実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第787回】and endless の巻(追悼 窪寺昭)


 窪寺さんの訃報に絡んで色々コメントいただいた。ありがとうございました。やはりみなさん「キラリ☆スーパーライブ」での彼の存在感には格別の印象をもっておられた。そりゃそうですよね。



 実写版セーラームーン放送中、よみうりホールでたった一度だけ開かれたライブイベント「キラリ☆スーパーライブ」(2004年5月2日)は、前半はキャラクターソング中心の歌と踊りのレビュー、後半は変身したセーラー戦士たちと四天王との戦い、という構成なんだが、その間に長い幕間劇として第2部が入っていた。



 要するに歌のコーナーが終わってから、5人がセーラー戦士へのメイクアップを済ませて登場するまでの「つなぎ」なんだけど、息抜きのギャグや客いじりやアドリブ入れまくりのやり取りで会場を湧かせておいて、再びタキシード仮面との対決の緊張感を高めて第3部にもっていくまで、クンツァイトの独壇場であった。



タキシード仮面「子どもたちの手を放せ」



クンツァイト「どうしてお前がここにいる?」



クンツァイト「お前はいまロンドンにいるはずだろう(笑)」



タキシード仮面「この会場に集まったみんなのために帰ってきたんだ!」



クンツァイト「答えになっていない(笑)お前は設定ではロンドンにいるはずだ!」



タキシード仮面「……」



タキシード仮面「もう一度言う、この会場に集まったみんなのために帰ってきたんだ!」



クンツァイト「少し動揺が隠せないでいるな」


 グランド・フィナーレでは、戦士も悪役もみんな登場して小枝の「キラリ☆セーラードリーム」をもり立てるが、こういうのを見ていると、下半身がぴたっと決まっているかどうかで舞台経験の場数がわかるね。やはり窪寺昭が一番であった。
 


 それから、コメントいただいたなかで、私はまったくノーマークだった『ハンサムセンキョ』(2020年、脚本:米山和仁・三田理恵子/監督:米山和仁)のことを知りました。これはテレビ神奈川の深夜枠で放送されている、1話10分あまりのショートドラマである。小松彩夏が出ていたフジの『馬子先輩の言う通り』(2015年)みたいな感じね。



 制作はマーベラス。マーベラスっていうとアニメの著作権管理業者だったと思うが、今では『テニスの王子さま』など2.5次元ミュージカルを展開していることで有名だ。



 そういう舞台で活躍しているイケメン舞台俳優をずらりと並べたのがこのドラマで、セーラームーン的には、うさぎの弟、月野進悟を演じていた武子直輝くん初主演ドラマというところがポイントである。



 主人公の天道勇樹(武子直輝)は小学校の教師だったが、モチベーションを失い辞職して今はフリーター。昔なじみの友人、花野(深澤大河)が秘書を務める新興政党「きらめき新党」の事務所を訪ねる。政党事務所で仕事を貰い、政治を学びたい、なぜかというと、疲弊した学校教育の現場を変えるには教育改革が必要だからだ、などと熱弁をふるっていたら、それを聞いていた参議院議員の古剛栄進(横山真史)から、いきなり「市長に立候補しないか?」とスカウトされてしまう。



 古剛がイメージしていた、次の市長選挙候補にふさわしい資質「爽やかさ」「心の強さ」「健やかさ」「声量」「染まっていない」の5つをすべてそなえているというのだ。あと「天道勇樹」という名前の響きも良い。



 いきなり市長選に出馬した勇樹にとって、最大の強敵は白峰誠二(一ノ瀬竜)。勇樹とは対照的な政界のサラブレッド、元大臣の父親を持つ保守党二世で、看板も地盤も資金もすべてそなえた次期市長の最有力候補だ。



 この白峰誠二の選挙戦をバックアップするために党本部から送り込まれてきた秘書課長が刈安健司(窪寺昭)。刈安の使命は、保守党のブランド力で、父親から受け継いだ支持基盤をしっかり固め、横綱相撲で選挙に圧勝することだ。



 ところが当のお坊ちゃま候補は、むしろ天道直輝なんかに刺激を受けてしまっている。旧弊な保守党のイメージを嫌い、もっと斬新なイメージでアピールしたいと、政党の名前を伏せたステッカーのような選挙ポスターを勝手に作り、せっかく刈谷が立てたスケジュールを無視、父の代からの支持者たちが、事務所に表敬訪問してくるというのに、自分は街頭に出てドブ板選挙に徹したい、などとうそぶくのである。



刈 谷「これは……」




誠 二「僕が頼んで作ってもらったんです」



誠 二「インパクトあるでしょ」



刈 谷「…………」



刈 谷「……いいと思います」



誠 二「よし、出かけよう」



刈 谷「どこへ?」



誠 二「どこへって、街です。市民のみなさんに挨拶に行くんです」



刈 谷「街頭演説をする場所と時間はもう決まっています。それに、午後はお客さまが……」



誠 二「わざわざ出向いてくれる人は、僕が会わなくても票を入れてくれるだろう」



刈 谷「それは……」



誠 二「それに、選挙で大事なのは浮動票だ。このソファに座ってたって、浮動票は獲得できないだろ」



刈 谷「……わかりました……」



刈 谷「エスコートして差し上げなさい」
山 吹「はい」
梔 子「お任せあれ」



誠 二「まずは僕が一番よく行っていた商店街に行こうと思う」



誠 二「その後は近くを人が多い順にまわって行こう」



誠 二「街宣車は極力避けたいんだ」


 今回は、youtubeで配信されている第1話と、見逃し配信の最新第7話しか観ていないが、10月16日づけの本人のツイッターによると、第2話から出てきたらしい、



 実写版セーラームーンでクンツァイトと進悟の絡みはなかったはずだが、今回は武子直輝との絡みはあったんだろうか。AmazonビデオとかGyaoとかで1話100円で配信しているようだから、これから観てみたいと思う。
 それにしてもツイッターに「主演の武子くんとは17年ぶりの共演でして、実に感慨深い」って書いてるくせに、まだ放送も終わらないのに、なんで死んじゃうんだよお。バカバカバカ。



エンディミオン「クンツァイト!」



クンツァイト「かつてプリンセスのために星を捨てた男が、星のために命を捨てるか」



クンツァイト「メタリアを道連れに……」



ミ オ「そっかあ、衛くん、自分のなかにいるメタリアと一緒に死んじゃうつもりだったんだね」



うさぎ「そんな……そんなの……」



クンツァイト「ジェダイト!」



クンツァイト「お前の主はベリルではない」



クンツァイト「我らの主は目の前にいる」











エンディミオン「クンツァイト!」



 改めて、実写版の四天王はこの人なしでは成りたたなかった、とつくづく思う。ありがとう窪寺昭。また何度でも観直すよ。何度でも、終わりなく。