 一「すまなかった」
 咲 「えっ?」



紘 一「君の気持ちをよく考えず、突っ走ってしまった」



紘 一「自分はいつもそうだ。突っ走り、君を傷つけてしまう」



紘 一「君にとって何が一番いいのか、自分の心と向き合い、よく考えた」



紘 一「結婚して、この家で一緒に暮らしていた頃、君がよく言っていた。一緒にいるとケンカになってしまう」
 咲 「うん、そうだね」



紘 一「一緒にいると、楽しい」




紘 一「だが 同じぐらい……」



紘 一「ああ…例えるなら、あっそうだな。太陽と氷の惑星と呼ばれる天王星が、ああ。近くにあるようなもんだ」



 咲 「また、うんちく?」



紘 一「ああ……つまり、太陽と天王星が近くにあると爆発だ」



紘 一「ああ……つ、つまり、つまり、君がいつも、穏やかでいられる相手……が一番だ」



紘 一「例えるなら」



紘 一「あっ そうか。日だまりだ、日だまりのように」



紘 一「温かく穏やかで、君がいつも ほほえんでいられる、そういう居場所だ」



 咲 「素敵だね」



紘 一「君には、そういう居場所を見つけてほしい」



 咲 「あなたは どうなの?」



紘 一「うん?」



 咲 「あなたにとって、一ノ瀬さんがそういう居場所なの?」




 咲 「私、一ノ瀬さんに会ってきた。彼女、真面目で」



 咲 「不器用で、古風なところも、ちょっと紘一さんに似てた」



 咲 「彼女は結婚したら夫のために、仕事は辞めるつもりなんだって」
紘 一「ああ そうなのか」



 咲 「合ってると思うよ」




 咲 「どう、思ってるの?」



紘 一「……彼女と付き合うことにした」



 咲 「……そっか……」




 咲 「よかったじゃない」




 咲 「……よかった……」




 咲 「私も、紘一さんと同じ気持ち」




 咲 「あなたには日だまりで微笑んでいてほしい」



紘 一「ありがとう」













 咲 「私……貴也と、やり直す」




紘 一「そうか」



紘 一「よかった」



 咲 「紘一さんも、一ノ瀬さんと仲良くね」



紘 一「ああ」



 咲 「さよなら」




紘 一「……よかった……」



 と強がってはみたものの、ぜんぜん良くねえよ。帰り道、我慢しきれず歩道橋で崩れ落ち、「お前ウソついたな!……何やってんだよ」と自分を罵り、号泣する紘一、やって来た青山に「ごめん、私、貴也とやり直せない。私はもう誰とも結婚しない」につぶやく咲、というところで第8話はおしまい。




 まあ、繰り返しといえば、前々回の繰り返しである。この二人の関係が修復するかどうかは、Nakoさんのコメントにあったとおり、小説家先生がどこまでふたりのキューピット役をはたすことができるか、にかかってきたようですね。いよいよあと残り2話。来週の金曜ロードショーは『グーニーズ』らしい。これなら勝てるかも。今週は瑛太がよく走った代わりに北川さんの走るシーンはなかったが、これはラストランに向けての小休止か?
 あと、放ったらかしにしてあるこっちのほうも、もうそろそろ佳境に入るんだが、すまん、今は手が回らない。改めてやるから。